先日ある本を探していることをこのブログで書いた。それはブロダ著「ボルツマン」(みすず書房)だった。
昨日、何回も見た私の書棚を見たら、そこにこの書があるではないか。それも一度となく見たはずだのに、どうも見つけられなかった本だった。何を私は見ていたのだろう。
それでその本をとりだしてきて、コタツの上においてある。もっとも前にこの書を購入したときにもちらっと見たことがあるが、私には難しすぎたと見えてどうもあまりそれを読む気がしなかった。
この本を購入したときからかなり年数が経ったので、少しは自分自身に進歩が見られるかと思っていたのだが、どうも私自身には進歩が見られないようである。
それで標準的な熱力学と統計力学の書を書棚からとりだして読もうとしている。読もうとしているというのは実際に読むことができるかどうかわからないからである。
熱力学の本はどの本を見てもこれならわかるという書があまりないような気がしている。
一つは概念としての説明がわかりずらいということもあるだろうが、応用という点でも私のようにわかりが悪く、かつ記憶力がない者には何がなんだかわからなくなる。
その問題点の克服策としては私も小著「数学散歩」(国土社)とか「物理数学散歩」(国土社)のLegendre変換の項がいくらか役立つと思っているが、どうもその辺について透徹して書かれた熱力学の書にはまだ出会っていない。
だから、熱力学の本はまずは応用の観点から書かれるべきであるし、それからもう一度概念を徹底して説明した書が必要である。
もっともそういう書はすでに日本では出版されているのであろう。だが、そういう書にたまたま出会っていないというだけなのであろう。
日本の大部分の物理の研究者は理解力もあり、それも深い理解をできる方々ばかりであり、わたしのような物わかりの悪い人はほとんどいない。
大学の共通教育課程で定年前の数年間にわたって熱力学を教えたから、まったく初心者とはいないであろうが、それでもすっきりしたとはいえない。
もっともその講義の参考に朝永振一郎「物理学とはなんだろうか」下(岩波新書)を見たら、ある箇所の説明がぴったりときたことがあった。もっともそれが何のことであったかよくは覚えていない。