渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

GPIF運用5・3兆円赤字、収益率-3・9%、GPIF法改正案の審議を与党自民党が先送りする観測も

2016年07月29日 15時55分54秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

 GPIFは平成27年度末、すなわち、ことし3月末の運用資産額が134・7兆円だと発表しました。

 2016年7月29日の発表。

 2015年7月10日に発表された、1年前の数字は137・4兆円ですから、2・7兆円毀損したことになります。年金の加入者・受給者含めた国民一人当たり3万円が1年で消えたことになります。

 その、1年間にも保険料が毎月、GPIFに入っているわけですから、ことし3月までの1年間に、収益額は「5・3兆円減少」収益率は「マイナス3・81%」となりました。

 これについて、国内株の比率を上げたから、というのは正しい認識ですが、全体の流れとしては、国内債券の比率を下げたから、というのが先です。日銀が金融緩和を年50兆円ペースから年80兆円ペースに上げたことで、市中銀行の手持ちの日本国債が玉切れする懸念があるため、GPIFが持つ日本国債を市場に吐き出す必要があったというのが、大枠での認識になります。塩崎厚労相と黒田日銀総裁の「新宿高校コンビ」の阿吽の呼吸です。

 政府は、ことし3月31日、「GPIF法改正案(公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案) 」(190閣法54号)を第190回通常国会に提出しました。ただし、この法案は、労働基準法改正案同様に審議入りしないまま、衆議院で閉会中審査の手続きがとられています。

 この法案について、GPIFが自主的に保有株式銘柄を今回発表したことから、政府・与党自民党が、法案そのものの成立をめざさない、という観測が報道されています。

 議題そのものから逃げる、与党安倍自民党に対して、衆参両院の本会議、予算委員会、厚生労働委員会が一体となった闘争が秋の臨時国会の争点の一つとなりそうです。

 そして、来年2017年。沖縄では本土復帰のときに20歳で国民年金に加入した人が65歳になります。国民年金保険料の納付率は向上していますが、自治体ごとでは、沖縄県内自治体がワースト5位のうち4自治体を占め、20%未満の自治体があります。来年、年金を十分にもらえれば、日本の国の信頼性が増しますし、仮に反対ならば、自民党、民進党関係なく、政府の存在意義が無くなります。

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い 

このブログは以下のウェブサイトを活用して、エントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

日本法令索引(国立国会図書館)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせ終わり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小川敏夫さんが参議院民進党会長に 2018年通常国会まで、小川勝也幹事長、榛葉賀津也国対

2016年07月29日 14時44分23秒 | 第191回国会(2016年8月)院の構成

 報道によりますと、民進党・新緑風会会長(民進党参議院議院会長)に小川敏夫さんが、2016年7月29日(金)就任しました。

 週明け月曜日からの第191回臨時国会から、再来年、2018年の通常国会末まで指揮を執ります。

 小川敏夫さんは、1998年東京選挙区で初当選。先の第24回参院選では、学生団体「SIELDs(シールズ)」らの応援で、連続当選4回。68歳。

 幹事長には、小川勝也さん。53歳。長幼の序を守る、参議院民進党としては、珍しく、会長よりも先輩の1995年初当選。当時は、鳩山邦夫代議士秘書の31歳があの大きい北海道で初当選ということで、新進党の組織力に自民党が震撼する出来事となりました。その後、連続4期当選。

 国会対策委員長には、1年ぶりに、榛葉賀津也さんが復帰。49歳。静岡選挙区で当選3回。榛葉さんは、細野グループ自誓会の幹部であり、これにより、向こう3年間、民進党本部常任幹事会に自誓会会員が出席することが確実になりました。参議院自誓会は、改選議員を落としており、生き残りのために、参議院で立て直しを図るものとみられます。

 今回は参議院三役に、全国比例、労組系が入らない布陣となりました。

 参議院自民党は、同日、当選4回で、清和会の全国比例、橋本聖子さんを会長に選出しました。 

[当ブログ内から、小川敏夫さんに関する過去のエントリー記事の中で、我ながら、よく書いてあるものをご紹介します。gooブログは2万字までなので、ダイジェスト版です]


小川法相が死刑執行 政権の重荷を分かち合いたい

2012年03月29日 20時28分38秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]死刑執行を発表する小川法相、2012年3月29日、NHKニュースから。

 小川法相は2012年3月29日(木)、死刑を3人に執行したと発表しました。民主党員の法相による死刑執行は、千葉景子法相の2人以来で、これで合計5人となりました。刑事訴訟法第475条第1項は「死刑の執行は、法務大臣の命令による」とし、476条は「法務大臣が死刑の執行を命じたときは、5日以内にその執行をしなければならない」としています。

 我が国の法体系は刑法の「死刑」を頂点として構成されており、軽犯罪法、公職選挙法、警察官職務執行法(警職法)にいたるまで、そのピラミッドのなかで実定法が整っている、のだと思います。ですから、法相による死刑執行がなければ、実定法にほころびが出かねません。小川法相の判断は、過去への責任、未来への責任と同時に、なによりも今日への責任です。



 上の映像にテロップがついていますが、小川さんは実際には「しこうをしっこうすべき」と発音しており、「死刑」を「しけい」と発音できなかったようです。それが政権を担うという重荷だと考えます。

  その意味では小川敏夫さんによる死刑の執行という与党としての責任、精神的負担を私も分かち合わねばなりません。私は第22回参議院議員通常選挙(2010年7月11日)の東京選挙区で、「小川敏夫」と書いています。私自身、有権者として自分が投票した政治家が死刑を執行したのはこれが初めて。また当ブログは、「東京選挙区でお薦めの候補者はだれなのでしょうか」という声にお答えして「【東京】安定の夏は「小川敏夫さんの方」に【追記あり】」という見解を表明し、小川さんは5人区で4位に滑り込むことができました。私も「第3期小川敏夫参議院議員」の作り手の一人として、死刑執行という与党の重い責任の一端を担います。間接民主制であり、直接民主制ではありませんが、「間接」の責任が私にもあります。

 小川敏夫さんは第22回参院選投票直前の2010年7月7日の屋内集会での演説で「46歳のときに子どもが生まれて、自分の人生より先のことを考えるようになった」「政治を志した時の国の借金は200兆円で、政権を引き継いだ時は600兆円。もっと早く政権交代したかった」と語りました。朝日新聞の夕刊に55年体制崩壊直前からの法相ごとの死刑執行数が載っています。これをみると、55年体制最後の後藤田正晴・副総理兼法相が3人執行。細川護煕内閣で民間人(東大法学部長)から入閣した三ヶ月章法相が4人執行。しかし、羽田内閣で我が新生党参院議員から就任した永野茂門(ながの・しげと、全国比例)法相が0人、民社党衆院議員の中井洽法相が0人と、国会議員による執行命令はありませんでした。その後は、自民党がずらり。なかには警察官僚ナンバー2(警視総監)から参院議員に天下った下稲葉耕吉法相が3人執行しています。このように50年間、自民党員が死刑を執行し続けてくれば、閉鎖的な法務省東京地方検察庁による国策捜査が起きるのはむしろ当然でしょう。

 
[写真]東京拘置所の刑場=NHKニュースから。左の3つのボタンを刑務官が押し、任意の1つが執行のボタンになる。右側の赤い四方は下に空き、死刑囚は5メートルほど下まで数度にわたり落下する。

 民主党内にはいまだに政権の重荷を分かち合おうとしない小沢グループがいます。しかし、私たち民主党良識派(主流派)は前に進んでいます。政策


【東京】安定の夏は「小川敏夫さんの方」に【追記あり】

2010年07月03日 20時54分15秒 | 第22回参院選(2010年7月11日)反省の夏


 東京選挙区(定数5)には、24人が立候補しています。
 立候補者一覧は、次のリンク先から確認できます。

 http://senkyo.yahoo.co.jp/kouho/d/tokyo/

 民主党公認候補も2人いますが、ぜひとも、

 小川敏夫(おがわ・としお)候補

 をお願いしたいですね。

 

 

民主党のヘイトスピーチ禁止法案がついに審議入り、参考人「差別を法律で禁止してほしい」

2016年03月22日 15時58分07秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[画像]意見を述べる参考人、2016年3月22日、参議院法務委員会、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 ヘイトスピーチを法律で定義づけて禁止する、「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案」(189参法7号)が、平成28年2016年3月22日(火)の参議院法務委員会で審議入りしました。

 法案は「人種等を理由とする差別」について、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身を差別すること」だと定義。

 「特定の者について、その者の人種等を理由とする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動をすること」で「他人の権利利益を侵害してはならない」としています。

 この定義と禁止事項は現行法になく、ヘイトスピーチを定義づけたうえで、禁止するもの。ただし、罰則は書き込んでおらず、いわゆる理念法案・スローガン法案と呼ばれるものです。

 きょうは参考人質疑。浅野さん、崔さん、金さん、ギブンズさんが意見を述べました。崔さんは「理念法だが、まず差別を法律で禁止してほしい」と語りました。ギブンズさんは「アメリカでも共和党のなかにいろいろ変なことがありますが、正しいことを言えないと蓋をすると爆発する」と語り、行政による規制が強すぎることも問題だと、アメリカおよびグローバリゼーションの観点から意見を言いました。

 この法案は、昨年(平成27年2015年)5月22日(金)に小川敏夫さん外(ほか)6名が提出。延長国会の8月4日(火)に趣旨説明しましたが、会期末の9月25日(金)に継続調査となっていました。参議院民主党は、刑事訴訟法改正案(189閣法42号=衆議院修正)が8月21日(金)の本会議で審議入りした後も、両法案の同時審議を求めて紛糾。審議が止まったまま、年を越していました。

 同委員会の定例日は残り18日間(ゴールデンウィーク除く)で、取り調べ可視化をはじめて法定化する刑訴法改正案とヘイトスピーチ法案を審議する、日本の刑事制度にとって、歴史的な国会となりそうです。両案とも参先議なので、会期末より1週以上前に、参議院を通過するのではないかと考えられます。

 同委員会は20名。委員長は、魚住裕一郎・公明党参議院会長。筆頭理事は、自民党の西田昌司さん、民主党の有田芳生さん。委員には、民主党の小川敏夫元法相(第24回参議院選挙東京選挙区公認内定候補者)、 参議院民主党国会対策委員長の加藤敏幸さん(今国会で勇退)、江田五月元法相・元参議院議長(同)が名を連ねています。

 民主党は20年間、参議院法務委員会に「婚外子相続差別規定の禁止法案」「女性の再婚禁止期間改正法案」などの議員立法を出し続けてきました。この2法案は、参議院自民党から「浮気が増えるから」などとよくわからない理由で拒否され続けました。最高裁判所の違憲判決を反映するという立法府としてはもっとも遅い恰好で法律になってきました。

 ヘイトスピーチ禁止法案も、参議院自民党の抵抗が続きましたが、刑訴法の審議と引き換えにまずは参考人質疑が行われることになり、動き出しました。

 ところで、次の写真は、昨年10月の法務省。


[写真]法務省、昨年10月、筆者・宮崎信行撮影。

 「ヘイトスピーチ、許さない。」との力強いポスター。

 でも法務大臣って、この3年間、自民党の大臣ですよね。自民党が大臣をやっている法務省に「ヘイトスピーチ、許さない。」とポスターが貼ってあるのに、なぜ参自はヘイトスピーチ禁止法案に抵抗してきたんでしょうね。本当に参自は古い。

たぶん憲政史上初、法治国家をまもる死刑執行経験のある政治家同士がやりとりし、再々質問の大バトル

2015年08月21日 18時28分27秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]左は小川敏夫元法相、右は上川陽子法相、2015年8月21日、参議院本会議、参議院インターネット氏審議中継から、おのおのスクリーンショット。

【平成27年2015年8月21日(金) 参議院本会議】 

 泰然自若としていたいのですが、政治の話をするときに「死刑がこわい」という人は結構います。いわば、法律、国家権力の究極の行使として「死刑」が存在する。

 ただ、わが国の刑法をはじめとする法体系で、「死刑」という最高刑があって、そこから比較衡量で様々な罰則が決まっているのでしょうから、法治国家として死刑を執行するのは当然です。

 ところが、55年体制になって以降、実に55年間にわたって、自民党員である国会議員の法務大臣しか死刑を執行していません。

  そして、現時点で、死刑執行命令書にサインをした経験を持つ、野党国会議員は、小川敏夫さん一人しかいません。来夏の参院選に公認内定が出ているということで、私は法治国家としてその法体系を守るために政権政党の法相が死刑を執行するのは当然だと考えます。ただ、半世紀以上自民党員しかいなかったということは、ゆがんでいる。

 憲政史上初めてでしょう。「刑事訴訟法改正法案」(189閣法42号)をめぐって、小川敏夫元法相が登壇し、上川陽子法相と論戦を繰り広げました。上川法相も既に死刑執行の経験があります。その者同士の議論になりました。小川さんは「フーバーFBI長官は48年間つとめた」とし、「その権力は盗聴(通信傍受)により築いたものだ」とし、法案の「通信傍受の拡大」を激しく批判しました。これに対して、上川法相の答弁に納得しなかった小川さんは再質問し、「犯罪に関係しない者に対して濫用してしまった」警察などの裁判証拠について問いました。上川法相も原稿なしで答弁。小川さんが再々質問で登壇し、「私の質問に答えていない」とし、上川法相は「通信傍受の証拠の特定はプライバシー侵害になる場合がある」と答弁しました。

 民主党の岡田克也代表は同日午後の定例記者会見で、「死刑にはいろいろな議論がある」としながらも、「わが国に死刑がある以上、死刑に対して意見が違う人は、法務大臣の任を受けるべきでない」とし、現在の法体系が死刑を認めている以上、死刑に慎重である者は、はじめから法務大臣になるべきでない、という「原理主義」を表明しました。


江渡聡徳・防衛大臣が民主党の猛攻に耐えかね更迭

2014年12月24日 09時57分58秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[画像]自民党の江渡聡徳防衛大臣を鋭く追及する、民主党の小川敏夫さん、2014年10月16日(木)の参議院外交防衛委員会からスクリーンショット。

 第47回衆院選の青森2区で、得票率67・5%で6選した、自民党の江渡聡徳さんが、防衛大臣(兼)安保法制再整備相を辞任したいと、安倍晋三首相に伝えた、と報じられました。これをうけて、安倍首相はきょう、平成26年2014年12月24日(水)発足の第3次安倍内閣で、別の自民党議員を大臣を起用する見通し。

 江渡さんは資金管理団体「聡友会」の人件費が、法律上認められた総選挙時以外に、江渡さん本人や、私設秘書の「T氏」に支出されていたことが就任以来、第187回臨時国会で一貫して追求され続けました。衆議院安全保障委員会では、初めて同委になった民主党の大串博志さん(佐賀2区で40%以上の得票を得るなどして4選)、参議院外交防衛委員会では、民主党財務委員長の小川敏夫さんが徹底的にせめました。

 この間に、松島みどり法相が「うちわ問題」、小渕優子経産相が「観劇会問題」で辞任。しかし、江渡さんは、「輝く女性」に隠れた「日陰の男性」のため、男女差別か、逆差別かで話題にあまりなりませんでした。ただ、これは私の意見ですが、江渡大臣は、まちがいなく、答弁で嘘をついており、答弁の辻褄が合わない状態になっていました。ですから、自ら第3次内閣に加わらないかたちで身を引くのが賢明でしょう。なので、武士の情けで、カテゴリーも「第187回臨時国会」のカテゴリーにいれて、来るべき、2015年1月召集の通常国会の安保法制の再整備法案の審議では蒸し返さないことにいたしましょう。

 江渡大臣のもとでは、人事院勧告を完全実施する給与法案のほかに、新型国産(防衛省開発、川崎重工製造)哨戒機「P1」の中期防(まずは23機)にもとづく整備を念頭に置いて、国庫債務負担行為の設定を、防衛大臣が財務大臣に「特定防衛調達だ」とのお墨付きをもらうと、財政法の5年から特例として10年間の保証をもらえる法案が付託されていましたが、政治とカネに問題をかかえる大臣のもとでは審議ができないのは当然。廃案となりました。

 

会社法改正案で小川元法相「株強制買取グレーゾーン2事例」で批判、「児童ポルノ処罰法案」先に審議入り

2014年06月12日 20時20分12秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[画像]会社法改正案の特別支配株主(9割以上株主)の強制買取の代金の受け渡しについて質問する民主党の小川敏夫筆頭理事=参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【2014年6月12日(木)参議院法務委員会】

 会社法改正案の政府案(185閣法22・23号)民主党案(186参法10号)の審議が3週間ぶりに再開しました。が、質疑は終局せず、衆議院議員立法の「児童ポルノ禁止・処罰法改正案」(186衆法28号)の趣旨説明を、遠山清彦・衆議院法務委員会理事(公明党)から聞いてところで散会しました。

 会社法改正案の修正や採決は、会期末週の来週に持ち込まれ、重大局面を迎えました。

 質疑では、民主党の小川敏夫筆頭理事が登場。のっけから「特別支配株主(9割以上株主)の強制買取の際にお金が払われない場合について質問する」とポイントを絞りました。

 谷垣禎一法相は、政府与党の厳しい立場が分かっていますから、常に低姿勢。「(法務省)民事局からこの問題について、小川委員がたいへん興味を持っているとうかがっている」としました。

小川さんは「事例を考えてきた」として、グレーゾーンの2事例を紹介。

 事例1) 地方の老舗旅館の当主は地元の名士だが、ごたぶんにもれず不況で内情は苦しい。そこで内職としてラーメン屋をやったら、意外にもあたって、チェーン店化したので、腹心に店長として経営を任せた(ことで1割未満株主になってもらった)。オーナーはラーメンチェーンの儲けを、苦しい旅館経営の補填に使っていたところ、ファンドからラーメンチェーンを売ってほしいという話が来た。そこで、オーナーは売ってしまおうと思ったが、店長は一生懸命やってきた店なので売りたくないという。そこで、オーナー(特別支配株主)は店長の株を買い取って、ファンドに経営権を譲渡したが、オーナーはみかけは名士だが、土地は全部担保に入っていたので、銀行から返済を迫られ、すかんぴんになってしまった。

 事例2) 成功した創業社長が亡くなった。そこで初めて実は婚外子がいたということが分かった。(民主党が主導した婚外子差別禁止民法施行前だったので)相続により、社長の株は、奥さんが5割、子供(1人目)が2割、子ども(2人目)が2割で、婚外子が1割を相続した。でも、奥さんは婚外子が嫌いなので、1割の株を強制的に買い取ったうえで、お金を払おうとしない。


[画像]小川敏夫元放送が示した2つの事例に思わず、もらい笑いしながらも毅然と答弁する谷垣法相=参議院インターネット審議中継。

「集団的自衛権行使の15事例」の向こうを張った「小川2つの事例」を聞いて、谷垣法相は思わず笑みを浮かべながらも、そのような例がありうるとしました。 

 小川さんは「基本は同時履行だ。対価を払うよう規定を設けられないか」と語り、谷垣法相は「民事局から委員にもんでもらっていると聞いている」と語り、会期末の来週になんかとする考えを示唆しました。

 こんなのホントウは、政府・与党で全部処理しなければいけないのですが。

 野党の筆頭理事というと、昔は反対ばかりでしたが、小川さんは、谷垣さんの先輩法務大臣だし、また、小川法相も谷垣法相も死刑執行命令を出しています。その当時10期生の鳩山邦夫法相が、情報公開法にもとづく命令書の情報開示請求があった際、実名入りですべて開示したうえに、マスコミにまで公開。記者会見で「なぜこのようなことをするのか」と質問されて逆切れ、「死刑を執行した私の心の重さが分かるのか!」との趣旨の発言をしたこともあり、二大政党の深い河を越えても心が通じるものがあるのでしょう。


NHK籾井勝人会長の資質問題で、高市総務相が謝罪 小川敏夫「試験監督が受験生にカンニングさせた」

2015年03月23日 20時05分52秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

(このエントリーの初投稿日時は2015年3月23日午前11時半で、午後8時過ぎに追記)

【平成27年2015年3月23日(月)参議院予算委員会】

 一般的質疑3日目。

 小川敏夫さんが質問。

 NHK(特殊法人日本放送協会)の籾井勝人会長が、2015年3月16日の参議院予算委員会基本的質疑1日目=NHK中継=で、答弁の際、後ろから資料を渡そうとした人物がNHK職員ではなく、総務省職員だったのではないかとの疑惑を追及。

 まず籾井参考人は「手渡された資料は、放送法逐条解説という冊子だ」としました。 

 答弁に立った、高市早苗総務相はのっけから「おわびしたい」としました。高市大臣の説明では、大臣自体は、閣僚席から見て、NHK会長に後ろから資料を渡そうとした人物はNHK職員だと思ったが、調べたら、総務省職員だったと答弁。そのうえで、総務省職員は、NHKに資料をお貸ししようとし、実際の答弁には使わなかったが、議題になっていた、放送法逐条解説で第1条第2項のページを開いて渡していた。「きわめて不適切であり、今後再発しないよう、おわびしたい」と語りました。

 これに先立ち、小川さんは、「総務省とNHKの関係からすると、試験監督官が受験生にカンニングをさせたようなものだ」と激しく批判。小西洋之委員(旧郵政省出身)から「会長辞めろ!」との声が上がりました。

 

「アベノミクス結果がすべてだ」と小川敏夫さんが首相に言い返す 政権交代後の最初の参・予算委再び

2015年08月24日 19時04分45秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]日経平均株価暴落を表現する電光ボードに見入る人々、2015年8月24日、東京駅・八重洲口方面、筆者(宮崎信行)撮影。

【平成27年2015年8月24日(月)参議院予算委員会】

 テレビ入り集中審議が開かれました。この時期と言っても、安倍首相が95日間の大延長国会(9月27日まで)を決めたのですから、当然です。

 民主党の小川敏夫さんが質問しました。なんか連日のように小川さんについて書いているように思えますが、242名の参議院ではがんばる人に仕事が集中しやすい傾向が顕著で、予算委員会の筆頭理事や、議院運営委員会、会派幹事長を何度も務めている小川さんに出番が回ってくるようです。

 小川さんのアベノミクス批判について、安倍晋三首相(自民党総裁)から「結果がすべて」と切り返されたのは記憶に新しいところです。これは議事録を見ると、平成25年2013年2月18日(月)なので、下野直後で民主党の傷心がいえないころ。ただ、異次元の金融緩和が始まったのはこの1か月半後ですから、マネタリーベースは、民主党時代と同じく「正常」だったころです。遠い昔です。

 さらに驚いたのですが、これは民主党下野後の最初の参議院予算委員会でした。

 きょうの小川さんは、「いよいよその兆候がはっきり表れた」と実質賃金の下げ幅の拡大、設備投資の低調、などを指摘。

 「結果がすべてではないか」と2年半経って言い返しました。

 安倍首相は「3本の矢でデフレではない状況を作り上げた」としました。小川さんが民主党政権下の白川日銀も金融緩和(2012年2月からの中長期的な物価安定の理解)をしていたことを示すと、安倍さんは「民主党政権の1%という弱々しい目標ではなく、自民党政権の2%で市場の空気は一変した。結果が示している」と再び言い返しました。総理が「結果がすべて」を再び言い返したのは、大人げない、子どもの喧嘩、横綱のダメ押しのようないやな感じがしました。

 GPIF理事長は、3月末で、日本株が占める割合が22%に達していることを明らかにしました。昨年10月の日銀の追加緩和と同じ日に、厚生年金の運用先の割合が日本株25%になり、そこから買い増しているので、上限に達した可能性があります。小川さんが問うと、「6月末の数字は8月末に分かる」として答弁を避けました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする