副総理の岡田克也さんは2012年3月2日(金)の定例記者会見で、昨年8月9日の3党合意が「平成25年度当初予算(来年4月)以降も有効ではないか」との質問に対し、「私もそう思っています」と述べ、来年7・8月まで有効だとの見解(岡田見解)を示しました。岡田さんは3党合意を結んだ昨年8月9日は民主党幹事長で、同月末で菅直人代表(首相)とともに退任しています。
3党合意には「民主党、自由民主党及び公明党の三党は、以下の点について確認する」として、「高校無償化及び農業戸別所得補償の平成24年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」、「平成24年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する」という文面になっており、衆参で過半数を持つ民自公3党による政策効果の検証は現在の衆参の議会構成が続く来年7月ないし8月まで有効と考えられます。
前日3月1日の衆院予算委員会では3党合意の政策効果の検証に関する集中審議があり、自民党の赤澤亮正シャドウ農林副大臣は「予算の反映も含めて政策効果の検証です」と述べ、高校無償化と農業の所得補償などの政策効果の検証結果を予算に反映させるよう求めました。高校無償化の実務者協議にあたる自民党の馳浩・衆院文科委員会理事も同様の認識を示しています。子どものための手当についても公明党から予算関連法案(児童手当法改正案)の3党協議をせっつかれている状況です。
岡田副総理は「そこの文言通りですので、検証を行う。そして検証を行った結果として、必要なら見直しをする、ということですから。それは検証しないとだめですね」と述べました。検証すれば予算の見直しが必要となり、検証するならば、3党合意はたとえば、平成25年6月辺りに補正予算案を編成したとしても、有効である、という意味合いです。
自民党幹事長の石原伸晃さんや、公明党幹事長の井上義久さんも同じ認識かの質問に対して、岡田さんは「それぞれに聞いてもらわないと分かりません。文言ですから」として、3党合意はあくまでもペーパーに過ぎず、昨年8月の幹事長退任で、自分の手は離れているとの認識を明示しました。
ちなみに、今国会での参議院での議席数は民主党が104議席、自民党が86議席(参院統一会派の「たちあがれ日本」含む)、公明党が19議席で、過半数の121(平田健二議長除く)を大きく上回っています。
ところで、3党合意の結びですが、「以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。以上、確認する。」となっています。この「特例公債を発行可能とするための法案」が「平成23年度の特例公債法(平成23年法律106号)」だけを指すのか、あるいは「平成24年度の特例公債法案(第180閣法2号)」だとか、さらには「平成25年度の特例公債法案(もちろん未提出)」でも有効かどうかは、私うっかり聞きそびれてしまいましたので、いずれ機会があれば質問してみたいと思います。
検討中も含めて、100本以上の法案が積み上がっている第180通常国会。与野党とも、解散総選挙などしている場合ではありません。岡田見解に従って、ドンドン法律をつくらないと、定数削減幅以上に維新の会に食われます。
なお、岡田さんは、同じ記者会見で「私自身は2005年(9月11日の翌日)に代表を辞めたときから禁煙している」と語り、以前はたばこを吸っていたことを明らかにしました。私はこのことを知らなかったので驚きました。マジメで堅物な岡田さんも、昔はけっこうワルだったのかもしれません。
[3党合意(原文ママ)の全文引用はじめ]
確認書
民主党、自由民主党及び公明党の三党は、以下の点について確認する。
一、歳出の見直しについては、以下のとおりとする。
・ 高速道路無償化については平成24年度予算概算要求において計上しないこととする。
・ 高校無償化及び農業戸別所得補償の平成24年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。
なお、これらを含めた歳出の見直しについて、平成23年度における歳出の削減を前提に、平成23年度第3次補正予算ならびに平成24年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。
一、上記歳出の見直しと併せ、子ども手当等の見直しによる歳出の削減について、平成23年度補正予算において減額措置することを、特例公債を発行可能とするための法案の附則に明記する。
一、法人税減税等を含む平成二三年度税制改正法案(その内容を一部切り出して6月22日に成立した法律にあるものを除く)については、復興のための第3次補正予算の検討と併せ、各党間で引き続き協議する。
一、東日本大震災復興基本法第8条に規定する復興債の償還財源の具体的内容や償還ルールなど、あらかじめ決めることとされているその償還の道筋については、第3次補正予算の編成までに、各党で検討を進める。
一、平成23年度の第1次補正予算における財源措置として活用した年金臨時財源については、第3次補正予算の編成の際に、復興債で補てんすることとし、そのための財源確保策と併せて、各党で検討する。
一、以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。
以上、確認する。
平成23年8月9日
民主党幹事長 岡田克也
自由民主党幹事長 石原伸晃
公明党幹事長 井上義久
[3党合意(原文ママ)の全文引用おわり]
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