【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

渋谷和久さんが太平洋を越えてチリ大使に栄転、TPP11で自由貿易を推進した無名の英雄

2020年04月18日 13時37分30秒 | 霞が関人事
[写真]入道雲(積乱雲)は日本列島にしかない、9年前、宮崎信行撮影。

 環太平洋パートナーシップ協定「TPP11」の交渉の下働きで国益・国民益を増進した無名の英雄、渋谷和久さん(昭和58年旧建設省)がチリ駐箚特命全権大使に栄転することがきのうの閣議で決まりました。

 TPP11の交渉当事者が、TPP11加盟国の大使になることになりました。5大陸は新型コロナウイルスで大荒れ。太平洋の波は静かですが、赴任はしばらく見送られそうです。チリは人口1700万人で、銅の世界最大の産出・輸出国。TPP11がグローバル化を続けるのか、はたまた、地域ブロック化するのかは神のみぞ知るところですが、環太平洋の比重が環大西洋の比重を上回るとの観測もありますが、今はコロナ収束だけが人類の目的です。

 茂木敏充TPP担当大臣が外相に昇進していることも人事に影響したのでしょうか。当ブログ内の2年前の記事では、当時の参議院議員山本太郎さんがTPP12のルール分野で「新自由主義の代表例である米企業の日本公共分野に対するコンセッション方式が含まれるのか」との問いに、渋谷さんが「含まれる」と答弁したところ、「含まれない」が正解だとして、渋谷さんと茂木TPP担当相が謝ったとする記述もあります。4年前の記事では、大臣に随行する職員の経費について、渋谷さんは「質問通告を受けて土日に計算したが、1・1億円だ」と答弁。米議会ロビイストを雇ったのかとの問いに岸田文雄外相(当時)が「雇ったが、金額は明かせない」と不誠実な答弁に終始したのとは対照的な姿勢をみせました。

 外務事務次官経験者が駐米大使をつとめたあと、「専門だから」という理由で駐独大使になったことがありました。TPP11交渉当事者が、TPP11メンバー国の大使になるというのは、多少は論功行賞もあるかもしれません。同国はスペイン語ということで、英語についても、国交省出身の渋谷さんがケンブリッジの天皇、ハーバードの皇后両陛下よりも英語が堪能ということはないでしょうが、果てしない地平線のかなたのチリで、自由貿易大国ニッポンの希望を追い続けてもらいたいものです。

 以上です。