渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【訃報】さようなら、ありがとう、伊藤英成さん

2021年01月19日 22時59分28秒 | その他
 伊藤英成さんが亡くなったとの報道が入りました。

 1998年の民主党としては初代政調会長、それに先立つ新党友愛の幹事長、民社党の政策審議会長をつとめた、伊藤英成・衆議院議員が、きょう、令和3年2021年1月19日亡くなったそうです。享年79。あす豊田市で葬儀を行いますが、近親者のみとのこと。トヨタ自動車入社後、1983年、現職急逝に伴い、豊田社長と労組委員長の共同の要請で立候補し、初当選。連続6期すべて圧勝。働くなかまが定年を超えたとして2003年にあっさり引退しました。

 私・宮崎信行は、1998年3月、弱冠24歳の若き日の青春時代、衆議院第5控室にカバンを置くと、25控室に顔を出し、伊藤英成幹事長の番記者を、中野寛成代表の番記者とともに担当。会社員として初めてメーン担当を一人で任されました。

 議員会館詰めの秘書全員、全員衆議院本館詰めの党職員にもよくしてもらい、麹町にある「社宅」にもたびたびうかがいました。初対面で「期待してるよ」と社交辞令。しばらくして気に入れると、「アクセルふかすよ。しっかりついておいでよ。今、連合の鷲尾会長からケータイに電話があった。きょうは豊田章一郎経団連会長と会ってきた。あすは、創価学会の秋谷会長に会う。一人で行こうと思ったけど、代表が連れて行って、というので、代表と2人で行く。政界広しといえども、連合、経団連、創価学会の会長に会えるのは僕だけなんだよ、自民党にすらいないんだよ、僕だけなんだ」とのことでした。

 その後、仲間内では、1998年民主党で菅直人さんに代表を譲って幹事長代理につく鳩山由紀夫さんともう1人の幹事長代理に名前が挙がりました。仲間の先輩も「えいせいは、トヨタという超大組織一つで当選してきているから、いろいろな組織との調整を経験した方がいいのではないか」と諭されましたが、NHK日曜討論に出たいということで、政調会長となりました。

 政調会は、伊藤英成会長、岡田克也会長代理、枝野幸男筆頭副会長の三役で発足。私は継続で、政調会長番となりました。私はいろいろと運が良いのですが、それから23年間という化石のように長い時間が経った現在も岡田常任顧問と枝野代表にはお世話になっています。

 政治記者の武勇伝として有名な「記者会見の原稿を、記者会見より前に書く」ということをしましたが、実際の伊藤幹事長記者会見に臨むと、我ながらまるっきりの的外れ。勉強になりました。

 今、過去の取材メモを探し当てました。1998年8月20日。「英」ブリーフィングと表題を書きながら、「英」を二重線で消し「枝」ブリーフィングと書き直しています。故人に対して二重線とはまことに失礼、汗顔のいたりですが、時間に追われる新聞記者ゆえお許しいただきたい。

 ただ、「英」3党協議報告、とあるので、枝野筆頭副会長がブリーフィングし、もちろん、会合ではまず、伊藤会長の報告がありました、とていねいにブリーフしてくれたようです。


[写真]「8/20 英ブリーフ」と書きながら「英」に二重線を引き「枝」と書き直した、無礼極まりない筆者の取材メモ、右下は「岡田」の文字=1998年8月20日=、きょう2021年1月19日撮影。

 画像の一番下になりますが、「沖縄問題は防衛部会で基地検討しているが振興策を含めて包括的にやった方がいい」との岡田克也・政調会長代理の会議での発言も書き留めています。

 ちなみに自分ではほとんど書いたことがありませんが、私が日経新聞政治部に在籍していた時間はどのくらいあるか、というと実は、1年4か月強に過ぎません。初めて書いたかもしれません。転勤前日、英成・政調会長から「さびしくなるね」との社交辞令をいただいてから、実はいちどもお会いしたことはありません。

 渥美半島出身→名古屋大学→トヨタ自動車→衆議院議員→トヨタ車体監査役という栄光過ぎる人生。もちろん政治家に必要な「ブレーキ、エンジンブレーキ」はなくアクセスをふかしつづけるトヨタ社員人生でしたが、多くのことを学ばせてもらいました。新党友愛のような小さい組織にも派閥があるときづいたことも含めて。

 喪主が甥ごさんのようですから、「麹町の社宅」にお住まいでクッキー、ティーなどを出してくださった奥様にも、ありがとうございました、と遅ればせながら申し上げます。

 これから、岡田代理、枝野元筆頭副会長が調子に乗っていたら、私がそっと英成会長に向かって告げ口をします、というのはさすがに冗談が行き過ぎています、ね。悲嘆に暮れている方もいらっしゃるでしょう、近親者、トヨタ労組、全トヨタ労連、愛知11区内支持者、豊田市の方々、渥美半島の方々、名大のみなさまにお悔やみ申し上げます。

 心より哀悼の意を表しますとともに、私からはご冥福をお祈りいたします。

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【1/19】特にありません

2021年01月19日 19時17分41秒 | 第204通常国会令和3年2021年
 通常国会2日目はいつもそうですが、とくに大きな動きはありませんでした。あすの衆議院本会議代表質問には、枝野幸男・立憲民主党代表と、二階俊博・自民党幹事長が登壇。各々、菅義偉首相との関係が最も注目されています。

 二階さんは、きょう菅首相と官邸で林幹事長代理とともに会談。前夕の河野太郎・ワクチン相(麻生派)の突然の起用もあり、パワーバランスの流動化がありそうです。政調審議会・総務会は、「所得税法改正案」(204閣法  号)と「関税定率法改正案」(204閣法  号)の週内の国会提出をめざすようです。

 立憲民主党は両院議員総会をきょうにずらしたうえ常任幹事会とともにオンライン会議システムで開催しました。

 きのうに続いて今年2度目の閣議が、定例閣議として開かれました。

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農林水産省「畜産局」の20年ぶり「局」格上げに冷や水、吉川・アキタ会食に「政治家の負担認識」で現職官僚が参加

2021年01月19日 19時10分19秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]農林水産省(手前)厚生労働省(奥)の前に立つ筆者、おととし2018年撮影。

 野上耕太郎農相は、きょう令和3年2021年1月19日(火)の定例閣議後記者会見で、現在の農林水産事務次官らが、当時の生産局長や生産局畜産部長と、吉川貴盛農相=昨年末議員辞職=や「アキタフーズ」代表との会食に参加していたと発表しました。事務次官らは「政治家の負担だと認識していた」と語っていることを明らかにしました。人事院庁舎近くの国家公務員倫理審査会に連絡したようです。

 このニュースサイトでは、先月8日付で「農林水産省、吉川貴盛元大臣の500万円から風向き変わる西川公也内閣官房参与ら豪華クルーズ船に現役官僚も乗船か、「国際機関への意見に反映」アキタフーズ社」との見出しで報じました。「豪華クルーズ船に現役官僚も乗船か」は正直詰め切れていませんが、西川参与辞任・元職としての衆院選出馬断念と、吉川氏の議員辞職と補選の後継不出馬を道連が決定とあわただしく動いた中で、大筋で正しい報道が出来ていたようです。

 そして、先月21日の令和3年度予算案で、農林水産省が9月の概算要求で求めた「畜産局の格上げ」の組織・定員要求が財務省主計局に認められました。

 これは「農林水産省畜産局」が復活するもの。「生産局」が「農産局」に名称が変わり、2局が合併して「輸出・国際局」となり、大臣官房に1つの部「新事業・食品産業部」ができる、3局1部の新設です。が、局部の数は変わりませんので畜産行政の格上げということになります。1978年から22年間存在し、橋本行革で部に格下げされ、それから20年ぶりに「農林水産省畜産局」が復活することになります。これに大きく冷や水が浴びせられている格好です。

 野党・立憲民主党の安住淳国会対策委員長は先週末の囲み取材で「畜産局を格上げしたいみたいなことを農水省は思っているようだけど、畜産関係予算の構造的な問題というものまでメスを入れないといけない。特定の機構にお金が行って、そこからどのように使われているか、本当に不透明だから」とし、きのうからの通常国会で問題視するかまえを示しました。特定の機構には、鶏卵の価格安定のために、税金とは別に民間の関係会社が負担している「保険料」について、農水省の「みかじめ料」のようなものに感じる業者も多く、畜産部以外の分野でも不満を感じている当事者も多いでしょう。「猫の目行政」と揶揄され数少ない当事者の中での独特の政策変更が相次ぐ農水省ですので、世論へのインパクトは限定的ですが、第2次安倍政権では、西川公也さん、山本有二さんら農相経験者の小選挙区での落選が相次いでいます。



 「畜産局」の発足は動かないでしょうし、倫理審査会でも大きな処分はないでしょうが、省幹部が族議員に取り入って事務次官になるというルートが、菅義偉内閣の内閣人事局全盛時代でも、ポテンヒットのように残る農水省の改革の好機かもしれません。

 但し、毎年の新しい耕作放棄地は農地の1%程度しか出ておらず、戦後農政の諸課題の多くが解決された、優秀な時代に農水省がいることは強調しておきたいところです。

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「プライマリーバランス」法令から丸ごと落とす、特例公債法の5年間延長法案(204閣法4号)を政府が国会に提出

2021年01月19日 08時26分23秒 | 第204通常国会令和3年2021年

[写真]麻生財務相、きょねん2020年9月2日、衆議院第一議員会館で、宮崎信行撮影。

 「プライマリーバランス」という言葉が日本の法律から削除されることになりました。

 政府は、きのう18日、「特例公債法を改正して5年延長する法案」(204閣法4号)を衆議院に提出しました。正式名称は「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案 」です。

 現行法は財政法4条の特例として「平成28年度から平成32年度まで」特例公債を発行できるとしています。これを「令和3年度から令和7年度まで」と5年間延長する法案。第204回国会の最優先順位の法律案です。

 改正の内容は期限だけでなく、現行法第2条の「定義」の第2号にあった「国及び地方公共団体のプライマリーバランスの黒字化」をバッサリ削除し、第4条の「特例公債の発行額の抑制」の「プライマリーバランスの黒字化に向けて経済・財政一体改革を総合的にかつ計画的に推進する」を改正して、令和7年度「までの間、財政の健全化に向けて経済・財政一体改革を総合的にかつ計画的に推進する」と改める内容。

 原案通り成立すれば、日本国法令から「プライマリーバランス」という言葉は消えます。

 現行法はこちらをクリック。

 改正法案はこちらをクリック。

 当ニュースサイトは先月21日の記事で、現行法の「各年度において発行額の抑制に努めることとする」とする条文が残った場合、コロナ対策の予算案と矛盾するのではないかと指摘しましたが、この条文はそのまま残る法案となりました。同日、筆者が枝野幸男立憲民主党代表の定例会見で聞きました。

 これについて、枝野さんは次のように語りました「今の経済状況にあって、ましてやコロナがあって、当面本格的な(経済の)回復状況になるとは残念ながら、とても思えない。財政規律ばかりに重きを置いた財政運営は不可能だと明確に認識している」「だからといって、目標そのものまで消してしまうと、積極財政でない放漫財政になりかねないリスクを(政治は)常にかかえている。放漫財政に歯止めをかける」「かなりていねいな検討と議論が必要だ」ーー。

 しかし、日本の経済を優先した場合、国及び地方政府の「財布」が単年度で収支の帳尻が合う必要はまったくありません。そもそも「プライマリーバランス」でなく「プライマリーバランスの黒字化」というは会計学として変な言葉です。また、現行、それをするためには、増税しかありません。このため、財務省としても言葉と目標を削除しつつ、それでいて「発行の抑制に努める」だけは残したという、正直「虫の良い」改正法案だと考えます。

 家計の金融資産はさらに増えて史上最多の1900兆円のお金が死蔵されています。今日における論点はむしろ逆で、政府の特例公債の発行を抑制するのではなく、積極的に発行して、国の歳出として民間事業者に持続化のための現金給付を追加することでしょう。

 なお政府はきのう令和3年2021年1月18日(月)に次の4法案も提出しました。

 正式名称は、議案番号「204閣法 号」で検索してもらえれば分かると思います。

 「令和2年度第3次補正予算案に係る地方交付税法改正案」(204閣法1号)
 「国立研究開発法人情報通信研究機構法改正案」(204閣法2号)
 「令和元年度決算剰余金の繰り入れの財政法14条の特例法案」(204閣法3号)
 「国立研究開発法人科学技術振興機構法改正案」(204閣法5号)。

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