渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【1/5】自民党役員会「第3次補正予算案の後にコロナ特措法案を審議」認識を共有、最短で2月3日前後成立か、立憲代表「補償の水準が一番の論点だ」

2021年01月05日 17時46分46秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]自民党本部=参議院議員会館の裏玄関からの構図=、6年前2015年、宮崎信行撮影。

 仕事始めから大きく動いた政局ですが、きょう火曜日はやや落ち着いた印象ですが、与野党の認識の共有が見られました。

【自民党役員会 令和3年2021年1月5日(火)】

 閉会中定例の「党本部で、火曜日に」行われました。菅義偉総裁は(1)緊急事態宣言をあさって7日の新型コロナ特措法に定める諮問委員会にはかる(2)来月下旬にワクチン接種できるようにする(3)民間の病院にも協力してほしいーーと発言しました。世耕弘成・参議院幹事長の発言の順では「立憲民主党の羽田雄一郎幹事長が亡くなった」と首相立ち合いの場で報告がありました。

 国対委員長らは、あさって7日(木)午後2時に衆参の議運理事会で官房長官が「18日(月)召集」を伝達すると報告。きょう5日(火)の政府与野党連絡協議会で新型コロナ特措法再改正案に先んじた議論をスタートする、としました。そのうえで、第3次補正予算案を成立させ、その後、特措法再改正案を成立させたいとの認識を示し、共有されました。

 共有された認識だと、最短で、補正の成立が1月28日(木)以降、特措法再改正案の成立が2月3日(水)に前後した日になりそうです。「遅い」という批判がどれだけあがるか。

【立憲民主党代表記者会見 同日】

 枝野幸男代表は、「補償の水準が一番の論点だ。事業の継続が可能な最低限のもの」だと語りました。枝野さんは前日、特措法の罰則の見返りとしての補償は「(補償をしないと、憲法29条が定める)財産権侵害になりかねない」と語りました。これは、リベラルが私権の制限に慎重だという意味ではなく、罰則を設けることを認めて、補償の必要性を説いた発言。立憲民主党内で私権の制限に強硬に反対するリベラル議員の存在というのは、私は聞いたことがありません。

 SNS。きのうからきょうにかけてどの立場からも「飲食店の時短・休業要請のもとでの補償は十分な金額が必要だ」という趣旨の声であふれました。もはや「財源に配慮すべきだ」「国の借金が増える」という声は皆無。現金を求めるのはあさましいという深層心理に基づく自己規制をしている段階でもなさそう。

 現在、枝野さんは「補償」、首相は「給付金」、小池百合子さんら都庁などは「協力金」と呼んでいます。枝野さんは、この「補償」の金額についてが国会論戦の軸にすえました。前年同月比の売上減少分全額なのか、仕入代金が不要な前提での粗利益補償なのか。これまでの「休業協力金」に引き続き都道府県庁がやるのか、「持続化給付金」のように国が直接やるのか。こういったところが争点になりそうです。

●閣議はなし

 きのう、閣議があると書いてしまいましたが、きょう5日火曜日は閣議は開かれませんでした。失礼しました。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。
インターネット版官報

Ⓒ2021年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【法案】内閣府、基地周辺の外資などの土地所有の「思惑」の情報収集法案を2021年通常国会提出へ

2021年01月05日 17時11分17秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]参議院の中庭、4年前の2017年、宮崎信行撮影。

 内閣府は、自衛隊の基地などの周辺の土地を、外資などが所有しているときに、その「思惑」情報を収集する新しい法律案を、第204回通常国会に提出することにしました。再来月2021年3月上旬にも閣議で決定されそうです。十数年前から政策課題となっており、初めての法案提出になります。

●「国土利用の実態把握等のための新たな法制度の在り方について提言」(2020年12月24日)は「速やかな新法成立を」求める

 きょねん7月の「骨太の方針2020」に「安全保障等の観点から、所要の措置を講じる」。10月に官房長官決裁で有識者会議をつくり12月にまとめ、森田朗元東大教授が小此木八郎・領土問題担当大臣に手交しました。

 とりまとめた提言書によると、「例えば、長崎市対馬市では海上自衛隊対馬防衛隊の周辺土地が、また、北海道千歳市では航空自衛隊千歳基地の周辺土地が、外国資本に取得され」「市議会において、様々な議論が行われている」と名指し。噂のたぐいではなく、政府の文書で明記されました。基地周辺土地の取得は「情報の非対称性」があるとし「どのような者がどのような目的で土地を取得・利用しているか分からない」ことが不安につながっているとしました。

 そのうえで提言書は、アメリカでは、きょねん2月に対外外国投資委員会(CFIUS) の審査対象が外国資本による設備・金融資本投資だけでなく、不動産取得にも広がった事例を紹介。検討したところ「有識者会議としては、政府に対し、本提言を踏まえ、長年の課題への解となる新規立法措置を速やかに具体化し、成立を図ることを求めたい」と法案提出を強く要求。さらに「必要な人員・体制や予算を確保」することも求めました。この提言書は、わずか2か月の有識者による検討とはいえ、森田教授が自ら筆をとって強い書きぶりにしたことがうかがえるものとなっています。

●法案の対象は「生活関連等施設」

 具体的には、憲法29条の財産権をまもる基本を強調。国民保護法が定義する「生活関連等施設」に限って対象にすべきだとしました。基地からの距離は安全保障の技術の進展なども勘案して「ケースバイケースで柔軟に設定しうる仕組み」として一律の距離でしばるべきではないとしました。高所からの監視などもありうるので「土地に加え、建物も含めることが必要だ」としました。また「所有権に加え、賃借権等の利用権も含めることが必要である」と指摘しました。

●縦割り打破で現行法規から情報集める

 この対象について、まずは所有者の「氏名、住所、国籍等」を把握し、「不動産登記上の地目」など外形的な利用情報をおさえるべきだとしました。内閣府は縦割りを打破して、不動産登記簿、住民基本台帳、戸籍簿、商業登記簿、固定資産課税台帳、外為法、森林法、国土利用計画法などから情報を一元的に集めてデータベースをつくることを提案し、法的裏付けの整備が必要だとしました。さらに「現地・現況調査としては、土地等の形状・面積・利用の実態等に関し、地図や航空写真を活用することが考えられる。また、より詳しい実態を把握する必要がある場合には、現地に赴き、外部から視認できる範囲で、実際の敷地の様子、建物の形状等を調査することも考えられる」としました。

●「土地収用法」に踏み込むも今後の検討課題に

 提言書は、公共事業に際して土地収用法が使われていることにも言及しましたが、私権制限がともなう「実効性」については今後の課題だと結びました。


[写真]小此木八郎・領土問題相、おととし2019年、都内で、宮崎信行撮影。

●2021年通常国会は私権制限に慎重なムードが醸し出されるかも

 法案の成否がかかる2021年通常国会は新型コロナウイルス感染症対策の法律・予算の整備が最優先課題となり、年内に必ずある衆院選に向けて、政府・与党が私権制限につながりかねない法案に慎重になる政局も考えられます。また、小此木八郎大臣が兼ねる国家公安委員長は、ボウガン規制の銃刀法改正案の答弁も予想されます。

●菅直人内閣「日本版エクソン・フロリオ条項」野田佳彦内閣「尖閣諸島をK氏から購入」で野党にも賛成論か

 そうはいっても、11年前に、当時の菅直人内閣が与党議員から「日本版エクソン・フロリオ条項をつくるべきだ」との予算委員会での提言を首相がひきとるかたちで党内基盤を固めたり、2012年には野田佳彦内閣が予備費36億円で、尖閣諸島を、日本人地主のK氏から買い取ったりしています。このような経緯から、法案は審議入りすれば、短時間で成立することが予想されます。内閣府には沖縄以外には地方支分部局がないことから、総務省などとの所掌の整理が必要になってくるかもしれません。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。
インターネット版官報

Ⓒ2021年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする