「菅グループの飲み会があるから見に行かない?」とのジャーナリスト仲間の誘いを断り、ホテルオークラから一人歩いて、バス通りに出た僕は、ヒートアイランド現象のせいかどうか知らないけど、遙か彼方からやってくる強風に少し頭を冷やしながら、「この国はどうなってしまうのだろう」とつぶやきました。震災前で少し余裕があったので、サントリーホールまで歩いてみて、何か公演があり、当日券が余っていたらケータイ電話のつながらないホール内の空間で2時間ほど過ごして気分を変えよう、と歩いていたら、なぜか新橋駅前鉄道広場に着きました。その後地図を調べたら、正反対の方に歩いていたことに気付きました。「まあ、いいや、4ヶ月以内に必ずある総選挙での政権交代に向けて、がんばろう」と気分を切り替え、いやむしろ身も心も疲れ果てたのかもしれないけど、山手線で家路につきました。
あの日から、きょうでちょうど3年が立ちました。私の人生において、そして愛する祖国にとっても、ものすごく濃い3年間だったと思います。
気弱な地上げ屋さんにも、蕎麦さんにも、ミニーさんにも、とらちゃんにも、ずいぶんといじめられましたが、私はまったくもって、自分の意見は寸分の間違いもなかったと絶対的に確信しております。たくさんのことを学んだ体験でした。
民主党代表に鳩山由紀夫さん 岡田さんは29票の大差で惨敗
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衆議院社会保障と税の一体改革特別委員会(中野寛成委員長)2012年5月16日(水)午前11時37分から、一体改革関連法案3領域7法案の趣旨説明を受けました。
小宮山洋子厚労相が、
国民年金の最低保障機能を強化し、受給資格を25年→10年にする法案
被用者年金を一元化し、共済年金を厚生年金に統合する法案
小宮山洋子内閣府少子化担当相が
子ども子育て新システム導入のための子育て支援法案
子ども子育て新システム導入のための総合こども園法案(事実上の幼保一元化・幼保一体化法案)
子ども子育て新システム導入のため関係法律58本を改正・整備する法案
安住淳財務大臣が
社会保障の安定財源を確保するための国の税制の抜本改革のための消費税法など改正案
川端達夫総務大臣が
社会保障の安定財源を確保するための地方税制の抜本改革のための地方税法など改正案
をそれぞれ提案した理由を説明しました。
副総理兼一体改革担当大臣の岡田克也さんが全体を見守りました。
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2009年5月11日(月)の連休明け初日の小沢一郎代表が辞任表明しました。そして5月16日(土)に代表選を告示し、すぐに両院議員総会で投開票するという日程を発表しました。その後、古川元久・代表選挙管理委員長は「ディベートを導入する」との細目を決めました。
小沢グループが擁立し「消費税引き上げを議論すらしないで友愛国家を建設する」と主張した鳩山由紀夫候補と、「民主党にとってというより日本にとって政権交代は待ったなしの状況だ。(第44回衆院選岡田マニフェストに続き)、税金の無駄づかいをなくし、徹底的な行政改革をしたうえで、全額税方式の最低保障年金を創設し、将来消費税を3ポイント上げさせたもらいたい」と主張し、同期当選が先導役となり花斉会が事務局を務めた岡田克也候補。結果は、衆院議員票では岡田候補が上回ったとされますが、小沢一郎さんらの組織による徹底した締め付けによる参院議員票の圧勝で、鳩山候補が当選。そして、政権交代と同時に、第93代首相となったのは、日本国民全員周知の通りです。
【岡田克也さんの主張】
2009年5月(ただし、2005年8月の第44回衆院選岡田マニフェストと内容は同じ)。
[画像]順にNHKさん、TBSさん、TBSさん、TBSさん、テレ朝さん、テレ朝さんの当時のニュース映像から。
【鳩山由紀夫候補の主張】
[画像]順にテレ朝さん、テレ朝さん、TBSさん、TBSさんの当時のニュース映像。
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あす午前9時から質疑が始まります。与野党は100時間審議を目指しており、6月4日週以降に到達する見通し。与野党とも徹底審議に関する国民の圧力を感じているようで、長期間の国会空転はない見通し。このほか、衆院財金委にある特例公債法案、衆院内閣委にあるマイナンバー関連法案、衆院厚労委にある年金交付国債法案の合計4法案も私は「一体改革関連法案だ」という認識を持っています。
会期末(6月21日)まで1ヶ月ほどしかありませんが、連日の審議をすれば、早ければ6月4日週にも100時間を越えます。いずれにしろ、修正協議のすえ、閣法を衆院修正して、参院に送付することになります。かつてないほど、衆議院議員の力が試される委員会となります。
憲政史に類例がない委員会です。なぜなら、野党の伊吹文明筆頭理事が「消費税増税派」だからです。あるいは野田毅委員も「推進勢力だ」と自ら先週の本会議で質問演説しています。ところが、清和会会長で9月の総裁選出馬をねらう町村信孝委員は、早期の採決は話し合い解散や抜き打ち解散につながるので消極的だと考えられます。逢沢一郎次席理事は谷垣禎一総裁の「シャドウ首相補佐官」なので、谷垣さんを守るために早期解散に柔軟な可能性があります。
修正協議は、子ども子育て新システム関連3法案が整うまで時間がかかるかもしれません。
子ども子育て新システム関連法案は馳浩委員が元文科副大臣として幼稚園関係者の支持が篤いと見られる演説をしているほか、委員外の先輩でも自民党には幼稚園族の有力議員がいます。一方で、厚労族の田村憲久委員は保育所の充実に理解があるように思えるヤジを飛ばしています。今通常国会の冒頭で、年金交付国債が「消費税増税法案の関連法案だ」と主張し、現に年金交付国債法案が現時点で衆院を通過していないのは、大蔵省出身の厚生労働委員である加藤勝信さんの「加藤指摘」からです。この人も一体改革特別委員となっています。このようにこの一体改革特別委員会は、自民党のベテラン衆院議員たちの力関係で大きく左右してきそうな気配がします。私は自民党のことはよく分かりませんので、ぜひ、新聞社にはがんばって頂きたいです。節約のため、今月から読売新聞が入っていないのですが、読売新聞も再度購読しようかと考えています。
民主党では、郵政見直し法を仕上げた武正公一理事、税制審議のリード役の古本伸一郎理事ら。
松下政経塾つながりでは、自民党の逢沢次席理事が1期生、民主党の武正公一理事が後輩の5期生。こういうことを小馬鹿にする傾向が、マスコミにも有権者にもあります。しかし、こういうつながりを活かすことは議会政治では重要なことです。「一致団結箱弁当」の自民党派閥や離党切り崩し工作といった不透明なお金のつながりよりもずっと健全です。逢沢次席理事は野田佳彦総理と同じ1期生。ちなみに、松下政経塾や霞が関では「同期は仲が悪い」傾向があります。しかし、松下政経塾黎明期のエピソードを聞いていると、有識者の講師が「自民党の議員世襲はとんでもない」という発言をするたびに、唯一の自民党衆院議員の子息である逢沢塾生が下を向いてしまい、からかわれるようなエピソードがたびたびあったようです。一方、野田塾生は無口で目立たなかったようです。ですから、逢沢さんの衆院初当選が野田さんより2期早いのに、野田さんが先に、大臣や総理になったことへの複雑な感情は双方ともあまりないのではないか、と推測します。武正さんは野党時代から一貫して、野田グループこと花斉会の中核メンバーです。国対で頑張ってきた民主党・松本大輔理事は22期生になります。
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第180通常国会の「社会保障と税の一体改革に関する特別委員」は次の45人のみなさんです。
委員長 中野 寛成君 なかの かんせい 民主党
理事 武正 公一君 たけまさ こういち 民主
理事 鉢呂 吉雄君 はちろ よしお 民主
理事 古本 伸一郎君 ふるもと しんいちろう 民主
理事 松本 大輔君 まつもと だいすけ 民主
理事 和田 隆志君 わだ たかし 民主
理事 逢沢 一郎君 あいさわ いちろう 自民
理事 伊吹 文明君 いぶき ぶんめい 自民
理事 西 博義君 にし ひろよし 公明
委員 石井 登志郎君 いしい としろう 民主
委員 稲富 修二君 いなとみ しゅうじ 民主
委員 江端 貴子君 えばた たかこ 民主
委員 小川 淳也君 おがわ じゅんや 民主
委員 岡田 康裕君 おかだ やすひろ 民主
委員 岸本 周平君 きしもと しゅうへい 民主
委員 篠原 孝君 しのはら たかし 民主
委員 白石 洋一君 しらいし よういち 民主
委員 田嶋 要君 たじま かなめ 民主
委員 田中 美絵子君 たなか みえこ 民主
委員 田村 謙治君 たむら けんじ 民主
委員 永江 孝子君 ながえ たかこ 民主
委員 長尾 敬君 ながお たかし 民主
委員 早川 久美子君 はやかわ くみこ 民主
委員 藤田 憲彦君 ふじた のりひこ 民主
委員 三村 和也君 みむら かずや 民主
委員 宮島 大典君 みやじま だいすけ 民主
委員 室井 秀子君 むろい ひでこ 民主
委員 湯原 俊二君 ゆはら しゅんじ 民主
委員 柚木 道義君 ゆのき みちよし 民主
委員 渡部 恒三君 わたなべ こうぞう 民主
委員 石田 真敏君 いしだ まさとし 自民党
委員 加藤 勝信君 かとう かつのぶ 自民
委員 金子 一義君 かねこ かずよし 自民
委員 鴨下 一郎君 かもした いちろう 自民
委員 田村 憲久君 たむら のりひさ 自民
委員 竹下 亘君 たけした わたる 自民
委員 野田 毅君 のだ たけし 自民
委員 馳 浩君 はせ ひろし 自民
委員 町村 信孝君 まちむら のぶたか 自民
委員 竹内 譲君 たけうち ゆずる 公明党
委員 宮本 岳志君 みやもと たけし 共産党
委員 豊田 潤多郎君 とよだ じゅんたろう 新党きづな
委員 中島 隆利君 なかしま たかとし 社民党
委員 山内 康一君 やまうち こういち みんなの党
委員 中島 正純君 なかじま まさずみ 国民新党
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憲政史に残る委員会ですので、抜擢された委員はブログなどで表情豊かな感想を述べています。
町村信孝委員は、ブログで、「谷垣総裁から、私に依頼がありお引受けしました」「民主党の委員には消費税反対の小沢系議員もいて、民主党の本気度は疑問です」「徹底的に議論し、自民党の対案を示していくつもりです。」としました。
与党・民主党の柚木道義委員はブログで、「メンバーに私は“選抜”されました。先日の日経新聞にも民主、自民の主なメンバーにあげられていて、重責を感じています。私の座右の銘は「至誠、天に通ず」との言葉ですが、まさに誠実に国会審議を尽くし、国民の皆さんに説明・説得を尽くせば、必ず事態は前進すると信じています」「あとは、文字通り、政治家一人ひとりが、「政局より政策実現」に全力を傾注するべく「明日への責任」を“覚悟”できるかどうかにかかっています。もちろん、私自身も覚悟を固めています」としています。頼もしい限り。
自民党総務委員会理事として民自公修正で実績を上げている石田真敏・一体改革特別委員はブログで、「ところで社会保障と税の一体改革の特別委員会が設置され地方税の関係者ということで委員に就任しました」「連休明けからタイトな日程で委員会が開催され忙しくなりそうです」「総務委との並行で大変ですが頑張ります」としました。
公明党財金委理事で、一体改革特別委員になった竹内譲さんはツイッターで、「「社会保障と税の一体改革特別委員会」の委員に内定。論戦の準備を急ぐ」と短いながらも、充実感をうかがわせるつぶやき。
民主党1期生で、誰よりも大きく本会議場で拍手をしていた岸本周平委員はブログで、「その後は、約100時間の審議が予定されており、3週間程度は、朝から晩まで審議に拘束されます」「たいへんではありますが、歴史的な特別委員会の委員に任命されたことは名誉なことであり、社会保障と税の専門家として、全力を尽くします」「私は、党税調の役員をし、党内の会議でも議事進行をしており、税の専門家と見られています、、、。まあ、そうなんですが、大蔵省主計局時代には4年間、厚生省の予算を担当し、その内、3年間は年金担当として、年金の支給年齢を引き上げた時の年金再計算に取り組みました。社会保障の基礎は叩き込まれています」とアピール。
同じく民主党1期生の湯原俊二委員。私見では正直、「100時間審議」と拘束時間が長い委員会で地元は大丈夫かなという思いもありますが、ブログで、「これで現在、「予算委員会」委員、「内閣委員会」委員、「総務委員会」委員とこの特別委員会委員となり、連日委員会審議に追われます・・・」と嘆き節。ある意味、私たち有権者が試されている気もします。
そして、愛媛3区(新居浜市、西条市、四国中央市)の白石洋一さん。ホームページでは「民主党は国の借金を抑えながら、医療・介護・年金制度を整え、それぞれのふるさとで安心して暮らしていけるように努めます」としています。先週の3時間×3日間の衆院本会議で、この人が実に真面目に聞いておられて、後から委員名簿に名前があるのに気付きうれしくなりました。愛媛3区は、国政選挙(参院含む)のたびに毎回民主党の得票率が上がり続けている選挙区です。自民党の5回生が突然引退し、白石さんは初出馬初当選を飾っています。やはり政権交代チルドレンは140人もいますから、政権交代後3度目の通常国会ですが、こういう人材に気付くと日本もまだまだ大丈夫なのかな、という感じがします。
こういったところも注目点です。
一体改革特別委は、審議時間はドンドン積み上がるでしょうから、年金、保育などドンドン「交換条件」をしっかりと獲得しましょう。政治は国会の中で決まります。
[画像]NHKニュース7の2012年の映像。
このNHKニュースのように、消費税増税は「小沢グループ」か「野田・岡田グループ」かの構図ではありません。
政治を国民の手に取り戻すための、民自公をこえた闘いです。
ドンドン法案を修正させて、「ゆりかご(保育施設の充実、幼保一体化・幼保一元化)」から「墓場(持続可能で安定した最低保障機能を強化した年金)」までの社会保障を勝ち取りましょう!
[お知らせ1]
会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。
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