射影幾何学を学ぶと「双対性」という概念を学ぶ。射影幾何学での双対性が分らないと感じたことはなかったが、ベクトル解析とか電磁気学で双対性が出てくると訳が分からなくなる。
結晶学で直接格子に対して、逆格子を考えるが、これが双対空間のいい例であることは知っている。ところがこのことは知っているのだが、結晶学というのはあまり詳しく学んだことがない。
これは大学時代にX線結晶学の講義があったのだが、1,2時間ほどその講義に出席してこれはいらないというか、わからないということで聴講を止めにしてしまったからである。
なんでも英語のテクストの青焼きコピーをその科目の講義資料として配布されたと思う。家のどこかにそのコピーがいまでも潜んでいるであろう。
話題から外れた。双対性について関心をもっている人たちを挙げておこう。
『数理と現象』(岩波書店)という本を書いた高橋秀俊先生、『マクスウエル方程式』(サイエンス社)を書いた北野正雄さん、それに最近知ったのは谷村省吾さんである。
谷村さんには『理工系のためのトポロジー・圏論・微分幾何学』(サイエンス社)があり、この本の副題には「双対性の視点から」とある。
この本の23-27ページに双対性についての説明がある。これでわかってしまったという人は秀才であろう。私などは谷村さんの努力の跡はわかるが、もう一つまだしっくりしないところがある。
谷村さんは双対性について深い理解をしている人として、物理学者の小嶋泉氏を挙げておられる。小嶋さんは「九後・小嶋の理論」で有名な方である。九後・小嶋の理論はそれまでゲージ理論の量子化は経路積分の方法でしか取り扱えないと思っていたのを普通の場の量子論で扱えるということを示した理論である。
『マクスウエル方程式』(サイエンス社)に双対ベクトルとか双対空間について述べられている。しかし、ここが著者の北野さんも意識されているように、この本を理解する障害になっているのかもしれない。
かく申す私もここで沈没して先へと進めないからである。せっかくの北野さんの電磁気学のこの優れた本を生かすことができていない。
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