「一般から特殊へ」というのは数学教育協議会を永年わたって先導してきた遠山啓の提唱した水道方式の主張である。
ところが私などがフランス語やドイツ語を学ぶときに日常よく使われる動詞は不規則動詞が多い、もちろんどの言語にも規則変化する動詞もあるが、日常よく使われるいわゆる英語のbe動詞にあたるものやhave動詞にあたるもの、行くgoにあたる動詞は大抵どの言語でも不規則動詞である。
だから言語の習得は「特殊から一般へ」のようでもある。もともと水道方式の提唱以前では「特殊から一般へ」という教え方が普通であった。
そこに「一般から特殊へ」という教え方を基本にするという水道方式の独自性があった。
ドイツ語のbe動詞にあたるものは動詞seinであるが、現在形での人称変化は
ich bin, du bist, (er, sie, es) ist
wir sind, ihr seid, sie sind
と不規則変化である。seinという原形からは想像もできない変化をする。
一般的な規則と例外規則とをどのように教えるのか、言語教育はどうしたらよいのか。一度私も再考して見たい問題である。