[画像]頭を下げた、安倍晋三首相(自民党総裁)、2017年8月3日、首相官邸ウェブサイト内動画から宮崎信行がキャプチャ。
安倍晋三首相(自民党総裁)が、頭を下げる異例の記者会見となりました。
首相は、第193回通常国会閉会から1か月半経った、平成29年2017年8月3日(木)内閣改造を断行し、第3次安倍第3次改造内閣を発足させました。
●首相の謝罪は異例。
午後6時からの記者会見で首相は自ら、冒頭発言の切り出しから「森友学園の国有地売却問題、加計学園の獣医学部新設問題、防衛省の日報問題」と名指しし、「国民の皆様から多くの不振を招く結果となった」と語り、頭を下げ、謝罪しました。首相の記者会見での謝罪は異例。
6月の国会閉会、7月の都議選惨敗を通じて、内閣支持率が2ケタずつ暴落していくことへの危機感の表れです。
●官邸主導の働き方改革担当相が厚労省に乗り込んで第194回臨時国会で関連法案。
前の内閣で、官邸の「働き方改革実行会議」をとりまとめた加藤勝信さんが、厚生労働省の大臣に横滑り。一方、女性活躍は総務大臣の兼務、一億総活躍は初入閣大臣となりましたので、加藤大臣が官邸から厚生労働省に殴り込みをかけて、第194回臨時国会で、「働き方改革関連法案」を答弁することになりそうです。加藤大臣は、この1年間、答弁に立つことがあまりありませんでした。数少ない答弁では、意外に不安定だ、と私は感じていました。秋の審議は、次の第48回衆院選に向けて、天下分け目の決戦になるかも。
●「革命」担当大臣の補職辞令が官報に。
文部科学省・学校法人利権に強かった清和会で、厚生労働族議員でもある、安倍首相。国務大臣の補職辞令には、「人づくり革命」という、与党・保守・自民党にはなじまない言葉が載りました。
[画像]29年8月3日付、官報特別号外15号、宮崎信行が部分的にキャプチャし、赤線部分を加筆。
「人づくり革命」。昨今の官報には、経産省の「第四次産業革命」ということで出てきています。広辞苑によると、「革命」はもともとは「天命が変わること」を意味する易経の言葉。ただ、この文脈ではそぐわず、「revolutionの翻訳語である、被支配階級が支配階級になること」を意味する「革命」であることは明らか。日本同様に二大政党政治の導入が遅れて経済低迷が続いたメキシコも、与党は「制度的革命党」(PRI=現在は改称)でした。長期独裁与党が「革命」を使うのは、国民のガス抜きには良い政治手法なのかも。
●教育族の安倍内閣で、「人づくり革命」「働き方改革」で霞が関流動化も。
茂木国務大臣の補職は「人生百年時代を見据えた経済社会の在り方を大胆に構想する人づくり革命」担当大臣。マイナンバーと社会保障・税一体改革担当を束ねています。
文教族は安倍内閣の権力の根城です。第1次安倍内閣は、改正教育基本法や教育再生実行会議をへて、日教組などの権力から、公教育を解放する実績をあげました。しかし、2017年、ついに私学学校法人との長年の黒い癒着が、に明るみに出ました。人づくり革命ということで、文部科学省の仕事を、財務省・経産省・内閣府・厚労省と調整してくるようにも思えますが、「夢をもう一度」ということで、教育・雇用を解散に向けた実績にする場合は、世論が流動化し、それに自民党現職議員たちが気づかない、というシナリオも予想されます。
いずれにせよ、「改憲のための衆参各々の3分の2」維持と「次の2年ないし4年間の衆参各々の過半数」獲得を天秤にかけることで、首相が判断を誤ることもありそうです。
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(C)2017年、宮崎信行。
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Miyazaki Nobuyuki