北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

問われる民主党の安保政策 新防衛大綱と新中期防衛力整備計画検討へ

2010-02-23 22:19:17 | 国際・政治

◆新防衛大綱検討本格化

 防衛大綱と中期防衛力整備計画の検討が本格的に開始されたようです。

Img_0495 今回は、冷戦時代を想定してきた装備体系や部隊編成から現在の体制が完全に脱却しているのか、ということを主眼として検討されるようで、この分野は年内に画定されるようなのですけれども、安全保障に関する話題を扱う北大路機関としても分析をしておかなければならない分野となるでしょう。

Img_6936  これまでは、冷戦時代と比較した場合、戦車や火砲は半減、護衛艦や戦闘機などもかなり削減されているのですけれども、結果的に少数精鋭といいますか、少数の装備品を確実に稼働させるための防衛産業を疲弊することとなってしまいましたし、任務が国際貢献として広がりましたので、護衛艦や輸送艦、補給艦といった艦船などは逆に不足が目立つようになりました。

Img_8831  一方で、脅威は、と問われれば、ソ連崩壊以前よりは、師団規模の直接侵攻という可能性は遠のいたものの、中国の脅威は否定し難く、鳩山首相も中国への脅威を念頭に大綱の画定を求めていました。発言に柔軟性のある総理大臣ですが、いまのところ、この認識に変化はないようです。

Img_0008  したがって、冷戦時代の体制からの脱却よりは、実質的に脅威正面が北海道から九州や南西諸島へ、西方シフトしている状況に対応できるのか、ということになるでしょう。テロとの戦い、国内に武装工作員が侵入した場合を想定して戦車や火砲から、小回りの利く普通科部隊に重点を置くべく編成を改編してきたのが、昨今のもう一つの潮流でした。

Img_7166  しかし、野戦に対応できないことの弊害が大きいことへの認識、そして普通科部隊を支える空中機動部隊などの増強が思うようにいかなかったことから、こちらにも何らかの措置がとられると考えるのが自然でしょう。また、経空脅威も中国空軍の近代化やロシア空軍への対領空侵犯措置など、ソ連崩壊後とは明らかに航空に関する安全保障情勢も変化を遂げつつあります。そして新しく弾道ミサイルの脅威も今まで以上に現実となってきました。

Img_3577  これらを総合しますと、果たして冷戦後、自民党政権が継続してきた一貫しての自衛隊の数的縮減を実施してきましたが、この流れからの脱却が可能であるか、という事に注目が必要でしょう。防衛費の縮減を行い子供手当などの予算を捻出したいという視点もあるやもしれませんが政権政党としての判断を期待したい次第。

HARUNA

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