『英語独習法』(岩波新書)の教えは4月10日に朝日新聞の書評によれば、日英に限らず、どの言語にも母語と非母語との間には氷山のような「土台構造」スキームのちがいがあり、それらを学ばねば外国語は身につかないと説く。
英語の場合にも母語とする人々がふだん意識せずに共有する概念、前提、文脈、関連語といった巨大な「氷山」が隠れている、という壮大な指摘がされているという。
こういうことをいう人は少数ではあるが、昔からいる。万足卓『ドイツ語への招待』(大学書林)はドイツ語の文法は嫌だが、ドイツ語はすばらしいという本であり、ドイツ語の内法を学んでも外法を学ばなくてはドイツ語は身につかないという主張であった。
内法は文法とか単語だが、外法はドイツ人たちのドイツ語を話す人たちの中に脈々と流れているものだという指摘であった。
それはドイツ語の中にしかないというのが、上に紹介した本の趣旨であった。「ドイツ文を暗唱できるくらいに数か月かけて覚えよ」というのがその趣旨であったが、それを実行することなく残念ながら無為の年月を重ねてきた。
それでもカタコトのドイツ語くらいは話すことができるようになっている。まあ数十年の年月を経ているのだけれども。
だから、NHKのEテレのドイツ語講座は「旅するドイツ語」とはいうが、旅するくらいなら面倒なことは私にはあまりない。一人旅をすることだって十分できると思う。