平成24年度予算(案)が参議院に回りました。昨年はテレビ入りで首相の隣りに座っていた大臣(前原誠司外相)のクビが基本的質疑1日目(とその後の土日)に飛んでしまうという一寸先は闇がありました。しかし、今回は自民党の世襲議員の筆頭理事が「倒閣に追い込む」という威勢の良い声がむなしく響いただけのようでした。私は地方議会を見たこともありますが、地方議会は二元代表制ですので、首長が「黙って聞きなさい!」と議員を叱り付けることもあります。地方議会には政策通のマジメな議員もいますが、既得権益を守るために選挙に出ているチンピラ議員もいます。そういうチンピラを市長が怒鳴りつけられるのは、二元代表制では、議会での発言で、首長ら特別職、一般職がその地位を追われることがないから。なので、地方議会の一問一答形式の委員会では丁々発止のやりとりが見られことがあります。参議院自民党が「総理のクビを取る」と叫べば叫ぶほど国会でのやりとりは低調になりますから、参議院自民党は自分で自分のクビを締めているという見方もできます。
さて、参議院のことはさておいて、2012年3月14日(水)、衆議院で一般法案が続々と審議入りしました。
衆院厚生労働委員会では「雇用保険の基本手当の給付月数の特例を延長する法案(第180国会閣法9号)」が審議入りし、質疑も行われました。いわゆる「※法案(こめじるし法案)」で、日切れ法案、予算関連法案とも呼ばれます。与党がムリヤリ「※」を付けてどさくさまぎれに年度内成立をめざすこともありました。しかし、政権交代の第45期衆議院、さらに衆参ねじれの第22期参議院では、今までとは反対のことが起きます。今通常国会では、2月9日(木)、自民党の加藤勝信さんの加藤指摘により、平成24年度予算の「(年金)交付国債」を発行する国民年金法改正案(第180閣法26号)を通じて、「消費税増税準備法案(未提出)」も「※」ではないかということになって、政府民主党は苦しい立場になっています。元々小宮山洋子厚労大臣は「与野党で修正して欲しい」とこれも政権交代・衆参ねじれ前なら考えられなかった答弁。中川正春国務大臣も「与野党で見直しがある」と記者会見で発言したうえ撤回し、安住淳財務大臣も見直しを示唆しています。これは国民年金法案を撤回して、赤字国債2・6兆円を予算に増額するしかないように思えます。最終的には他の政策効果の検証を反映して1次補正予算案を組んで、平成24年度の特例公債法案(180閣法2号)と消費増税準備法案をすべて成立させて会期末に解散するのが現実的だと考えます。
衆厚労委は、国民年金法改正案のほか、「子ども手当を継続する児童手当法改正案(180閣法10号)」、「国民健康保健を都道府県単位にする改正法案(180閣法19号)」の3つの「※法案」がまだ審議入りしていない状態で、とても年度内に参院で可決・成立まで持って行けるとは思えません。あまりにも、民主党国対の陣立ての悪さには問題があります。また内閣官房の資料では、閣法26号の説明に「年金交付国債」と入っていないなど、政治家、国会職員、官僚が総崩れになりつつある日本の現状が見て取れます。国会改革は、抜本改革ではなく、昨年の第177震災国会のように、その都度話し合いで進めていくべきだと考えます。国民監視を強めなければいけません。小沢グループや参議院自民党などに関心をとられてはいけません。
衆院沖縄・北方特別委員会(委員長は自民党の福井照さん)は「沖縄の米軍用地とその跡地への特別措置を10年間延長する法案(180閣法25号)」と「沖縄振興特別措置法改正法案(180閣法24号)」が審議入りしました。これも「※法案」です。沖縄の本土復帰から40周年だから、10年間延長になります。この軍用地主の関係を理解しないと、沖縄の基地問題は解決できません。
衆院財務金融委員会は14日、「関税定率法など改正法案(180閣法15号)」が審議入りしました。これは毎年出る「※法案」で、毎年各党の賛成で可決していますから、大丈夫でしょう。
衆院内閣委員会では14日、「不正アクセス行為禁止法の罰則を強化する改正案(180閣37号)が審議入りしました。ただ、これは「※」ではありません。各委員会では「※」が残っているのに、警察庁が書いた法案が審議入りするという現実。例えば、都道府県議会では、本会議では警視総監は答弁しない慣習になっています。一方他の県議会では、本会議では一般質問のたびに知事、教育庁に続いて警察本部長が答弁するところが多いと思います。そして、各都道府県警察本部提出の「暴力団排除条例案」などは47都道府県横並びに成立しています。そういう警察一家の法制定の巧さというものを感じます。
大臣の所信聴取と一般質疑は続投している大臣にも必要なのか。予算審議中の午前7時から午前9時とか、午後6時から午後9時に一般常任委員会を開く気概が与野党にあっていいのではないか。とにもかくにも、国会はこのままではいけないと感じることばかりです。衆院議員がとにかく歯を食いしばってやることで、少しずつ改革していくしかありません。
新進党を解党した小沢一郎被告は2012年3月9日(金)、禁錮3年の求刑を受けました。4月26日(木)に判決が下ります。論告では政治資金規正法違反について、「計画的犯行」、「規範意識の著しい鈍磨」、「反省の情なし」、「再犯の恐れあり」と指弾されました。私は14年前、新進党という自分の家が壊される自体にヘラヘラ笑いながら抵抗しなかったバカ政治家の名前を覚えています。ほとんど国会からいなくなりました。当時の国債残高は250兆円でした。新進党解党による二大政党政治導入の遅れにより、500兆円国債が増えました。またSII(日米構造障壁協議)の公共事業240兆円を勘案すれば、500兆円は小沢さんの責めに帰すことになります。500兆円とは、消費税10%を20年続けるだけのオカネです。私たちの経済が閉塞感に溢れているのは、既発国債の利払いだけで現行の消費税分が消えているからです。私はあのときヘラヘラしていた政治家を絶対に許しません。小沢一郎さんの息の根を止める。小沢グループを根絶やしにする。司法より早く、国民の手で小沢一郎さんを歴史法廷の断頭台に送りましょう。
見て見ぬふりをする有権者も同罪です。
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