[写真]カメラ目線で、直接国民に訴えた玉木雄一郎さん、2012年3月1日、衆院予算委員会、NHKテレビから撮影。
さあいよいよ、2012年3月1日、満を持して玉木雄一郎さんがテレビデビューしました。
きょうは3党合意にもとづく政策効果の検証ということで集中審議がありました。これで集中審議は4回、一般的質疑は4巡ですが、衆院通過は早くても8日(木)以降となりそうです。政権交代後、いろいろと興味深い現象があります。自民党衆院議員は96%が与党経験者。そのため、「予算が間に合わない」という体内時計が働くようで、きょうも第44回郵政選挙の小泉チルドレン84人で生き残った10人の一人、赤澤亮正さんが、農業者戸別所得補償の政策検証について、日時入りで財務省原案の査定に間に合わなかった経緯を説明しました。そのうえで、政策効果の検証をこれから本予算に反映させたいと発言。心強いのですが、党議決定ではないでしょう。本予算組み替えなのか、1次補正を早期に組むのかは分からないまま。体内時計がおさまらない気配の自民党議員は多く、与党・民主党議員を無責任だと批判しています。ただ、民主党側は体内時計がなじんでいない。
一方、いつもは穏やかな公明党幹事長代理の富田茂之さんが高校授業料無償化と特定扶養控除(高校生向け)縮小による定時制高校などの生徒の家計負担増について質問。たびたびの指摘ですから、ついには、都道府県の高校生修学支援基金の対応について、民主党理事の地元の道県で対応していないと資料で名指し。県議会の2月定例会には間に合わないから、6月定例会に向けて働きかけろと要求しました。実務者である池坊保子元文科副大臣は、いつも文科委で議論しているとして、文科大臣ではなく野田佳彦総理から答弁をもらいたいとしましたが、委員長はなかなか指名しませんでした。
しかし、今回の集中審議は、元々、小沢グループ(松宮勲議員)が衆院文科委筆頭理事を辞任したことによる混乱で政策効果検証ができなかったから、衆院予算委で設定され、池坊さんが出張してきたのではないでしょうか。やはり文科専門議員は、各党とも税額控除とセットで議論できる人材が少ないようです。ただ、誰の人生でも「15歳」とか「16歳」とかは一度だけですから、しっかりと対応して欲しいし、その責任を放棄した小沢グループの罪は深い。
きょうの田島一成さんは、筆頭理事のリリーフをさらにリリーフした現文科委筆頭理事ですが、高校無償化により、平成22年度の経済的理由による高校中退者は前年比減少し、高校再入学者は増えているという「検証」をしました。ただ、やや初めに結論ありきで、富田さんの指摘していることなどにはなかなか対応できないかもしれません。このため、自民党や公明党がイライラしています。
しかし、そもそも衆議院で3週間議論して、政府原案通り参院に送っていたことの方が間違いなんです。だから、ことしは暫定予算をしっかり組んで、議論をしたうえで3党による議員修正ということに挑戦してもらいたいと考えます。諸外国を見れば、暫定予算など当たり前です。地方議会でも、首長選前の骨格予算と6月定例会での肉付け補正予算はよくあります。自民党や公明党も体内時計をリフレッシュするチャンスです。
こういう状態で、農業者戸別所得補償の政策効果の検証には、1期生の玉木雄一郎さんが起用されて少し驚きました。
第45回総選挙初当選「政権交代チルドレン」140人のうち、リードしているのは玉木さんではないか、というのは同期議員、官僚、マスコミが巷間言っていました。玉木さんは昭和44年(1969年)生まれの42歳。香川県寒川町の出身で、東大法学部卒、ハーバード大学院修了、大阪国税局総務課長、財務省主計局課長補佐。第44回衆院選に出馬しましたが、香川2区で及ばず、浪人し、第45回衆院選で初当選しました。
今回の予算審議では1期生が続々テレビデビューしています。城島光力・国対委員長には野党から批判もありますが、今回の人選はよく見ているな。そろそろ選別ができてきました。震災後日本に明るい未来を引っ張ってこられる人材。民主党にはいます。
で、内容も良かったのですが、玉木さんの態度。これはカメラ目線を多用し、国民の目を見て、話しかけました。
真っ赤なネクタイといい、自信満々で、震災後のニッポンをぐいぐい引っ張っていける気がします。こういう態度は演技ではムリ。玉木さんより5歳ほど年上のオリンピック(1964年)世代では、民主党代表を狙える議員が5人以上いて、今はほとんど入閣しています。玉木さんもいずれ、ブレアのように野党・民主党を率いて、一気に総選挙勝利で、初入閣で総理就任というダイナミックな政治を見せて欲しいです。
玉木さんは、農業者戸別所得補償により、全体の9・8%しかない2・0ヘクタール以上の(大規模な)農家に、総予算の約6割が配分されていると指摘します。集落営農数の推移を見ても、平成23年度に急激な伸びている。これにより、規模の集約・拡大による日本農業の生産性向上のための「緩やかな集約化の機能がビルトインされている」と直接支払いの基礎的な理論に関する政策効果を強調しました。
そのうえで、玉木さんは「与野党による政策効果の検証ですので、あえて改善点を指摘します」。このとき、玉木さんは野党席を眺めながら、テレビカメラも見るという高等テクニック。少なくともアメリカの政治家では必須の技術です。そして、「選挙の際には、戸別所得補償制度と言ったが、私は「戸別」の名前を改めるべきだと考えている」としました。そして、法制化を含めて恒久化をすべきだ。それを3党協議やりましょう、と呼びかけます。
鹿野道彦農相は「名称の問題もありましたが、3党の協議の中で恒久化、法制化のご検討をいただきたい」と答弁。鹿野農相は「農業者戸別所得補償法案」について、「提出したいが、衆参ねじれなので、やむを得ず、予算書での措置にとどまっている」という趣旨の答弁を繰り返してきました。ですから、名称変更のうえ、3党で法案提出となります。
なお、この「名称」ですが、これは票「田」を得るために、2007年参院選に向けて、当時の小沢一郎代表が自分でつけた名前です。元々は「直接支払い」という言い方で党内で検討が進んでいました。とはいえ、選挙に勝たなければ導入できず、その第一段階は成功しました。自民党のシャドウ農林大臣(JA農協専務理事出身の全国比例参院議員)も制度自体に賛成しています。
玉木さんは、「農業予算を確保するためにも、一体改革が必要で、そのためには身を切る改革が必要。まずは自分自身がしっかりやっていく」と締めくくりました。このデビューが歴史的なものになるかどうか、玉木さん次第です。現在、玉木さんの対抗馬となる自民党香川2区支部長は決まっていない状態です。
午後質問に立った自民党の赤澤さん(51歳)は「さきほどの玉木委員、彼はプレゼンテーション能力があり、弁舌もさわやかで人柄も良い」と他党議員に対して異例の言及。「集落営農が増え、規模の拡大が進んでいるのは自民党農政からの流れだ」と反論して、このまま面積が拡大し続けるといつか天井が来る、という当たり前すぎる懸念を表明しました。そして、赤澤さんは「真の政策効果の検証が必要だ」とし、苦しい立場に追い込まれた「真の」というセリフを使っています。しかし、さすがにここから赤澤さんの粘り腰がみられ、「民主党政権は土地改良予算を削りすぎたので、主食用コメはいいが、小麦と大豆の自給率向上への寄与度が落ちている」と指摘しました。
鹿野農相は「戸別所得補償の予算を捻出するために、農水省予算のなかで、土地改良予算を削りすぎてしまった」と謝罪しました。なお、このときは鹿野農相ではなく、赤松良隆農相の時代で、土地改良予算の減額は当時の小沢一郎幹事長の判断だとされています。
自民党では同期の女性議員同士は仲が悪いのが当たり前なのに、民主党では同期の女性議員同士は仲が良いのが当たり前という文化の違いがあります。政権交代チルドレンは140人いながら、あまり張り合いません。ただ、以前から張り合っている雰囲気の議員がいました。大蔵省出身で税務署長をやった自分は他人と違う。だから政務三役入りすべきだ、と考えていたようです。
その議員は、2010年9月の民主党代表選では小沢一郎候補の推薦人になり、同期で真っ先に常任幹事会メンバー入りを果たしました。ところが、菅直人首相は、2010年7月に自民党で初当選した浜田和幸・参院議員を引き抜いて、総務政務官にしました。現在は外務政務官です。意外なかたちで後輩に政務三役入りされてしまいました。参議院の構成を考えると、この人事は意味があったのですが、いかにも政界らしい不条理。張り合っていた議員も、議員立法で活躍し、今国会でテレビデビューしました。質問はあまりせず、持論をとうとうと述べましたが、かなりあがってしまったようでした。
そのうえ、1965年生まれで、一体改革担当が外れて今国会で答弁がいきいきしている経財相の古川元久さんから「委員は私が入省したときの直属の上司です」と持ち上げられ(?)ました。さはさりながら、きょうの審議でも、「税額控除と給付のバランス」の政策効果の検証ができる実務者は少ないようだし、この議員も小沢グループから卒業したようです。ぜひ国益のために邁進してください。
きょうから弥生3月。内藤鳴雪の「掃き溜めの草も弥生の景色かな」のように、生命(いのち)力強く、ご入院中の陛下がご回復されているとの報道がありました。二大政党の党首が密会していた、という報道がきのうありました。おそらくそれに反応して、きょう都内で、小沢グループが地元を街宣車で遊説するシーンがありました。小沢グループらしい反応の早さです。
きのうの報道ですが、完全な誤報です。民主党首脳は今国会でしっかり3党協議体制をつくって、民自公で法律をドンドン作り、景気が回復したところで、解散するというシナリオを持っています。今夏は昨夏以上に節電が求められますので、選挙などしている場合ではありません。
いまさら、玉木さんや赤澤さんのように自分を磨いたり、富田さんのように情熱を捧げるテーマを見つけたり、池坊さんのような身のこなしを身につけるのは難しいかもしれません。ただ、これはもう国会の中でキッチリやらないと再選はない時代になりました。私はその確信を持っています。日本は大丈夫です。自民党は第44回衆院選で比例東京ブロックの単独28位で衆院議員に当選した若宮健嗣(わかみや・けんじ)さん50歳を公募で、東京5区支部長に決定しました。1月31日付。対抗馬は民主党現職の手塚仁雄さん。若宮さんは第45回衆院選は比例単独23位。繰り上げ当選まで間には13人(そのうち1人は参院転出済み、もう1人は逝去)。それでも、小選挙区でチャンスを得られた。「1回休んだ」という考え方もあるでしょう。いずれにしろ、次の総選挙の後は、二大政党現職は連続当選しやすい地合いになると予測できます。だから、つねに「自己最高記録」をめざしていく。そういう震災2年目イヤーの弥生3月がきょうスタートしました。私もきょうで38歳の誕生日となりました。「不惑の歳」を前に「大震災」を経験したことは、私の人生に限れば、幸運だったととらえています。これからも、国益、国民益のために、りんごの木を植えていきます。自信があれば、前に出よう!まっすぐに、ひたむきに。
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