パンセ(みたいなものを目指して)

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ポール・マッカートニーの「RAM」とその完全カバーアルバム

2022年04月23日 09時26分47秒 | 音楽

やっとかめに(久しぶりに)ポール・マッカートニーのアルバム
「RAM」の完全カバー版「PURE McCARTNEY」を聴いた

デンマークのビートルズフリークのティム・クリステンセンが
ポールの「RAM」を曲順通り完全再現したアルバムだ

「RAM」は発売された当時、批評家からはあまり良い評価は受けていなかった
いわれ勝ちな軽薄とか内容がないとか、、、そんな空気だったと記憶している

だが、自分はそうは思わなかった
音楽的要素がいっぱい詰まっていて圧倒された

とても短いウクレレの伴奏の「ラム・オン」は、「ジャンク」の寂しさを思い起こさせるし
冒頭の「トゥ・メニー・ピープル」のギターのフレーズは印象的
次の「三本足」は途中からリズムが変わってとてもおもしろいし
「ディアボーイ」は主旋律とコーラスの対旋律の掛け合いがとても美しい
「アンクル・アルバート ~ ハルセイ提督」は大声で歌うと気持ちよさそうな
(hands across the water〜)というところは
アビーロードの「キャリー・ザット・ウェイト」を連想させる
しゃがれた声で歌う「モンクベリー・ムーン・デライト」は最後の繰り返しの部分は
ヘイ・ジュードの長いエンディングを連想するし、
そこで行われるヴォーカルのアドリブが、それを聴くだけで価値があるような曲だ
「ロング・ヘアード・レディ」はリンダのコーラスが素人っぽくて、
それは妙に良い味付けになっている
そしてこの曲も対旋律との掛け合いが美しい
最後の「バック・シート・オブ・マイ・カー」も、ものすごい盛り上がり
最後の最後で楽器の音がなくなってコーラスだけになる時の効果は
ベートーヴェンのミサ・ソレムニスのグローリアの最後の部分を思い出させる

つまりは傑作アルバムだと思っていたので、低評価は納得できないし悔しかった

ところが時が経った今は、(ジョンとの比較という)時代背景を除いた
客観的な評価がされるようになって、このアルバムの評価は高いものになっている
「だから、最初からそうだって」
これが自分のいつざわざる気持ちだ
そして自分の直感や好みは間違っていなかったと自慢したくなる気分だ

この完全カバー版のアルバムは、他人がどのように表現するか?
という視点で聴くと面白い
基本的にはオリジナルと同じだが、ところどころ少し違う
声が違うのは仕方ないが、一番物足りなく感じたのは
「モンクベリー・ムーン・デライト」ボーカルのアドリブがなかったとこ
やはりあれはポールしかできないのかもしれない

「RAM」はアビーロードほどの完成度はないが
それでもその雰囲気を継承していると思う(すごく音楽的なところが)
でもそう感じるのは自分だけかな

ところで短いけど名曲と思う「ラム・オン」はこんな曲
Ram On(Remastered 2012)



コメント
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