今日の15時から愛媛大学法文学部の本館2階の中会議室で表題の講演会がある。
一つは今治看護専門学校で哲学を教えておられる、高安伸子さんが子どもさんをシュタイナー学校に入れた経験を「ハイデルベルクのシュタイナー学校」という演題で話される。
日本でもシュタイナー教育は子安美知子(?)さんの著書{ミュンヘンの小学生」(中公新書)等で知られるようになって久しいが、具体的にどういうものかは私もよくは知っていない。
もう一つは法文学部教授の赤間道夫さんが「新MEGA編集と日本人研究者」という題で話をされる。MEGAとはMarx / Engels Gesamtsusgabeの略でマルクス・エンゲルス全集の編集に関係することらしい。
マルクスとエンゲルスの全集は全体で114巻と予定されているというから、とても大部なものである。この新MEGA編集は現在ドイツを中心にして行われているらしい。もちろん日本でもこれに関係している研究者がかなりいるということであろう。
一時旧ソ連の崩壊とともに社会主義の敗北と資本主義の勝利などといわれたが、やはりそういう単純なことではなく、資本主義のほころびは現在では多くの人から指摘されている。
そのせいかどうかマルクスやエンゲルスの思想も見直されているということもあろう。しかし、そういうコンテクストでなくても思想としては研究する人がいるのは当然であろう。
このところ、安孫子さんという科学史家の方のある論文を検討しているのだが、その中に「スターリン言語学」への言及がある。
それで、思いついて田中克彦氏の「『スターリン言語学』精読」を肝心のスターリン言語学の論文の翻訳の部分を除いて読んだ。それによるとこの論文は旧ソ連の民族の自主性とその民族の言語の重要性を認めた論文であるとのことだ。
それで、この論文はスターリンの独裁等の弊害がもちろんスターリンに関しては後世言われているが、民族の独立性とその言語の重要性を認めたという点で正統的なマルクス主義の言語政策とは異なっているという。
そういうことも踏まえると岩波書店の「『スターリン言語学』精読」の発行は貴重なものである。