パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

ビートルズ「創造の多面体」

2023年01月31日 09時22分08秒 | 

少し前の中日新聞の書評に出ていたビートルズに関する本
ビートルズ「創造の多面体」高山 博著を早速手に入れ読んだ


じっくり読むと言うより速いスピードで読んだ
それは彼らの活動の疾走感と妙に上手くリンクしている気がした

かつて雑誌がネタに困った時は「ビートルズ頼み」
「京都頼み」と言われたことがあった
京都は相変わらずだが、流石にビートルズは過去になりつつあるかもしれない

ティーンエイジャーが、「Youtubeでイケてるバンドを見つけた!」
と友達に自慢していたところ、バンドを見てみるとビートルズだった
といった笑い話があったそうだ

それも無理は無いかもしれない
ポール・マッカトニーも今は80歳になっている
(若者はおじいちゃんには興味が無いものだ)
モーツァルトの生まれ変わりのような彼は、少ししか生きられなかった
モーツァルトの分まで長生きしている、、と思えて仕方ない

この本は音楽的な視点からの解説が多い
彼らの起こした社会的ムーブメントよりは
音楽家としてのビートルズをしっかり捉えている

彼らの若さ、感性、無知、行動力が時代に受け入れられ
そして向上心がアイドルから真の音楽家に成長していく過程がわかる

彼らは後で音楽の基礎的な教育を受けたようだが
自分たちで作り始めた時は、音楽理論では通常行われないような
転調や変拍子、長調と短調の曖昧な音楽
理屈より彼らのその時の感性を優先した曲作りは
(そのために音楽は違和感なく流れていく)
自由と可能性を一気に広げたようだ

後で振り返ってみると音楽理論通りだった
と言ったこともあったようだ

レット・イット・ビーが生まれた時、ポール・マッカートニーは28歳
ジョン・レノンは30歳の時、アクロス・ザ・ユニバースを作っているが
これらの白鳥の歌のような(老成したような)曲が
その年齢で作り上げられたのは、ビートルズがショービジネスの世界ではなく
どこかの高みにいると感じたものだった

それにしても、突出した才能の持ち主が同じ場所(リバプール)で生まれ
生き方が徐々に内面化され
(彼らの共通点は喪失感で、それが音楽にも反映されたとしている)
それぞれが切磋琢磨していく過程は歴史の不思議としか思えない

彼らは結局のところ自分を信じて行動しただけだったのかもしれない
音楽的なことも、生き方も、行動も
自分を信じたために別離ということも生まれる

この本は急いで読んだが、その評価は「優」
今年の「植物は知性をもっている」に続いての「優」だ

時間が経つとこの本の印象は変わるかもしれないが
今は、こんなところ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ワールドカップ後の久保 | トップ | ジョージ・ハリスン、好きな... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

」カテゴリの最新記事