【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

児童扶養手当法案「4カ月に1回から増やす民進党対案」に歩み寄りの機運【4月6日(水)】

2016年04月06日 20時02分19秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 桜とともに、別れて出会う4月上旬。1年前は上西小百合さん、今年は山尾志桜里さんと野党の2期生が叩かれる中、山尾政調会長は見事なまでに説明責任を果たされました。この間、山尾会長とお会いしたことはありませんが、やはり私が報告書を読んだ時の「組織が強いところは大変だな」ということですが、その組織の強さが生み出したスター政治家の芯の強さに感嘆。クリスマスだけでなく、4月というのも、さまざま境遇の方に思いを馳せないといけないんだな。♪トゥモロー~~

【平成28年2016年4月6日(水)参議院本会議】

 第24回参議院議員通常選挙のための、「国政選挙執行経費基準法および公職選挙法を改正する法律」(190閣法30号)が可決し、成立しました。投開票事務を行う自治体への交付金の基準を改定。ちなみに「期日前投票」ですが、政府側も含めて「前」を「ぜん」と読む人と「まえ」と読む人は、いまだに両方いますから、このままでいいでしょう。

 これとは別に、議員立法の「改正公職選挙法」(190衆法24号)が可決し、成立しました。候補者の演説をSNSに上げる際の要点筆記に報酬が出ます。さいきん、文筆関係でさまざまな境遇の人がいるようですから、あたってみたらいいかもしれません。

 「成年後見制度の利用促進法案」(190衆法20号)は参議院内閣委員会で修正が入り、可決後、衆議院に回付されました。「成年後見制度の利用促進のための民法および家事事件手続き法を一括して改正する法律」(190衆法21号)は可決し、成立しました。このへん、昨年の今頃も、各紙の社会部・経済部記者が書いたまとめ原稿が一部フライングで紙面化されてしまうことがありましたが、ぜひ気にせず、思う存分書いてほしいと願います。

 「戦傷病者の妻に対する支給金の10年延長法」(190閣法10号)は全会一致で、修正可決し、衆に回付されました。これは日切れ指定が間に合わなかったための技術的修正です。昨年も頻発しています。これをどうとるか。政府・与党国対のスケジューリングがあいまいなのか、国会が熟議しているからなのか、自民党内の衆参のきしみがあるのか。一概に悪いとか、緩みとかは言えないように感じます。

 「改正ERCA独立行政法人環境再生保全機構法」(190閣法24号)は成立。

 「漁船被害および漁業災害補償法の改正案」(190閣法36号)は全会一致。参先議なので、衆に送付されました。

 この後、金子原二郎参議院情報監視審査会会長が登壇。同審査会は、議事録は人事のみ、インターネット中継もありません。金子会長は特定秘密保護法にもとづく、秘密指定について、担当相(当時の上川法相)や10の機関から説明を聞いたと報告。初年度なので、委員会からの要望はなかったそうですが、善処の余地も残ったようです。民進党も頑張りました。改めて、報告書を読んでみたいです。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 「児童扶養手当法改正案」(190閣法26号)と民進党対案(190衆法16号)。

 この委員会の筆頭理事は、前任の西村智奈美筆頭理事が再登板していると理解していますが、西村さんは「児童扶養手当を現行の年3回(4カ月に1回)から、(年12回)毎月支給することにしている衆法には、他の野党からも賛同の声が出ており、力強い」と語りました。ここで、平成22年2010年に野党・公明党が法案への修正案で、年6回(2か月に1回)とすべし、という案を出していたと指摘。これに対して与党・公明党の竹内厚生労働副大臣は「振込手数料や自治体の手間がかかる」として政権では否定的な答弁をしました。西村さんは「市長によると、振込手数料はゼロがほとんどだし、自治体の手間もたいしてかからないと言っている」と述べ、引き続き、年12回ないし6回の支給に向けて、協議が続きそうです。政府は「消費を促すため」補正予算を組もうとしています。児童扶養手当を総額同じまま、毎月支給するのも同じ貨幣論理です。様々な境遇の人に配慮する国会でなければなりません。

【同日 衆議院法務委員会】

 「外国人技能実習生の保護機構に関する法律案」(189閣法30号)。昨年の3月6日(金)に政府が提出。昨年9月4日(金)にこの委員会で法相の趣旨説明を聞いています。

 きょうは委員長が議題にし、趣旨説明は前の国会で聞いているため省略。質疑がありました。野党委員から「流動性の高い労働力が必要だという声もある。きょうは1日目だが、ぜひ法相と本音で話せる審議にしたい」との声が出ました。日本人に限らず、様々な境遇の人権に思いを馳せたいものです。

【同日 衆議院TPP特別委員会(環太平洋パートナシップ協定に関する特別委員会)】

 「TPP協定の条約承認を求める件」(190条約8号)と「TPP協定の国内実施のための一括改正法案」(190閣法47号)が趣旨説明されました。この委員会は5時間20分開議が遅れました。

 民進党の山井和則国会対策委員長代理は、当日朝の定例記者会見で、前日に政府与党から提出された、交渉に関するメモが、タイトル以外黒塗りだったことを批判しました。


[画像]政府が提出したTPP交渉に関する文書がタイトル以外黒塗りになっていることを批判する、民進党の山井和則国対委員長代理、2016年4月6日、YouTube民進党チャンネル内動画からスクリーンショット。

【同日 衆議院文部科学委員会】

 「東京オリンピック・パラリンピックのための、JSC法およびtoto法改正案」(190閣法31号)。

【同日 衆議院経済産業委員会】

 「原発核燃料サイクルの積立法の改正案」(190閣法17号)。与党の審査だけありました。理事会でなんらかの与野党対立があるのかもしれません。

【同日 衆議院内閣委員会】

 議員立法の「有人国境離島の保全と地域社会の維持に関する特別措置法案」(190衆法18号)が、自民党の武部新(たけべ・あらた)さんから趣旨説明されました。私が記憶する限り、2012年自民党初当選で、趣旨説明したのは、山下貴司さん以来2人目のように思います。与党自民党の元幹事長の子息である、武部さんが、世襲議員が人脈がある超党派で回りやすいというのはあると思います。

 法案は全会一致で可決しました。

 「特定有人国境離島」は法案によると、次の通り。 

別表(第二条関係)

特定有人国境離島地域の名称

特定有人国境離島地域を構成する離島

都道県

市町村

利尻・礼文

礼文島

北海道

礼文町

 

利尻島

 

利尻町 利尻富士町

奥尻島

奥尻島

北海道

奥尻町

伊豆諸島南部地域

三宅島

東京都

三宅村

 

御蔵島

 

御蔵島村

 

八丈島

 

八丈町

 

青ヶ島

 

青ヶ島村

佐渡

佐渡島

新潟県

佐渡市

舳倉島

舳倉島

石川県

輪島市

隠岐諸島

島後

島根県

隠岐の島町

 

中ノ島

 

海士町

 

西ノ島

 

西ノ島町

 

知夫里島

 

知夫村

見島

見島

山口県

萩市

対馬

対馬 海栗島 泊島 赤島 沖ノ島 島山島

長崎県

対馬市

壱岐島

壱岐島 若宮島 原島 長島 大島

長崎県

壱岐市

五島列島

宇久島 寺島

長崎県

佐世保市

 

六島 野崎島 納島 小値賀島 黒島 大島 斑島

 

小値賀町

 

中通島 頭ヶ島 桐ノ小島 若松島 日島 有福島 漁生浦島

 

新上五島町

 

奈留島 前島 久賀島 蕨小島 椛島 福江島 赤島 黄島 黒島 島山島 嵯峨ノ島

 

五島市

 

江島 平島

 

西海市

甑島列島

上甑島 中甑島 下甑島

鹿児島県

薩摩川内市

種子島

種子島

鹿児島県

西之表市 中種子町 南種子町

 

馬毛島

 

西之表市

屋久島

屋久島 口永良部島

鹿児島県

屋久島町

三島

竹島 硫黄島 黒島

鹿児島県

三島村

吐噶喇列島

口之島 中之島 諏訪之瀬島 平島 悪石島 小宝島 宝島

鹿児島県

十島村


 この後、「特定国立研究開発法人による研究開発の促進に関する特別措置法案」(190閣法32号9が、島尻・科学技術政策担当相から趣旨説明されました。

【同日 参議院地方・消費者問題に関する特別委員会】

 「地域再生法改正案」(190閣法15号)が修正可決しました。

 いろいろとトラブルがありましたが、その影響がどれほどかは別として、「4月1日施行」を修正して「公布の日施行」になりました。ですから、衆回付が必要になりました。審議の中では、石破地方創生相が日本で寄付が少ない理由に、宗教の違いを挙げました。私はかねてからこれが最大の理由だと主張してきましたが、大臣の答弁にも出て来てよかったと考えます。 

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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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パナマ文書流出、タックスヘイブン租税回避地の顧客リスト、国税庁「確認を進めている」【追記有】

2016年04月06日 15時00分53秒 | 国際

 国際リーク文書というと、ウィキリークスのアサンジ氏(アサンジ容疑者)が話題になりましたが、今度は、「国際調査報道ジャーナリスト連合」に

 「パナマ文書、パナマペーパーズ」が流出しました。

【追記 2016年5月10日午後1時】

 日本時間の、2016年5月10日の午前3時に公開されました。

 次のウェブサイトから、法人名・邦人名を検索できます。

 https://offshoreleaks.icij.org/

【おわり】

 租税回避地タックスヘイブン内の法人と取引している、個人、企業の名前が載った、パナマにある法律事務所「Mossack Fonseca」の1977年からの文書が流出しました。日本企業の名前のほか、個人の中には、海外の元首級の親族の名前も見つかっています。流出文書の解読による報道が進んでいます。このリストに名前が載っていることで、すぐに違法とは言えません。

 この余波で、アイスランドの首相が辞任しました。

 国際調査報道ジャーナリスト連合は、ICIJ Internatioal Consortium of Investigation Journalits です。consortium というのは「国際資本連合」という意味のようです。

 日本では、おととい、2016年4月4日付の朝日新聞が第一報(アイスランド首相、辞任へ パナマ文書の租税回避疑惑)を報じています。朝日新聞社の広報は、同団体の文書を読むことができる、「提携」をしている、と語りました。

 租税回避地での取り引きにそのものに違法性があるわけではありません。が、国の政府から補助金を受けていたり、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に献金をしたりしていたときは、違法でなくても「公金の国外での循環」「税逃れ」と批判されそうです。

 日本の財務省の国税庁の広報は、当ブログ(宮崎信行)の取材に対して「報道は見ており、確認をすすめている。これに限らず適正な課税につとめていきたい」としており、パナマ文書に関する報道を、日本国内での取り引きの確認などに活用する方針を示唆しました。

 ただ、日本の大企業や政治家の資金の流れに、パナマ文書に関係する流れがあった場合は、国税庁の政治力が強まりすぎる可能性もあります。それ自体が違法ではないのですから、関係者は自ら名乗り出るのが得策かもしれません。

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