【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民進党の岡田克也代表が提案し実現した児童扶養手当増額法「これで終わりではない」

2016年04月22日 19時56分28秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[写真]民進党の岡田克也代表、2016年4月22日午後4時半過ぎ、東京永田町の民進党本部、筆者・宮崎信行撮影。

 民進党の岡田克也代表は、平成28年2016年4月22日(金)、定例記者会見を定刻より1時間半遅く午後4時半から行いました。

 シングルマザーなどひとり親世帯への、児童扶養手当の多子加算(第2子、第3子・・・)の倍増法について、「実現したのは歓迎する」と語りました。

 法案は今週、衆本で全会一致で可決。参議院では既に委員会で審議入りしたことから、今国会での成立は確実、12月支給分から適用へ。

 具体的には、第1子の月4万2000円は変わりませんが、第2子が月1万円、第3子が月6000円になります(年収227万円超は漸減)。

 岡田代表は「本会議の代表質問でも取り上げたわけですが、ようやく1年経って可決したのは歓迎します。ただし、中身を見ると額が少ない。 第2子が月1万円、第3子は月6000円になり、安倍さんの「倍増」しているというのはたしかにその通りですが、第3子は1日200円で、それでどうやって生活していくというのか」と語りました。

 岡田さんは第2子、第3子の「差別」解消を訴えました。

 さらに、現在の4カ月に1回支給では「まとめて出して3~4カ月やっていくことは厳しいから頻度を増やすべきだ」と語り民進党対案(廃案)にあった「毎月支給」の採用を要求。「ただちに毎月支給が難しければ、年金のように2か月に1回という手もある」としました。

 岡田民進党の今後の方向性としては、

 児童扶養手当の増額と、第2子以降の「差別」を解消。

 毎月ないし2か月に1回支給。

 「18歳まで」から「20歳まで」へ。

 の3点を引き続き訴えていくことになりそうです。

 ことし12月支給分からの増額はもともと、岡田さんの衆議院本会議での提案を、昨年10月に、公明党政務調査会長に新しく就任した石田祝稔さんがはじめてのNHK日曜討論で賛同。これを受けて、自民党の塩崎恭久厚労大臣が第3次安倍第1次改造内閣発足後の、「1億総活躍社会パッケージ」に入れ込みました。

 岡田さんは政府提出法案に「我々はやむなく賛成したが、これで終わりではない」と決意を語りました。

 当ブログ内の関連エントリー2本を以下、ご紹介します。

児童扶養手当法改正案提出、与野党に機運 第2子以降増額、2016年通常国会

2015年11月13日 16時02分08秒 | 第190回通常国会(2016年1月~)

[写真]官邸・国会に続く、初夏の坂道、2015年6月、筆者・宮崎信行撮影。

 児童扶養手当法改正案提出の機運が与野党に高まってきました。

 児童扶養手当法(昭和36年法律238号)は、その第5条で「手当は月4万1000円とする」「2人以上の場合は、それぞれ3000円、そのうち1人は5000円とする」と書いてあります。

 要するに、母子(シングルマザー)・父子など寡婦のひとり親世帯では、子ども1人なら月4万1000円ですが、2人だと月4万6000円、3人だと月4万9000円。2人以上のひとり親世帯の負担感が問題となっていました。

 今週の衆議院予算委員会閉会中審査では、公明党の石田祝稔・政務調査会長が質問しました。石田さんは前月に5年間務めた前任者が入閣したため、政調会長になり、NHK日曜討論に続き、テレビ入り予算委でもトップバッターとなりました。

 石田さんの質問に対して、塩崎厚労相は「年末までに加算額の拡充も含めて検討したい」と答弁しました。

 これを受けて、民主党の岡田克也代表は12日(木)の記者会見で、「国会に法案を出すことも含めて検討したい」と語り、政府から閣法が提出されない場合も、民主党独自の議員立法を、平成28年2016年通常国会に提出するかまえを見せました。このため、いずれにせよ、児童扶養手当法改正法案が提出される公算が高まりました。

 塩崎厚労相の発言は、今月とりまとめる政策パッケージ「1億総活躍社会」に入れ込んで、補正予算案のメニューに入れることを念頭に置いた可能性があります。これについて、岡田代表は「補正だと1回きりになる。恒常的な制度が必要だ」とし、補正ではなく、本予算で対応すべきだとの基本を明示しました。

 子どもの貧困は、今さらながら、今年になってから、世論の関心が高まっており、一気に解決するチャンスです。ただ、厚生労働委員会は積み残しが多く、とくに残業代ゼロの労働基準法改正案とのかけひきが予想されます。かけひきですが、「残業代ゼロよりも、子どもの貧困対策だ」との世論が高まれば、参院選を前に政府・自民党も柔軟な国会対策に応じ、政策実現につなげることはできそうです。

児童扶養手当法改正案提出、第2・3子恒久倍増 石田祝稔公明党政調会長の提案

2016年02月09日 23時59分59秒 | 第190回通常国会(2016年1月~)

(このエントリーの初投稿日時は10日午前7時で、それから2016年2月9日付にバックデートしました)

[写真]公明党の石田祝稔政務調査会長と、民主党の岡田克也代表=ともに衆議院ウェブサイトから。

 政府は、「児童扶養手当法改正法案」(190閣法26号)を平成28年2016年2月9日(火)の閣議を経て、衆議院に提出しました。

 ひとり親世帯の児童扶養手当を、月額で、第1子4万2000円に重ねて、第2子が1万円(現在は5000円)、第3子以降が6000円(現在は3000円)とする法案。成立すれば、8月1日に施行し、12月支給分から適用。年収227万円から460万円にかけて漸減するのは現在と同様。

 法案の概要は、厚労省ウェブサイトに載っています。

 国会での審議は、「労働基準法改正案」(189閣法69号)よりも先行するとみられますが、より多くの人の負担を減らす「雇用保険法改正案」(190閣法9号)を前に持ってくる気配があり、第190回通常国会(6月1日まで)での成立は半々、といったところでしょうか。

 2015年11月の当ブログ内エントリー(児童扶養手当法改正案提出、与野党に機運 第2子以降増額、2016年通常国会)にもある通り、11月の衆議院予算委員会閉会中審査で、公明党の石田祝稔(いしだ・のりとし、シュクネン)政務調査会長が、就任早々、提案。塩崎厚労相の答弁は、補正予算案での対応と思われるものでしたが、民主党の岡田克也代表が記者会見で「民主党単独でも、国会に法案を出すことも含めて検討したい」と後押ししたことが実現しました。石田政調会長と岡田代表は、衆議院初当選同期で、新進党結党メンバー。

 岡田さんのお母さんは、母子家庭の3人娘で、岡田さんはひとり親世帯のバックアップに初当選以来取り組んでいます。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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インスペクション重説の宅建業法改正案が審議入り、中小企業生産性向上法案は先送り【4月22日(金)】

2016年04月22日 15時13分58秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 宅地建物取引法改正案が審議入り。参から衆に回った中小企業の生産性向上法案については、衆の委員会で別の法案が審議入りしたため、連休前の成立は困難な情勢となりました。2016年春の統一補欠選挙(衆北海道5区、衆京都3区)の投票日(あさって24日)前の最後の国会となりました。

【平成28年2016年4月22日(金)】

【衆議院国土交通委員会】

 衆国交委では、「宅地建物取引業法(宅建法)改正案」(190閣法34号)が、石井啓一国土交通大臣から趣旨説明されました。中古住宅の診断インスペクションをしたか、していないかを重要事項説明(重説)に入れることを義務化する宅建業法2016年改正案。法案審査は、来週27日(水)の午前9時から。

【衆議院経済産業委員会】

 衆経産委では、「FIT再生可能エネルギー買い取り法改正案」(190閣法28号)が審議入り。太陽光発電の入札など、固定価格買い取りの普及による手直し。審議は、27日(水)9時から。

 なお、条件を備えた機械設備の固定資産税免除を盛り込んだ中小企業生産性向上法案が参から回ってきていますが、衆委では審議入りせず、連休前の成立は絶望。 

【参議院本会議】

 「日比(日本フィリピン)社会保障協定の条約承認を求める件」(190条約7号)が投票総数223、賛成223、反対0の全会一致で両院承認されました。

 「改正PCBポリ塩化ビフェニール処理法」(190閣法40号)が投票総数222、賛成222、反対0の全会一致で可決し、成立しました。3か月以内に施行し、処理を加速化。

 これに先立ち、「JSC法およびtoto法改正案」(190閣法31号)を、馳浩文部科学大臣が趣旨説明しました。国会議事録データベースによると、馳さんの参・本登壇はこれが3回目。馳さんは「国際的なスポーツの活躍は国民に活力を与える」として、東京オリンピックパラリンピックのための新国立競技場の整備資金確保に理解を求めました。

 代表質問では、民進党の大島九州男さん(任期は2019年夏まで)が、「法案提出の前提となった、新国立競技場の整備費膨張への反省がない」とし、「集団的自衛権の行使により、東京オリパラがテロの標的になる可能性が拡大した」とオリパラの総合的な対策を問いました。

【参議院地方・消費者問題に関する特別委員会】

 「第6次地方分権一括法案」(190閣法52号)が趣旨説明されました。今国会は衆参とも、本会議での質疑から、委員会での趣旨説明まで迅速に行われているように思えます。

【衆議院本会議】

 「個人情報保護法を改正してビッグデータを匿名加工情報として民間に売り渡す法案」(190閣法48号)が共社反対、自公民賛成多数で可決し、参に送られました。

 この後、自民党の細田博之さんらが提出した「衆小選挙区区割り審設置法および公職選挙法改正案」(190衆法26号)、民進党の今井雅人さんらが提出した「衆小選挙区区割り審設置法および公職選挙法改正案」(190衆法25号)が同時に議題となり、趣旨説明と代表質問が行われました。

【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会】

 「衆小選挙区区割り審設置法および公職選挙法改正案」(190衆法26号)と、民進党の今井雅人さんらが提出した「衆小選挙区区割り審設置法および公職選挙法改正案」(190衆法25号)。

【衆議院厚生労働委員会】

 衆厚労委では「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金法改正案」(190閣法27号)が全会一致で可決。この後、「障害者総合支援法改正案」(190閣法39号)が審議入りしました。質疑は後日。

【衆議院内閣委員会】

 「特定国立研究開発法人による研究開発促進法案」(190閣法32号)の質疑。終局後、与野党が修正案を提出し、「給与水準の適正化を図る」「政府があり方を検討し、必要ならば再度改正案を出す」と法案を手直ししました。採決は、共産党反対、自民党、公明党、民進党の賛成多数で修正可決しました。

【衆議院法務委員会】

 「外国人技能実習生機構法案」(189閣法30号)と「入国管理法改正案」(189閣法31号)の専門家からのヒアリングである、参考人質疑。

 この法案について、26日(火)午前9時から、衆法務委と衆厚労委の連合審査会を開くことを決めました。入管法改正案は外国からの介護人材の受け入れ促進が入ってます。

【衆議院外務委員会】

 「日独租税協定の条約承認を求める件」(190条約4号)、「日本チリ租税協定の条約承認を求める件」(190条約5号)、「日印租税協定の条約承認を求める件」(190条約6号)が趣旨説明されました。質疑は後日。

【衆議院環境委員会】

 「地球温暖化対策推進法改正案」(190閣法51号)の参考人質疑がありました。

【衆議院東日本大震災復興特別委員会】

 一般質疑がありました。

【衆議院地方創生に関する特別委員会】

 特区法改正案(190閣法53号)を審議しました。農地の会社保有特区が入っていることから、25日(月)午後1時から、農水委と地方創生特別委の連合審査会を開くことにしました。

【衆議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会(衆議院TPP特別委員会)】

 「TPP条約の承認を求める件」(190条約8号)と「TPP一括法案」(190閣法47号)。条約の交渉にあたった、鶴岡駐英大使も参考人として出席。定足数割れで審議が止まることがあったようです。

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