先日、このブログで円弧の長さと扇型の面積について書いた。
扇型の面積が中心角に比例することを示した、ようやく文献を見つけた。
『現代の綜合数学II』(現代数学社、1973)という古い本である。
中心角alphaに対する、扇形の面積をg(alpha), 中心角betaに対する扇形の面積をg(beta)とすれば、中心角alpha+betaに対する扇形の面積はg(alpha+beta)となる(これは図を描いてみると一目瞭然である)。すなわち
g(alpha)+g(beta)=g(alpha+beta) (1)
が成り立つ。これからalpha=0, beta=0のときにはg(0)=0であることがわかるから
g(alpha)=k alpha (2)
と表せて、扇形の面積は
中心角に比例することがわかる。これがわかれば、
g(alpha)=(1/2)r^{2} alpha (3)
であることを示すことは簡単である。
いろいろ調べてみたが、これほどはっきり述べた文献はなく、「扇形の面積は中心角に比例する」という事実を事実として述べたものが多かった。高校の参考書とかにはこの事実も書いていないものが大部分である。
(1)は関数gが線形であることを示しているので、(2)が成り立つのは当然であるともいえる。
(2017.8.31付記)「研究と実践」(愛数協)116号 (2014.11)に「扇形の面積」というタイトルでエッセイを書いたが、その中でも述べたが、もし中心角\alphaに対する扇形の面積をSとすれば、中心角が2 \alphaに対する扇形の面積は2Sとなり、また中心角が2\alphaに対する扇形の面積は3Sとなる。円の中心角がn\alphaと中心角\alphaの n 倍になればそれに対する、扇形の面積は nS と S の n 倍になる。すなわち、円の扇形の面積はその中心角に比例する。
すなわち、(2)が導かれる。このことは誰にでも明白なことなので、上に述べたようなことをわざわざ考えなくてもよいと考えるのが普通の人の思考であったのだろう。それをそういうことを考えられなかった、私はよほど「トンマなやつだ」ということであろう。