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宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

【臓器移植法案】拝啓・河村たかし様、党議拘束がないのも良し悪しです

2009年06月18日 21時03分23秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 拝啓 河村たかし様、名古屋の梅雨、いかがお過ごしでしょうか。

 きょうは党議拘束のない衆議院本会議が開かれました。河村さんは衆院議員時代「党議拘束の廃止」を長年主張してこられましたので、ご報告します。

 臓器移植法の改正案について、議員立法であるA案と、その修正案であるB案、C案、D案(提出順)が採決されました。

 議場内に入っても、ギリギリまで議員に働きかける提出者の姿があり、議院運営委員が「着席してくださ~い!」と注意し、午後1時3分に開会しました。

 騒然とした雰囲気の中、記名投票採決(堂々めぐり)が始まりました。

 一般傍聴席にはおよそ200人、記者席もいつもの2~3倍、参院議員傍聴席には、国民新党の医師、自民党の医師が詰めかけていました。

 いつもそうですが、席順(人数の少ない会派順)で衆院参事が点呼しますので、無所属→国民新党→社民党→公明党→民主党→自民党の順で投票しました。日本共産党は「審議時間が短い」という理由で退席しました。

 人の死生観にかかわるということで、各党が党議拘束を外しました。ですから、どの議員が白票(賛成票)と青票(反対票)を壇上で参事に渡すかに、議場内の注目が集まりました。そういう意味では面白かった。党議拘束のない採決はときどきやってほしいと思いました。

 A案の採決では、公明党で冬柴元幹事長ら白票を入れる人が多かった中、太田代表が青票を入れ、議場がどよめきました。公明党は一枚岩という印象が強いだけに新鮮さを感じました。

 民主党の若手から中堅にかけては白票と青票が入り交じりましたが、青票の方が多かったように見受けられました。幹部になると、岡田さん、菅さん、恒三さん、小沢さん、羽田さんらが次々と白票を入れ続けた中、鳩山代表は青票を入れました。

 自民党になってからは、白票が多くなってきました。法案提出者の中山太郎さんが白票を入れると沸きました。また、おととし脳梗塞を患った議員がゆっくりとした足取りで白票を投じると、大拍手が起きましたが、これには「?」……。

 これに先立ち麻生首相が青票を入れると、どよめきが起きました。麻生さんはクリスチャンで、鳩山さんは幼少時からキリスト教に関する教育を受けています。

 15分ほどで堂々巡りが終わり、集計。

 駒崎事務総長が「投票総数430 “可”とする者白票263 “否”とする者青票167」と読み上げ、河野議長がA案可決を宣言しました。かなり大差でした。

 議場内は大いに沸いて、自民党参院議員は議場に向かって「ありがとう~~」と叫び、記者席のカメラマンは議場を撮りながら、後ろを向いて一般傍聴席の中央に陣取った人、臓器移植の関係者でしょうが、一斉にフラッシュをたきました。

 河野議長はB案、C案、D案を採決しないことを宣言しました。このような投票方式は極めて異例でしたが、議院運営委員会で各党が合意済みでした。

 このあと、経済産業委員長らが別の法案の報告に立ちましたが、騒然とした雰囲気が続きました。

 本会議は事前に「所要時間」というものを衆院事務局が発表するのですが、きょうは「40分~100分間」という時間幅が長いものでした。D案まで採決した場合を仮定して見積もったのでしょう。

 とはいえ、やはり人の命に関する法案だし、異例ずくめということで、最短時間で終わったにもかかわらず、どっと疲れました。

 通常国会中は週2~3回本会議が開かれますが、毎回党議拘束がなかったら、相当大変です。開票までハラハラするし、議員宿舎に居たら前の晩に散々確認が来て寝ていられないでしょう。党議拘束も良し悪しだと思います。

 それと、このように本会議場での“決勝”が主になると、委員会の存在が意味不明になってきます。デモクラシーというのはルール作りが永遠の課題です。

 こんなことを感じましたので、河村市長にご報告したいと思います。    敬具

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風間直樹さん「インド洋へのイージス艦派遣は国会に未報告」

2009年06月18日 19時15分40秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
(10時14分ごろに投稿したエントリーにあやふやな部分があったので、いったん閉鎖していました。書き直して再度公開します。)

 第171通常国会では、参院外交防衛委員会はほとんどウォッチしていなかったのですが、6月18日午前9時57分の民主党・風間直樹さん(全国比例)が驚くべき事実を明かしました。

 旧テロ特措法(給油支援法)に基づく、インド洋アラビア海沿岸へのOEF-MIOへの海上自衛隊から米軍への後方支援活動。海自はイージス艦を派遣していたそうで、私はこのことを知らなかったのですが、調べたら、これは共同通信などが報じています。当時の海上幕僚長は、「(ほかの艦艇との)ローテーションで決まった」などと部隊運用上の都合だと記者会見で説明したようです。

 で、このイージス艦派遣の理由について、国会への報告(大臣の答弁)と食い違う証言を法案作成に携わった大江博・外務省条約課長(当時)が自著でしていたそうです(『外交と国益-包括的安全保障とは何か』、日本放送出版協会、2007年、248~249頁)。

 ここには、「これまで米側からの希望表明が何度かありながら」実現しなかったイージス艦の派遣を「2002年末、ついに政府は」「踏みきったのである」と書いてあります。事実とすれば、海上幕僚長の「ローテーション」という護衛艦のやりくりとは違って、米軍の要請に基づく、イージス・システムのアフガニスタンないしはイラク沿岸への展開であったのではないかという疑惑が浮上しました。

 これについて、外相と防衛相は、米軍からの要請を否定しました。残念ながら、現段階で民主党が国会でできることはここまででしょう。民主党がインド洋まで飛んでいって調査するのは難しい。風間さんは「政府には真に持っている情報、データを国会に出してほしい。それに基づき真摯な議論を行いたい」と要請しました。与野党を超えて共有したい考え方です。

 イージス・システムは輸入品でなく、日米韓の共同開発によるものです。海上幕僚長も胸を張って、イージス・システムの有用性を発表してもいいのではないでしょうか。そういった風土をつくることこそ、シビリアン・コントロール。斎藤隆夫・衆院議員の粛軍演説は、昭和戦争を止められなかったとはいえ、国会史に残る名演説です。風間さんの前に立った議員は太平洋戦争について「分かっているのかなあ~?」とクビをかしげざるをえない発言をしました。

 どうも、歴史の話をすると、世間にはあまり好かれないようです。ただ、きょう6月18日というのは、16年前、1993年、「宮澤嘘つき解散」があった日です。親分が誰だろうとかまいません。きょうは、羽田さん、小沢さん、鳩山さん、岡田さん、恒三さん、藤井さん、簗瀬さん、ピンさん、古賀さん、田名部(父)さん、前田さん、北澤さんが自民党を飛び出した日です。“政権交代できずに16年恥ずかしや~”という感じですね。宮澤嘘つき解散の歴史くらいはせめて、wikipediaでいいからカンタンにおさえておいて、第45回衆院選を迎えていただきたく所望するのです。
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