物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

投資の対象はどこに?

2015-06-10 13:10:39 | 日記
投資の対象はどこにあるか。

これだけ金利が低くなってもあまりお金の借り手が現れない。どこに投資したらいいかわからなくなっているという。

成功するかどうかはわからないが、投資の対象の一つは学問分野であろう。そして、そこでは失敗が大いに許されなければならない。

イギリスの物理学者だったブラケットは「科学とは国家がお金を出して、科学者の好奇心を満たすことだ」と喝破したが、そのことの主張を実現することが難しい現状になっている。

これは企業というものは短期的に利益を上げられる投資対象にしか関心をもたないからである。それでは投資の対象になるものはとてもすくなかろう。

そうではなくて、もっとおおらかにいくつかの分野に投資して、その1/100くらいが成功を収めるとかいうくらいのおおらかさがなければなるまい。

失敗を許さない経営者は・・・

2015-06-10 12:57:48 | 日記
エンジニアとしてアメリカ車のような大型車にCVCCの技術を搭載することを可能にした入交(いりまじり)昭一郎さんの述懐が朝日新聞に出ていた。

1970年に車の排ガス中の窒素酸化物などを1/10に減らすマスキー法がアメリカで成立した。日本の車産業もその達成には懐疑的であったが、いちはやくホンダがその規制をクリアして名乗りを上げた、

それに対して、アメリカの車のトップ企業の経営者は大型エンジンでのマスキー法のクリアは難しいと公然と言い放っていた。入交さんはそれに挑戦してクリアした経歴を持つ人である。

彼はその当時には日本の車のエンジン技術はアメリカのそれを追いこしたと感じたという。日本の現状はあまり楽観を許される状況ではないが、その当時の大型エンジンでのCVCCの成功はその当時の本田の経営者の失敗を許す気風であったという。

そのことに鑑みて現在の経営者が失敗をどれくらい許容できるかに日本の将来はかかっているという。

経営者たちよ、このことを聞いたか。

文学者が正論を言うようになると

2015-06-10 12:36:10 | 日記
日中韓「文学フォーラム」再開というニュースが朝日新聞に出ていた。その世話人である、島田雅彦さへのインタビューが今朝の新聞に載っていた。

(引用はじめ)

安倍政権が「憲法に反してまでも日米安保にしがみつくこと自体、国益にかなわない。(中略)東アジアの覇権国として成長しつつある中国と、「世界の警察」をやめたい米国、間に挟まれた日本は、米軍の戦費負担を買って出るより、多角的な東アジアの安全保障体制の構築に取り組んだ方が、はるかにローコストで実りがあると思います。(中略)

政治家や市民の間に最低限の教養が共有されていた頃は、作家が当り前の正論を口にすること自体、恥とされていました。物書きはもっと自由に言いたいことをいい、ときにはひんしゅくを買うことが求められていました。

(引用おわり)

とうとう、ひんしゅくを買うような言説をすべきだった文学者が正論を言わなくてはならなくなった現状を憂いた発言であるが、残念ながらこれを心に刻む人はほとんどいなくなった。

実験数学入門

2015-06-10 11:25:54 | 日記
山本芳彦『実験数学入門』(岩波書店、2000)はもう16年ほど前に発行された本である。購入したものの読む機会はなかったが、「自然数のべきの和」に関してなにか書いてあるのではないかと思って開いてみた。

このことについて書いてはあったが、私が望んだようなものではなかった。しかし、ベルヌーイ数についても書いてあった。

「自然数のべきの和」を述べるとすれば、やはりMathematicaに代表されるような数式処理による成果を抜きにしては現在語れないだろう。

どうしてこの書の記述が期待したものと違ったかということだが、最終的な結果を因数分解した形も書いてあるかと期待していたからである。ところが多項式展開だけであった。もちろん因数分解した形もn=4くらいまでは書いてある。それでもn=7までではあるが、数式処理で求めた結果が出ていた。

もちろん、理工系の方々なら誰でも持っていると思われる、岩波の「数学公式集II」にもn=7までは結果が因数分解した形で書いてある。

こういうテーマを扱うときにいつも疑問に思うのは大きな正の整数のべき乗の和の式を求めて提示してみたところでななにか人類に新しい知見を加えたかという点である。これは円周率パイ\piの値を何百万桁を計算してもそれ自身はほめられるという筋ものではないことと同様である(注)。

だが、問題が素人にも取り付けるくらいの適当な難しさのなのでそれに挑戦したいと思う人がときどき出てくる。

そしてそのことに私自身も振り回されることになる。だからどこかで決着をつけておきたいと考えるようになった。

数学的には数百年も前にベルヌーイが解を与えている。だがそれだけでは世間はすまないところが実は『数学・物理通信』というサーキュラーを編集している編集人として対面している現在の問題なのである。

それには数式処理システムでのプログラムとそれを実行したしたときの計算時間等も含めた考察が必要であろう。

そんなことを日夜考えている今日この頃である。

(注)世界的に新しいコンピュータが作動したときには円周率パイの数値についてそういう計算もされることが多い。世界的な記録保持者は文献に一時的にせよ記録が残るという名誉もある。

しかし、大抵の場合にはそれ以外の寄与が学問にあることが重要である。パイの数をいままで計算できなかった桁を計算できるためにはその目的だけではなく、他の研究成果も活用しなくてはならないだろう。そのためには算法の研究もされる必要がある。それはとりもなおさず研究の成果である。

その点については私はむしろ肯定的である。