ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「天の声」4事業はすべて入党前の談合 民主党とは全く無関係のあくまでも小沢事務所の問題

2009年06月19日 19時15分42秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
 19日の西松事件の冒頭陳述で小沢一郎・衆院議員の事務所が「天の声」を出していたと東京地検が指摘した公共工事4件はすべて、小沢さんの民主党入党前の案件であったことが分かりました。

 検察官は1996年、1998年、2002年、2003年の4つの工事で「天の声」があり、西松が受注に成功。2006年の工事では「天の声」があったものの、談合決別宣言後なので、西松が受注に失敗したと指摘しました。

 このうち、2003年の簗川ダム建設主要地方道盛岡大迫東和線トンネル築造工事の日付を調べたところ、8月19日に岩手県庁が“一般競争入札”を実施し、西松建設・小原建設・宮城建設の共同企業体ジョイントベンチャー(JV)が受注していたことが分かりました。
 (2003年8月20日付「日刊建設工業新聞」、「建設通信新聞」の記事)。

 小沢さんが民主党に入党したのは9月26日ですから、民主党入党前のできごとです。民主党に入ってからは、少なくとも西松関係では、「天の声」での受注はなかったことになります。よって東京地検の指摘が事実だとすれば、民主党とはまったく関係ない、小沢議員個人および大久保秘書の個別案件だということになります。

 岡田克也幹事長は19日の記者会見で「基本的に党としてのコメントはない」「党としてコメントすべきかどうか疑問だ」としました。ただし、政治の父と仰ぐ小沢さんに関係した裁判だけに関心が高いようで、「検察側は様々な主張をしている」「根拠がなく釈然としない気持ちはある」と心情を吐露しました。

 記者の質問に答え、「衆院選に与える影響はないとは言えない」と述べ、第三者委員会(飯尾潤委員長)から指摘された党の危機管理体制の構築につとめていく姿勢を明白にしました。

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西松事件初公判で、天の声明かされる 問われる民主党の危機管理
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延長国会がヤマ場を越える 今後の話題作りが大事

2009年06月19日 17時17分18秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
 延長国会の会期末(7月28日)まであと5週間と2日間となりましたがきょうで一つのヤマ場を越えました。

 きょう(6月19日)は午前10時から参院本会議、午後1時から衆院本会議が開かれました。重要法案だった、海賊対処法案、租税特別措置法改正案(贈与税減税の補正予算関連)、国民年金法改正案の3議案をいずれも参院本会議で否決しました。衆参不一致のため、衆院に再送付され、民主党は3議案に平岡秀夫(山口2区)、和田隆志(広島7区)、長妻昭(東京7区)という3人の実力派を反対討論の弁士に立てましたが、あえなく3分の2で再可決されてしまいました。

 延長国会は、これから内閣が提出する「船舶検査に関する新法案」が衆参で、「臓器移植法案」が参院で審議されます。このほか、民主党が議員立法として出している政治資金規正法改正案、地球温暖化対策基本法案などたくさんありますから、ドンドン審議入りしてほしいものですが、なかなか難しい面もあります。衆院総務委員会では郵政問題に関する一般質疑が今後も設定されそうです。

 ただ、全体的には議案不足で何をやっていいのか分からない状況になりました。もちろん速やかに解散を求めるわけですが、責任ある政権準備党である民主党は7月28日までのグランドデザインを示した上で、延長国会をしっかりきっちりみっちり仕上げることが求められます。

 話題作りが必要です。

 実は今国会でも話題を呼んだ政策分野で中堅実力派3議員がチームを組み、政策秘書も含めて丹念で包括的な調査が進んでいます。これは「スキャンダル」系の話題に発展する可能性もあります。現在の調査作業は若干攻めあぐねているようですが、単発で面白い話題が出てくると思います。

 民主党は話題作りが下手です。選挙に強い衆院議員および参院議員は、知り合いの記者をつかまえて、「暇ネタ作りで協力するから何がいい?」と話し合ったらいいと思います。

 それと、やはり解散先送りで、現職議員も含めて全体的にイライラ感が高まっています。政治家は心も体も強くなければいけませんが、本当に強い人間とは自分の弱さを認めることができる人です。これはキリスト教文化圏の政治家では当然のことで、外遊時にローマ法王に深くひざまずき、その映像を国内に流すことで支持率が上がる大統領もいます。「大統領にはローマ法王が付いているんだ」という安心感が国民の大統領への支持につながるようです。

 大半の総支部長の周りには年長者のスタッフ、コアメンバーがいます。心の苦しさを国民と共有できる、少なくともコアメンバーと共有できる総支部長こそ、本当に強い人だと私は考えます。
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西松事件初公判で、天の声明かされる 問われる民主党の危機管理

2009年06月19日 11時38分43秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 きょうは、西松建設元社長の初公判の傍聴に出かけたのですが、天候のせいだか、世の中の暗さのせいだか、何だかぼーっとしていて、傍聴券の抽選時刻が「9時20分」と手帳に書いてあったのに、「9時50分」と朝から勘違い。9時23分に東京地裁に着いたら、整理券の配布が終わり、模造紙に書かれた当選番号を一喜一憂する傍聴希望者をなんとも複雑な気持ちで見ました。ずいぶんスーツ姿が多かったです、ゼネコン関係者でしょうか?

 私がきょうの初公判に注目していたのは、冒頭陳述で隠し球が出てくることです。これは西山記者事件のときに、佐藤道夫検事(前民主党参院議員)がやった方法です。このときは、西山記者(男性)と外務省事務官(女性)の不適切な関係を明かし、世論を大逆転させました。この佐藤さんの方式を特捜はとると予想していました。佐藤さんはご健在なのですから、民主党の現職議員も先輩を呼んで、勉強会や食事会をやればいいと思うのです。危機意識の無さ、想像力の不足、先輩を大事にしない、企画力の無さといった点で私は民主党に物足りなさを感じています。

 「あまり深く関わるなという天の差配だな」と思い、帰宅し、衆院総務委の川内・松野・原口質問を聞いておりました。なお、日本郵政公社時代の不動産売却の責任者は誰になるのか?という松野頼久さんの質問に日本郵政が答えられず、一部の質問時間が後日に持ち越されました。衆院総務委には法案が残っておらず、7月28日までに郵政問題で議論をするためには、様々な理由で委員会を設定しなければいけません。原口一博・筆頭理事(ネクスト総務相)の手腕が問われますが、きょうはまずは成功したと言えるでしょう。いずれにしろ、今国会中に、ふたたび、郵政に関する一般質疑が開かれることが確実になりました。解散しない限りは。

 さて、やはり検察側は小沢事務所が、岩手、秋田両県の公共工事で、東北地方の談合組織に“天の声”を出していた、との隠し球を出してきました。時事通信のメール速報、フジなどが伝えています。私は具体的な事業名などは知りませんが、小沢事務所が“天の声”を出していたことは、遙か昔から知っていました。それでも3月3日の強制捜査は総選挙を間近に控えた国策捜査だと断じ、必死に小沢さんを守りました。ところが、小沢さんが説明をしようという姿勢を示さないことから、「小沢と心中できないのが本音だ」として、説明責任と言うよりも、その努力をすべきだと主張。しかし、小沢さんは代表辞任を選びました。

 それにもかかわらず「小沢信者」からの猛攻撃を浴びたことは大変残念であり、私としても、思うところは多々あります。天の声は公訴時効が成立していると思いますが、冒頭陳述で述べるのは自由だし、世間というのは時効で納得してくれません。裁判は社会の対象ですが、選挙は世間の対象です。また、大久保秘書がダミー団体が実質は西松建設であることを知っていたとする供述調書があるそうで、これは大久保秘書は署名しているはずです。どう考えても、小沢代表では第45回総選挙を戦うことはできなかったのは明白です。

 西松事件のTV報道で恐怖心を持ち、初めて政治に興味を持ったという方も多いようです。小沢信者もいいですが、民主党支持者とか、政権交代応援団、二大政党論者はどんどん増えてほしいと思います。小沢さんは政治家ですから支持の対象であって、信仰の対象ではありません。英雄待望論というのは、昔からありますが、デモクラシーには馴染まない。小泉ブームの二の舞になります。

【追記 2009-6-19 13:00】
 掲示板を見ていたのですが、「天の声」という言葉が一般的でないようです。公共工事の談合で、チャンピオン(落札本命企業)を決定することを天の声と言います。ともに隠語です。談合決別宣言後は使われていない言葉だと思います【追記終わり】

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「天の声」4事業はすべて民主党入党前 あくまでも個人の問題

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