実数の2組(a, b)で、複素数を表すことがある。それと同様に四元数を実数の4組(a, b, c, d)であらわすことがある。
(a, b, c, d)=a(1,0, 0,0)+b(0, 1, 0, 0)+c(0, 0, 1, 0)+d(0, 0, 0, 1), と表すことができるので、これから4つの基底 (1,0, 0,0), (0, 1, 0, 0), (0, 0, 1, 0), (0, 0, 0, 1) を自然に導入することができる。
これはもちろん1=(1,0, 0,0), i=(0, 1, 0, 0), j=(0, 0, 1, 0), k=(0, 0, 0, 1)のことである。
だが、あからさまにi, j, kを導入していないので、四元数の別の表示a+bi+cj+dkから四元数の演算規則を求めないと、どんなものだかまったくわからない。
しかし、実はi ^{2}=-1, j^{2}=-1, k^{2}=-1, ij =-ji=k, jk=-kj=i, ki=-ik=j の演算規則がわかっているので、四元数を計算することができる。
まさに、この四元数の元 1, i, j, k は四元数における「実体」である。
というようなことを考えている。
四元数の実部と虚部とが互いに「直交補空間」であるという命題を説明しようとしてここ数日頭を働かせた結果わかったことである。
上の命題自身は数学者ポントリャーギンが著書「数概念の拡張」(森北出版、2002)に書いてあることだ。しかし、そのことを前に数回繰り返して読んだのだが、どうもわからなかった。
四元数の全体が4次元のユークリッド・ベクトル空間であるとポントリャーギンは書いているのだが、その記述が間違っているのではないかと思っていた。
訳注でスカラー積を
(1, i)=(1, j)=(1, k)=0
(i, j)=(j, k)=(k, i)=0
(1, 1)=(i, i)=(j, j)=(k, K)=1
ととることができるとあった。そのことが理解できなかったが、このことがようやくわかった。