パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

言葉は正確に理解して使っているわけじゃない(と思う)

2019年03月07日 08時55分42秒 | あれこれ考えること

実感と違う数字で世の中が表されていると感じる人が少なくない
例えば景気、あるいは内閣支持率
政府やメディアから示される数字を見てすんなり納得できるかと言えば
むしろどこか違っていないかとか、その数字を使って説明しようとすること自体が
おかしいのではないか、、とも考えるようになるのはごく自然の成り行き

実感とは違うと感じるが、何ごともなかったかのように示されたのが
統計不正の特別監査委員会の報告
「虚偽の説明をしたが隠蔽ではない」としている(意味がわかりにくい)
その根拠として、隠蔽とは(定義)不正を認識しながら積極的に隠そうとする行為で、
そうした意図は認められなかったをあげている
意図的、あるいは故意に隠そうとしていないので隠蔽ではない、、との理屈だ

ならば、特別委員会の方々が当事者(不正を行った人)に「意図的に隠そうとしたか?」
との質問で委員会は該当者に聞き取りを行ったか
行ったとすれば彼は何と答えたか、、
との国会での野党の質問に、特別委員会の委員長はそれには答えず
意図的に隠そうとしたとは思われない状況の説明を繰り返しただけだった

不思議なのは何故、「聞いたが意図的ではない」と言い切らなかったのだろうということ
普通このような聞き方(調査)をすれば該当者は正直に意図的にやりましたとは言わない
わざわざ自分の非を認めることなどありえず、例え嘘であっても嘘を突き通すのが普通で
実際のところそれが嘘と証明・確定するのは難しいので、言ったもん勝ちになりそうなもの
にもかかわらず、その部分を避けてプロセスをみて、つまり状況判断のみで委員会は
意図的ではなかったと結論づけている

国会でも裁判でも開き直った本人の口から本当のことを引き出すのは難しい
開き直って嘘をつけばそれ以上は問い詰めようがないのに、どうも問い合わせたような様子がないと思わせる
ような発言をしたのは、委員長が経営者のような度胸のある経験をしてる人ではなく、
物事を緻密に積み上げてい学者タイプの仕事をしている人の習性なのかもしれない

本人の自白による事実の確認というのは、実際のところとても難しい
それどころかそれが可能なのだろうか、、とさえ思う
それを補うために証拠主義が存在するのだろうが、証拠には「状況証拠」のようなものがある
今回の委員会の報告はこの「状況証拠」から導いた結果らしい
ところが、この「状況証拠」は物証証拠とは違い、そこに判断する人の意思が反映される

簡単に行ってしまえば同じ状況証拠を見ても、ある人はAであり別の人はBであるとも判断しうるということ
今回の場合、多くの市民が常識的に感じるのは、都合よく定義づけられた隠蔽の定義に沿うものではなく
なんとなく変だ(隠蔽じゃないのか)という感覚
人が普段使用している言葉は、厳密な定義を理解して使っているわけでない
むしろ曖昧なぼんやりとしてイメージのなかで、各人が想像する範囲で使っている
隠蔽という言葉にしてもいちいち意図的かどうか、、を考えながら一般の人は使っているわけでなない

緻密な議論をするためには厳密な定義付けが必要で、その上でなされるのが法的な世界ということなのだろうが
厳密な定義付けをするがために世間の感覚から離れていってしまうようなことはないのだろうか
例えば裁判が解釈学に終止して専門家だけの世界に留まり、世間の実態を反映しないようなものだとすれば
それは果たして本当に良いものか、、との疑問が湧く

このような危険性を感じているからこそ、世の中にはそれを補うシステムが存在するのだろうが
今の日本にそれが正常に機能しているかと言えば、かなり怪しいのではないか

特別委員会といえば無条件に第三者による組織を想像する
ところがこの委員長は過去20年間に厚労省の審議委員を歴任していることとのこと
いわば内輪の人間が内輪の失策をキチンと調査して結論を出せるのだろうか、、と疑問が湧く
こうした第三者と思わせる機関は、そのメンバー構成(メンバーの委任)で方向性が決まるのではないか
このあたりは、地元のいろんな場面でつくづく実感すること

ということで、相変わらずまとまらない話
言葉は正確な伝達というよりは、なんとなく通じている、、というのが実態で(プラトンのイデア?)
無理やり限定してしまうと、削ぎ落とされた部分が「実感と違うぞ!」と不平を述べそうだ
ということ

国会はやっぱり詭弁ではなくて、キチンとまともな討論をやってもらいたいものだ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする