「なでしこジャパン」の女子サッカーのワールドカップの優勝がもう遠い昔のことに思えてくる。妻がこの日少し早く起きてテレビをつけたら、まだゲームをやっていた。それで私を起こしに来たので、最後の30分の延長とPK戦を見た。
これは奇跡であろう。「強運の監督についたのがよかった」とキャプテン沢選手が帰国しての記者会見で言えば、監督は「強運の選手をもったのが幸せだった」と言う。どちらも本当だろう。
だが、誰かが勝ち、誰かが負けるとはいうものの、こんなに絵に描いたようなことが起きるとは思ってみなかった。
東京オリンピックのときの女子バレーなどは東洋の魔女と言われたものだが、このときのトレーニングは過酷のものであり、優勝しても当然というくらいのトレーニングであったらしい。だが、その過酷なトレーニングに耐えた選手はすごいものだったと思う。
こんどもそうであったのかどうか。だが、そういう過酷さよりも今回はリラックスとチームワークが顕著だったとは選手たちの言である。
また、東日本震災を受けた方々を励ましたいという意図も密かにもっていた優勝である。「おめでとう」と申し上げたい。また、現に被災地の出身の選手もいた。
なんでも密かに努力をしている人がいるものである。選手たちはどこかでパートで、または正社員としてフルに働きながらのトレーニングを積んできたのだという。
それでも泣き言も言わずに、明るかった。日本とは不思議な国である。政治はよくないけれども、それでも現場力で耐えて生き抜くとか、地震の後の被災者の冷静さを賞賛したのは外国メディアであったが、それだけではない。
今回の優勝も日本の底力の一つの現れであろうか。だが、もっと地道に誰にも注目されずにそれでもデカンダンスにもならず、こつこつと励んでいるのはもちろん日本人には限らないであろう。