スーパーコンピュータは汎用ではない。こんなことを聞いたら、オヤッと思うかもしれないが、そうである。
というのは普通コンピュータはいろいろなことに使える。このごろは私自身もパソコンで数値計算をするということはなくなったが、もともと数値計算をするものとしてコンピュータを考えてきた。
これは若い頃にいまのパソコンよりもとてもお話にならないくらい性能の悪いコンピュータで数値計算して仕事をしてきたからである。
その後、コンピュータは通信に使うようになり、いまではワープロで文章をつくったり、(数値計算ではなく)代数計算をしたり、メールをするようになり、インターネットで情報を得るのが普通になった。数値計算をすることにコンピュータ、特にパソコンを使うことを考えなくなった。
どこかで話をするなら、パワーポイントでそのプレゼンテーションを行うので、その準備もパソコンでするのが普通となった。ほんとうにいいプレゼンテーションがパワーポイントでできるようになった。
ところが私の理解ではスーパーコンピュータはこのようなことには使えない。数値計算やその図形表示(2次元や3次元の)はできるかもしれないが、普通に私たちが日常パソコンを使っているようなことには使えない。
もっとも日常業務ではない複雑な計算をしたり、グラフィックス表示をしたりする機能はとても大事な分野が多々あるので、スーパーコンピュータがいらないとはあの「れんぽう」さんでもいいはしなかった。「2位では駄目ですか」とは彼女は言ったけれども。
最近、岩波書店の「計算科学」講座の配本が始まった。もうこの年になると「計算科学」でもないかとは思ったが、それでも購読を始めた。
これはひょっとしたら、このブログではもう何回目のリマークになるかもしれないが、物理学者の三村剛昂(よしたか)先生は理論物理学と数理物理学とを峻別されたが、その理論物理学の一つ下の数理物理学のまたその下にあるのが、「計算物理学」である。
このころは「計算物理学」の国際会議まであって、計算物理学が専門だといってもあまり肩身が狭いとは感じないようになっているが、私などはある程度の年なのでやはりある種の気恥ずかしさを自分が計算物理学者だというときにいつも感じていた。
そういう気持ちも最近の若い研究者にはもうわかってもらえないだろう。