ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

55日間延長で任期満了総選挙は「8月11日公示23日投開票」

2009年06月01日 23時59分19秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

(だいたい大丈夫だと思いますが、細かい数字などは未定稿にさせてください)

 政府・与党は第171通常国会を7月28日(火)まで55日間延長することにしました。あす(2日)の本会議で決めますが、政府・与党の専権事項ですからこのまま決まります。

 これにより「任期満了総選挙」は8月11日公示-8月23日投開票という日程のみになりました(投票日が日曜日の場合に限る)。

 ただし、7月29日(水)~8月10日(月)の間に第172臨時会(臨時国会)を召集(内閣の助言と承認による天皇陛下の国事行為)されれば、この日程はなくなります。

 なぜ「任期満了総選挙」は8月11日公示・8月23日投開票しかあり得ないのかということです。

 民主党などが作成した内部資料によると、「任期満了による総選挙であって、満了日53日以内に国会が開会されている場合には、国会閉会日から24日以後かつ30日以内の間に行う。この場合の24日間および30日間は、国会閉会の翌日から起算する」となっています。そして、国会法第12条は「通常国会の会期の延長は1回まで」としていますので、「8月11日公示・8月23日投開票」しかありえません。
何のことだか分かりませんが、とにかくそういうことになっているそうです。
 とはいえ、三木内閣のときの唯一の任期満了総選挙で自民党は負けていますから、麻生首相は総理の大権である解散を確実にうってくるでしょう。

 この場合は、サミット、都議選を終えた会期末の7月28日解散・8月18日公示・8月30日開票の可能性が高いのかなあ、と思います。ただ、7月の国会で、補正関連法案、海賊法案、公文書管理法案などの重要議案の審議が終わってしまえば、手持ちぶさたになり国民からの解散圧力が高まります。

 内閣が独占する憲法7条をフルに活用するなら、7月28日で通常国会を閉じ、8月中ないしは9月10日に第172臨時国会を召集し、すぐに解散する。これは現在は野党である民主党がどんなに抵抗しても、政権党の自由ですから、民主党を振り回した上で、解散し、遅ければ10月6日公示・10月18日投開票まで持って行けます。

 解散について考える場合は、手前の日程を言って引き締めるのが定石ですが、どこの総支部も「早く解散してほしい」というのが本音だと思います。

 とはいえ、マッダレーナ・サミット(7月8日~7月10日)、都議選(7月12日投開票)の前の解散はまずないのでは。

 租税特別措置法改正案(贈与税減税法案)は参院に送りましたが、政策投資銀行法改正案など補正関連4法案など補正関連法案が衆院で審議中です。きょう(6月1日)の時点で衆院を通過していないのに、延長幅が「7月28日」ということは60日規定の3分の2再可決を自民党はすでにあきらめたことになります。自民党は補正関連法案も1本成立を諦めています。予断は禁物。

 ハッキリしたことは言えませんが、都議選前の解散はないでしょう。都議選投票直前の解散はなきにしもあらず。

 6月、7月は議員会館はだらけた雰囲気になっていても、現地事務所は臨戦態勢の可能性もあるから、記者陣は議員会館の雰囲気から当落予想などしてはいけません。メガネが曇ります。

 岡田幹事長がきのう、「都議選とのダブルもある」と言ったのは、この空白期間での総支部のゆるみを懸念したのだと思います。あと1ヶ月間はしっかり最終メンテナンスです。暑い選挙だから、宣車が火を噴くかもしれませんよ。最終確認です。

国会7月28日まで延長=会期末に解散、「8月30日」投票の見方-政府・与党(時事通信) - goo ニュース

 政府・与党は1日、会期末を3日に迎える今国会を7月28日まで55日間延長する方針を決めた。麻生太郎首相が太田昭宏公明党代表との党首会談で伝え、同氏も同意した。延長幅が固まったのを受け、首相は衆院選の日程について最終的な検討に入った。与党内では、首相は会期末に解散し「8月18日公示、30日投開票」との見方が出ている。


 首相は党首会談で、2009年度補正予算関連法案や、海賊対処法案、国民年金法改正案、公務員制度改革関連法案などの重要法案を「成立させたい」として、会期を55日間延長する考えを示し、太田氏は「了とする」と受け入れた。


 与党はいったん、衆院で審議中の補正関連法案や重要法案を憲法の「60日ルール」を適用してでも確実に成立させるため、8月上旬以降まで延長する方針を確認した。しかし、首相は、民主党が審議引き延ばしを再三否定していることを考慮。解散先送りの印象を薄めることも狙い、延長幅を短縮したとみられる。


 衆院議員の任期は9月10日まで。首相が今国会で解散に踏み切れず、任期満了選挙となる場合は、公選法の規定で「8月11日公示、23日投開票」となるが、与党内では「お盆の時期の選挙は難しい」(幹部)との見方が支配的。首相自身も、追い込まれた形となる任期満了選挙は想定しておらず、自ら解散に打って出る構えだ。首相は1日夜、首相官邸で記者団に「解散に関してはいろんな要素を勘案して決める」と述べた。

 ◇

 個人的なことで恐縮なんですが、代表選のあと、月曜日に両陣営にあいさつに行ってから2週間、ずっと自宅から出ていません。1日16時間ぐらい眠っています。代表選の悔しさからです。おこさまなんです、私。きょうも出られませんでしたが、4日(木曜日)には主権者の会がありますので、あす(2日)から散歩しようと思います。

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公文書管理法案の審議に影響か?核兵器持ち込み密約を外務事務次官が情報を独占していた 共同報道

2009年06月01日 06時35分53秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

[写真]米国立公文書館のホームページにある"Democracy Starts Here."

 共同通信が大きなスクープを配信していたんですね。朝、ラジオで聞いて驚きました。先日退役した米空母「キティホーク」が外洋で活動した後、事実上の母港である米海軍横須賀基地に帰る際に、核兵器をいちいち外していないと言われていました。たぶんライシャワーさんだと思いますが、駐日米大使が認めていたと思います。私はこれは日米安全保障条約の「なし崩し」だと思っていましたが、1960年の岸内閣の安保条約の改定の際の「密約」だったそうです。

 歴代4人の外務事務次官が認めたそうです。この密約の存在を知らされていたのは、橋本龍太郎さん、小渕恵三さんら一部の首相・外相に限られていたそうです。橋本さんということは歴代4人の事務次官のうち、1人は国連海洋法裁判所裁判官の柳井俊二さんだと思います。

 そうすると、1997年時点の橋本龍太郎さんは知っていたのでしょう。1998年の2月14日のバレンタインデーに記者団からのチョコレートのお返しに、旧首相官邸(いまの首相公邸)の総理執務室に入れてもらったことがあります。これは歴代の総理番としても貴重な体験だそうです。岐阜5区総支部長の阿知波吉信さんも研修で総理番をやっていて、このとき総理執務室に入っていると思います。記者団との貸し借りをすぐにチャラにする橋本さんらしい合理主義です。この時、執務机の隣の棚に佐藤栄作元首相の写真プレートがあり、田中角栄さんの写真がなかったことを不思議に思いました。佐藤栄作さんは1970年の日米安保更新のときの首相で、米国から沖縄返還に成功したことで、ノーベル平和賞を受賞しました。

 1997年11月の沖縄返還25周年記念式典には政府チャーター機で首相に同行しましたが、橋本首相によると、たしか42回目ぐらいの沖縄訪問だと聞いて、驚きました。小渕さんもそうですが、1990年代後半は自民党平成研に沖縄に関心の高い政治家が多いようでした。

 さて、衆院内閣委員会では閣法「公文書管理法案」が審議中です。外務事務次官が外務大臣や首相に上げる情報とその対象を選別していたというのは問題だと思います。私は「なし崩し」だと思っていたのが、「約束が存在することを隠していた=密約」だったわけです。

 米公文書館のホームページには"Democracy Starts Here."=「デモクラシーはここから始まる」と書いてあります。

 情報とはすなわち権力です。正直、私も持っている情報を出し惜しみすることで、当ブログへの関心を呼ぼうとしています。それがどう不信感を招こうがかまいません。それが情報の世界というものです。これほどの情報を官僚が独占していたら、首相・外相→外務事務次官の主従関係が逆転すると思います。

 衆院内閣委員会での参考人質疑が必要です。

核持ち込み密約、外務次官ら管理 首相、外相の一部に伝達(共同通信) - goo ニュース

 60年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約は、外務事務次官ら外務省の中枢官僚が引き継いで管理し、官僚側の判断で橋本龍太郎氏、小渕恵三氏ら一部の首相、外相だけに伝えていたことが31日分かった。4人の次官経験者が共同通信に明らかにした。政府の長年の説明を覆す事実で、真相の説明が迫られそうだ。

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