【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

TPP「民進党は厳しく検証」、中小企業生産性向上化法案が審議入りも連休またぐ公算【4月5日(火)】

2016年04月05日 18時39分35秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 交渉入り当時よりは円の価値は3分の2になりましたが、ついに、TPPの国会手続きが始まりました。アベノミクスでは、中小企業の生産性向上に関する法律案が審議入りしましたが、成立は連休明けの見通し。

【平成28年2016年4月5日(火)参議院経済産業委員会】

 議案番号190閣法46号の「中小企業生産性向上化法案」は、表記が混在しており、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案」、「中小企業等経営強化法案」 と同じ法案のことです。

 林幹雄経済産業大臣から趣旨説明があり、質疑は後日となり、散会しました。
 

[画像]中小企業生産性向上法案を趣旨説明する、林経産相、2016年4月5日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 この法案では、経営力向上計画をつくり、大臣の認定を受けると、固定資産税が3年間半減し、金融支援などの特例措置を受けられるとしています。ただし、先週、国会で成立した、平成28年度税制改正のための改正所得税法(平成28年3月31日法律15号) で、「機械」に限定されており、当面、土地は対象外。

 法案の今国会での成立は確実な情勢。公布から3か月以内に施行。ただし、現在衆議院側で、原子力発電に関する法案と、TPPに関する特許法などの改正案が審議されるため、両院での可決・成立は、連休をまたいで、5月になると思われます。

【同日 衆議院本会議】

 まず、「法テラス総合法律支援法改正案」(189閣法57号)が全会一致で修正可決し、参議院に送られました。これ、本会議の日程を調整するために、法務委員会の採決日程を調整したのかもしれません。 

 続いて、ついに「TPP条約の承認を求める件」(190条約8号)と、「TPP国内実施一括法案」 (190閣法47号)が、岸田外相、石原TPP相から趣旨説明されました。

 代表質問で、共産党の笠井亮さんが「国会に提出される資料のうち、TPP英語版の8400ページ中、6000ページが日本語に翻訳されていない」と指摘しました。昨年秋の臨時国会でのTPP審議は準備が間に合わず不可能だったということにはなります。 

 民進党の山尾志桜里政務調査会長は「民進党は持続可能な経済成長を重視する立場」だ、とし、「TPPを含む高いレベルでの経済連携を進めるうえで、必要である。ただし、大事なのは中身だ。日本が何を勝ち得たか」とし、「鶴岡公二首席交渉官が、きょう、駐英大使に発令された」とし、政府の説明逃れを批判しました。 これについて、枝野幸男幹事長は同日夕の記者会見で「参考人としての出席のめどがついた」とあかしました。

 話は変わりますが、山尾さんの総支部、後援会の政治資金に関して、先週の「週刊新潮」が報じ、2ちゃんねる、Twitterを中心に批判が上がっています。私は当該の収支報告書を読みました。もともと組織のあるところなので、山尾さんご自身の力ではどうにもならなかったキャッシュフローがあり、それをただそうとしたプロセスがうかがえます。このアカウンタビリティー(説明する能力)は難儀です。「6市1町」という極めて稀な選挙区という事情もあります。

 ただ、元フジテレビジョンアナウンサーの長谷川豊さんという方の本人公式ウェブサイトに「落選中だった」という全くの事実誤認があります。この長谷川さんとおっっしゃる方は男性のようですが、インターネット上で山尾さんを叩いているのは、女性の方が多いでしょう。山尾さん自身が1委員として修正にかかわった、女性の活躍推進法が先週施行されましたが、このようなタイミングで、女性、非世襲、40代前半、親が叩かれるのは、島国日本の異常性であり、足らざる者のたわごとと思われます。要するに、女の嫉妬だということです。

 goo(NTT)からの情報提供メールで、たった今気づきましたが、まったく1年前にも、同じ、非世襲、野党、女性、2期生が攻撃されていました。1年前は関西テレビ放送、ことしは新潮社です。

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【同日 参議院内閣委員会】

 「成年後見制度の利用促進2法案」(190衆法22号)が可決しました。

【同日 参議院法務委員会】

 民進党提出の「ヘイトスピーチ規制法案」(189参法7号)に関して、大臣をまじえた質疑がありました。民進党の有田芳生さんの質疑に、岩城法相、河野国家公安委員長が答弁しました。

【同日 参議院外交防衛委員会】

 「日本カンボジア航空協定の条約承認を求める件」(189条約13号)、「日本ラオス航空協定の条約承認を求める件」(189条約14号)が趣旨説明され、散会しました。衆では3本審査したのに、参では2本。このような駆け引きは参の常とう手段になっています。だからといって、外務省大臣官房が国会対策をおろそかにすると、太平洋戦争の二の舞になります。

【同日 参議院厚生労働委員会】

 「戦傷病者および戦没者の妻に対する特例給付金支給法の10年延長法案」(190閣法10号)が可決しました。日切れ指定が年度を超えたので、修正可決しており、本会議後に、衆議院への回付が必要になりました。第190回通常国会の与党ペースがきしみました。

 この後、「確定拠出年金法改正案」(189閣法70号)が趣旨説明されました。

【同日 参議院農林水産委員会】

 参議院先議の「漁船損害および漁業災害の補償法改正案」(190閣法36号)が全会一致で可決しました。

【同日 参議院国土交通委員会】

 「海上交通法改正案」(190閣法37号、参議院先議)が趣旨説明されました。海上保安庁が津波の時に、私有の船舶をどけることができる法案。こういうのを、私権を制限する、民法の特別法(案)というんでしょう。

【同日 参議院環境委員会】

 「ERCA独立行政法人環境再生保全機構法改正案」(190閣法29号)。

 長く環境委員をつとめる、日本共産党の市田忠義さんが討論。


[画像]日本共産党の市田忠義さん、2016年4月5日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 市田さんは「国の環境問題に関する研究は国がすべき」だと独立行政法人化に反対し、「成果第一主義になり歪む」とし、中期目標を設けるよう促す法案に反対しました。市田さんは、7月10日が投開票日になると思われる、第24回参議院議員通常選挙に全国比例候補として立候補することになりました。同党の場合は、党名での投票が多く、個人名で5万票集めれば当選できると思われ、知名度の高い市田さんの、参院選に前後した活動が注目されます。

【同日 衆議院総務委員会】

 「TAO情報通信基盤研究機構法改正案」(190閣法38号)が趣旨説明されました。

【同日 衆議院財務金融委員会】

 「JBIC国際協力銀行法改正案」(190閣法25号)が趣旨説明されました。

【同日 衆議院環境委員会】

 「PCBポリ塩化ビフェニール処理特措法改正案」(190閣法40号)が全会一致で可決しました。

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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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