さきほど、「日英ACSA」が公布され、ただちに発効しました。それを見通してすでに公布された改正自衛隊法に定める、日本自衛隊から英国軍への弾薬の提供、国内での宿舎提供などをを含む物品役務の相互融通条項もただちに施行しました。
英国のメイ首相が、今月末来日するようですから、日英の後方支援を前提にした首脳会談となりそうです。
また、かりあげ君黒電話こと金正恩・朝鮮労働党国防委員長が暴発して朝鮮戦争が再開され、国連軍が再活動した場合、それに参加する英国軍に、日本国内外で、日本自衛隊が後方支援することも、国内・国際法上、可能となりました。
けさほど、日英ケニア投資協定の発効だけのほほんと記事にしましたが、ゆうがたに官報特別号外が出て、日英ACSAが「平成29年8月18日条約28号」として公布されました。外務省条約課によると、英国政府も手続きを済ませていることから、すでに発効しました。
これに伴い、すでに国内法として公布済みの、改正自衛隊法の「新・第100の10条」も施行されました。
条約の承認と国内法は、先の第194回通常国会で、「193条約2号」「193閣法26号」として2月に提出。ともに、民進党、共産党、参議院会派「沖縄の風」が反対し、自公維が賛成して、承認・成立していました。ほとんど話題になりませんでした。
●日米ACSAだけでなく、遠い英国とのACSA締結の理由に「日本国連軍地位協定」
スタンダードな条約集に載っていませんが「日本・国連軍地位協定」(日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定)という条約があります。基本的には日米地位協定と変わりませんが、「軍属の定義」などは一部違うようです。日本・国連軍地位協定に参加しているのは、日本、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス、カナダ、イタリア、ニュージーランド、フィリピン、タイ、南アフリカとなります。この「南アフリカ」が参加しているあたりが、「朝鮮半島における国連軍の正統性・正義」をいかにも表現している風情です。朝鮮戦争が再開し、国連軍が再開したら、日本国内において、英国軍に対して、物資の提供をすることが可能となりました。このことから、日米、日豪に加えて、日英が発効し、日仏も交渉中という背景につながっているようです。私ちょっと変に感じて調べたら、こういうことのようです。
もちろん、朝鮮半島国連軍ではなく、地球の裏側シリア・イラクでの、米英仏など有志連合への後方支援というのも、想定はできます。現実的に、きょうあすどう、という話ではありません。別に読者を不安にさせて、なにか私が持っていきたい方向に連れて行こうとしているわけではありません。
ほとんど国会でも世論でも話題にならないまま、集団的自衛権を行使する日本にどんどんどんどん変わっていきます。一度変わりだすと早いです。
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◎日米・日豪・日英ACSA承認と防衛省設置法改正案が日切れ指定で提出 集団的自衛権軍拡路線突き進む
日英ACSA条約締結、今国会に承認案を提出へ、地球の裏側の戦争に後方支援する集団的自衛権が現実味
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きょう施行された、改正自衛隊法「第100の10条」は以下の通りです。
[自衛隊法から抜粋引用はじめ]
(前略)
(英国軍隊に対する物品又は役務の提供)
第百条の十 防衛大臣又はその委任を受けた者は、次に掲げる英国軍隊(英国の軍隊をいう。以下この条及び次条において同じ。)から要請があつた場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、当該英国軍隊に対し、自衛隊に属する物品の提供を実施することができる。
一 自衛隊及び英国軍隊の双方の参加を得て行われる訓練に参加する英国軍隊(重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律第三条第一項第一号に規定する合衆国軍隊等に該当する英国軍隊、武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律第二条第七号に規定する外国軍隊に該当する英国軍隊及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律第三条第一項第一号に規定する諸外国の軍隊等に該当する英国軍隊を除く。次号及び第四号から第九号までにおいて同じ。)
二 自衛隊の部隊が第八十二条の二に規定する海賊対処行動を行う場合において、当該部隊と共に現場に所在して当該海賊対処行動と同種の活動を行う英国軍隊
三 天災地変その他の災害に際して、政府の要請に基づき災害応急対策のための活動を行う英国軍隊であつて、第八十三条第二項又は第八十三条の三の規定により派遣された部隊等と共に現場に所在するもの
四 自衛隊の部隊が第八十四条の二に規定する機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行う場合において、当該部隊と共に現場に所在してこれらの活動と同種の活動を行う英国軍隊
五 部隊等が第八十四条の三第一項に規定する外国における緊急事態に際して同項の保護措置を行う場合又は第八十四条の四第一項に規定する外国における緊急事態に際して同項の邦人の輸送を行う場合において、当該部隊等と共に現場に所在して当該保護措置又は当該輸送と同種の活動を行う英国軍隊
六 部隊等が第八十四条の五第二項第三号に規定する国際緊急援助活動又は当該活動を行う人員若しくは当該活動に必要な物資の輸送を行う場合において、同一の災害に対処するために当該部隊等と共に現場に所在してこれらの活動と同種の活動を行う英国軍隊
七 自衛隊の部隊が船舶又は航空機により外国の軍隊の動向に関する情報その他の我が国の防衛に資する情報の収集のための活動を行う場合において、当該部隊と共に現場に所在して当該活動と同種の活動を行う英国軍隊
八 連絡調整その他の日常的な活動(訓練を除く。次号において同じ。)のため、航空機、船舶又は車両により本邦内にある自衛隊の施設に到着して一時的に滞在する英国軍隊
九 連絡調整その他の日常的な活動のため、航空機、船舶又は車両により英国内にある英国軍隊の施設に到着して一時的に滞在する部隊等と共に現場に所在し、連絡調整その他の日常的な活動を行う英国軍隊
2 防衛大臣は、前項各号に掲げる英国軍隊から要請があつた場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、防衛省の機関又は部隊等に、当該英国軍隊に対する役務の提供を行わせることができる。
3 前二項の規定による自衛隊に属する物品の提供及び防衛省の機関又は部隊等による役務の提供として行う業務は、次の各号に掲げる英国軍隊の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 第一項第一号に掲げる英国軍隊 補給、輸送、修理若しくは整備、医療、通信、空港若しくは港湾に関する業務、基地に関する業務、宿泊、保管、施設の利用又は訓練に関する業務(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。)
二 第一項第二号から第九号までに掲げる英国軍隊 補給、輸送、修理若しくは整備、医療、通信、空港若しくは港湾に関する業務、基地に関する業務、宿泊、保管又は施設の利用(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。)
4 第一項に規定する物品の提供には、武器の提供は含まないものとする。
(英国軍隊に対する物品又は役務の提供に伴う手続)
第百条の十一 この法律又は他の法律の規定により、英国軍隊に対し、防衛大臣又はその委任を受けた者が自衛隊に属する物品の提供を実施する場合及び防衛省の機関又は部隊等が役務の提供を実施する場合における決済その他の手続については、法律に別段の定めがある場合を除き、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定の定めるところによる。
(後略)
[自衛隊法から抜粋引用おわり]
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