宮崎信行の夕刊フジ

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

岡田副総理「簡素な給付措置」で与野党合意なら「後は手続きだけ」 消費税8%時の低所得者対策

2012年05月14日 20時12分30秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 社会保障の安定財源を確保するための消費税増税などの税制抜本改革法案(180閣法72号)。

 再来年4月の消費税率8%施行時に、低所得者対策として実施する「簡素な給付措置」について、副総理・社会保障と税の一体改革担当大臣の岡田克也さんは、2012年5月11日(金)の定例記者会見で、「与野党で、こういう規模で、こういう中身でしますということを合意されれば、あとは手続きの話」と述べました。衆院・一体改革特別委員会の理事や、民自公など各党の実務者による合意があれば、政府は従うとの考えを示したものです。当ブログの質問に答えました。

 この日の衆院本会議では、衆院財務金融委員と一体改革特別委員を兼ねる公明党の竹内譲さんが「低所得者対策の全体像が見えない」と質問演説しました。これに対して野田佳彦首相は、「低所得者対策の具体的内容は与野党の協議をふまえて検討していきたい」と答弁しました。

 現時点では、民主党政策調査会にワーキングチームが設置されていますが、与野党協議はまだ始まっていないんだろうと思います。

 この総理答弁について、岡田さんは「この法案が成立するということであれば、そのプロセスで野党の御意見も十分受け賜って、例えば簡素な給付措置の中身について、具体的な規模とか内容を決めると」とし、6月にも予想される衆院一体改革特の採決前の「簡素な給付措置」の対象者、金額などについての与野党合意に期待感を示しました。これについては、法案修正ではなく、「与野党で、こういう規模で、こういう中身でしますということを合意」、いわば昨年8月9日の3党合意のような公党間の文書があれば、「あとは手続きの話」だとしました。2015年10月の「消費税10%時」の「給付付き税額控除」については、「給付付き税額控除はもう少し先の話なので、なかなか難しいかと思います」としながらも、「簡素な給付措置はもう、直ぐやる話、14年の4月からやる話ですから、我々、具体的な規模などは、現時点では言っておりませんが、まさしく与野党協議、賛成していただけるという前提で、与野党協議の重要なテーマであるというふうに認識しています。」と語りました。

 定額給付付き税額控除の実現には、マイナンバー関連2法案(180閣法32・33号)の成立が必要ですが、与野党国対の協議などで、一体改革委員会からは外され、衆院内閣委員会に付託となりました。

【岡田さん官邸入り4ヶ月目で政治人生初(?)の「政界は一寸先は闇」発言 その真意をさぐる】

 ところで、この定例記者会見の中で、岡田さんは「解散の時期は総理が決めるわけですから、私は、総理以外の私が何か言うのは如何かというふうに思います。政治は「一寸先は闇」ですから、何が起こるか分かりません。」と述べました。毎日新聞の野口記者への答え。

 私は岡田さんが「政界(政治)は一寸先は闇」と発言した覚えがなく、ホームページを調べましたが、岡田さんが「政治は一寸先は闇」「政界は一寸先は闇」という言葉を記者会見・ブログなどで述べたのは初めてとみられます。解散をめぐって「政治は一寸先は闇」と発言したのは、官邸で総理を支える僕(しもべ)として、総理を助けるつもりでの発言と思われます。ただ、この日はちょうど野党・民主党代表の小沢一郎さんが辞任を表明した日から3年目。その後、代表選出場、小沢グループの露骨なしめつけ作戦に負けて落選、鳩山由紀夫代表のもと幹事長に就任、政権交代、与党幹事長の座を小沢一郎さんに奪われ、外務省大臣として初の政務三役入り。そして、衆参ねじれの与党幹事長、充電期間を経て、総理に乞われて官邸入り。あっという間のこの3年。歴史に残るこの3年。政治の父・小沢一郎さん、幹事長として仕えた鳩山由紀夫さん、菅直人さんらの今の姿を見て、「政治は一寸先は闇」という言葉を使ったのなら、少し心配です。私は自民党時代と違い、この3年間は「政界は一寸先は闇」なのではなく、「政権交代ある二大政党政治によるダイナミズム」によって、歯車が早く進んでいるんだと考えています。それが小選挙区二大政党制なのだと考えます。

 岡田さんは、「政治は一寸先は闇」だ今国会での解散をちらつかせたうえで、こう付け加えました。

 「やはり民主党政権の実績をしっかり上げて(から衆院選で有権者の政権選択をあおぐ)ということは重要なことだ」。 

 与党で死にものぐるいで頑張らないと、第2次野党期に入ってからの成長もありません。衆議院一体改革特別委員以外の国会議員も、国会にいなくてもいいですが、のんびりエンジョイしている時間など政権担当中は一寸もないと心得るべし。

[お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする