私は本来物理屋であり、数学者ではない。だが、退職後はかなり長い間数学めいていて、まったく知らない人だと数学関係の人だと思っている節もある。
数学者にしたら、あんなやつに数学について触れてもらいたくはないと思っているだろう。ただ彼らはたいてい紳士であるので、あからさまにはそんなことをいうことはない。
そういう事情であるのだが、物理の講義をするのが仕事であったので、その講義の準備のためにかなり講義ノートが残っている。
もっとも友人が外国に行って不在になった1,2年を除いて、あまり力学とか電磁気学の講義はしたことはない。ただ、振動と波動の講義とか熱力学の講義は退職になる前の数年は教えたことがある。
それと退職後に松山大学という私立大学の薬学部で一般物理を教えさせてもらった。もっともここも68歳が定年であり、非常勤講師でもこの年までであった。
定年後の1年は元の大学で量子力学を教えたし、理学部の非常勤講師も務めた。これは数年前に定年になった先生の後が一年補充ができないという後遺症のためにその一部を引き受けたためである。