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ゴラン高原PKO派遣期間の半年延長が決定 第28次ゴラン高原PKO派遣部隊活動中

2010-02-08 22:41:49 | 国際・政治

◆国連安保理の決定を受け1月29日閣議決定

 こんばんは。今日扱うのは、自衛隊の国際貢献任務で最も長期間の派遣が行われているゴラン高原PKOについてのお話です。

Img_0014  1月29日の閣議決定で、陸上自衛隊の中東ゴラン高原における国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)への陸上自衛隊派遣が六ヶ月間延長されることが決定されました。UNDOFは、ゴラン高原PKOと日本では略称で呼ばれているのですが、現在、北海道真駒内の第11旅団から小山直伸3佐が指揮する43名と司令部要員3名が第28次派遣隊として派遣され、活動中です。

Img_5901  ゴラン高原PKOというのは、兵力引き離し隊という名前からも分かるように、ゴラン高原に中立の国連部隊が駐屯することで紛争を予防するのが目的の部隊です。ゴラン高原は、歴史に詳しい方はご存知の通り、第四次中東戦争でイスラエル軍とシリア軍の激戦が繰り広げられた場所です。

Img_0657  ゴラン高原での激戦は、並木書房から高井三郎氏が“第四次中東戦争 ゴラン高原の戦い”を著していますが、シナイ半島とゴラン高原から挟撃されたイスラエルは存亡の危機という状況に陥りました。アメリカの協力もあって反撃に成功したのですが、1974年に停戦協定に基づく兵力引き離しを監視するために派遣が決定されたPKO任務です。

Img_1882  日本のゴラン高原PKOへの参加は1996年から、行われていて、既に第28次派遣隊が任務にあたっています。第一次派遣隊の指揮官は、髭の連隊長として福知山で有名で現在参議院議員で自民党国防部会長の佐藤正久氏、今は珍しくなりつつある66式作業服を着用して1996年2月12日にジウアニ宿営地で着任式を行ってから、今日に至るまで任務は継続されています。陸上自衛隊主力ですが、海上自衛隊、航空自衛隊からも連絡調整などに派遣されているようですね。

Img_1907  陸上自衛隊のゴラン高原での任務は輸送支援です。ゴラン高原PKOは、二個歩兵大隊と後方支援大隊から編成されていて、自衛隊は歩兵大隊の監視任務を支援するための物資の輸送と、道路の補修が任務になっています。ジウアニ宿営地に本隊が駐屯、ゴラン高原の北部にはヘルモン山という標高2814㍍の山があって、ここにも監視ポストがあるので、自衛隊のファウアール分遣隊が除雪も実施しているとのことです。

Img_5572  写真の都合上、自衛隊車両の写真ばかり載せているのですが、ゴラン高原で運用しているのは国連のトラック、ゴラン高原とシリアのダマスカス空港を往復しているとのことですが、半年間で走行距離が14万kmに及ぶほど輸送任務は激務ということです。兵力引き離し任務なので、ヨルダン川を境界とするラインは地雷源、という環境です。

Img_6109  今回のゴラン高原PKOの延長閣議決定は、国連平和維持協力法に基づくもので、これは昨年の12月16日に国連安全保障理事会がゴラン高原PKOの延長を受けてのものです。日本ではあまり報道に上がることも無いのですが、今日この瞬間も、自衛隊による輸送支援が行われている、ということは紛れも無い事実です。

HARUNA

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コメント (7)
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