ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

◎予算が衆院通過 民主党13年連続で記録途絶える 自民党吉野代議士の精神を見習いたい

2012年03月08日 18時15分39秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]自民党衆院議員の吉野正芳さん。

〈平成24年度当初予算が衆院で可決 民主党結党以来続いた「年度内成立」の記録が途絶える〉

 平成24年度総予算が2012年3月8日(木)の衆院本会議で可決し、参院に送りました。民主党、国民新党、新党大地・真民主の賛成多数で可決しました。ただし、この3党は参院ではわずか110議席(過半数は121)しかなく、新党改革などの協力があっても、参院での否決は確実。日本国憲法60条の「30日ルール」を使うにしても、4月6日(金)の衆院本会議後になります。同日は恩給支給日で、それに間に合わず、暫定予算編成に追い込まれることになります。

 なお、自民党提出の組み替え動議(政府が予算案を撤回のうえ、政府に編成替えを求める動議)に対して、公明党が反対するというハプニングがありました。公明党の「明日につなぐ力」を感じました。

 現行憲法により、国会が「審議」することになってから最長の13年連続だった民主党結党以来の当初予算の年度内成立の記録は消えました。結党以来フロントベンチ(野党第1党から与党のいずれか)に座り続けた民主党。「自民党」対「抵抗野党・社会主義政党」の55年体制から、健全野党・自由主義政党による二大政党政治をめざした民主党の歩み。第1次与党期の3度目の本予算で記録は途絶え、新しいステージを迎えました。でも、第1次与党期の3度目の本予算で栄光が途絶えたのは、大人になるにはいい時期かもしれません。

 もう民主党は子供ではありません。もう若くありません。理想と弁舌だけの時代は終焉しました。これからは、震災後日本で、国会と内閣を連動させて結果を残していく。限られた有能な与党議員と有能な野党議員とともに、あっという間に歴史をつくっていくでしょう。すべての議員は結果を出すか。さもなくば「卒業」するか。それのみ。

〈6党修正の福島復興再生法案、いわば「吉野法」で、吉野正芳代議士の精神を見習うべきだ〉

 衆院本会議では、東日本大震災復興特別委員会(古賀一成委員長)で進んできた修正協議を反映した「福島復興再生特別措置法案」(180閣法23号)が全会一致で修正可決。これは6会派(民主党、自民党、公明党、きづな、国民新党、新党日本、たちあがれ日本の7党6会派)が修正案を提出し、付帯決議を10党が提出し、政府原案、議員修正案とも全会一致で可決しました。いわば自民党議員である吉野正芳さんの名前をとって、「吉野法」と呼ぶべきではないでしょうか。福島県民の苦難は続きますが、国の苦難、国難も続きます。吉野法が6党修正、9党賛成です。福島にできて日本全体ではできないというのはおかしな話です。他の法案が同様にできないわけがありません。ドンドン法律をつくっていっても、第46回衆院選の定数は480で変わりありません。仮に法律工場が滞れば、維新の会が100議席をとって、事実上の定数100減になるかもしれません。

 自民党の三ツ矢憲夫さんは衆院本会議での予算の討論演説で、「最近の世論調査のトレンドは『支持政党なし』だ。それは普天間、一票の格差の問題だけを見ても明らかなように、決められない、前に進まない政治全体への批判だ」として、「早く党内をまとめて一体改革の法案を出して欲しい。ならば議論する」としました。三ツ矢さんは「「ローマは一日にしてならずと言うが、一日にして崩壊してしまった。勢力のある頃にドンドン版図を広げたからだ」「どこかの国の今の姿に似ているではありませんか」とし、「私たちは正直に語り、一人一人の自立を促すべきだ」とし、「政治の信頼は地に墜ちている。(民主党政権は)言うこととやることが違うからだ」と語りました。

〈衆院に残った特例公債法案と年金交付国債法案をテコに衆参ねじれで歳入歳出パッケージ成立をめざすべし〉

 中盤国会は、44兆円の歳入を確保する特例公債法案(180閣法2号)、2・6兆円の年金交付国債を裏付ける国民年金法改正案(180閣法26号)の衆院での修正審議などを通じて、衆参ねじれを力に変えるチャンスとなります。

 きょうの衆院予算委の討論でもヒントがありました。公明党理事の高木陽介さんは反対討論で次の4つの理由を示しました。①マニフェスト総崩れ、②年金交付国債など「粉飾的な手法」、③3党合意の政策効果の検証ができていない④デフレ円高脱却への戦略がないーーの4点です。これを逆に考えれば、年金交付国債を赤字国債に変え、特例公債法案の総額を修正し、国民年金法改正案を撤回する。デフレ円高脱却に向けて公明党の支持者に多い零細・個人事業者への金融支援策などを本予算で増額したり、1次補正での追加を約束したりする。子どものための手当の名称を「児童手当」にする。こういった修正のパッケージにより、本予算を参院で修正したうえで両院協議会の協議案を全会一致で可決したり、平成24年度特例公債法、改正児童手当法を修正可決する。まるごとパッケージで歳入歳出を国会で見直し、国会支持率を回復する。そのためには、暫定予算は50日間くらい組んで、本予算成立が5月にずれ込んでもかまわないと考えます。

 8日の衆院財務金融委員会では公明党の竹内譲さんが安住淳・財務大臣との質疑を「最後に国債が跳ね上がるとか、長期金利が暴落するということは慎んだ方がいいんだろうと申し上げて終わります」と財務大臣の答弁をたしなめました。この後、野田佳彦首相が衆院総務委員会から移動してきて、再開。竹内さんは「自民党の谷垣総裁に限らず、我が党の山口代表とも会ったらいいんですよ」と民主党と公明党の党首会談を呼びかけました。これについては、野田さんは「谷垣さんとは会っていません」と言わざるをえませんでした。

 野田さんは緊張の連続だったためか、ユーモアを交えて答弁しまい、自民党シャドウ財務大臣の西村康稔さんから「冗談交じりで不快な思いをしました」と叱られました。これは昨年6月15日に野田財務大臣が自分のクビと引き換えに平成23年度の特例公債法案を通して欲しいという趣旨の発言をしていることから、「総理の覚悟を問う」との質問でしたから、総理はいけません。

〈地球温暖化対策税が国税改正法で年度内成立確定、「福山・岡田条項」、野党時代の地球温暖化対策本部の議員立法が一部実現へ〉

 衆院本会議では、平成24年度の国税改正法案(租税特別措置法など改正案)と平成24年度の地方税改正法案が民自公などの賛成で通りました。このなかで、地球温暖化対策税が通りました。石油石炭税に上乗せするもので、石油1キロリットル2800円、液化天然ガスなどが1トン1860円、石炭が1トン1370円、ことし10月から段階的に上乗せされます。最終的には2500億円の税収になります。曹達業の発電用は除外になります。これは第169通常国会に民主党が提出した「地球温暖化対策基本法案」(169参法25号)に盛り込まれていたもの。野党時代の民主党には、幹事長の下、政調会の上にある「本部」という政策・国民運動の組織があり、地球温暖化対策本部は発案者の岡田克也本部長・福山哲郎事務局長が運営していました。

 この2人は政権交代後に外務省の大臣、副大臣として、国連に行き、鳩山由紀夫首相の気候変動枠組み条約締結国会議での「1990年比で2025年の二酸化炭素排出量を25%削減する」などとした鳩山イニシアティブ演説の草稿を書きました。法案は閣法として、小沢鋭仁・環境大臣が答弁にあたり、第174通常国会で、衆院を通過しましたが、参院環境委員会の審議中に、鳩山首相・小沢一郎幹事長の「抱き合い心中」の混乱で廃案になってしまいました。その後、原発爆発で前提条件が大きく変わりました。小沢環境相は地球温暖化対策税について、税制改正法案に移してもいいという趣旨の答弁をしていました。こういった形で実現しました。民自公賛成ですし、日切れ法案なので、年度内の成立は確実です。「二酸化炭素に色を付ける」ことで、排出量抑制へのインセンティブをつくるとともに、税収は目的税として使われます。いわば平成24年度国税改正法の「福山・岡田条項」に関しては、衆院財務金融委員会で付帯決議がつきました。民自公を代表して岸本周平さんが提出し、「地球温暖化対策税については現下の厳しい電力需給に配慮し、森林の涵養などの諸施策も推進すべきだ」としました。国税改正法案は、共産党が「研究開発(R&D)減税は大企業優先の政治であり認められない」として反対した共産党も付帯決議に賛成。全会一致で付帯決議がつきました。

 国税改正法案と地方税改正法案が自公の賛成を得られたのは、初めから賛同を得られる内容だけを法案化していたからです。一方、国民年金法改正案について小宮山洋子厚労大臣は「国会で協議して修正して欲しい」という趣旨の答弁をしています。ヒラバの国会で修正するというのもあってしかるべきです。ただ震災後国会は時間に余裕がありませんから、日切れ法案は財務省や総務省がうまくつくったという面もあるでしょう。公明党の坂口力初代厚労相は6日の予算委で「それぞれの党がつくった案だから、かわいいのは分かる」としながら、最低保障年金案を取り下げるよう求めました。これも公明党の100年安心プランをもとにして、マクロ経済スライドがあるうえで最低保障機能を高めるようにすれば、それと引き換えに公明党が「消費増税法案」に賛成してくれるかもしれません。税制改正は年度内に済みそうですから、暫定予算で防御ネットを張って、特例公債、基礎年金の2分の1、年金制度の抜本改革案で合意し、消費増税準備法案を通す。そして、予算も修正して可決成立させ、衆議院を解散するというのがベストに思えます。だから、定数是正は今すぐやらないといけないと私は考えています。

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自民党・公明党幹事長が「農業者戸別所得補償法」制定で合意 政権交代後も永続決定

2012年03月08日 08時24分40秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 自民党幹事長の石原伸晃さんと公明党幹事長の井上義久さんが2010年度(平成22年度)予算書から計上されている「農業者戸別所得補償」について、法制化することで一致しました。2012年3月8日付の公明新聞が前日の会談の内容として報じました。

 これにより、民主党、自民党、公明党の3党協議により、どちらが与党になっても制度が永続化することが確実になりました。政権交代しても自衛隊は変わりません。私はそれは比喩ではなく、まったく同じことだと考えています。

 農業者戸別所得補償は、これまで「バラマキ4k」と呼ばれていました。昨年8月9日の3党合意に基づき、政策効果の検証を予算に反映することになります。

 民主党内では名称の変更の議論が浮上しています。行政指導とは関係なく、なりゆきで、集落営農が増えていますので、「戸別」が実態にそぐわなくなっています。小麦や大豆の自給率向上に関して政策効果が低いとの指摘が出ており、検証が必要となっています。直接支払いがあるからといって、土地改良事業への補助金がまったくなくて良いというわけではありません。米価の変動がなければまったく支払われないということも集配を含めた市場を歪める可能性があります。

 小沢一郎さんが票目当てに2007年の第20回参院選「逆転の夏」マニフェストの為に命名した経緯もあり、3党合意による恒久化にはふさわしくありません。「農業の直接支払い法」「農業者の価格変動補償法」といった名前になりそうです。

 自民党農政のネコの目農政と違って、名称変更は最低限にすべきですが、農業に与野党なし。ついに大潟村でも農業者戸別所得補償への参加が始まりました。現時点では、直接支払いは「被災者に寄付する」という名目でしょうが、八郎潟にもドンドン食糧基地としてやっていって欲しいと考えます。過去を水に流すチャンスです。

 震災後日本の新しい農政に向けて、JAではなく、政治家に直接意見する時代が来ました。

 こうみえても、民主党は少しは良いこともしています。

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ピンハネ率公開の労働者派遣法改正案が民自公修正で衆院厚労委通過 

2012年03月08日 07時54分35秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 社民党が与党時代の第174通常国会の2010年春に提出された「労働者派遣法改正法案」(174閣法60号)が、衆院厚生労働委員会で可決しました。今国会中に参院で採決できれば成立します。派遣業者の「ピンハネ率」を公開することで、弱い立場で働く派遣労働者を守る法改正です。2010年3月7日(木)の厚労委(池田元久委員長)で、民主党理事の岡本充功さんが修正案を提出しました。自民党の賛成を得るため、「違法派遣があった場合、労働契約をしていたとみなす」規定の適用を3年後に先送り、「製造業派遣・登録型派遣の原則禁止」について「政府が速やかに見直す」という手直しを入れることで法案可決を急ぎました。民自公賛成なので、参院でも採決までいけば、成立します。

 日本共産党は「初めて規制を強化する方向での法律見直しだった」のに「例外が多い」として反対しました。社民党は「政府案を骨抜きにした」として政府原案のみ賛成だとしました。だったら、連立離脱なんてしなければ良かったのに。経営者寄りのイメージが強いみんなの党も反対しました。

 提出時には重要広範議案に指定され、衆院本会議で趣旨説明されました。提出後、社民党の福島瑞穂党首が同党では3回連続となる連立離脱(羽田内閣、橋本内閣、鳩山内閣)をし、福島さんは第22回参院選で38万票をとり6年間の任期を得ました。残された民主党と国民新党は衆参ねじれに。自民党の反対があり、法案が留め置かれて、東日本大震災。ようやく民自公修正で法案が通りました。厚労委はこれから予算関連法案である「国民年金法改正案」の審議がありますので、その前に宿題を片づけた格好です。

 私が「業者のピンハネ率を公開する」としたのは、法案の次の部分です。 

 昭和60年法律88号の第23条を、

 5 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合、教育訓練に関する事項その他当該労働者派遣事業の業務に関しあらかじめ関係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならない。

 ですから、一人一人のピンハネ率ではなく、派遣元業者と派遣先業者との平均ピンハネ率が公開されるということです。

 連合は2012春闘(春季生活闘争)を闘っており、一部メーカーで定期昇給(定昇)の死守を獲得するなど健闘しています。連合は正社員クラブから脱皮しました。すべての働く者の待遇改善にとりくんで3年目になります。非正規労働者の待遇改善に連合をあげて取り組んでいます。正規労働者と非正規労働者が一緒に働く職場では、「職場から始めよう運動」を展開していて、正社員がそれ以外の社員の待遇の違いを点検する取り組みをしています。

 もちろん職場により、濃淡がありますので、悩んでいる方は、連合に電話したらどうでしょうか。



 電話番号は、「0120-154-052」覚え方は「フリーダイヤルいこうよ連合に」です。

 連合の地域協議会・地域連合は地域による温度差がありますが、連合はかならずあなたのお役に立ちます。

 新聞労連は、NHK労連を見習って連合に加盟すべきです。新聞・通信・民報記者の多くは、NHK記者が寮があったり、長時間労働の歯止めがあったり、本給のわりに手取りのマネーが潤沢なことを知っているでしょう。これがなぜかというと、NHK労連が連合に加盟しているからです。新聞労連では、地方紙の労組でいまだに全共闘崩れがいるのが実情。ためしに新聞労連のホームページをみると、ここ3年間で2本の声明を出しています。「秘密保全法に反対する特別決議」、「大阪府の公立学校の教職員に君が代斉唱時の起立を義務化する条例に反対する」です。新聞記者および社員の待遇改善とはまったく関係がない話。そんなことよりも自分のことをちゃんとやれ、と言いたい。例えば「夜回りを週に3回以内に規制するよう求める決議」とか、「パソコンを持ち歩かなくていい取材体制の確立を求める声明」を出せばいいのです。

 さらに問題なのは産経労組です。産経労組は新聞労連に入っていません。全共闘崩れが多い新聞労連ですから、産経労組の考えには同情しますが、自らを苦しくさせるだけです。産経記者は自分たちがフジテレビの親会社だと思っていましたが、ある日突然にして、逆にフジテレビの子会社になってしまいました。かつてはフジテレビのニュースキャスターとして、元産経新聞政治記者・論説委員だった俵孝太郎さんが出演して、たけしにものまねされていましたが、最近、産経新聞記者がフジに出演しているところを視聴した記憶がありません。それが資本関係が逆転するということなのです。産経労組は今からでも遅くはないので新聞労連に入るべきだし、読売労組と日経労組は任意団体である「大手町共闘」で産経労組を甘やかすのをやめて、新聞労連入りを強く促すべきでしょう。そして、連合に入る。人間らしい記者生活が実現します。

 そしてすべての公務員労組も連合に入るべきです。労働協約を締結し、団体交渉をする。もちろん、自衛隊、警察・消防は制限付きになります。それも含めて、権利と義務の両方を果たすべきで、例えば内閣法制局職場の協約は、他のお手本になるでしょう。

 2012春闘(にーまるいちにーしゅんとう)は、2012年2月10日(金)スタートしました。鉄は国家なり、新日鐵労組が新日鐵経営者に要求書を提出してスタートしました。金属労協が相場をつくり、これから春闘のヤマ場を迎えます。連合はにぎにぎしく、日比谷公会堂で、春闘のスタートを宣言しました。このとき、最後にガンバロウ三唱をしたのが、NHK労連の岡本直美議長でした。日比谷公会堂では、「連合会長代行で、2012春闘中央闘争委員長代行の岡本直美さん」と紹介されました。



[映像]連合会長代行の岡本直美さんによる、2012春闘団結がんばろう三唱、連合2012春季生活闘争・闘争開始宣言2.10中央総決起集会、宮崎信行撮影。

 NHK労連の専従をやっていた記者に聞いたら、「岡本さんはパワフルな人ですよ」とのことでした。当日は、モンゴル唯一のナショナルセンターの会長さんが「日本の春季生活闘争(シュントー)のやり方を学びたい」として来日し、研修していることが古賀伸明・中央闘争委員長(連合会長)から紹介されました。賃金要求作りに参加すると、会社の各部署がどういう風に出来ているのか見えてきます。まさにオカネとは情報の荷札だと感じます。国家公務員のキャリアだって、出先機関の現地採用の職員がどういう生活をしているか知らないんじゃないでしょうか。そういうのも、連合に入って、協約を締結し、団体交渉をすることで見えてくることがあります。

 この日の大会名は「連合2012春季生活闘争・闘争開始宣言2.10中央総決起集会」。いかめしいタイトルですが、とてもアットホームで温かい時間と空間でした。午後6時半から午後7時半ということで、少し遅れて中に入りましたが、それは働く仲間のみなさんも仕事を終えてから来ていますから、はじめは「オープニング」ということで「阿部兄弟&根本麻耶」によつ津軽三味線の演奏。例年はどうしているか分かりませんが、この津軽三味線というのは、ことしのスローガンである「復興・再生に全力、『働くことを軸とする安心社会』を実現しよう~復元、格差社会、底上げ・底支えでデフレ・縮小経済からの脱却を~」に掛けているんのではないでしょうか。開催地が東京ということもあるのでしょう、「津軽三味線による東京音頭」という選曲で、日本はひとつ、絆を感じました。

 著作権法を調べてみましたが、これのご紹介はおそらく問題がなさそうなので、動画でご紹介します。阿部兄弟&根本麻耶さんはすばらしいですね。どんどん活躍して欲しいです。



 午後6時50分過ぎに主催者代表あいさつに立った、古賀伸明・2012春闘中央闘争委員長(連合会長)は、「寒い中、またお忙しいところお集まりいただきありがとうございます」と、1900人の参加者に話しかけました。古賀さんの働く者への優しさ。

 この日の大会では、電力総連の方が空席が多く、出席者も元気がなさそうで心配でした。春闘がない、日教組、自治労の人も一応、のぼり旗を持っていましたが、人数が少なかったようです。小沢一郎さんによると、日教組や自治労は組合員数の割りに票が出るのに、例えば非正規労働者の組織化でがんばるUIゼンセン同盟は組合員の割りに票が出ないからたるんでいるそうです。小沢さんが連合を集票マシンとしかみていないことを如実にあらわすエピソードです。私たち働く者の安心社会の実現のために、小沢一郎さんの息の根を止めて、小沢グループを根絶やしにしなければいけません。さあいよいよ、小沢切りです。団結用意、がんばろー、がんばろー、がんばろー!!!

 そして、死ぬまで働くということが、実は人間にとって一番幸せなことなんですよね。働く人全員が幸せな理想社会の実現。それはムリだとは思うけど、少しでも近づこうとしなければ。それは死だと同じことだと私は考えます。才能や体力や家庭環境にあった働き場である程度自由に働く。それが友愛・フラタニティ(Fraternity)なんです。そして働きながらコロッと死ぬ。それが人生です。

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議員秘書給与法など4法律を皇太子殿下が“公布” 国事行為臨時代行として

2012年03月07日 20時43分56秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]皇太子殿下徳仁親王とご一家、宮内庁ホームページから。

 天皇陛下がご入院中の2012年2月29日(水)の参院本会議で、4つの法案が可決・成立しました。4つの法律は、同日付官報特別号外で、天皇陛下(明仁さま)の国事臨時代行として皇太子殿下(徳仁さま)が、「公布」なさいました。4つの法律の内、私として「国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律」が友達に一番関係するので、これをご紹介します。


 
[画像]2012年2月29日付官報特別号外6号から。

 私は国事行為臨時代行の法律のご公布というのはどういう書式になるのかなとタイヘン楽しみにしておったのですが、遅くなりましたが、2月29日付官報に載っていました。

 「御名御璽」とあり、次の行に一時明けで「国事行為臨時代行名」とあり、「平成24年2月29日」とあり、「内閣総理大臣 野田佳彦」の副署があります。この「御名」の部分には、「明仁」と書いてあるのか、「徳仁」と書いてあるのか、御璽とある部分にはどなたのハンコが押してあるのか興味深いところです。

 宮内庁のホームページによると、皇太子殿下のこの前日の午前中は東京・千代田区にある皇居の宮殿で国事行為臨時代行としてご執務をされていますが、2月29日午後は東京・港区の東宮御所で国事行為臨時代行としてご執務をなさったと記録されています。ですから、この法律の御名御璽は、お住まいの東宮御所でなさったということになります。 

 私は陛下の手術を前に「掃き溜めの草も弥生の景色かな」という内藤鳴雪の句が心に残り、このブログにもしたためました。陛下は弥生3月4日にご退院されました。その際、陛下のお御髪(みぐし)がボサボサでいらしたのが印象に残りました。それは陛下が力強く生きていらっしゃるあかしです。まさに「掃き溜めの草も弥生の景色かな」で春の雑草と同じような、陛下のお御髪に頼もしさを感じました。陛下は胸に溜まった水を抜く施術をきょう受けられましたが、それも力強く生きていらっしゃるあかしです。

 陛下は人間でいらっしゃいますから、天寿があります。しかし万世一系の天皇は千代に八千代に続きます。皇太子殿下徳仁さまはケンブリッジ大学で博士号、皇太子妃殿下雅子さまはハーバード大学で修士号をお持ちです。世界に通用するすばらしいPrince and Princessです。あまり知られていませんが日英同盟の経緯から、昭和天皇も今上天皇も英語はペラペラです。昭和天皇は太平洋戦争中も米軍のラジオで、戦況をご自身で把握されておられたとされています。戦後マッカーサー元帥とお会いになったときも、自ら先方に出向かれていますから、あいさつは英語で始めたとされています。陛下は、英国女王エリザベスⅡ世の戴冠式に船で出かけておられます。ちなみにトニー・ブレアさんが総選挙後の第1党党首としてバッキンガム宮殿に呼ばれた際、エリザベス女王から「あなたは私が会う10人目の首相です。1人目はウィンストン・チャーチルでした」と言われて身が引き締まる思いだったそうです。 

 岡田克也さんは7日付のブログで、3月3日(土)の鳥取県米子市の明日(あした)の安心対話集会の感想として「ただ、長野に比べると意見の数が少なく、よく言われますが、「長野県民の皆さんは議論好き」ということとの違いが出たのかなとも感じました」と語りました。長野県は寿命が男女とも全国で一番長いとされていますが、やはり議論好きだとストレスもたまらないし、良い医療体制もつくれるし、二大政党政治のさきがけ県になったのもうなずけます。最近は物流の関係から保存食である塩っぱい野沢菜漬を口に入れる量が減っているようですし、幸か不幸か気候変動で雪が減って寒さの厳しさが和らいでいます。もちろん、鳥取県もいいところで、鳥取市になりますが、大和民族最初の歴史書である「古事記」に出てくる「因幡の白兎」は鳥取です。これを島根県とする説がありますが、私は鳥取の白兎海岸に実際に行ったことがありますが、サメが渡っていくように波が見えました。古事記でいう「ワニ」とは「サメ」のことですから、「因幡の白兎」は鳥取だと私は認識しています。

 あまりにも有名な吉田茂の名言に「三千年、いや四千年生きたい。しかし人はいつか死ぬ。しかし国は生き続ける」があります。3月11日、大震災1周年を迎えます。きょうよりあしたはよくなるではなく、自分より子や孫はよくなるという米百俵の精神を、もっと日本人が持たなければいけない時代が来ています。世界が相手をしてくれなくなります。世界が相手をしてくれないといえば、国家元首がいない国連(The United Nations)加盟国など、英連邦(The Commonwealth)も含めてありません。象徴天皇制と国家元首の日本国憲法への明記は当然にして両立する話であり、自民党の憲法草案は当然です。これに文句をつける学者はおそらく英語ができない世界を知らない人間でしょう。

 政権の重荷を背負う民主党は、天皇陛下が国事行為として公布する「法律」と、そうではない閣議決定との本質的な違いを体に染みこませて欲しい。君子は本を務む、本立ちて道生ず。それは法律と閣議決定の違いの重みを、ねじれ国会のせいにしないところから始まると考えています。最近はより一層、そう感じます。

[官報から平成24年法律3号を全文引用はじめ]

国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
 国事行為臨時代行名
平成二十四年二月二十九日
                                                   内閣総理大臣 野田佳彦

法律第三号
国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律
国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律(平成十七年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
附則第三項中「百分の九十九・五九」を「百分の九十九・一」に改め、「には」の下に「、平成二十六年三月三十一日までの間」を加える。

附則
(施行期日)
1この法律は、公布の日の属する月の翌月の初日(公布の日が月の初日であるときは、その日)から施行する。
(平成二十四年六月に受ける期末手当等に関する特例措置)

2国会議員の秘書の給与等に関する法律(平成二年法律第四十九号。次項において「秘書給与法」という。)第十四条の規定により、この法律の施行の日以後最初に受ける期末手当の額の算定については、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成二十四年法律第二号)附則第六条の規定の例による。この場合において、同条第一項第一号中「職員であって適用される俸給表並びにその職務の級及び号俸がそれぞれ次の表の俸給表欄、職務の級欄及び号俸欄に掲げるものであるもの(平成十七年改正法附則第十一条の規定の適用を受けない職員に限る。)」とあるのは、「国会議
員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律(平成十七年法律第百十号)附則第三項から第六項までの規定の適用を受けない国会議員の秘書」とする。

3秘書給与法第十四条第四項の規定により期末手当を受けた者で、再び議員秘書となったものが、平成二十四年六月に同条第一項に規定する期末手当を受けることとなる場合における同条第五項の
規定の適用については、同項中「第二項の規定による期末手当の額」とあるのは、「国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第三号)附
則第二項の規定により算定した期末手当の額」とする。

総務大臣 川端達夫
内閣総理大臣 野田佳彦

[官報から平成24年法律3号を全文引用おわり]


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「運命の人」岡田克也さん、3冊目「外交密約調査」執筆中 今夏出版予定だが自重すべきだ

2012年03月07日 05時03分17秒 | 岡田克也、旅の途中

[画像]外交演説をする岡田克也さん、2010年1月29日の第174常会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

虎哲徒然日記さんが2012年3月1日付エントリーで次のように書いている。

[引用はじめ]

(前略)「政権交代可能な二大政党制」が望ましい、とある時期喧伝された。だが現実はどうだろうか。二大政党はどちらもだめだ、という失望感が広がっている。これは世界的にみてもよくある政治パターン。日本の歴史でも過去にみられたことである。どちらもだめな場合、どうするのか?「二大政党」論者は、これにちゃんと答えるべきだ。「よりまし」なほうを選ぶ、という陳腐な回答ではなく。

[引用おわり]

 この「二大政党がどちらもだめな場合、どうするのか?」という質問に対して、私は、

 誰かが変えてくれるのではなく、一人ひとりが変えようと思わない限り、この国は変わらないのです。

 とお答えします。

 私は昨年9月に野田佳彦新代表(総理)から挨拶状が同じ日に2枚来て驚きました。というのは、民主党サポーター登録を2つの総支部でしていたからです。毎年5月にサポーター登録のノルマで苦しんでいる総支部で登録しています。昨年5月にサポーターになっても、西暦で奇数年は定期代表選がないので投票の機会はありません。しかし、民主党の組織を下支えすることで、政権交代可能な政治という選択肢、権利と自由を得ることができます。それが明日の安心につながります。

 私は二大政党プラスワン(民自公)はどこもダメだという人には、昨年1年間で、二大政党+1(民主党、自民党、公明党)にこの1年間、寄付をしましたか?と聞きたい。 寄付をしていない人には「二大政党がどちらもだめ」という選択肢しか与えられないのは当然の帰結です。そうは言っても私も不景気なので、先日は午前9時からの質問で元気なさそうな議員がいたので、昼休みにかけつけて、「元気なかったけれども大丈夫」と聞きました。細かいことなんていんですよ。情勢分析の通告があったとか、最近家族構成が変化したとか知っていても、細かい政策とか選挙がどうしたなんて言いません。これは国会から近く平日の時間も自由だという私だからできる二大政党育成プラン。でも、国会から遠くてもオカネが自由だったり、国会から遠くてオカネが不自由でも、せめてサポーター登録2000円ぐらいしたらどうでしょうか。実は、民主党はサポーター登録がキツイので、新聞記者もお付き合いもかねて、民主党サポーターになっている人は多いんです。記者である前に日本国民です。

 「誰かが変えてくれるのではなく、一人ひとりが変えようと思わない限り、この国は変わらないのだ」とは岡田克也さんが2008年6月18日に出版した『政権交代-この国を変える』(講談社)の「はじめに」にある言葉で、帯にも使われています。

 岡田さんは政権交代後の2010年6月23日「岡田語り。」(ランダムハウスジャパン)を出しています。これはデジタルカメラに向かって話した内容を書き起こしたブログ「岡田かつやTALK-ABOUT」をまとめたもの。出版にあたりブログにない内容を付け加えていて、この中で2010年5月6日の英国総選挙での政権交代(ハングパーラメントによる連立)をふまえて、「イギリスで二大政党の時代が終わったと言われていています。私が目指してきた政権交代がしっかりと行われる政治というのは、必ずしも単独政権である必要はありません」として「小選挙区300、比例100くらいの制度にすれば必ず第3党が存在します」「基本的にはきちんと政権交代ができる大きな2つの政党が競い合うということであり、それにプラスしていつでも取って代わる勢力が出てくるし、時には連立政権もあるという柔軟性が必要だと思っています」と記しています。

 2008年夏、2010年夏、ということで、岡田さんはことし2012年夏に向けて3冊目の著書を執筆中です。

 2009年9月17日から2010年9月中旬までの外務大臣時代にとりくんだ、いわゆる密約調査(沖縄返還交渉に関する日米密約)ついて、岡田さんの経験に基づき書いています。岡田さんは「記憶をたどりながら、かつ大臣にも当然(国家公務員100条の)守秘義務はかかりますから、そこに十分注意しながら悪戦苦闘しています」としています。「外交というのは多くの皆さんにとって、具体的にわかりにくいものではないでしょうか。各国の外務大臣や首脳との交流の中で信頼関係が築かれ外交が思わぬ展開をみせる、各国が抱えるいろいろな複雑な要素を踏まえながら日本の国益を実現していく、そんな外交のおもしろさが少しでも伝わったらと考えています」(岡田さん)。

 しかし、岡田さん、そんなコトしている場合でしょうか。岡田さんは言うまでもなく副総理であり、公務員制度改革担当大臣という難しい仕事をしています。社会保障と税の一体改革担当大臣として年金の制度設計もしているなか、そんな余裕はありません。まずは大局から政治をみる心の余裕を確立すべきです。ある意味、それが「副総理」です。

 私が新聞社に勤めている時代の経験からしても、忙しい人ほど「本を書きたい」と言います。日々、膨大な取材をし、膨大な原稿を書く。そういうローテーションが確立し、一定の評価を得ると、取材先はその記者を指名してより情報を流しますから、ますます特ダネ記者になっていきます。社内での評価も上がり、良い循環が確立していくと、突然、「本を書きたい」と言い出す。膨大な情報がインプットされ、長官に夕刊にアウトプットしていく。そうすると、自分の中にストックができていないという錯覚を覚えるのです。

 岡田さんも野党15年を経て、外務省で官僚から膨大な情報を座りながら聞く毎日のなかで、「これをまとめないといけない」という使命感を覚えたのでしょうが、それは岡田さんの心の中の使命感に過ぎず、野田総理や歴史は岡田さんに別の使命を与えている、ということを冷静になってわきまえてほしい。ストレス解消のために本を執筆しているのでしょうが、そんなコトしている場合でない、と私は考えます。

 最近では在職中に資料整理をし、出版社から契約金をもらって、退官後に執筆するというパターンが主流のようです。国務長官クラスなら100万ドル以上の契約金もあるようで、論より証拠に、最近は大手の出版社が主流になっています。

 国務省・ホワイトハウスから帰ったヘンリー・キッシンジャーさんのハーバード大学の研究室にはジェラルミン製の文書箱が20箱だとかあったようです。それを見た来訪者はその中に「どれだけのアメリカの外交機密文書が詰まっているのか」と想像したら震えたらしい。アメリカでは政権交代時に政府高官が公文書を持ち帰ってしまうことはよくあります。とくに国務省に限れば、職業外交官は「回転ドア」の対象外なので、二大政党の政治任用者はごっそりファイルを持って帰ってしまうことが多いようです。そして、1年前後で回顧録を執筆して出します。例えばキッシンジャーなら「ホワイトハウス・イヤーズ」など
複数書いています。我々自由主義陣営最初の宇宙飛行士で米上院議員を4期24年間務めて最年長飛行士としてスペースシャトルでふたたび宇宙に行ったジョン・グレンさんの「回顧録」は世界最大手のランダムハウスがしっかりと契約しています。このなかには、グレン上院議員が1984年の大統領選を断念した経緯も書いてあるようです。

 いわば公文書とは歴史の検証のためではなく、積極的に自分の歴史をつくるための財産です。何から何まで日本とは発想が違います。

 2008年6月、2010年6月はともに定期代表選の3ヶ月前でした。今回も前の党規約の規定から、ことし9月に定期代表選があります。ただし過去2回の定期代表選には岡田さんは出馬していませんが、代表選の3ヶ月前に出版するということは憶測を呼びかねません。岡田さんは与党になって公文書の不備に驚いたのでしょう。外務省では情報公開法施行直前に公文書が地下室で処分され、業者によってトイレットペーパーに再生され外務省に納品しました。こういっった心の空白感から執筆しているのでしょうが、出版となると話が違う。代表選前の出版は小沢グループ(新政研)どころか、野田グループ(花斉会)にも疑われます。書いてもいいけど、出すのは自重すべきです。

 まずは新進党を解党した小沢一郎さんの息の根を止めることが歴史と民主政治に資することになります。年金の抜本改革も、すべては小沢切りから始まります。岡田さんは民主党代表時代に、元東京地検特捜部検事で参院議員に転じた佐藤道夫さんに倫理委員長になってもらいました。毎日新聞元記者の西山太吉さんとも親交があります。TBS日曜劇場運命の人」は最終回まじかにしています。いったい「運命の人の最終回の結末はどうなる?」、「ジャニーズモックンこと本木雅弘さんは最後どうなるのだろう?」と注目が急上昇しています。

 岡田さんがまず取り組まなければいけないのは、新進党を解党した小沢一郎さんを「歴史」という法廷で裁くことだと、私は期待しています。岡田さんは通産官僚時代に瀬嶋龍三さんから勉強会メンバーに選抜して入れてもらったことがうれしかったようです。『運命の人』の作者である山崎豊子さんの『不毛地帯』は瀬島龍三さんがモデルだとされています。岡田さんは自分自身が運命の人だという自覚を持たなければいけません。

 岡田さん、あなた自身が運命の人だっちゅうの。

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今後の政治日程 解散はいつか、官邸詰め与党首脳関係者の情報を反映して更新しました。

2012年03月05日 10時22分25秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革


 解散総選挙はいつか。

 官邸詰めの与党議員関係者と情報交換しました。

 前回の解散時、「麻生太郎首相が2008年10月5日に解散する」という情報に私も引っかかってしまいました。そのとき、「ブログに載せているあの情報は違うでしょ」と教えてくれた関係者。「解散なら当然動くべき官僚が仕事をしていない」とのことで、これは的中で、翌年7月21日の解散となりました。知り合いの議員・候補予定者からは「おかげで選挙事務所を借りる賃料がかからなくて助かった」と感謝されました。
その後の「文藝春秋」の麻生論文で、やはりこの解散シナリオは執行されており、途中でストップしました。

 今回も同じ関係者から解散情報を教えてもらいました。前回と今回の違いは野党から与党になったということです。さらに官邸詰めだということです。

 その情報を反映して「今後の政治日程」の3月5日(月)啓蟄、更新しました。ただし、どの部分がその情報かは分からないような書き方になっています。

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「総理も同じことをしていたのだな」 

2012年03月04日 06時09分00秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革


[総理も同じことをしていたのだな 竹内譲さんと野田佳彦さん]

 公明党の竹内譲さん(比例近畿ブロック)は当選2回生

 2012年2月23日(木)の衆院予算委員会集中審議(円高・デフレ・一次産業)のなかで、野田佳彦総理と心が通い合う場面がありました。

 「(昨年8月の)民主党代表選の演説を聞いていて、ああ、総理も同じことをしていたのだな、と感じました。総理と私は平成5年に初当選して、2人とも平成8年に落選しました」としました。

 平成5年(1993年)の第40回衆院選で野田さんは日本新党公認で、竹内さんは公明党公認で初当選。ともに新人ながら、両党ともに初めての与党経験として、細川護煕・羽田孜内閣を支えました。この間、京都市を地盤とする竹内さんは、阪神・淡路大震災について、橋本龍太郎首相に質問をしたこともあります。そして、新進党結党。竹内さんは新進党京都府連幹事長も務めました。第41回衆院選では同じ新進党公認で出馬した野田さん、竹内さんですが、当時の小沢一郎党首が選挙直前に政策審議会(政調会)が積み重ねた「政権交代に向けた公約」にまったくなかった「消費税の5%への引き上げ絶対反対」という抵抗野党“社会党化”したマニフェストで、55年体制崩壊政治改革のムードが台無しになり、多くの有能な人材が犬死にしました。野田さん、竹内さんも落選しました。

 「その後、私は自ら志願して、地方議員になり、紆余曲折がございまして、ここにいます」と現在2期生の竹内さん。

 竹内さんは衆院落選後、京都市議会議員を3期やり、第45回衆院選で国政復帰しました。それから2年は、竹内さんは財務金融委員会で野田さんとずっと議論してきました。

 野田さんは「竹内さんとは同期生で、私も中小(および零細)企業を回って、1ヶ月に1万円を集金して、領収書をきってまわりました」。

 野田佳彦さんは2011年8月29日(月)の民主党両院議員総会で、「3年8ヶ月の浪人中に、当時所属していた政党(新進党)は解党してしまいました。政党助成金(支部交付金)は来ません。中小(および零細)企業のおやっさんのところを、振り込みだなんて失礼ですから、歩いて回って、領収書を切って回りました」と語り、同月直木賞を受賞した「下町ロケット」のように中小および零細企業の技術力が日本のフロンティアだと演説。代表に当選しました。

 竹内さんは今は違う党ですから、それをテレビで聞いて、「ああ、総理も同じことをしていたのだな」。その中で、中小企業のことをよく知ることができたとしています。野田さんは「社長の奥さんがいるときには、もらえないこともありました」と照れ隠し。「そういうみなさんは、きょうより明日は良くなると信じて毎日暮らしていた」として分厚い中間層の復活を期しました。

 [外相吊し上げが沖縄の心の原点 遠山清彦さんと岡田克也さん]

 2月26日(日)と27日(月)に野田佳彦首相が初めて沖縄を訪れましたが、これに先立つ2月17日(金)の衆予算委集中審議(在日米軍・安全保障)。

 公明党沖縄方面議長をかねる衆院議員の遠山清彦さんが登場しました。


[写真]遠山清彦さん。

 普天間飛行場の海兵隊員のグアム移転と辺野古崎沖の埋め立てが切り離され、明るい兆しがでています。しかし、「最低でも県外」という鳩山由紀夫首相による妄言による政府と沖縄の不信感の中で、ホントウに(普天間飛行場の)先行返還ができるのか。



 この写真は朝日新聞さんの報道写真です。岡田克也さんは外相時代の2009年末、民主党沖縄県連の第3区総支部(玉城デニー衆院議員)と4く総支部(瑞慶覧長敏衆院議員)主催の対話集会で吊し上げにあったことがあります。その後の記者会見のようすです。この後、国内での調整は官房長官が担当することになりました。

 遠山さんは「よく民主党政権の閣僚のみなさんは『沖縄に出向いて直接説明したい』という言い方をするんですが、沖縄県民からは『知事や市長に会っているだけだ』と言われています。この点に関して、きょうは(質問通告をしていないので)ここに見えておりませんが、鳩山内閣で外相をしていた岡田副総理が、普天間で住民との直接対話集会を開きました。マスコミはクローズでしたけど、たくさんの人が参加していたので、そのときの記録を後で私読みましたけれど、大変な怒号、批難を浴びる中ですね、岡田さんが話をされていた。その話の中身は今は(言及するのは)避けますけれども、私はこの岡田外相がですね、沖縄県民の皆様方と直接対話をして政府の立場を説明したことは非常に勇気のある行為だったと思っております」と評価しました。

 遠山さんは2001年7月の参院選で初当選。4月に就任したばかりの小泉首相旋風の中、平成になってから2回しかない与党が勝った参院選です。この後、衆院に転出しています。



 公明党参院議員といえば、浜四津敏子さんです。上の写真は、小沢一郎氏による新進党解党に抗議する岡田さんですが、この画像をよく見ると、浜四津敏子さん(赤丸)が斜め後ろから岡田さんを凝視していることが分かります。



 浜四津さんは2010年7月、「新進党などで小沢一郎さんと行動した時もあったが、政策を聞いてもらった覚えがない」と朝日新聞のインタビューに答え、「早い引退とも言われるが、党の定年制に従う。若い人たちに重くのしかかりたくない。私は一弁護士に戻る」と颯爽と可憐に国会を去っています。

 こうやって先輩である浜四津さんの姿勢を、遠山さんはよく見ていたのだと思います。

 支え合う日本、心をつなぐ新進党。

 一方、岡田さんは草川昭三さんの真後ろに座っています。草川さんは新進党公認で愛知6区の小選挙区を勝ち上がりました。これは最近、YouTubeで見た映像です。国難の折、著作権法41条にもとづき当ブログでご紹介させていただきます。

 

 上の画像のように、新進党両院議員総会で、草川昭三さんが小沢一郎党首に「勝ち取ったことなんてことを言いなさんな。(国会運営を)やり直そうや!」と批判しています。



 これに対して、小沢党首(緑丸)の意を汲んだように、大久保直彦・新進党参院議員会長(参院議員団長)が草川さんに対して「何をやり直そうと言うんですかあ!」と言い返しています。大久保さんは公明党書記長(幹事長)を務め、明電工事件での矢野絢也・委員長(党首)辞任の際に連帯責任で副委員長に下がっています。その後、第39回衆院選で、中選挙区に無所属の石原伸晃さんが初出馬しました。私は最寄りの学校に通学していた関係で、荻窪駅南口バスロータリーで石原さんが「元日本テレビ記者の石原伸晃です」と一人でハンドマイクを持ち、朝の駅頭をしているのを何十回も見ています。公示後に、テレビで、石原裕次郎さんの甥で石原慎太郎衆院議員の息子だと知り、ビックリしました。そのころ、隣の阿佐ヶ谷駅を使うようになっていたのですが、投票日の数日前に大久保副委員長が大勢の人と並んで焦った顔であいさつする姿を1度だけ見たことがあります。結果は石原さんが3位に飛び込み当選(自民党から追加公認)。大久保さんは6位で落選しました。その後、参院に転じた大久保さんは、小沢党首から幹部に指名され、こうして、公明党の同僚だった草川さんに対して、小沢氏の意を汲み言い返す役回りをしていたようです。

 草川さんは現在83歳。大久保さんは現在75歳。草川さんは2月7日(火)の予算委員会でも質問しましたが、小沢グループだった大久保さんは国会にいません。

 小沢一郎さんの手により、デモクラシーで最も重要な「所属公認政党」はぐっちゃぐちゃ。例えば、新進党の役員名簿を見ていたら、野田毅・政調会長(政策審議会長)と坂口力代理なんて時代があったんですね。で、坂口さんがシャドウ外相(トゥモロー外交政策大臣)で岡田克也さんがシャドウ外務副大臣(トゥモロー外交政策副大臣)でした。

 あるいは、遠山清彦さんが岡田副総理がマクロ経済スライドを評価したことについて、2月2日(木)の衆院予算委で「当時、参院の厚生労働委の理事にこっぴどくやられたんですよ」と言いました。この理事とは山本孝史さんです。岡田さんと山本さんは、第140回国会での衆院厚労委の伝説の改正国民健康法を100時間審議したときの新進党の筆頭理事、次席理事です。このときの委員長は町村信孝さんで、小泉厚相でした。もちろん、坂口さんも委員でした。

 さて、私たちは重大な局面をしなければいけません。それは小沢氏が4月26日に東京地裁から判決を受けるからです。しかし、小沢さんは裁判所によって裁かれる、法律の敵、「法敵」ではないと私はとらえています。小沢さんは新進党を解党しました。それは歴史に対する犯罪であり、私たちの子や孫に対する犯罪です。小沢さんは歴史という名の下に裁かれなければなりません。小沢さんは、デモクラシーのプロセスを不透明にする民主政治の敵、「民敵」です。そして、新進党という政権準備政党を破壊し、赤字公債や建設公債を800兆円も積み上げるチェックのきかない政治をもたらした、公の敵、「公敵」です。そして、見て見ぬふりをする村社会で、小沢さんを増長させたのは、一人一人の心の中の敵。いわば自分の敵、「自敵」です。

 小沢さんは「民敵」であり、「公敵」であり、「自敵」です。刑事罰より先に、私たちが、小沢一郎被告を裁かなければいけません。その大きな局面を迎えました。それが震災後の日本を生きていくということです。新進党を解党した人物をのさばらせておいて、私たちの子孫に対して、私たちは今を生きた責任を果たせるでしょうか。答えはノーです。私たちは、小沢一郎さんを歴史という法廷において有罪にしなければなりません。見て見ぬふりをする人も有罪です。

 小沢一郎さんの息の根を止めましょう。

 小沢グループを根絶やしにしましょう。

 ところで、新聞報道の間違いが非常に多くなっています。例えば特例公債法案が衆院で可決し、参院で否決したら「廃案になる」と書いた記事がいますが、これは「両院協議会にかかる」の間違いです。消費税増税法案について、その前に解散するということを強調した記事がありましたが、消費増税法案(未提出)は「2014年4月」で、第45期衆議院の任期は「2013年8月29日」なのですから、その前に解散するのは当然でしょう(現行憲法下で解散無しの任期満了総選挙は1回のみ)。

 さて、3月4日週の国会は、5日(月)に衆院予算委員会で分科会が開かれます。8日(木)には予算案を衆院で可決し、参院に送付することができそうな気配となってきました。税制改正法案(国、地方)と特別会計法改正案もひょっとした採決できるかもしれません。一方で、自民党は先週3月2日(金)の衆院財金委員会の午後の審議で、質問者を入れて4人しか出席していないという気のゆるみが見られます。これについては、同日の午前中の審議で民主党から指摘がありました。「定例日ではない」などという国会村の言い訳は国民に通用しません。しっかりと3党協議を進めながら、国会を前に進めないと、維新の会の大躍進の可能性がでています。これは民主党選対が実施した情勢調査でも一部、驚愕の数字が出ています。

 最高のリーダーは絶対にぶれてはなりません。

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◎平成25年度補正予算でも「3党合意は有効」岡田克也さんが見解示す

2012年03月02日 19時04分00秒 | 岡田克也、旅の途中


 副総理の岡田克也さんは2012年3月2日(金)の定例記者会見で、昨年8月9日の3党合意が「平成25年度当初予算(来年4月)以降も有効ではないか」との質問に対し、「私もそう思っています」と述べ、来年7・8月まで有効だとの見解(岡田見解)を示しました。岡田さんは3党合意を結んだ昨年8月9日は民主党幹事長で、同月末で菅直人代表(首相)とともに退任しています。

 3党合意には「民主党、自由民主党及び公明党の三党は、以下の点について確認する」として、「高校無償化及び農業戸別所得補償の平成24年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」、「平成24年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する」という文面になっており、衆参で過半数を持つ民自公3党による政策効果の検証は現在の衆参の議会構成が続く来年7月ないし8月まで有効と考えられます。

 前日3月1日の衆院予算委員会では3党合意の政策効果の検証に関する集中審議があり、自民党の赤澤亮正シャドウ農林副大臣は「予算の反映も含めて政策効果の検証です」と述べ、高校無償化と農業の所得補償などの政策効果の検証結果を予算に反映させるよう求めました。高校無償化の実務者協議にあたる自民党の馳浩・衆院文科委員会理事も同様の認識を示しています。子どものための手当についても公明党から予算関連法案(児童手当法改正案)の3党協議をせっつかれている状況です。

 岡田副総理は「そこの文言通りですので、検証を行う。そして検証を行った結果として、必要なら見直しをする、ということですから。それは検証しないとだめですね」と述べました。検証すれば予算の見直しが必要となり、検証するならば、3党合意はたとえば、平成25年6月辺りに補正予算案を編成したとしても、有効である、という意味合いです。

 自民党幹事長の石原伸晃さんや、公明党幹事長の井上義久さんも同じ認識かの質問に対して、岡田さんは「それぞれに聞いてもらわないと分かりません。文言ですから」として、3党合意はあくまでもペーパーに過ぎず、昨年8月の幹事長退任で、自分の手は離れているとの認識を明示しました。

 ちなみに、今国会での参議院での議席数は民主党が104議席、自民党が86議席(参院統一会派の「たちあがれ日本」含む)、公明党が19議席で、過半数の121(平田健二議長除く)を大きく上回っています。

 ところで、3党合意の結びですが、「以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。以上、確認する。」となっています。この「特例公債を発行可能とするための法案」が「平成23年度の特例公債法(平成23年法律106号)」だけを指すのか、あるいは「平成24年度の特例公債法案(第180閣法2号)」だとか、さらには「平成25年度の特例公債法案(もちろん未提出)」でも有効かどうかは、私うっかり聞きそびれてしまいましたので、いずれ機会があれば質問してみたいと思います。

 検討中も含めて、100本以上の法案が積み上がっている第180通常国会。与野党とも、解散総選挙などしている場合ではありません。岡田見解に従って、ドンドン法律をつくらないと、定数削減幅以上に維新の会に食われます。

 なお、岡田さんは、同じ記者会見で「私自身は2005年(9月11日の翌日)に代表を辞めたときから禁煙している」と語り、以前はたばこを吸っていたことを明らかにしました。私はこのことを知らなかったので驚きました。マジメで堅物な岡田さんも、昔はけっこうワルだったのかもしれません。

 [3党合意(原文ママ)の全文引用はじめ]

 確認書

 民主党、自由民主党及び公明党の三党は、以下の点について確認する。

 一、歳出の見直しについては、以下のとおりとする。
   ・ 高速道路無償化については平成24年度予算概算要求において計上しないこととする。
   ・ 高校無償化及び農業戸別所得補償の平成24年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。
   なお、これらを含めた歳出の見直しについて、平成23年度における歳出の削減を前提に、平成23年度第3次補正予算ならびに平成24年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。

 一、上記歳出の見直しと併せ、子ども手当等の見直しによる歳出の削減について、平成23年度補正予算において減額措置することを、特例公債を発行可能とするための法案の附則に明記する。

 一、法人税減税等を含む平成二三年度税制改正法案(その内容を一部切り出して6月22日に成立した法律にあるものを除く)については、復興のための第3次補正予算の検討と併せ、各党間で引き続き協議する。

 一、東日本大震災復興基本法第8条に規定する復興債の償還財源の具体的内容や償還ルールなど、あらかじめ決めることとされているその償還の道筋については、第3次補正予算の編成までに、各党で検討を進める。

 一、平成23年度の第1次補正予算における財源措置として活用した年金臨時財源については、第3次補正予算の編成の際に、復興債で補てんすることとし、そのための財源確保策と併せて、各党で検討する。

 一、以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。

 以上、確認する。

                                                        平成23年8月9日
                                                            民主党幹事長 岡田克也
                                                            自由民主党幹事長 石原伸晃
                                                            公明党幹事長 井上義久

 [3党合意(原文ママ)の全文引用おわり]

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心強い、玉木雄一郎さんカメラ目線でついにテレビデビュー 

2012年03月01日 21時46分00秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 [写真]カメラ目線で、直接国民に訴えた玉木雄一郎さん、2012年3月1日、衆院予算委員会、NHKテレビから撮影。

 さあいよいよ、2012年3月1日、満を持して玉木雄一郎さんがテレビデビューしました。

 きょうは3党合意にもとづく政策効果の検証ということで集中審議がありました。これで集中審議は4回、一般的質疑は4巡ですが、衆院通過は早くても8日(木)以降となりそうです。政権交代後、いろいろと興味深い現象があります。自民党衆院議員は96%が与党経験者。そのため、「予算が間に合わない」という体内時計が働くようで、きょうも第44回郵政選挙の小泉チルドレン84人で生き残った10人の一人、赤澤亮正さんが、農業者戸別所得補償の政策検証について、日時入りで財務省原案の査定に間に合わなかった経緯を説明しました。そのうえで、政策効果の検証をこれから本予算に反映させたいと発言。心強いのですが、党議決定ではないでしょう。本予算組み替えなのか、1次補正を早期に組むのかは分からないまま。体内時計がおさまらない気配の自民党議員は多く、与党・民主党議員を無責任だと批判しています。ただ、民主党側は体内時計がなじんでいない。

 一方、いつもは穏やかな公明党幹事長代理の富田茂之さんが高校授業料無償化と特定扶養控除(高校生向け)縮小による定時制高校などの生徒の家計負担増について質問。たびたびの指摘ですから、ついには、都道府県の高校生修学支援基金の対応について、民主党理事の地元の道県で対応していないと資料で名指し。県議会の2月定例会には間に合わないから、6月定例会に向けて働きかけろと要求しました。実務者である池坊保子元文科副大臣は、いつも文科委で議論しているとして、文科大臣ではなく野田佳彦総理から答弁をもらいたいとしましたが、委員長はなかなか指名しませんでした。

 しかし、今回の集中審議は、元々、小沢グループ(松宮勲議員)が衆院文科委筆頭理事を辞任したことによる混乱で政策効果検証ができなかったから、衆院予算委で設定され、池坊さんが出張してきたのではないでしょうか。やはり文科専門議員は、各党とも税額控除とセットで議論できる人材が少ないようです。ただ、誰の人生でも「15歳」とか「16歳」とかは一度だけですから、しっかりと対応して欲しいし、その責任を放棄した小沢グループの罪は深い。

 きょうの田島一成さんは、筆頭理事のリリーフをさらにリリーフした現文科委筆頭理事ですが、高校無償化により、平成22年度の経済的理由による高校中退者は前年比減少し、高校再入学者は増えているという「検証」をしました。ただ、やや初めに結論ありきで、富田さんの指摘していることなどにはなかなか対応できないかもしれません。このため、自民党や公明党がイライラしています。

 しかし、そもそも衆議院で3週間議論して、政府原案通り参院に送っていたことの方が間違いなんです。だから、ことしは暫定予算をしっかり組んで、議論をしたうえで3党による議員修正ということに挑戦してもらいたいと考えます。諸外国を見れば、暫定予算など当たり前です。地方議会でも、首長選前の骨格予算と6月定例会での肉付け補正予算はよくあります。自民党や公明党も体内時計をリフレッシュするチャンスです。

 こういう状態で、農業者戸別所得補償の政策効果の検証には、1期生の玉木雄一郎さんが起用されて少し驚きました。

 第45回総選挙初当選「政権交代チルドレン」140人のうち、リードしているのは玉木さんではないか、というのは同期議員、官僚、マスコミが巷間言っていました。玉木さんは昭和44年(1969年)生まれの42歳。香川県寒川町の出身で、東大法学部卒、ハーバード大学院修了、大阪国税局総務課長、財務省主計局課長補佐。第44回衆院選に出馬しましたが、香川2区で及ばず、浪人し、第45回衆院選で初当選しました。

 今回の予算審議では1期生が続々テレビデビューしています。城島光力・国対委員長には野党から批判もありますが、今回の人選はよく見ているな。そろそろ選別ができてきました。震災後日本に明るい未来を引っ張ってこられる人材。民主党にはいます。

 で、内容も良かったのですが、玉木さんの態度。これはカメラ目線を多用し、国民の目を見て、話しかけました。



 真っ赤なネクタイといい、自信満々で、震災後のニッポンをぐいぐい引っ張っていける気がします。こういう態度は演技ではムリ。玉木さんより5歳ほど年上のオリンピック(1964年)世代では、民主党代表を狙える議員が5人以上いて、今はほとんど入閣しています。玉木さんもいずれ、ブレアのように野党・民主党を率いて、一気に総選挙勝利で、初入閣で総理就任というダイナミックな政治を見せて欲しいです。

 玉木さんは、農業者戸別所得補償により、全体の9・8%しかない2・0ヘクタール以上の(大規模な)農家に、総予算の約6割が配分されていると指摘します。集落営農数の推移を見ても、平成23年度に急激な伸びている。これにより、規模の集約・拡大による日本農業の生産性向上のための「緩やかな集約化の機能がビルトインされている」と直接支払いの基礎的な理論に関する政策効果を強調しました。

 そのうえで、玉木さんは「与野党による政策効果の検証ですので、あえて改善点を指摘します」。このとき、玉木さんは野党席を眺めながら、テレビカメラも見るという高等テクニック。少なくともアメリカの政治家では必須の技術です。そして、「選挙の際には、戸別所得補償制度と言ったが、私は「戸別」の名前を改めるべきだと考えている」としました。そして、法制化を含めて恒久化をすべきだ。それを3党協議やりましょう、と呼びかけます。

 鹿野道彦農相は「名称の問題もありましたが、3党の協議の中で恒久化、法制化のご検討をいただきたい」と答弁。鹿野農相は「農業者戸別所得補償法案」について、「提出したいが、衆参ねじれなので、やむを得ず、予算書での措置にとどまっている」という趣旨の答弁を繰り返してきました。ですから、名称変更のうえ、3党で法案提出となります。

 なお、この「名称」ですが、これは票「田」を得るために、2007年参院選に向けて、当時の小沢一郎代表が自分でつけた名前です。元々は「直接支払い」という言い方で党内で検討が進んでいました。とはいえ、選挙に勝たなければ導入できず、その第一段階は成功しました。自民党のシャドウ農林大臣(JA農協専務理事出身の全国比例参院議員)も制度自体に賛成しています。


 玉木さんは、「農業予算を確保するためにも、一体改革が必要で、そのためには身を切る改革が必要。まずは自分自身がしっかりやっていく」と締めくくりました。このデビューが歴史的なものになるかどうか、玉木さん次第です。現在、玉木さんの対抗馬となる自民党香川2区支部長は決まっていない状態です。

 午後質問に立った自民党の赤澤さん(51歳)は「さきほどの玉木委員、彼はプレゼンテーション能力があり、弁舌もさわやかで人柄も良い」と他党議員に対して異例の言及。「集落営農が増え、規模の拡大が進んでいるのは自民党農政からの流れだ」と反論して、このまま面積が拡大し続けるといつか天井が来る、という当たり前すぎる懸念を表明しました。そして、赤澤さんは「真の政策効果の検証が必要だ」とし、苦しい立場に追い込まれた「真の」というセリフを使っています。しかし、さすがにここから赤澤さんの粘り腰がみられ、「民主党政権は土地改良予算を削りすぎたので、主食用コメはいいが、小麦と大豆の自給率向上への寄与度が落ちている」と指摘しました。

 鹿野農相は「戸別所得補償の予算を捻出するために、農水省予算のなかで、土地改良予算を削りすぎてしまった」と謝罪しました。なお、このときは鹿野農相ではなく、赤松良隆農相の時代で、土地改良予算の減額は当時の小沢一郎幹事長の判断だとされています。

 自民党では同期の女性議員同士は仲が悪いのが当たり前なのに、民主党では同期の女性議員同士は仲が良いのが当たり前という文化の違いがあります。政権交代チルドレンは140人いながら、あまり張り合いません。ただ、以前から張り合っている雰囲気の議員がいました。大蔵省出身で税務署長をやった自分は他人と違う。だから政務三役入りすべきだ、と考えていたようです。

 その議員は、2010年9月の民主党代表選では小沢一郎候補の推薦人になり、同期で真っ先に常任幹事会メンバー入りを果たしました。ところが、菅直人首相は、2010年7月に自民党で初当選した浜田和幸・参院議員を引き抜いて、総務政務官にしました。現在は外務政務官です。意外なかたちで後輩に政務三役入りされてしまいました。参議院の構成を考えると、この人事は意味があったのですが、いかにも政界らしい不条理。張り合っていた議員も、議員立法で活躍し、今国会でテレビデビューしました。質問はあまりせず、持論をとうとうと述べましたが、かなりあがってしまったようでした。

 そのうえ、1965年生まれで、一体改革担当が外れて今国会で答弁がいきいきしている経財相の古川元久さんから「委員は私が入省したときの直属の上司です」と持ち上げられ(?)ました。さはさりながら、きょうの審議でも、「税額控除と給付のバランス」の政策効果の検証ができる実務者は少ないようだし、この議員も小沢グループから卒業したようです。ぜひ国益のために邁進してください。

 きょうから弥生3月。内藤鳴雪の「掃き溜めの草も弥生の景色かな」のように、生命(いのち)力強く、ご入院中の陛下がご回復されているとの報道がありました。二大政党の党首が密会していた、という報道がきのうありました。おそらくそれに反応して、きょう都内で、小沢グループが地元を街宣車で遊説するシーンがありました。小沢グループらしい反応の早さです。

 きのうの報道ですが、完全な誤報です。民主党首脳は今国会でしっかり3党協議体制をつくって、民自公で法律をドンドン作り、景気が回復したところで、解散するというシナリオを持っています。今夏は昨夏以上に節電が求められますので、選挙などしている場合ではありません。

 いまさら、玉木さんや赤澤さんのように自分を磨いたり、富田さんのように情熱を捧げるテーマを見つけたり、池坊さんのような身のこなしを身につけるのは難しいかもしれません。ただ、これはもう国会の中でキッチリやらないと再選はない時代になりました。私はその確信を持っています。日本は大丈夫です。自民党は第44回衆院選で比例東京ブロックの単独28位で衆院議員に当選した若宮健嗣(わかみや・けんじ)さん50歳を公募で、東京5区支部長に決定しました。1月31日付。対抗馬は民主党現職の手塚仁雄さん。若宮さんは第45回衆院選は比例単独23位。繰り上げ当選まで間には13人(そのうち1人は参院転出済み、もう1人は逝去)。それでも、小選挙区でチャンスを得られた。「1回休んだ」という考え方もあるでしょう。いずれにしろ、次の総選挙の後は、二大政党現職は連続当選しやすい地合いになると予測できます。だから、つねに「自己最高記録」をめざしていく。そういう震災2年目イヤーの弥生3月がきょうスタートしました。私もきょうで38歳の誕生日となりました。「不惑の歳」を前に「大震災」を経験したことは、私の人生に限れば、幸運だったととらえています。これからも、国益、国民益のために、りんごの木を植えていきます。自信があれば、前に出よう!まっすぐに、ひたむきに。

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