物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

わかるから創造へ

2011-11-15 12:30:23 | 物理学

西谷さんの『坂田昌一の生涯』(鳥影社)を読んで、思ったことがある。

それはすでに出来上がっている、学問がわかることと新しい科学を創造していくこととの大きなギャップについてである。

普通、学校では出来上がった学問について学ぶが、それすらもなかなか分からないというのが私などの困難を感じているところである。ところがさらに新しい科学の研究を進めるとはさらに困難を感じる。

北川民次さんという、新しくて自由な絵画教育を推進している人との対談で坂田は自由にさせている自分たちの研究室の研究者を育てる方針と北川の絵画教育の方針とが似通っていると述べている。

それはそれでわかるが、しかしそこにいけるまでには基礎的な教育が必要なのではないかと私などは思ってしまったのだが、そのギャップはあまりに大きいと感じている。

なんでもすっと理解していける人が科学者として適性を持っているとは思わないのだが、そうはいってもある程度理解力もないと科学者にはなれないだろう。

私自身は数学でもはたまた物理学でもなかなか理解ができない方の部類であり、そのことが私が現在の考えをつくりあげてきた一番の元になっていると思っている。

凡人の物理学を標榜してきた坂田にしても若いときには計算の仕方一つでもそのやり方を考えてきたらしいとは以前にどこかで読んだ気がするが、それとこの伝記に出ている考えとはかなりの隔たりがあるような気がしている。

坂田の伝記に何でも坂田に関することが書いてあると期待することなど本当は無理な注文だが、私自身はそういうことに関心がある。

(2011.11.16)コメントで北川民次さんと教えられたので、民次と直したがもう一つ自信がもてない。ちょっと文献を調べれば済むことなのだが。だが、多分正しいだろうと思っている。