【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

安倍晋三首相(自民党総裁)「国民の不信を招いた」と頭を下げて謝罪、「人づくり革命」補職辞令が官報に掲載

2017年08月03日 23時30分09秒 | 第194回臨時国会(国難突破冒頭解散2017年9月)

[画像]頭を下げた、安倍晋三首相(自民党総裁)、2017年8月3日、首相官邸ウェブサイト内動画から宮崎信行がキャプチャ。

 安倍晋三首相(自民党総裁)が、頭を下げる異例の記者会見となりました。

 首相は、第193回通常国会閉会から1か月半経った、平成29年2017年8月3日(木)内閣改造を断行し、第3次安倍第3次改造内閣を発足させました。

●首相の謝罪は異例。

 午後6時からの記者会見で首相は自ら、冒頭発言の切り出しから「森友学園の国有地売却問題、加計学園の獣医学部新設問題、防衛省の日報問題」と名指しし、「国民の皆様から多くの不振を招く結果となった」と語り、頭を下げ、謝罪しました。首相の記者会見での謝罪は異例。

 6月の国会閉会、7月の都議選惨敗を通じて、内閣支持率が2ケタずつ暴落していくことへの危機感の表れです。

●官邸主導の働き方改革担当相が厚労省に乗り込んで第194回臨時国会で関連法案。

 前の内閣で、官邸の「働き方改革実行会議」をとりまとめた加藤勝信さんが、厚生労働省の大臣に横滑り。一方、女性活躍は総務大臣の兼務、一億総活躍は初入閣大臣となりましたので、加藤大臣が官邸から厚生労働省に殴り込みをかけて、第194回臨時国会で、「働き方改革関連法案」を答弁することになりそうです。加藤大臣は、この1年間、答弁に立つことがあまりありませんでした。数少ない答弁では、意外に不安定だ、と私は感じていました。秋の審議は、次の第48回衆院選に向けて、天下分け目の決戦になるかも。

●「革命」担当大臣の補職辞令が官報に。

 文部科学省・学校法人利権に強かった清和会で、厚生労働族議員でもある、安倍首相。国務大臣の補職辞令には、「人づくり革命」という、与党・保守・自民党にはなじまない言葉が載りました。


[画像]29年8月3日付、官報特別号外15号、宮崎信行が部分的にキャプチャし、赤線部分を加筆。

 「人づくり革命」。昨今の官報には、経産省の「第四次産業革命」ということで出てきています。広辞苑によると、「革命」はもともとは「天命が変わること」を意味する易経の言葉。ただ、この文脈ではそぐわず、「revolutionの翻訳語である、被支配階級が支配階級になること」を意味する「革命」であることは明らか。日本同様に二大政党政治の導入が遅れて経済低迷が続いたメキシコも、与党は「制度的革命党」(PRI=現在は改称)でした。長期独裁与党が「革命」を使うのは、国民のガス抜きには良い政治手法なのかも。

●教育族の安倍内閣で、「人づくり革命」「働き方改革」で霞が関流動化も。

 茂木国務大臣の補職は「人生百年時代を見据えた経済社会の在り方を大胆に構想する人づくり革命」担当大臣。マイナンバーと社会保障・税一体改革担当を束ねています。

 文教族は安倍内閣の権力の根城です。第1次安倍内閣は、改正教育基本法や教育再生実行会議をへて、日教組などの権力から、公教育を解放する実績をあげました。しかし、2017年、ついに私学学校法人との長年の黒い癒着が、に明るみに出ました。人づくり革命ということで、文部科学省の仕事を、財務省・経産省・内閣府・厚労省と調整してくるようにも思えますが、「夢をもう一度」ということで、教育・雇用を解散に向けた実績にする場合は、世論が流動化し、それに自民党現職議員たちが気づかない、というシナリオも予想されます。

 いずれにせよ、「改憲のための衆参各々の3分の2」維持と「次の2年ないし4年間の衆参各々の過半数」獲得を天秤にかけることで、首相が判断を誤ることもありそうです。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2017年、宮崎信行。

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Miyazaki Nobuyuki 


【第3次安倍第3次改造内閣】世襲議員率50%、二世率70%(親が県議除くと60%)自民党高水準も改善の兆し、民主党5%よりはるかに世襲率高い

2017年08月03日 13時40分14秒 | 政権交代ある二大政党政治の完成をめざして

[写真]安倍晋三首相(自民党総裁)、2017年6月、筆者・宮崎信行撮影。

 第3次安倍第3次改造内閣の世襲議員率は50%、二世議員率は70%と自民党政権らしく相変わらず高水準ながらも、小選挙区制・公募制によりやや改善の兆しを見せました。

 安倍晋三首相(自民党総裁)は、昨夏の参院選後から1年ぶりに、平成29年2017年8月3日(木)内閣改造しました。第3次安倍第3次改造内閣となりました。このメンバーで、予算・税制の概算要求、第194回臨時国会、第48回衆院選に突入します。

●世襲議員率は50%(安倍首相含む)で、麻生内閣の67%からは改善、民主党野田内閣は僅か5%だった。

 閣僚(安倍首相や公明党出身者含む)20名のうち、二世議員は12名、世襲議員は10名となり、世襲議員率は50%と高率でした。

 当ブログ内で以前に計算したときは、下野直前の麻生内閣が「麻生内閣の世襲率は67%、二世率は83%に上昇」。民主党政権の野田内閣では「野田改造内閣の世襲率5%で横ばい、二世率33%」となっていました。民主党の「5%」に比べれば、今度の内閣の「50%」は高率ですが、21世紀自民党では、改善の兆しが出てきました。

 当ブログは、世襲議員の定義を、「選挙区(分割、参議院含む)を親(祖父・義父・養父)から継承した議員」、二世議員の定義を、「親が国会議員だった議員」と定義しています。この定義で行くと、世襲率50%、二世率60%。ただ、私は過去に親が県議・首長も二世に含めて計算しています。麻生内閣のときに「二世率83%」と計算したのと同じ計算式では、今度の内閣の二世率は70%となります。

 このため、麻生太郎副総理と、野田聖子総務相は、先代の引退から間をおいて立候補しているので、「二世議員だが、世襲議員ではない」と定義しました。松山政司一億総活躍相、小野寺五典防衛相は、県議や首長の親(義父)を持ちます。このため、この4名を「二世議員だが、世襲議員ではない」と定義して計算すると、今度の内閣は「世襲率50%、二世率70%」となります。

●親が地方議員・首長を含めると、自民党幹部は100%二世になってしまう。

 これを、与党自民党の「総裁・副総裁・党幹事長・総務会長・政調会長・選挙対策委員長」の6名にあてはめると、世襲率67%、二世率はなんと100%となります。

 ただ、今後は親が県議は二世としない方向で計算したいと思います。

 盲点は、参議院東京選挙区(定員5ないし6名)で、原元参議院議長から娘婿の中川雅治さんが世襲しており、環境相となりました。また、加藤厚労相も娘婿ですが、娘婿は2人とも大蔵官僚出身ということになります。

 中選挙区から小選挙区にかわる過程で、親の引退よりも前に分断地盤から立候補した河野太郎さんが外相となり、これは世襲の強みです。

●とはいえ、自民党も小選挙区公募制で、改善の方向で、たたき上げの斎藤農相は58歳で初入閣。

 「非世襲で非二世」の叩き上げは、8名。うち親(義父含む)が県議・首長を除くと6名。公明党を除くと5名になります。とはいえ、1959年生まれの斎藤健農相が初入閣、1960年生まれの小野寺さんが再入閣となりますので、小選挙区で自民党も人材面では間口が広がったといえそうです。

●それでもたたき上げは大変だ、松山一億活躍相の支部は、立候補前後に「松山姓3名」から3800万円借り入れて、今でも2900万円残る。

 松山一億相は、参議院福岡選挙区(定数2ないし3)で当選3回。福岡県公報では、自民党福岡県参議院第3選挙区支部の政治資金収支報告書は、2005年12月31日付まで遡れます。このとき、父親で県議だった、松山譲さんが1250万円、その他の松山姓の人物が1250万円前後ずつ貸し付けています。松山姓が合計3800万円貸し付けています。それから10年以上経ちましたが、直近でも、2900万円(松山政司さん本人は除く)。自民党もすそ野が広がりましたが、それでも、福岡のような大きな選挙区から参議院に出るには、大変だなというところです。

●民主党内閣の世襲率5%は忘れないでほしい。

 民主党内閣は世襲率が5%でした。民主党菅直人首相(代表)は「菅奇兵隊内閣」と名付けました。世襲議員でなくても、親は立派な人が多く、東大総長、流通最大手創業者、造り酒屋社長、校長、渡辺美智雄後援会長など多士済々でした。世襲でないから、立ち居振る舞いが不安定に見えるという面があったわけで、それで叩くのは、日本人は陰湿だなと感じることもありました。もう昔の話です。

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地域経済活性化支援機構法を改正して5年延長する法案、2018年通常国会に提出へ、金融庁、ゆうちょ銀行巻き込みも

2017年08月03日 07時11分28秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]金融庁が入る庁舎、東京都千代田区霞が関、2015年、筆者・宮崎信行撮影。

 「株式会社地域経済活性化支援機構法改正案」が、平成30年2018年の通常国会に提出される見通しとなりました。

 「機構」を共管する、内閣府・総務省・財務省・経産省のうち、内閣府の金融庁は、法律の有効期限を5年延長し、ファンドとゆうちょ銀行の連携を強化する法改正をめざしているようです。きょう、2017年8月3日付の日経新聞が1面で報じました。

 第2次与党期自民党の麻生内閣は下野直前に、「株式会社地域経済活性化支援機構法」(平成21年6月26日法律63号)をつくりました。今年度(平成29年度)の予算書では、一般会計総則で政府が保証しており、ファンドの総額は、2000億円前後のようです。

 法律にはその第25条第8項に、「再生支援決定は、平成30年3月31日までに行わなければならない」と書き込まれていますが、これを、来年度を含めて合計5年間延長したい考えのようです。ここで、ゆうちょ銀行の巻き込みも図るようで、その改正条項も入るとみられます。

 基金は、出資・融資だけでなく、人材も送り込むとのことで、ここ数年の財政難と低金利による、官民ファンドや政府系金融機関の膨張による「社会主義化」の流れとも受け止められます。

 自治体議会などがかかわるにしても、これから生まれる地元自治体の子供たちの生活がじわじわ厳しくなるような、融資計画をすることは許されません。

 法案は、衆参とも、財金委員会に付託されるとみられ、さほどの対決法案が見当たらないことから、提出されれば、年度内に成立する公算が高いのではないかと考えられます。


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