渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎「1月8日」の菅首相「報道ステーション」の「英国変異種の国内感染者が発生したら水際強化」との趣旨発言した時間帯までに市中感染者発生し入院か、東京新聞など、自民党内の異論を強行も情報伝達ミス露呈か

2021年01月10日 22時52分04秒 | 第204通常国会令和3年2021年
 菅義偉首相(自民党総裁)がおとといの報道ステーション(テレビ朝日)に出演した際に「イギリスでは新しい変異種が発生した。変異種が国内では1例でも発生したら、すぐに停止する」と発言。その時間帯までに、市中感染者が入院していた公算が高まりました。

 首相がビジネストラックでの英国などからの入国を継続する水際政策をとったことには自民党内から批判が上がっており、首相の基盤が弱まる可能性があります。

 物理的な意味で、厚生労働省庁舎とお互いの半分近くが丸見えの位置にある、東京新聞社のスクープのようです。それに前後した時間帯で日テレニュース24(
)も報じ、厚労省も夕刻前後に発表しました。

 東京新聞電子版がさきほど報じたところでは、先月22日に英国から帰国した日本人男性が空港検疫(厚労省所管)で検査し、このときは「陰性」。しかし、念のため14日間の自主隔離を求められました。ちなみに、14日後は今月6日(水)になります。しかし、市中で会食。その後、先月29日に「陽性」となり、今月7日に入院しました。この間、会食した濃厚接触者のうち、1人が先月30日に発熱し、今月8日に入院したと報じられました。首相が報道ステーションに出演したのは8日ですから、その時間帯までに、市中感染者が入院していた公算が高まりました。

 報道ステーションは自公政権と距離があるとされてきましたが、首相の支持率が下がったからか、8日はスタジオで事前収録で出演しました。水際で英国からの入国を日本人ビジネスマンに限り継続する決定をし、与党内からも批判されていることに関連した質問で、菅首相は「イギリスでは新しい変異種が発生した。変異種が国内で一例でも発生したら、すぐに停止する」と語りました。政治部長から更に問われ首相は「市中で一例でもあったらそこの国はすぐに停止する」と明言しました。首相は「判明」ではなく「発生」という言葉を使いました。8日の報ステ出演の時点で、政府や東京・千葉都県などの公共セクターが英国からの変異種による市中感染者がいるとの情報はつかんでいたとみられ、それが首相に伝わっていなかったことは確実とみられます。

 首相は連日、内閣官房、厚労省の幹部から報告を受けていますが、総務省からは受けていません。首相は総務大臣経験者ですが、いわゆる自治三局(旧自治省)では局長を「ふるさと納税」の意見対立から「校長」に左遷する見せしめ人事をしており、菅さんに報告を上げようという意識が希薄だとみられます。

 エビデンスは確定していませんが、英首相は正式記者会見では変異株の感染力が最大で1・7倍であるのではないかとの見立てを明示しました。また蛇足ながら筆者が付け加えると「ウイルスのスパイクの欠け」が少ないと若年層への感染力がより高い懸念もあるでしょう。菅首相が悪い噂が上がらないようなしくみをつくってしまっていたことがうかがえます。この有事に、筆者も「裸の王様だ」とまでは言いませんが、総務省への冷徹な左遷人事のしっぺ返しのような気もしなくもありません。来週月曜日の通常国会召集を待たずに、今週から自民党内で抗議の声が上がることも予想されます。

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【NHK日曜討論】菅首相・公明代表「謙虚に受け止める」と緊急事態宣言遅かったと認める、時短・休業補償で首相「売上の5割とか、なるべく近く」と前向き、枝野立憲代表は「従業員数、面積」など外形標準を提案

2021年01月10日 11時08分20秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]緊急事態宣言前の先週4日(月)の虎ノ門ヒルズ(=東京・港、森ビル)は閑散としていたが、繁華街のお店はそうはいかない。

 来週月曜日の通常国会召集を前に、2021年最初のNHK日曜討論は恒例の各党党首の個別インタビューが放送されました。

 菅義偉自民党総裁は、まず首相の立場で福井県内の豪雪でのクルマ立ち往生について「このことは予想していた」と強調し、自衛隊を派遣したことを報告しました。

 緊急事態宣言の発令が遅れたとの批判について、菅さんは「謙虚に受け止める」、山口那津男・公明党代表は「緊急事態宣言のタイミングについては様々な意見があり、謙虚に受け止めるべきだ」と各々語り、遅かったとの認識を認めました。

 補償について。菅首相は「時短で1日8万円でお願いしているが、なかなかご協力いただけないのは事実だ」。特措法改正案の罰則と見返りの補償について「正直言って、極めて難しいご指摘だ。売上の5割が減った場合はいくらぐらいというのは店舗によって、いろいろな背景があり、なかなか難しい」としながら「近いものにすべきだという風に思っている」と語りました。首相が一律の協力金ではなく、損失の一定割合の補償に踏み込んだのは、これが初めてだと思います。

 枝野幸男・立憲民主党代表は「従業員数や面積によった補償も考えらえる」とし外形標準を使った補償を初めて提案しました。枝野さんは「事態を軽く見ていたのではないか」とし政府与党は楽観視していたため緊急事態宣言が遅れたと強調。対案として「検査を飛躍的に増やす。未発症者が感染を広げているのは間違いない」とし「厚生労働省も検査数を把握できていないのではないか」と1年前から検査体制を充実させておくべきだったと失政をなじりました。

 枝野さんは第49回衆院選について「総選挙の公示日に選択肢を示す。そのときの自民党総裁が誰かは分からないが、その人か枝野か、どっちが総理にふさわしいか見極めてもらう」とし衆院選(10月まで)の自民党総裁(9月まで)が菅首相ではない可能性に言及。仮に「菅おろし」が自民党内で起きても同党の支持率は大きく回復しないとの見立てをにじませました。

 維新の片山虎之助・国会議員団長は「いかにも遅い。緊急事態宣言の道具箱は特措法と予算だ」と語りました。

 共産党の志位和夫委員長は「第3次補正予算案は、コロナ収束を前提にしており、全面的な組み替えが必要だ」と話しました。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は「入国制限、水際対策をもっとすべきで、全面停止すべきだ」とし、「持続化給付金の再給付と、定額給付金1人10万円で生活に困窮する人にはさらに10万円上乗せして給付すべきだ」と主張しました。

 社民党の福島みずほ党首は「コロナ収束が最優先だ」、れいわの山本太郎代表は「政治が機能していない今、既存の制度を使って生活を守ってください、生活保護を使ってください」、N国の立花孝志代表は「NHKの集金人が(弁護士法が禁ずる)非弁活動をしていた可能性があり、裁判でたたかう。コロナ対策では、菅首相はユーチューブでガースーチャンネルを開設して、発信を増やすべきだ」と各々、語りました。

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