宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

地方自治法改正案を総務省が作成して第211回通常国会提出へ「普通地方公共団体に議会を置く」だけの現行規定に追記「議員の心構え」法定化、第33次地制調が「先出し答申」

2022年12月29日 11時32分19秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]総務省(右上)おととし撮影。

 「地方自治法改正案」が第211回通常国会に提出されるはこびとなりました。

 内閣・総務省が地方自治法の改正を提案するのは6年ぶりとなります。

 1年余り任期が残る第33次地方制度調査会ですが、3つの議題のうちの1つ「多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応方策に関する答申」だけ先出しして21日に決定。きのう28日に岸田文雄首相に提出しました。

 現行、日本国憲法第93条が「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」、地方自治法89条は「普通地方公共団体に議会を置く」としか書いてありません。

 第33次地制調は、(1)議会の位置付けを追記すること(2)所定の重要な意思決定に関する議会の役割・責任を明確に規定すること(3)議員は、住民の負託を受け、誠実に職務を行わなければならないとする「心構え」を規定することーーの3点を注文しました。

 このため、総務省が地方自治法改正案を作成して、国会に提出することになりました。

 法施行は第20回統一地方選よりも後になりそうです。

 なお、「立候補休暇」と「オンライン出席」は検討事項とされただけで、法改正は先送りされました。

 また、地方自治体から請け負う企業の経営者の地方議員の兼業廃止を緩和する改正公職選挙法は先日議員立法で成立しています(地方議員の成り手不足の解消のための兼業禁止・補助金を受ける「請負」企業の兼業を緩和する公職選挙法改正案がきのう起草されあす衆議院通過へ - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記)。

 蛇足ですが、地方自治法93条は「議員の任期は4年」同103条は「議長・副議長の任期は議員の任期による」としています。新議員がSNSで「新しく選出された議長の任期は2年です」「1年です」などと書くのは明確に違法な言語道断な書き込みです。おそらく1人くらい出てくるでしょうから、有権者は注目していただきたいところです。

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岸田内閣「新しい四半期決算見直し」は拍子抜け、金融商品取引法改正案は小ぶりに第211回通常国会提出へ

2022年12月29日 10時58分59秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
[写真]「元日本経済新聞記者」ながら初めて東京証券取引所を訪れた筆者、ことし6月。

 新しい資本主義の「人的投資拡充」のための四半期決算開示見直しは拍子抜けに終わりそうです。

 金融審議会は「ディスクロージャーワーキング・グループ報告書」をまとめ、おととし付でホームページに公開しました。

 来月からの第211回通常国会に「金融商品取引法改正案」を提出することになりそうです。

 岸田文雄首相はことしの施政方針演説で「人的投資が企業の持続的な価値創造の基盤であるという点について、株主と共通の理解を作っていくため、ことし中に非財務情報の開示ルールを策定します。あわせて、四半期開示の見直しを行います」と語っていました。

 その報告では、大企業の四半期決算短信を現行法ではなく、東京証券取引所が求める様式に一本化して経理部の負担を減らすべきだとして、法改正をすることが提案されました。

 但し、首相・鈴木俊一金融相は、会社ごとの男女間賃金格差の比率を計算して開示する「人的投資」の促進策も検討していました。

 2016年大統領選では、ヒラリー・クリントン上院議員が「民主党」「ニューヨーク州」の地の利をいかしてか、「四半期資本主義」を批判し、四半期決算短信の廃止を公約にしましたが敗北し、実現しませんでした。東京証券取引所ルールも、アメリカ・ウォール街のルールを引き写しにするしかないでしょうがもう一歩の踏み込みが欲しかったところです。

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