「キクヲトル トウリノモト ユウゼントシテ ナンザンヲミル」、まるでいまはほとんど使われなくなった電報の電文のようだが、これは本当はなんという題だったか忘れたが、漢詩の一部である。この言葉は私の記憶が間違いがないなら、夏目漱石のいずれかの小説に引用されていたのではなかったろうか。
高校の2年と3年だったかに漢文を選択でとっていた。家庭科とか美術や音楽をとる人もいたのだろうが、私にはこれらの才はなかったので、漢文を選択の科目としてとっていた。その中の一つの漢詩の一部がこれである。もう私が高校生の時代には漢文をきちんと読めるような生徒はほとんどいなかったと思う。その点は夏目漱石のような私たちよりも古い時代の文人たちとはまったく違っている。
しかし、老荘の思想とか孔子の言葉の一端とかには触れたように思う。だから、文学または言葉としての漢文にはならなかったが、私たちの思想や教養として漢文は何がしかの寄与があったと思う。中国語をテレビとかラジオで少しだけかじったときにも漢詩を中国語で発音できたらいいなという思いがあった。
残念ながら今もって中国語は初心者の域にも入らないが、ローマ字書きをした中国語の発音は少しできる。テレビで卓球の福原愛さんがロシさんの後につけて中国語で文を発音をしていたが、福原さんの中国語は彼女が中国で数年を暮らしたから本物なのだろうけれども、濁音が少し入るように聞こえた。標準の中国語には濁音はないはずである。
日本でもよく中華料理のレストランにいって例えば餃子を2人前頼むとするとリャンガといって、シェフに声をかけているが、これはまるで中国語のローマ字を日本風に発音しているとしか思えない。かなで書くのはおかしいのだろうが、無理やり書くとリャンク(Lien-ge?)のはずである。geはグとは発音せずかなで書くと「ク」だと思う。
なぜだか昔のことを最近急に思い出すことがある。老人になったせいなのか。それとも人間というのはそういうものなのか。