物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

生誕百年のファインマン

2018-08-24 17:40:21 | 物理学
雑誌「数理科学」の9月号に江沢洋先生が「ファインマンの物理学」を書いている。それで知ったことを一つ。

ファインマンは若いころ原爆の開発に加わった。そしてそのことで苦しんでいたというのだ。

ファインマンと言えば、その物理学の特異さで有名だし、道化師のようなところもある。また、『ファインマン物理学』6冊(岩波書店)でも有名である。

この原子爆弾を開発したという、心の重荷は1945年から1947年に量子電磁気学研究をするようになるまで彼の研究を妨げていたという。

広島にもファインマンは訪れたことがあると聞いているが、そのときに平和記念博物館をファインマン夫妻が訪れたかどうかは大学での私の先生の一人である、故人のS先生からは聞いたことがない。

結構ナイーブな人だったのだとすれば、平和記念博物館を訪れることはできなかったかもしれない。

2番目の奥さんと結婚していた当時らしく、宮島の厳島神社を夫妻が訪問した時、ファインマンの奥さんが、釣り下げられた灯篭だったかの由来を話をしていたとか聞いたことがある。なかなかいい奥さんだったとはS先生の評価だったが、ファインマンの2度目の結婚はうまくいかなくて、数年で離婚してしまった。


山崎正勝さんの「マンハッタン計画と科学者たち」という記事も読んで考えさせられた。ドイツが原爆を開発する可能性がないと知ってマンハッタン計画から離れた科学者はロートブラットただ一人だったが、それはイギリス人の科学者でロートブラットの先生であった、チャドウイックからそのことを聞いたただ一人の科学者であったという。

他の大多数の科学者には秘密にされていて、知らされなかったという。



体系的な書物を著した人たち5

2018-08-24 15:49:51 | 物理学

和田純夫『物理のききどころ』全6巻(岩波書店)はそういう体系的な書物の一つであろう。私も『量子力学のききどころ』をのぞく5つの巻は購入してもっている。

調べてはいないのだが、和田さんはほかの出版社からもそういう体系的な本を書いているから、そういう
体系的なことに関心をもつ人なのであろう。

数式が読みやすくていいのだが、見開きの2ページで説明をするのはなかなかつらいところもある。

力学、電磁気学、量子力学、熱・統計力学、振動・波動、相対論的物理学の6つの巻である。
 


先制予防原則なんて用語は

2018-08-24 13:29:57 | 日記
最近知ったばかりの語だが、それでも知った後では朝日新聞の数日前に読んだ社説で使われているのをみた。知る前にはその語をみても理解はできなかったであろう。

確かに、新聞記者は新しい概念を知っておくことが必要であろう。もっともそれほど新しい概念なのかどうかは疑問である。むしろ適切な用語が考えられなかっただけである。

武谷三男が農薬の人間への悪影響ないとはっきりしないうちは使うべきではないといい、悪影響が証明されていないからと言って、それは無害であるかのような言説は人体実験であるとまで強い言葉で言い切った。

彼がはじめてこういう状況に接したのは核実験の放射線被害のことであったが、人類が全滅した後になって放射線の被害が証明されるというのは科学の無力を示すものに他ならないと述べた。

独占資本は利益があがるとなれば、まさに人類が全滅の危機に瀕していても利益上げようとするものである。もっとも害がはっきりとしている場合にはさすがに利潤を優先はしないだろうが、害がはっきりしないならば、自分の利益を上げることを優先する。