[写真]朝焼けのなか、最高裁判所事務総局に出勤する職員、きょねん2021年、宮崎信行撮影。
15年ほど前から浸透した新業種「家賃保証会社」が、賃借人と結んだ契約の「追い出し条項」について、最高裁判所が民法第1条「信義則」をうけた消費者契約法第10条に違反するので「ひな形を破棄せよ」とした判決を出しました。家賃保証会社は十数年前から一気にシェアを広げた新業態で、規制する法律がほぼないので、今後、立法事実があるとする動きが浮上するかもしれません。
最高裁判所第1小法廷の山口厚さんら5人の裁判官は「原判決主文第1項を棄却する」などとした「令和4年12月12日 消費者契約法第12条に基づく差止等請求事件の判決」を出しました。
原告は、集団訴訟ではなくて、衆参ねじれ下で野党・民主党が主導した「平成25年新法」による「適格消費者団体」1法人。家賃保証会社が賃借人とかわした契約が「未払いが賃料3か月なら無催告で原判決を解除でき、2か月で電気・ガス・水道・郵便物の状況から建物を相当期間利用しておらず再び占有しようと看取できる事情があるときは、明け渡しがあったものとみなす」との契約。いわば2か月賃料未払いでの夜逃げ追い出し条項の是非を問われたものです。
(今回原告となった「適格消費者団体」を新設した平成25年新法の立法プロセスの当ニュースサイト内記事の紹介→民主党・公明党・自民党の3党修正で法案が可決 郡和子さん提出 集団的消費者被害回復法案 - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記)。
第一小法廷は、この契約では過去の判例「昭和43年11月21日判例」の法理が適用されるけれども、2か月追い出し条項については、民法第1条第2項に基づいた消費者契約法第10条に違反したと断定。家賃保証会社に対して「契約書ひな形が印刷された契約書用紙を廃棄せよ」と命令しました。
家賃保証会社と県信用保証協会や保証会社は全く別。
賃貸住宅を借りる際は、賃料に限定した連帯保証人が必要だとされましたが、リーマンショック前後から「家賃保証会社」が一気にビジネスを広げたことから、東京23区など全国の8割程度で不要となりました。家賃保証会社が十数年で一気に拡大したことから、賃貸管理会社が賃貸人に対して「保証会社を使う前提でないと新しい管理を引き受けない」と働きかけることが多く、賃貸人のほとんども強い意思はなく保証会社を立てる契約に移行しました。一方、保証会社は保証料全額を賃借人と契約する格好になったことから、東京23区では「2年に1回の更新料家賃1か月分を今後はゼロとする契約」が広がりつつあります。
賃貸保証会社は建設・金融関係から移行してきた小規模スタートアップが多く、東京・大阪で慣行が違うとの指摘もあります。またごく一部で倒産した事業者もあり、財務体質の透明化や慣行の統一を求める意見が、管理会社・賃貸人もあることから、信義則や消費者契約法だけでなく、法令による定義・規制を求める機運も今後出てくるかもしれません。
このエントリーの本文記事は以上です。
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15年ほど前から浸透した新業種「家賃保証会社」が、賃借人と結んだ契約の「追い出し条項」について、最高裁判所が民法第1条「信義則」をうけた消費者契約法第10条に違反するので「ひな形を破棄せよ」とした判決を出しました。家賃保証会社は十数年前から一気にシェアを広げた新業態で、規制する法律がほぼないので、今後、立法事実があるとする動きが浮上するかもしれません。
最高裁判所第1小法廷の山口厚さんら5人の裁判官は「原判決主文第1項を棄却する」などとした「令和4年12月12日 消費者契約法第12条に基づく差止等請求事件の判決」を出しました。
原告は、集団訴訟ではなくて、衆参ねじれ下で野党・民主党が主導した「平成25年新法」による「適格消費者団体」1法人。家賃保証会社が賃借人とかわした契約が「未払いが賃料3か月なら無催告で原判決を解除でき、2か月で電気・ガス・水道・郵便物の状況から建物を相当期間利用しておらず再び占有しようと看取できる事情があるときは、明け渡しがあったものとみなす」との契約。いわば2か月賃料未払いでの夜逃げ追い出し条項の是非を問われたものです。
(今回原告となった「適格消費者団体」を新設した平成25年新法の立法プロセスの当ニュースサイト内記事の紹介→民主党・公明党・自民党の3党修正で法案が可決 郡和子さん提出 集団的消費者被害回復法案 - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記)。
第一小法廷は、この契約では過去の判例「昭和43年11月21日判例」の法理が適用されるけれども、2か月追い出し条項については、民法第1条第2項に基づいた消費者契約法第10条に違反したと断定。家賃保証会社に対して「契約書ひな形が印刷された契約書用紙を廃棄せよ」と命令しました。
家賃保証会社と県信用保証協会や保証会社は全く別。
賃貸住宅を借りる際は、賃料に限定した連帯保証人が必要だとされましたが、リーマンショック前後から「家賃保証会社」が一気にビジネスを広げたことから、東京23区など全国の8割程度で不要となりました。家賃保証会社が十数年で一気に拡大したことから、賃貸管理会社が賃貸人に対して「保証会社を使う前提でないと新しい管理を引き受けない」と働きかけることが多く、賃貸人のほとんども強い意思はなく保証会社を立てる契約に移行しました。一方、保証会社は保証料全額を賃借人と契約する格好になったことから、東京23区では「2年に1回の更新料家賃1か月分を今後はゼロとする契約」が広がりつつあります。
賃貸保証会社は建設・金融関係から移行してきた小規模スタートアップが多く、東京・大阪で慣行が違うとの指摘もあります。またごく一部で倒産した事業者もあり、財務体質の透明化や慣行の統一を求める意見が、管理会社・賃貸人もあることから、信義則や消費者契約法だけでなく、法令による定義・規制を求める機運も今後出てくるかもしれません。
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