【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【4/3】参では官邸官僚・古谷一之・副長官補の天上がりで所信聴取、衆ではGAFA新法が審議入り

2020年04月03日 22時07分02秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[画像]古谷一之・内閣官房副長官補、参議院インターネット審議中継をスクリーンショット。

 30万円を1000万世帯に給付することで、自民党総裁の安倍晋三首相と岸田文雄政調会長が合意しました。3兆円程度の追加歳出。2009年の麻生太郎内閣の1・2万円支給は、その後の第45回衆院選で大惨敗したので、麻生財務大臣はやりたくなかったようです。休業補償と営業自粛がセットだということに気付いていない。安倍・麻生・岸田トリオは鈍感。今週は「全5000万世帯に布マスク2枚を日本郵政が配達」が私も驚く大炎上。「マスクより現金」という世論が爆発しかけています。おそらく大企業正社員の収支は2009年よりも安定しているでしょうが、閉鎖的で陰湿な日本人の体質が少しでも変わることを願います。

 そんななか、ダイヤモンド・プリンセス号の対応で防衛省・自衛隊の医官・薬剤官・看護官が一糸乱れぬ活躍。全体を率いたのは、昭和53年(1978年)大蔵省入省で、3人いる内閣官房副長官補のうちの筆頭、古谷一之さんだったとされます。官邸官僚の能吏が、「天上がり」ということで、公正取引委員長に転出することになり、所信聴取がありました。官邸官僚というと、通産省の今井尚哉(昭和57年入省)、佐伯耕三(平成10年入省)両首相秘書官のことですが、財務省出身の古屋さんの栄転で、官邸内での勢力図がまた変動することになります。

【参議院議院運営委員会 令和2年2020年4月3日(金)】

●官邸官僚古谷さん公取委員長に転出へ

 上述の通り、8年ぶりの公正取引委員会委員長交代に向けて、古谷一之候補の所信表明と質疑がありました。現在の杉本和行委員長が昭和49年入省の元財務事務次官で、古谷さんは昭和53年入省、長崎県出身、東大法学部卒業。元国税庁長官になります。

 古谷さんとあわせて、人事院人事官候補として、古屋浩明さん(昭和55年人事院入省)も所信表明し、2人あわせて各党議運委員の質疑を受けました。

【参議院本会議 同日】

 「道路交通法改正案」(201閣法38号参先議が投票総数236、賛成236、反対0の全会一致で可決し、衆議院に送られました

 これに先立ち、新型コロナウイルス感染症の政府対策本部の設置と東京オリパラ延期について、安倍晋三首相が政府報告。代表質問で自民党の石田昌弘さん(日本看護協会組織内)が「小さい声で演説します」と速記者らに気を使いました。

【衆議院本会議 同日】

●GAFA規制法案が審議入り

 検索・動画配信子会社の「グーグル(Google)」、電子商取引・クラウドの「アマゾン(Amazon)」、会員制交流サイト「ファイスブック(Facebook)」、スマホの「アップル(Apple)」のアメリカ本社の巨大IT企業「GAFA」を規制する、独占禁止法などの改正法案が審議入りしました。

 梶山弘志・経済産業大臣が2法案を趣旨説明し、代表質問を受けました。「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案」(201閣法22号)と「特定デジタルプラットホームの透明性及び公平性の向上に関する法律案」(201閣法23号)の2本です。経産相は「5Gやドローンを経済や安全保障に活用する」とともに、「指定者に対して取引を行う中小企業との取引に関して情報提供を求める」などの情報開示を日本政府に求めることに意欲を示しました。

【衆議院経済産業委員会 同日】

  遅れていた、大臣や公取委員長に対する一般質疑がありました。この後、上述の「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案」(201閣法22号)と「特定デジタルプラットホームの透明性及び公平性の向上に関する法律案」(201閣法23号)が趣旨説明され、審議入りしました。

【衆議院安全保障委員会 同日】

●防衛省設置法改正案の吊るしが降りる

  遅れていた、大臣の所信表明に対する質疑がきのうに続いて行われました。この後、政府が1月31日(金)に提出し、きのう4月2日(木)に議長から安保委に付託された「防衛省設置法改正案」(201閣法4号)がようやく趣旨説明され、審議入りしました。

【衆議院法務委員会 同日】

 「裁判所職員定員法改正案」(201閣法17号)が採決されました。討論では、職員の配置換えが概算要求段階から減らされており技能職員の減員が地方の2名しか裁判官がいない支部で影響を与えているとの批判がありました。共産党反対、自民党・公明党・立国社などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「高齢者・障害者バリアフリー法改正案」(201閣法14号)が全会一致で可決すべきだと決まりました。

【衆議院外務委員会 同日】

 「日本とUAE、ヨルダン、モロッコ、コートジボワールとの投資協定の承認案」(201条約1、2、4、5号)と「日本とASEAN東南アジア諸国連合の包括的経済連携協定の第一改正議定書の承認案」(201条約3号)が趣旨説明され、審議入りしました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 一般質疑で新型コロナウイルス感染症に対する質問が集中。PCR検査を絞る手法について、先週は賛同する世論があったのに、今週は批判的世論が増えています。国際世論を含めて日本世論が流動的になる究極のグローバル化の渦中にいます。おそらく厚労省の職員はまるっきり自分自身が見えていないでしょう。国会を開き続けて、政府を監視すべきです。

●来週の予定。

 月曜日、4月5日は9時から衆議院で平成28・29年度の決算委員会分科会で各府省庁の審査で午後4時前後まで審議があります。午後1時からは平成30年度決算の参議院決算委員会省庁別(法務省・財務省・金融庁)審査1日目。火曜日は衆議院決算行政監視委員会がテレビ入り審議で、野党議員が委員長をつとめる今国会初めての審議になります。補正予算案編成を見越した政策パッケージも決定されます。

以上です。