新井紀子さんは数学者で、国立情報学研究所の教授である。
コンピューターが東京大学の入試問題を解いて、入学資格を得ることができるかという大きなプロジェクトの代表責任者である。ということが先日の朝日新聞の土曜版に出ていた。
私がおもしろく思ったのはコンピュータが数学の問題を解く能力がないのではなく、出題された日本文を正しく理解するというところにむしろネックがあるという記述であった。
最近は数式処理で面倒な計算もたちどころにコンピュータでできる。ところが入試問題で出てきた文章を正しく理解してそれで問題を解くように仕向けるというところにむしろ問題点が残っているというところがおもしろいと感じた。
新井紀子さんについては、このブログでもとりあげたことがあると思うが、それは『7歳からの微分積分』(ブルーバックス)講談社の訳者としてである。
いまこの書を見ようと書棚を探したのだが、どこかに紛れ込んですぐには見つけられなかった。
計算嫌いのかつての高校生が数学者になるなどというのはちょっと信じられないが、彼女の場合はそれが本当のことである。
私も計算間違いがいつも多くて、計算のない数学があったらいいのにと思ったものだが、私はそのうちに計算もそこそこにはするようになった。しかし、本質的に計算が下手であることは自覚している。
新井さんはコンピュータがどこまでできるかの限界を知るために東大入試問題を解かせるプロジェクトをしているという。
コンピュータの不得意な分野を人間がするべきであり、コンピュータの得意なことを人間ができても将来はコンピュータに職を奪われるのがオチだというのが、新井紀子さんの主張である。