【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

議員秘書給与法など4法律を皇太子殿下が“公布” 国事行為臨時代行として

2012年03月07日 20時43分56秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]皇太子殿下徳仁親王とご一家、宮内庁ホームページから。

 天皇陛下がご入院中の2012年2月29日(水)の参院本会議で、4つの法案が可決・成立しました。4つの法律は、同日付官報特別号外で、天皇陛下(明仁さま)の国事臨時代行として皇太子殿下(徳仁さま)が、「公布」なさいました。4つの法律の内、私として「国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律」が友達に一番関係するので、これをご紹介します。


 
[画像]2012年2月29日付官報特別号外6号から。

 私は国事行為臨時代行の法律のご公布というのはどういう書式になるのかなとタイヘン楽しみにしておったのですが、遅くなりましたが、2月29日付官報に載っていました。

 「御名御璽」とあり、次の行に一時明けで「国事行為臨時代行名」とあり、「平成24年2月29日」とあり、「内閣総理大臣 野田佳彦」の副署があります。この「御名」の部分には、「明仁」と書いてあるのか、「徳仁」と書いてあるのか、御璽とある部分にはどなたのハンコが押してあるのか興味深いところです。

 宮内庁のホームページによると、皇太子殿下のこの前日の午前中は東京・千代田区にある皇居の宮殿で国事行為臨時代行としてご執務をされていますが、2月29日午後は東京・港区の東宮御所で国事行為臨時代行としてご執務をなさったと記録されています。ですから、この法律の御名御璽は、お住まいの東宮御所でなさったということになります。 

 私は陛下の手術を前に「掃き溜めの草も弥生の景色かな」という内藤鳴雪の句が心に残り、このブログにもしたためました。陛下は弥生3月4日にご退院されました。その際、陛下のお御髪(みぐし)がボサボサでいらしたのが印象に残りました。それは陛下が力強く生きていらっしゃるあかしです。まさに「掃き溜めの草も弥生の景色かな」で春の雑草と同じような、陛下のお御髪に頼もしさを感じました。陛下は胸に溜まった水を抜く施術をきょう受けられましたが、それも力強く生きていらっしゃるあかしです。

 陛下は人間でいらっしゃいますから、天寿があります。しかし万世一系の天皇は千代に八千代に続きます。皇太子殿下徳仁さまはケンブリッジ大学で博士号、皇太子妃殿下雅子さまはハーバード大学で修士号をお持ちです。世界に通用するすばらしいPrince and Princessです。あまり知られていませんが日英同盟の経緯から、昭和天皇も今上天皇も英語はペラペラです。昭和天皇は太平洋戦争中も米軍のラジオで、戦況をご自身で把握されておられたとされています。戦後マッカーサー元帥とお会いになったときも、自ら先方に出向かれていますから、あいさつは英語で始めたとされています。陛下は、英国女王エリザベスⅡ世の戴冠式に船で出かけておられます。ちなみにトニー・ブレアさんが総選挙後の第1党党首としてバッキンガム宮殿に呼ばれた際、エリザベス女王から「あなたは私が会う10人目の首相です。1人目はウィンストン・チャーチルでした」と言われて身が引き締まる思いだったそうです。 

 岡田克也さんは7日付のブログで、3月3日(土)の鳥取県米子市の明日(あした)の安心対話集会の感想として「ただ、長野に比べると意見の数が少なく、よく言われますが、「長野県民の皆さんは議論好き」ということとの違いが出たのかなとも感じました」と語りました。長野県は寿命が男女とも全国で一番長いとされていますが、やはり議論好きだとストレスもたまらないし、良い医療体制もつくれるし、二大政党政治のさきがけ県になったのもうなずけます。最近は物流の関係から保存食である塩っぱい野沢菜漬を口に入れる量が減っているようですし、幸か不幸か気候変動で雪が減って寒さの厳しさが和らいでいます。もちろん、鳥取県もいいところで、鳥取市になりますが、大和民族最初の歴史書である「古事記」に出てくる「因幡の白兎」は鳥取です。これを島根県とする説がありますが、私は鳥取の白兎海岸に実際に行ったことがありますが、サメが渡っていくように波が見えました。古事記でいう「ワニ」とは「サメ」のことですから、「因幡の白兎」は鳥取だと私は認識しています。

 あまりにも有名な吉田茂の名言に「三千年、いや四千年生きたい。しかし人はいつか死ぬ。しかし国は生き続ける」があります。3月11日、大震災1周年を迎えます。きょうよりあしたはよくなるではなく、自分より子や孫はよくなるという米百俵の精神を、もっと日本人が持たなければいけない時代が来ています。世界が相手をしてくれなくなります。世界が相手をしてくれないといえば、国家元首がいない国連(The United Nations)加盟国など、英連邦(The Commonwealth)も含めてありません。象徴天皇制と国家元首の日本国憲法への明記は当然にして両立する話であり、自民党の憲法草案は当然です。これに文句をつける学者はおそらく英語ができない世界を知らない人間でしょう。

 政権の重荷を背負う民主党は、天皇陛下が国事行為として公布する「法律」と、そうではない閣議決定との本質的な違いを体に染みこませて欲しい。君子は本を務む、本立ちて道生ず。それは法律と閣議決定の違いの重みを、ねじれ国会のせいにしないところから始まると考えています。最近はより一層、そう感じます。

[官報から平成24年法律3号を全文引用はじめ]

国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
 国事行為臨時代行名
平成二十四年二月二十九日
                                                   内閣総理大臣 野田佳彦

法律第三号
国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律
国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律(平成十七年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
附則第三項中「百分の九十九・五九」を「百分の九十九・一」に改め、「には」の下に「、平成二十六年三月三十一日までの間」を加える。

附則
(施行期日)
1この法律は、公布の日の属する月の翌月の初日(公布の日が月の初日であるときは、その日)から施行する。
(平成二十四年六月に受ける期末手当等に関する特例措置)

2国会議員の秘書の給与等に関する法律(平成二年法律第四十九号。次項において「秘書給与法」という。)第十四条の規定により、この法律の施行の日以後最初に受ける期末手当の額の算定については、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成二十四年法律第二号)附則第六条の規定の例による。この場合において、同条第一項第一号中「職員であって適用される俸給表並びにその職務の級及び号俸がそれぞれ次の表の俸給表欄、職務の級欄及び号俸欄に掲げるものであるもの(平成十七年改正法附則第十一条の規定の適用を受けない職員に限る。)」とあるのは、「国会議
員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律(平成十七年法律第百十号)附則第三項から第六項までの規定の適用を受けない国会議員の秘書」とする。

3秘書給与法第十四条第四項の規定により期末手当を受けた者で、再び議員秘書となったものが、平成二十四年六月に同条第一項に規定する期末手当を受けることとなる場合における同条第五項の
規定の適用については、同項中「第二項の規定による期末手当の額」とあるのは、「国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第三号)附
則第二項の規定により算定した期末手当の額」とする。

総務大臣 川端達夫
内閣総理大臣 野田佳彦

[官報から平成24年法律3号を全文引用おわり]


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[お知らせおわり]


「運命の人」岡田克也さん、3冊目「外交密約調査」執筆中 今夏出版予定だが自重すべきだ

2012年03月07日 05時03分17秒 | 岡田克也、旅の途中

[画像]外交演説をする岡田克也さん、2010年1月29日の第174常会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

虎哲徒然日記さんが2012年3月1日付エントリーで次のように書いている。

[引用はじめ]

(前略)「政権交代可能な二大政党制」が望ましい、とある時期喧伝された。だが現実はどうだろうか。二大政党はどちらもだめだ、という失望感が広がっている。これは世界的にみてもよくある政治パターン。日本の歴史でも過去にみられたことである。どちらもだめな場合、どうするのか?「二大政党」論者は、これにちゃんと答えるべきだ。「よりまし」なほうを選ぶ、という陳腐な回答ではなく。

[引用おわり]

 この「二大政党がどちらもだめな場合、どうするのか?」という質問に対して、私は、

 誰かが変えてくれるのではなく、一人ひとりが変えようと思わない限り、この国は変わらないのです。

 とお答えします。

 私は昨年9月に野田佳彦新代表(総理)から挨拶状が同じ日に2枚来て驚きました。というのは、民主党サポーター登録を2つの総支部でしていたからです。毎年5月にサポーター登録のノルマで苦しんでいる総支部で登録しています。昨年5月にサポーターになっても、西暦で奇数年は定期代表選がないので投票の機会はありません。しかし、民主党の組織を下支えすることで、政権交代可能な政治という選択肢、権利と自由を得ることができます。それが明日の安心につながります。

 私は二大政党プラスワン(民自公)はどこもダメだという人には、昨年1年間で、二大政党+1(民主党、自民党、公明党)にこの1年間、寄付をしましたか?と聞きたい。 寄付をしていない人には「二大政党がどちらもだめ」という選択肢しか与えられないのは当然の帰結です。そうは言っても私も不景気なので、先日は午前9時からの質問で元気なさそうな議員がいたので、昼休みにかけつけて、「元気なかったけれども大丈夫」と聞きました。細かいことなんていんですよ。情勢分析の通告があったとか、最近家族構成が変化したとか知っていても、細かい政策とか選挙がどうしたなんて言いません。これは国会から近く平日の時間も自由だという私だからできる二大政党育成プラン。でも、国会から遠くてもオカネが自由だったり、国会から遠くてオカネが不自由でも、せめてサポーター登録2000円ぐらいしたらどうでしょうか。実は、民主党はサポーター登録がキツイので、新聞記者もお付き合いもかねて、民主党サポーターになっている人は多いんです。記者である前に日本国民です。

 「誰かが変えてくれるのではなく、一人ひとりが変えようと思わない限り、この国は変わらないのだ」とは岡田克也さんが2008年6月18日に出版した『政権交代-この国を変える』(講談社)の「はじめに」にある言葉で、帯にも使われています。

 岡田さんは政権交代後の2010年6月23日「岡田語り。」(ランダムハウスジャパン)を出しています。これはデジタルカメラに向かって話した内容を書き起こしたブログ「岡田かつやTALK-ABOUT」をまとめたもの。出版にあたりブログにない内容を付け加えていて、この中で2010年5月6日の英国総選挙での政権交代(ハングパーラメントによる連立)をふまえて、「イギリスで二大政党の時代が終わったと言われていています。私が目指してきた政権交代がしっかりと行われる政治というのは、必ずしも単独政権である必要はありません」として「小選挙区300、比例100くらいの制度にすれば必ず第3党が存在します」「基本的にはきちんと政権交代ができる大きな2つの政党が競い合うということであり、それにプラスしていつでも取って代わる勢力が出てくるし、時には連立政権もあるという柔軟性が必要だと思っています」と記しています。

 2008年夏、2010年夏、ということで、岡田さんはことし2012年夏に向けて3冊目の著書を執筆中です。

 2009年9月17日から2010年9月中旬までの外務大臣時代にとりくんだ、いわゆる密約調査(沖縄返還交渉に関する日米密約)ついて、岡田さんの経験に基づき書いています。岡田さんは「記憶をたどりながら、かつ大臣にも当然(国家公務員100条の)守秘義務はかかりますから、そこに十分注意しながら悪戦苦闘しています」としています。「外交というのは多くの皆さんにとって、具体的にわかりにくいものではないでしょうか。各国の外務大臣や首脳との交流の中で信頼関係が築かれ外交が思わぬ展開をみせる、各国が抱えるいろいろな複雑な要素を踏まえながら日本の国益を実現していく、そんな外交のおもしろさが少しでも伝わったらと考えています」(岡田さん)。

 しかし、岡田さん、そんなコトしている場合でしょうか。岡田さんは言うまでもなく副総理であり、公務員制度改革担当大臣という難しい仕事をしています。社会保障と税の一体改革担当大臣として年金の制度設計もしているなか、そんな余裕はありません。まずは大局から政治をみる心の余裕を確立すべきです。ある意味、それが「副総理」です。

 私が新聞社に勤めている時代の経験からしても、忙しい人ほど「本を書きたい」と言います。日々、膨大な取材をし、膨大な原稿を書く。そういうローテーションが確立し、一定の評価を得ると、取材先はその記者を指名してより情報を流しますから、ますます特ダネ記者になっていきます。社内での評価も上がり、良い循環が確立していくと、突然、「本を書きたい」と言い出す。膨大な情報がインプットされ、長官に夕刊にアウトプットしていく。そうすると、自分の中にストックができていないという錯覚を覚えるのです。

 岡田さんも野党15年を経て、外務省で官僚から膨大な情報を座りながら聞く毎日のなかで、「これをまとめないといけない」という使命感を覚えたのでしょうが、それは岡田さんの心の中の使命感に過ぎず、野田総理や歴史は岡田さんに別の使命を与えている、ということを冷静になってわきまえてほしい。ストレス解消のために本を執筆しているのでしょうが、そんなコトしている場合でない、と私は考えます。

 最近では在職中に資料整理をし、出版社から契約金をもらって、退官後に執筆するというパターンが主流のようです。国務長官クラスなら100万ドル以上の契約金もあるようで、論より証拠に、最近は大手の出版社が主流になっています。

 国務省・ホワイトハウスから帰ったヘンリー・キッシンジャーさんのハーバード大学の研究室にはジェラルミン製の文書箱が20箱だとかあったようです。それを見た来訪者はその中に「どれだけのアメリカの外交機密文書が詰まっているのか」と想像したら震えたらしい。アメリカでは政権交代時に政府高官が公文書を持ち帰ってしまうことはよくあります。とくに国務省に限れば、職業外交官は「回転ドア」の対象外なので、二大政党の政治任用者はごっそりファイルを持って帰ってしまうことが多いようです。そして、1年前後で回顧録を執筆して出します。例えばキッシンジャーなら「ホワイトハウス・イヤーズ」など
複数書いています。我々自由主義陣営最初の宇宙飛行士で米上院議員を4期24年間務めて最年長飛行士としてスペースシャトルでふたたび宇宙に行ったジョン・グレンさんの「回顧録」は世界最大手のランダムハウスがしっかりと契約しています。このなかには、グレン上院議員が1984年の大統領選を断念した経緯も書いてあるようです。

 いわば公文書とは歴史の検証のためではなく、積極的に自分の歴史をつくるための財産です。何から何まで日本とは発想が違います。

 2008年6月、2010年6月はともに定期代表選の3ヶ月前でした。今回も前の党規約の規定から、ことし9月に定期代表選があります。ただし過去2回の定期代表選には岡田さんは出馬していませんが、代表選の3ヶ月前に出版するということは憶測を呼びかねません。岡田さんは与党になって公文書の不備に驚いたのでしょう。外務省では情報公開法施行直前に公文書が地下室で処分され、業者によってトイレットペーパーに再生され外務省に納品しました。こういっった心の空白感から執筆しているのでしょうが、出版となると話が違う。代表選前の出版は小沢グループ(新政研)どころか、野田グループ(花斉会)にも疑われます。書いてもいいけど、出すのは自重すべきです。

 まずは新進党を解党した小沢一郎さんの息の根を止めることが歴史と民主政治に資することになります。年金の抜本改革も、すべては小沢切りから始まります。岡田さんは民主党代表時代に、元東京地検特捜部検事で参院議員に転じた佐藤道夫さんに倫理委員長になってもらいました。毎日新聞元記者の西山太吉さんとも親交があります。TBS日曜劇場運命の人」は最終回まじかにしています。いったい「運命の人の最終回の結末はどうなる?」、「ジャニーズモックンこと本木雅弘さんは最後どうなるのだろう?」と注目が急上昇しています。

 岡田さんがまず取り組まなければいけないのは、新進党を解党した小沢一郎さんを「歴史」という法廷で裁くことだと、私は期待しています。岡田さんは通産官僚時代に瀬嶋龍三さんから勉強会メンバーに選抜して入れてもらったことがうれしかったようです。『運命の人』の作者である山崎豊子さんの『不毛地帯』は瀬島龍三さんがモデルだとされています。岡田さんは自分自身が運命の人だという自覚を持たなければいけません。

 岡田さん、あなた自身が運命の人だっちゅうの。

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