パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

ドキュメント帝銀事件

2023年01月08日 16時55分35秒 | 

図書館から借りた本2冊

まずは右側の和多田進氏のドキュメントの方を読んだ
証言とか調査結果などの客観事実をもとに展開されいるが
まるでミステリーを読んでいるような面白さ・緊迫感がある

この本は平沢貞通は犯人ではないという視点から話を進めている
まずは帝銀事件の前に似たような事件が3つほどあって
それらは帝銀事件のような冷徹な実行者ではなかったために
些細なミスがあり犯罪は起きなかった
(この3つの事件は捜査のポイントになったが
 平沢貞通のイメージとは遠いようだ)
また帝銀事件が終わったあと、銀行からお金を引き出す人物がいたが
以上の4つの人物は平沢貞通ではなかった、、とする証言とか証拠が紹介される
(帝銀事件は単独犯ではなく複数犯と著者は推理している)

ただこの本でも不思議なのは平沢貞通という人物の性格で
言うことがコロコロ変わるために人として信じ難い面はある
事件後急に大金を所有した平沢貞通はそれだけで疑いの対象になるのだが
お金の入手先を明らかにしない
「そのうち大金が入る」
と口にしていたらしいが、それがこの犯罪のこととと想像してしまった
人たちがいたのは無理からぬ事かもしれない
だが、調べていくと平沢貞通は絵を売って入金する機会はあったようだ
(虎を描いた金屏風)

この本の著者は偶然かどうか、帝銀事件に関係しそうな人物を知ることになる
(実名は明らかにしていない)
その人物の人間関係を探っていくと、住む地域とか付き合いが
平沢貞通とあまりにも濃い関係が見つかる
そして独自に犯人たちを推理する

この本は松本清張の様にGHQがどうの、、という話は核心としてでてこない
ただ毒物は青酸カリとか青酸ナトリウムでは飲んですぐに反応するから
時間を少しおいて死に至らしめたのは青酸と有機物の化合物アセトンシアノヒドリン
としていて、その化合物は軍〈多分731部隊)が扱っていたものとしている

亡くなった方の解剖結果から様々なことがわかる
胃液のPHとか血管の色とか吐瀉物から想定される青酸化合物の正体
その解剖結果は分けて行われた東大と慶応とでは何故か違っている
(この大学の解剖結果は下山事件でも東大と名古屋大学が違っていた)

読んだばかりで印象に残った部分だけ取り上げてみたが
次に読む松本清張の小説で少し頭を整理してから
もう一度読み直すのが良いかもしれない

それにしてもあの時代は下山事件、三鷹事件、松川事件など
変な事件が連発した
そのいずれもが曖昧な形でしか終わっていないのは
何か特別な理由があるのだろうか






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何かを深く味わうには努力も必要

2023年01月08日 08時58分43秒 | あれこれ考えること

将棋の王将戦が今日8日から始まる
伝説の人となりつつある羽生さんと藤井5冠の戦いだ

将棋とか囲碁でもピークはスポーツと同様に25歳位との説があって
確かに囲碁の世界でも長らくトップの地位を占めていた
魔王のあだ名がある井山さんも若手にタイトルを奪われつつある

若手の新鮮な発想というのは、あらゆる方向に突然変異を
起こす生物のあり方に似ているような気がする

子どもの発想は豊かというよりは、とりあえずどんな方向も
試してみるとか考えてみるのと同じではないのか
つまりは年配者が経験上無視してしまう考えや手段を
若手は経験がないゆえにトライする、それは発想の豊かさと
なっているのではないか
(社会を変えるよそ者、若者、馬鹿者を連想する)

だが最近はAIで若手は勉強をしていて
吸収力の旺盛な時期の強みが年配者よりも
そこで差が出てくるのかもしれない

残念ながら将棋は縁がなかった
どうなったら勝負がつくかはわかるが
素人は最終形にならないとわからない
だからプロ同士の終局の時点で
何故そうなのかはわからない

でも素人が楽しむ方法はあって、最近ではネットで対戦の様子を
中継しAIでどちらが有利かを数値化している
これを見てるだけで最初は互角なんだなということがわかる

素人の将棋の楽しみ方は、途中のお菓子とか昼食などになってしまう
これは自分が気になって仕方がないサッカー日本代表の評価と
似てるところがあって、あまりそちらの方ばかりでは好ましくないと思う
万人にわかりやすいということは、入門編の世界以上の豊かな世界を
知っていないということなってしまう

何かを深く味わうためには、味わう方もそれなりに努力が必要ということだ
視覚的な要素が過度に要求され、文字からの理解は力を失いつつある現代の世界
わかりやすいとか刺激的というだけで社会的に価値があるとは思えないが
タイパと言われる言葉に代表される忙しい世の中になっている
こうした傾向は自分らの年齢ではちょいと心配だ

あらら、将棋の話からそれてしまった
いつものことだ、ま、良いか!

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