【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

TPP条約・一括法案の成立は、2016年秋の第191回以降国会に先送りへ

2016年04月19日 23時59分59秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

(この記事の初投稿日時は2016年4月20日午前9時半で、それから19日付にバックデートしました)

 自民党の佐藤勉国会対策委員長は、民進党の安住淳国会対策委員長に、平成28年2016年4月19日(水)、

 TPP条約の承認を求める件(190条約8号)とTPP国内実施一括法案(190閣法47号)を、第190回通常国会の会期(6月1日まで)末に衆議院に留め置き継続(閉会中審査手続き)し、2016年秋の臨時国会に先送りすることを決めました。 

 翌20日付の各新聞掲載に向けて複数の報道がありました。

 TPP条約は、規定上、12ヶ国中米国、日本などが批准しなければ、それ自体発効しません。米国での議会手続きがずれ込む見通しで、大統領就任有力候補が全員否定的な見方を示しています。この分野の米国リーディングメディアは、フロマン通商代表がチームを作り直す意向があるとも報じています。

 衆議院の環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会(TPP特別委)は審議入り直後から、西川公也・元自民党TPP委員長の著書「TPPの真実」(発刊先送りの報道)をめぐって、野党・民進党が激しく抵抗し、同特別委は審議が10日前後止まりました。

 これとは別に、平成28年度熊本地震をめぐって、平成28年度第1次補正予算案の秋の臨時国会への提出の観測が浮上しています。ただ、連立与党・公明党の山口那津男代表は19日の定例記者会見で「予備費の活用」を求め、補正予算編成論をけん制しました。

 また、平成28年度熊本地震により、来年4月の消費税増税の先送り(見送り)の公算が高まっているとしています。

 さらに、平成28年度熊本地震により、「6月1日衆議院解散構想」による、衆参同日選の可能性が減ったとの見方が出ています。

 国会は、参院選を控えた連休前にさまざまな動きが出てきました。ただ、基本的には連休明けの、伊勢志摩サミットでの安倍晋三首相(自民党総裁)の発言次第と考えられます。それまでは、あまり「補正はどうなる」と首相の発言に注目しすぎると、政府自民党の求心力、さらには政府与党内の首相への求心力が高まりすぎる懸念がありますので、5月27日(金)午後の首相の発言まで、力を蓄える時期になります。

 第24回参院選の後の、「第191回国会」は、参議院議長の選出だけで終わる「院の構成」国会になると思われ、2016年秋の臨時国会の回次は、「第192回国会」になるとみられます。 

 この記事の本文は以上です。


自公のヘイトスピーチ法案も審議入り 国際協力銀行法改正案が委員会可決【4月19日(火)】

2016年04月19日 17時52分20秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 会期や、法案の処理について、一部報道が出ました。残り27営業日(今日、祝日を除き、サミットは含む)。第1次安倍内閣の2007年通常国会が延長によって、第21回参院選の自民党惨敗旧民主党大勝(「逆転の夏」)につながったことから、延長は無いでしょう。

 平成28年熊本地震に対して、激甚災害指定が遅れる一方、補正予算案編成の観測が浮上しています。これは、旧民主党政権が、一般会計で1兆円ないし2兆円の予備費を組んでいたのに比して、第2次第3次安倍内閣が一般会計で0・35兆円のみ予備費を計上していることと無関係ではありません。見せかけの財政再建ともいえそうです。

 きょうの国会は、多くの一般法案が審査されました。

【平成28年2016年4月19日(火)衆議院本会議】

 菅直人内閣の「辞任3条件」の一つだった、「FIT再生可能エネルギー全量固定価格買い取り法」の「改正案」(190閣法28号)の趣旨説明と代表質問がありました。辞任3条件によって、太陽光エネルギーは飛躍的に増えました。ただ、固定買取価格や電力料金上乗せ分が高くなりましたので、その手直しが必要となっています。代表質問では、民進党から本村賢太郎さんが本予算案の討論に続いて、登壇しました。経産相らが答弁しました。

 続いて、「障害者総合支援法改正案」(190閣法39号)について、厚労相が答弁しました。

 登壇する議員が党国対の評価が高い議員であることは間違いありません。ただ、自民党では、野田聖子さんが総務会長になった在職20年目に初登壇したことがありました。閣僚としてひな壇に座っても演壇に立ったことは無いようです。

【同日 参議院法務委員会】

 ヘイトスピーチ法案が動き出しました。

 自民党と公明党がまとめた、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みに関する法案」(190参法6号)が議題となりました。公明党の矢倉克夫さんが趣旨説明し「与野党の理解を得ている法案だ」と付け加えました。質疑では共産党の仁比聡平さんが「ヘイトスピーチの立法措置は急務だ」としながらも「いわゆる理念法とはいえ罰則規定がないのは法律の効力が弱いのではないか」との認識を示しました。民進党の小川敏夫さんは「この法案でもヘイトデモは無くならない」と強調。答弁に立った自民党の西田昌司さんは「罰則はないがヘイトスピーチを禁じており効果はある」と答弁しました。

 午後の部は、刑事訴訟法改正案(189閣法42号)の参考人質疑がありました。

【同日 衆議院財務金融委員会】

 「JBIC国際協力銀行法改正案」(190閣法25号)が質疑、討論。共産党は「リスクの高いインフラ輸出に融資するので原発輸出が増えるのではないか」と反対。採決は、共反対、自公民賛成多数で可決しました。附帯決議つき。

【同日 参議院内閣委員会】

 衆議院議員立法の「有人国境離島地域の保全と地域社会の維持に関する特別措置法案」(190衆法18号)が趣旨説明。質疑に対する答弁では、新潟2区の自民党の細田健一さんと民進党の鷲尾英一郎さんがともに佐渡島の現状を答弁。とはいえ、隣に座りながらも目をあわせない、小選挙区のライバル意識がほとばしる場面がありました。採決では、生活の党が反対し、自公民共が賛成多数で可決。次の本会議で成立へ。

【同日 参議院文教科学委員会】

 「国立大学法人法改正案」(190閣法35号)が共反対、自公民賛成多数で可決しました。

【同日 衆議院総務委員会】

 「ビッグデータ活用のための個人情報保護法改正案」(190閣法48号)の質疑。公明党の浜村進さんの質問はさわやかさを欠きました。

 民進党の逢坂誠二さんは、個人情報保護法の目的規定の書き換えを問題視。「並びに個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資する」との改正条項は、個人情報保護法の趣旨を歪めると指摘しました。おもに総務業行政管理局長が答弁。

【同日 衆議院法務委員会】

 「外国人技能実習生機構法案」(189閣法30号)と「入国管理法改正案」(189閣法31号)。

【同日 衆議院国土交通委員会】

 「流通業務の総合効率化法改正案」(190閣法14号)。採決。共反対、自公民賛成で可決。

 一般質疑。

 そして、「港湾法改正案」(190閣法19号)を石井啓一国土交通大臣が趣旨説明して、散会。

【同日 衆議院環境委員会】

 まず、丸川珠代環境大臣が熊本地震の報告。政務官経験者の自民党の牧原秀樹さんが「環境省は(災害)ガレキ対策で経験を深めている」と評価しました。

 この後、「COP21パリ協定条約の国内実施のための温暖化対策法改正案」(190閣法51号)の質疑がありました。

【同日 衆議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会(衆議院TPP特別委員会)】

 「TPP条約の承認を求める件」(190条約8号)と「TPP一括法案」(190閣法47号)。

 衆参の重要5項目決議と、関税撤廃品目の数字について、政府側の答弁が混乱。民進党の玉木雄一郎さんの質疑中に「前倒し」で、休憩となりました。

【同日 参議院外交防衛委員会】

 「日比社会保障協定の条約承認を求める件」(190条約7号)が趣旨説明され、散会しました。

【同日 参議院総務委員会】 

 「NICT法改正案」(190閣法38号)。山本博司委員長が質疑終局を宣言。ここで「討論の通告があります」と話すと、討論省略ですぐに採決だと思っていた議員から「え!やるの?」との声が上がりました。働け!やる気が無いのは、公明党の横山信一さんあたりだと思います。旧民主党政権時から態度は悪いし、地元の農業の話しかしないし。

 共産党の吉良よし子さんが反対討論。吉良さんはおなかパンパンでした。横山さんらの怠慢で独立行政法人を肥え太らす法案は、共反対、自公などの賛成多数で可決しました。

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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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