渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岡田副総理「長期金利に特例公債法成立の遅れが影響を及ぼさないように注意深く進める」

2012年05月21日 16時23分15秒 | 岡田克也、旅の途中

 岡田克也副総理2012年5月18日(金)の定例記者会見で「特例公債法案が通らないということが金利に影響を及ぼさないように注意深く進めていかなければいけない」と述べ、新年度入りから特例公債(赤字国債)が発行できない状態が続いていることが、長期金利(日本国債の表面価格と連動)の変動を最小限にするため、政府(財務省理財局)がオペレーションしていく考えを示しました。

 そのうえで、「(衆議院・財務金融)委員会で議論しておられることですので、今の段階で政府が何か口を出さないほうが結果はいいというふうに思います。むしろ一般論として言えば、なるべく早く成立をさせていただきたい」と述べ、平成24年度の特例公債を発行する法案(赤字国債発行法案、第180国会閣法2号)を早く成立させるよう、国会に求めました。

 衆院の社会保障と税の一体改革特別委員会(中野寛成委員長)にかかっている3領域7法案や、内閣委員会のマイナンバー法案などの「一体改革大綱」の法案との採決の関連性については、「ええ、もちろん、これは別の法案ですから、そういう意味では別のものです」とし、連動しないとの考えを示しました。昨年は8月9日の3党合意(民自公の幹事長、政調会長、実務者の合計9人)文書にもとづき、8月26日(金)の参院本会議で成立し、その夕、菅直人首相が退陣を表明しました。

 ことしはギリシャ再選挙や、フランス新大統領のEUとの新政策、さらに日本国内の銀行の資金運用手段の手詰まり感などから、特例公債の発行への需要が変化したり、ヘッジファンドなどが日本国益を損ねるような相場への仕掛けをしてくる可能性は否定できず、与野党・衆参を問わず「決められる政治」への脱却が全国会議員に求められています。

 まあここまで書くと、書いている本人も緊張感を覚えるわけですが、とはいえ、経済も社会も「支え合い」であり、相互依存は高まるばかりですから、まあなんとかなるものです。

 記者会見での記者(筆者)との一問一答は次の通り。

岡田副総理記者会見(5月18日)要旨から引用はじめ]

(前略)

(問)フリーランスの宮崎ですが、特例公債法案についてお伺いいたします。というのは、長期金利のほうが下がっておりまして、今週0.815%ぐらいをつけているときもあります。まだこの時間ですとニューヨークも開いたばかりの時間ですので、一般的な話なのですけれども、今、報道されているのは第322回新発国債10年もので、これは5月10日の発行ですから、当然建設国債です。赤字国債は発行できるわけありませんから、まだ現時点では。2.3兆円発行されるということで、今年の建設国債は、今、当初では6兆円ぐらいのはずですので、もう2.3兆円も発行するのかという気がいたします。
 お伺いしたいことは、長期金利が低いか高いか、あるいは表面価格が安いか高いかではなく、いずれにしろ変化が激しいのは好ましくないというのは間違いないと思います。ちょっとヨーロッパのことはなかなか難しくて分かりませんが、衆議院で現在留め置かれている特例公債法案、審議のほうはかなり積み上がっております。採決しようと思えば、審議時間のほうはもうほぼあると思うのですけれども、この特例公債法案に関して、政府のお立場から国会に対してどうお願いされますでしょうか。

(答)委員会で議論しておられることですので、今の段階で政府が何か口を出さないほうが結果はいいというふうに思います。むしろ一般論として言えば、なるべく早く成立をさせていただきたいということですが、真摯に各党間で議論が行われているということですから、それを見守りたいというふうに思っています。

(問)今回の一体改革の法案のほうとの審議というのは、これは別のものだとお考えでしょうか。

(答)ええ、勿論、これは別の法案ですから、そういう意味では別のものです。

(問)ある程度、これは最後ですけれども、長期金利には今注目はされているところでしょうか。

(答)特例公債法案が通らないということが金利に影響を及ぼさないように注意深く進めていかなければいけないと、そしてなるべく迅速に結論を出していただきたいというふうに思っています。

[引用おわり] 

 [お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自民党が国土交通委員会に出席 問責大臣は不在

2012年05月18日 22時38分17秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革


 [画像]国土交通委員会に出席した自民党の平沢勝栄さん、2012年5月18日(金)、衆議院インターネット審議中継から。

 「問責決議」について、「新・国会事典 第2版 用語による国会法解説 浅野一郎・河野久編著」は参議院の総理や大臣に対する問責決議は法的な意味を有せず、政治的な意味しか有しないとし、内閣に対する不信任・信任の決議権が衆議院のみの権能とされた理由は、憲法が二院制を採用した根本的理由に基づくものであり、衆議院に参議院よりも頻繁な民意の反映を求めたことによる、としています(145ページ)。

 前田武志・国土交通大臣と田中直紀・防衛大臣の2人の自民党出身参院議員に対して、参院自民党・たちあがれ日本、みんなの党、新党改革が問責決議(案)を4月18日(水)に提出し、提出者に公明党を加えて4月20日(金)の本会議で可決されてから4週間が過ぎました。

 参院議員である輿石東・民主党幹事長は、参院での問責決議可決による大臣辞任の連鎖をここで断ち切りたい考えとされています。一体改革特には、国交省、防衛省は関係なく、衆参国交委員会、衆院安全保障委員会・参院外交防衛委員会には今国会で是非成立させなければならない法案がないことから、私は突き進むべきだと考えます。

 きょうは、衆院国土交通委員会が開かれ、関越自動車道での乗り合いバスの事故に関連して、「バス事業などに関する参考人質疑」が開かれました。この中で、自民党の平沢勝栄さんが登場し、冒頭で、警察庁と法務省刑事局長に前田さんの公選法違反ではないかとする告発が受理されているかどうか質問しました。個別具体的には答えず、すぐに本題に入りました。

 そもそも、公選法違反だとしたら、それを取り締まるのは第一義的には岐阜県警の仕事です。それを立法府である参議院が問責するのは、二重、三重に問題があります。

 私は福田康夫・総理大臣の問責決議を審議する国会を傍聴して、「公開処刑ショー」が気持ち悪くなってしまい、ともに縁のある両大臣なので本会議に行きたかったのですが、怖じ気づいていけませんでした。インターネット中継で見る限りは、「公開処刑ショー」色は薄まっていたようです。おそらく賛成票を投じた参院議員のなかにも、問題意識を持っている人がいたのだと思います。

 きょうのように実績を積み上げていって、「参院問責による辞任の連鎖」を絶ちたいと考えています。議会は実績の積み上げです。

関連エントリー)

問責提出の「前田武志大臣は公職選挙法違反とは無縁の存在」 副総理の岡田克也さん
郵政見直し法案、参院総務委で審議入り 自民党真っ二つ、参院議員欠席で衆院議員出席の怪現象

[お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 
今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

議論から説得へ 一体改革特、質疑がスタート 細川律夫前厚労相、「社会保障は曲がり角」

2012年05月17日 22時39分45秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]前厚労大臣の細川律夫さん。

 一体改革特(中野寛成委員長)の質疑が2012年5月17日(木)スタート。午前中与党の質問があり、NHKで中継されました。総理がG8サミット(今回はロシアが大統領欠席)に出席しますので、来週月曜日から再開し、現時点では木曜日まで連日開かれることになっています。

 「議論から説得へ」ーー一体改革関連法案は、政治家やオピニオン・リーダーとして、プレゼンテーションの能力が問われています。

 民主党は平成24年度予算の審査と同様に、政調会長の前原誠司さんからスタート。「総理は政治生命をかけると言っている」と共通の意気込みから説き起こし、税収や国債リスクをパネルを使って説明しました。税収構造のパネルで、細かい税目まで入っていたのは今後の「説得」の作業では見直しが必要のように思いますが、国債の金利変動リスクが、都銀より地銀の方が大きいという数字は初めて知り、驚きました。そして、景気弾力条項ともいえる「社会保障の安定財源を確保するための消費税改正法案(180閣法72号)」の附則18条を念頭に白川方明・日本銀行(日銀、BOJ)総裁を呼び、「4月(先月)は官邸に4回行った」と政府と日銀の協調を言い張りました。

附則18条は次の通りです。

(「消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において名目の経済成長率で三パーセント程度かつ実質の経済成長率で二パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。
2 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。

 続いて、前厚生労働大臣の細川律夫さん(埼玉3区)が登場。

 衆院本会議では長妻昭さんが質問に立っていますので、民主党政権の歴代厚労相(長妻、細川、小宮山洋子現大臣)は全員がすでに登場しました。

 在任中は、恵まれないお子さんの施設にランドセルなどを送る「タイガーマスク現象」があった細川さん。私はいまだにタイガーマスクは細川さんだったのではないかと勘ぐっています。ベルリンの壁崩壊後の1990年初当選の土井チルドレン。社会党でありながら、労組出身でない弁護士で、仙谷由人さん、筒井信隆さん、松原脩雄さん、伊東秀子さん、宇都宮真由美さんらが話題になりましたが、きょうまでコツコツと衆院での議席を守り続けてきたのは、律夫さんなんですね。3年と1日前の代表選では「我ら同期生!」として、岡田克也さんの決起集会でマイクを持ち、仙谷由人さん、鉢呂吉雄さん、土肥隆一さん、岡崎トミ子さんらを呼び寄せました。まさにベルリンの壁崩壊もはやイデオロギーではない政治の1期生として岡田さんの背中を押しました。敗北後の残念会で、岡田さんは「きょうここにいらっしゃるみなさんには必ずお礼をしていきたい」と述べました。このとき私は「政権獲得後のポスト配分のことだな」と思いましたが、岡田筋は「そんなことできるようならとっくに総理になっていますよ」とのことでした。しかし、私の思ったとおり。スターの長妻昭さん4期生が厚生労働大臣になりましたが、7期生の細川律夫さんは副大臣に。そして、厚労大臣に昇格。このときのメンバーのうち、参院1期生を除くと、現在党を守るため自ら離党中の土肥隆一さん以外は全員政務三役になりました。岡田さんが幹事長退任時に「政治的資源を使い果たした」と民主党最高顧問に退いたのはこういう意味です。

 その細川さんは、「我が国の社会保障制度は、国連のWHO(世界保健機関)などから高い評価を受けているが、少子高齢化で曲がり角に来ている」と指摘。

 3年と1日前は選対本部長だった現総理の野田佳彦さんは「国民皆保険のおかげで日本は世界有数の長寿国となった」「国民皆年金のおかげで年金だけで生活している高齢者が多い」と日本の社会保障を絶賛。でも、それがほころんだら・・・?

 一体改革担当大臣の岡田さんは「いろいろ問題はあるにしろ、社会保障の骨格は維持すべきだ。ただ、国債に頼ってきた財源を消費税にかえて、資産のある高齢者にもご負担いただき、(若い世代が)働くことと子育てが両立しない、子どもを産むことをあきらめることがないように、消費税というかたちでご負担頂く」と一体改革に理解を求めました。ところで、突然クイズです!児童手当の財源に消費税を充てることができるかどうか?答えは、「子育て支援法案(180閣法75号)」の中に書いてあるので、大マスコミもよく読んで、記事にしていただきたいですね。それから、今後の報道で「消費増税法案を審議する~~」と書いていくと修正協議の報道に対応できないので、「一体改革関連法案」に表記を変えるべきでしょう。

 細川さんに戻ります。子ども子育て新システム(幼保一元化・幼保一体化)のための総合こども園法案(180閣法76号)について、文科大臣の平野博文さんが第一委員室に。平野さんは「核家族化により、都市部と地方部では子育てのしかたや働き方に違いがある」とし、「(幼稚園と保育園は)それぞれの課題があり、その解決策として、子ども子育て新システム法案を(内閣府と厚労省とともに文科省が)提出した」と答弁しました。歯切れが悪いように思える平野答弁ですが、自民党政権では不可能な答弁。パナソニック労組出身の平野さんを悪く言う人もいますが、逆に言えば、パナソニック労組という安定基盤がある衆院議員だから言える発言です。政治家は私たち国民の生活をよくするために利用する道具に過ぎません。

 きょうの審議では1993年日本新党初当選仲間の樽床伸二さんと野田総理の漫才のようなやりとりがありました。樽床さんは「基礎年金という言葉を日常会話で使ったことがない」とし、安住淳財務大臣も「日々の生活の中で基礎年金という言葉を使ったことはない」としました。樽床さん「今の執行部でイチバン年金に詳しいと私が思っている、民主党国対委員長の城島光力さんも日常会話で基礎年金という言葉を使ったことがないと言っている」とすると、小宮山さんが「年金受給者は老齢基礎年金という言葉を知っている」と反論。ここで、樽床さんは「国民年金の受給者には基礎年金とは、国民年金のことですと言えばいいんですよ」。これはその通り、樽床さんの庶民目線のこの指摘、小宮山さんは今後こちらの説明で「説得」をしていただきたい。そして、樽床さんは「揮発油税のことをガソリン税と呼んでいる。消費税という言葉も年金医療税という言葉に代えたらいい」と総理に差し向けると、野田さんは「国民福祉税という言葉を使ったが、うまく行かなかった」とお互いに1期生で支えた細川内閣を振り返りました。当時を知る人にとっては、心が通い合うエピソードでした。自民党の鴨下一郎委員、自民党政調会長の茂木敏充さんらの心もつないだかもしれません。

 国民新党幹事長の下地幹郎さんは「私はこの法案は国民の理解を得られると思う」としたうえで、会期の延長に言及することが熟議の国会ではないかと総理に水を向けましたが、総理は「きょうから議論が始まったばかり」としました。

 テレビ画面で明らかだったのは、樽床幹事長代行(各党協議会座長)が冒頭に「定数削減はできるという前提でみんなに呼びかけている」とヌケヌケと言ったときには、同僚議員がしらけた顔で見ていました。樽床さんはこのとき、同僚がどういう顔をしていたかを確認しないと、どういう生き方をするにしろ、彼の人生のためにならないと考えます。

 国民福祉税構想のときの大蔵大臣で、民主党政権初代財務大臣の藤井裕久さんは、5月11日付の党機関誌「プレス民主」の3ページで、「明日への安心対話集会を(実際に8%に引き上げる時点である2014年4月まで)2年間続けよう」と党員に呼びかけました。鬼気迫るものを感じます。

 細川前厚労大臣は、「平成22年度から平成23年度にかけての(国民年金?)保険料納付率も下がったようだ」とし、「年金の法案はぜひ成立させてほしい」と呼びかけました。1990年社会党当選のニューウェーブ弁護士でイチバン地味な細川さんの仕事ぶりを側聞するに、この言葉がイチバン説得力があったように感じた初日の審議でした。手応えは十分であります。

 なお、衆院・倫選特(政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員会)が同日(2012年5月17日木曜日)開かれ、欠員があった理事に逢坂誠二さんと阿知波吉信さんが補充されました。こういうところでも人が見られているな、と感じます。参考人招致の人選も決まりました。

[お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3時間の政治討論番組に参加しました。土曜日放映です。

2012年05月17日 21時49分32秒 | その他

[写真]3時間の討論が終わりホッとしたところをスタッフの方に撮っていただきました。 

 3時間の政治討論番組に参加しました。土曜日放映です。

 合計8人での政治討論番組で、他の方とは全員初対面でしたが、話を切り出すと真摯に聞いてくださいました。

 放送はCS放送「スカパー!217チャンネル」の「日本文化チャンネル桜」で、2012年5月19日(土)の午後8時から午後11時です。

 その後、インターネット放送の「So-TV」や「チャンネル桜」のYouTubeやニコニコ動画で公開されるようです。

 タイトルは「日本よ、今・・・闘論!倒論!討論!2012(第265回)」の「新潮流はあるのか?!どうなる日本の政局」です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あれからちょうど3年 ついに消費税増税法案が一体改革特別委で審議入り 政治を国民の手に取り戻そう

2012年05月16日 21時12分37秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 「菅グループの飲み会があるから見に行かない?」とのジャーナリスト仲間の誘いを断り、ホテルオークラから一人歩いて、バス通りに出た僕は、ヒートアイランド現象のせいかどうか知らないけど、遙か彼方からやってくる強風に少し頭を冷やしながら、「この国はどうなってしまうのだろう」とつぶやきました。震災前で少し余裕があったので、サントリーホールまで歩いてみて、何か公演があり、当日券が余っていたらケータイ電話のつながらないホール内の空間で2時間ほど過ごして気分を変えよう、と歩いていたら、なぜか新橋駅前鉄道広場に着きました。その後地図を調べたら、正反対の方に歩いていたことに気付きました。「まあ、いいや、4ヶ月以内に必ずある総選挙での政権交代に向けて、がんばろう」と気分を切り替え、いやむしろ身も心も疲れ果てたのかもしれないけど、山手線で家路につきました。

 あの日から、きょうでちょうど3年が立ちました。私の人生において、そして愛する祖国にとっても、ものすごく濃い3年間だったと思います。

 気弱な地上げ屋さんにも、蕎麦さんにも、ミニーさんにも、とらちゃんにも、ずいぶんといじめられましたが、私はまったくもって、自分の意見は寸分の間違いもなかったと絶対的に確信しております。たくさんのことを学んだ体験でした。

民主党代表に鳩山由紀夫さん 岡田さんは29票の大差で惨敗



 ◇

 衆議院社会保障と税の一体改革特別委員会(中野寛成委員長)2012年5月16日(水)午前11時37分から、一体改革関連法案3領域7法案の趣旨説明を受けました。

 小宮山洋子厚労相が、
  国民年金の最低保障機能を強化し、受給資格を25年→10年にする法案
  被用者年金を一元化し、共済年金を厚生年金に統合する法案

 小宮山洋子内閣府少子化担当相が
  子ども子育て新システム導入のための子育て支援法案
  子ども子育て新システム導入のための総合こども園法案(事実上の幼保一元化・幼保一体化法案)
  子ども子育て新システム導入のため関係法律58本を改正・整備する法案

 安住淳財務大臣が
  社会保障の安定財源を確保するための国の税制の抜本改革のための消費税法など改正案

 川端達夫総務大臣が
  社会保障の安定財源を確保するための地方税制の抜本改革のための地方税法など改正案

  をそれぞれ提案した理由を説明しました。

 副総理兼一体改革担当大臣の岡田克也さんが全体を見守りました。

 ◇

 2009年5月11日(月)の連休明け初日の小沢一郎代表が辞任表明しました。そして5月16日(土)に代表選を告示し、すぐに両院議員総会で投開票するという日程を発表しました。その後、古川元久・代表選挙管理委員長は「ディベートを導入する」との細目を決めました。

 小沢グループが擁立し「消費税引き上げを議論すらしないで友愛国家を建設する」と主張した鳩山由紀夫候補と、「民主党にとってというより日本にとって政権交代は待ったなしの状況だ。(第44回衆院選岡田マニフェストに続き)、税金の無駄づかいをなくし、徹底的な行政改革をしたうえで、全額税方式の最低保障年金を創設し、将来消費税を3ポイント上げさせたもらいたい」と主張し、同期当選が先導役となり花斉会が事務局を務めた岡田克也候補。結果は、衆院議員票では岡田候補が上回ったとされますが、小沢一郎さんらの組織による徹底した締め付けによる参院議員票の圧勝で、鳩山候補が当選。そして、政権交代と同時に、第93代首相となったのは、日本国民全員周知の通りです。

【岡田克也さんの主張】

 2009年5月(ただし、2005年8月の第44回衆院選岡田マニフェストと内容は同じ)。






[画像]順にNHKさん、TBSさん、TBSさん、TBSさん、テレ朝さん、テレ朝さんの当時のニュース映像から。

【鳩山由紀夫候補の主張】




[画像]順にテレ朝さん、テレ朝さん、TBSさん、TBSさんの当時のニュース映像。



 あす午前9時から質疑が始まります。与野党は100時間審議を目指しており、6月4日週以降に到達する見通し。与野党とも徹底審議に関する国民の圧力を感じているようで、長期間の国会空転はない見通し。このほか、衆院財金委にある特例公債法案、衆院内閣委にあるマイナンバー関連法案、衆院厚労委にある年金交付国債法案の合計4法案も私は「一体改革関連法案だ」という認識を持っています。

 会期末(6月21日)まで1ヶ月ほどしかありませんが、連日の審議をすれば、早ければ6月4日週にも100時間を越えます。いずれにしろ、修正協議のすえ、閣法を衆院修正して、参院に送付することになります。かつてないほど、衆議院議員の力が試される委員会となります。

 憲政史に類例がない委員会です。なぜなら、野党の伊吹文明筆頭理事が「消費税増税派」だからです。あるいは野田毅委員も「推進勢力だ」と自ら先週の本会議で質問演説しています。ところが、清和会会長で9月の総裁選出馬をねらう町村信孝委員は、早期の採決は話し合い解散や抜き打ち解散につながるので消極的だと考えられます。逢沢一郎次席理事は谷垣禎一総裁の「シャドウ首相補佐官」なので、谷垣さんを守るために早期解散に柔軟な可能性があります。

 修正協議は、子ども子育て新システム関連3法案が整うまで時間がかかるかもしれません。

 子ども子育て新システム関連法案は馳浩委員が元文科副大臣として幼稚園関係者の支持が篤いと見られる演説をしているほか、委員外の先輩でも自民党には幼稚園族の有力議員がいます。一方で、厚労族の田村憲久委員は保育所の充実に理解があるように思えるヤジを飛ばしています。今通常国会の冒頭で、年金交付国債が「消費税増税法案の関連法案だ」と主張し、現に年金交付国債法案が現時点で衆院を通過していないのは、大蔵省出身の厚生労働委員である加藤勝信さんの「加藤指摘」からです。この人も一体改革特別委員となっています。このようにこの一体改革特別委員会は、自民党のベテラン衆院議員たちの力関係で大きく左右してきそうな気配がします。私は自民党のことはよく分かりませんので、ぜひ、新聞社にはがんばって頂きたいです。節約のため、今月から読売新聞が入っていないのですが、読売新聞も再度購読しようかと考えています。

 民主党では、郵政見直し法を仕上げた武正公一理事、税制審議のリード役の古本伸一郎理事ら。

 松下政経塾つながりでは、自民党の逢沢次席理事が1期生、民主党の武正公一理事が後輩の5期生。こういうことを小馬鹿にする傾向が、マスコミにも有権者にもあります。しかし、こういうつながりを活かすことは議会政治では重要なことです。「一致団結箱弁当」の自民党派閥や離党切り崩し工作といった不透明なお金のつながりよりもずっと健全です。逢沢次席理事は野田佳彦総理と同じ1期生。ちなみに、松下政経塾や霞が関では「同期は仲が悪い」傾向があります。しかし、松下政経塾黎明期のエピソードを聞いていると、有識者の講師が「自民党の議員世襲はとんでもない」という発言をするたびに、唯一の自民党衆院議員の子息である逢沢塾生が下を向いてしまい、からかわれるようなエピソードがたびたびあったようです。一方、野田塾生は無口で目立たなかったようです。ですから、逢沢さんの衆院初当選が野田さんより2期早いのに、野田さんが先に、大臣や総理になったことへの複雑な感情は双方ともあまりないのではないか、と推測します。武正さんは野党時代から一貫して、野田グループこと花斉会の中核メンバーです。国対で頑張ってきた民主党・松本大輔理事は22期生になります。

 ◇

第180通常国会の「社会保障と税の一体改革に関する特別委員」は次の45人のみなさんです。

委員長 中野 寛成君 なかの かんせい 民主党
理事 武正 公一君 たけまさ こういち 民主
理事 鉢呂 吉雄君 はちろ よしお 民主
理事 古本 伸一郎君 ふるもと しんいちろう 民主
理事 松本 大輔君 まつもと だいすけ 民主
理事 和田 隆志君 わだ たかし 民主
理事 逢沢 一郎君 あいさわ いちろう 自民
理事 伊吹 文明君 いぶき ぶんめい 自民
理事 西 博義君 にし ひろよし 公明
委員 石井 登志郎君 いしい としろう 民主
委員 稲富 修二君 いなとみ しゅうじ 民主
委員 江端 貴子君 えばた たかこ 民主
委員 小川 淳也君 おがわ じゅんや 民主
委員 岡田 康裕君 おかだ やすひろ 民主
委員 岸本 周平君 きしもと しゅうへい 民主
委員 篠原 孝君 しのはら たかし 民主
委員 白石 洋一君 しらいし よういち 民主
委員 田嶋 要君 たじま かなめ 民主
委員 田中 美絵子君 たなか みえこ 民主
委員 田村 謙治君 たむら けんじ 民主
委員 永江 孝子君 ながえ たかこ 民主
委員 長尾 敬君 ながお たかし 民主
委員 早川 久美子君 はやかわ くみこ 民主
委員 藤田 憲彦君 ふじた のりひこ 民主
委員 三村 和也君 みむら かずや 民主
委員 宮島 大典君 みやじま だいすけ 民主
委員 室井 秀子君 むろい ひでこ 民主
委員 湯原 俊二君 ゆはら しゅんじ 民主
委員 柚木 道義君 ゆのき みちよし 民主
委員 渡部 恒三君 わたなべ こうぞう 民主
委員 石田 真敏君 いしだ まさとし 自民党
委員 加藤 勝信君 かとう かつのぶ 自民
委員 金子 一義君 かねこ かずよし 自民
委員 鴨下 一郎君 かもした いちろう 自民
委員 田村 憲久君 たむら のりひさ 自民
委員 竹下 亘君 たけした わたる 自民
委員 野田 毅君 のだ たけし 自民
委員 馳 浩君 はせ ひろし 自民
委員 町村 信孝君 まちむら のぶたか 自民
委員 竹内 譲君 たけうち ゆずる 公明党
委員 宮本 岳志君 みやもと たけし 共産党
委員 豊田 潤多郎君 とよだ じゅんたろう 新党きづな
委員 中島 隆利君 なかしま たかとし 社民党
委員 山内 康一君 やまうち こういち みんなの党
委員 中島 正純君 なかじま まさずみ 国民新党



 憲政史に残る委員会ですので、抜擢された委員はブログなどで表情豊かな感想を述べています。 

 町村信孝委員は、ブログで、「谷垣総裁から、私に依頼がありお引受けしました」「民主党の委員には消費税反対の小沢系議員もいて、民主党の本気度は疑問です」「徹底的に議論し、自民党の対案を示していくつもりです。」としました。

 与党・民主党の柚木道義委員はブログで、「メンバーに私は“選抜”されました。先日の日経新聞にも民主、自民の主なメンバーにあげられていて、重責を感じています。私の座右の銘は「至誠、天に通ず」との言葉ですが、まさに誠実に国会審議を尽くし、国民の皆さんに説明・説得を尽くせば、必ず事態は前進すると信じています」「あとは、文字通り、政治家一人ひとりが、「政局より政策実現」に全力を傾注するべく「明日への責任」を“覚悟”できるかどうかにかかっています。もちろん、私自身も覚悟を固めています」としています。頼もしい限り。

 自民党総務委員会理事として民自公修正で実績を上げている石田真敏・一体改革特別委員はブログで、「ところで社会保障と税の一体改革の特別委員会が設置され地方税の関係者ということで委員に就任しました」「連休明けからタイトな日程で委員会が開催され忙しくなりそうです」「総務委との並行で大変ですが頑張ります」としました。

 公明党財金委理事で、一体改革特別委員になった竹内譲さんはツイッターで、「「社会保障と税の一体改革特別委員会」の委員に内定。論戦の準備を急ぐ」と短いながらも、充実感をうかがわせるつぶやき。

 民主党1期生で、誰よりも大きく本会議場で拍手をしていた岸本周平委員はブログで、「その後は、約100時間の審議が予定されており、3週間程度は、朝から晩まで審議に拘束されます」「たいへんではありますが、歴史的な特別委員会の委員に任命されたことは名誉なことであり、社会保障と税の専門家として、全力を尽くします」「私は、党税調の役員をし、党内の会議でも議事進行をしており、税の専門家と見られています、、、。まあ、そうなんですが、大蔵省主計局時代には4年間、厚生省の予算を担当し、その内、3年間は年金担当として、年金の支給年齢を引き上げた時の年金再計算に取り組みました。社会保障の基礎は叩き込まれています」とアピール。

 同じく民主党1期生の湯原俊二委員。私見では正直、「100時間審議」と拘束時間が長い委員会で地元は大丈夫かなという思いもありますが、ブログで、「これで現在、「予算委員会」委員、「内閣委員会」委員、「総務委員会」委員とこの特別委員会委員となり、連日委員会審議に追われます・・・」と嘆き節。ある意味、私たち有権者が試されている気もします。

 そして、愛媛3区(新居浜市、西条市、四国中央市)の白石洋一さん。ホームページでは「民主党は国の借金を抑えながら、医療・介護・年金制度を整え、それぞれのふるさとで安心して暮らしていけるように努めます」としています。先週の3時間×3日間の衆院本会議で、この人が実に真面目に聞いておられて、後から委員名簿に名前があるのに気付きうれしくなりました。愛媛3区は、国政選挙(参院含む)のたびに毎回民主党の得票率が上がり続けている選挙区です。自民党の5回生が突然引退し、白石さんは初出馬初当選を飾っています。やはり政権交代チルドレンは140人もいますから、政権交代後3度目の通常国会ですが、こういう人材に気付くと日本もまだまだ大丈夫なのかな、という感じがします。

 こういったところも注目点です。

 一体改革特別委は、審議時間はドンドン積み上がるでしょうから、年金、保育などドンドン「交換条件」をしっかりと獲得しましょう。政治は国会の中で決まります。


[画像]NHKニュース7の2012年の映像。

 このNHKニュースのように、消費税増税は「小沢グループ」か「野田・岡田グループ」かの構図ではありません。

 政治を国民の手に取り戻すための、民自公をこえた闘いです。

 ドンドン法案を修正させて、「ゆりかご(保育施設の充実、幼保一体化・幼保一元化)」から「墓場(持続可能で安定した最低保障機能を強化した年金)」までの社会保障を勝ち取りましょう!

[お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。交通費など取材資金になりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に務めていますが、交通費、資料代などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 どうぞご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり] 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岡田副総理「簡素な給付措置」で与野党合意なら「後は手続きだけ」 消費税8%時の低所得者対策

2012年05月14日 20時12分30秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 社会保障の安定財源を確保するための消費税増税などの税制抜本改革法案(180閣法72号)。

 再来年4月の消費税率8%施行時に、低所得者対策として実施する「簡素な給付措置」について、副総理・社会保障と税の一体改革担当大臣の岡田克也さんは、2012年5月11日(金)の定例記者会見で、「与野党で、こういう規模で、こういう中身でしますということを合意されれば、あとは手続きの話」と述べました。衆院・一体改革特別委員会の理事や、民自公など各党の実務者による合意があれば、政府は従うとの考えを示したものです。当ブログの質問に答えました。

 この日の衆院本会議では、衆院財務金融委員と一体改革特別委員を兼ねる公明党の竹内譲さんが「低所得者対策の全体像が見えない」と質問演説しました。これに対して野田佳彦首相は、「低所得者対策の具体的内容は与野党の協議をふまえて検討していきたい」と答弁しました。

 現時点では、民主党政策調査会にワーキングチームが設置されていますが、与野党協議はまだ始まっていないんだろうと思います。

 この総理答弁について、岡田さんは「この法案が成立するということであれば、そのプロセスで野党の御意見も十分受け賜って、例えば簡素な給付措置の中身について、具体的な規模とか内容を決めると」とし、6月にも予想される衆院一体改革特の採決前の「簡素な給付措置」の対象者、金額などについての与野党合意に期待感を示しました。これについては、法案修正ではなく、「与野党で、こういう規模で、こういう中身でしますということを合意」、いわば昨年8月9日の3党合意のような公党間の文書があれば、「あとは手続きの話」だとしました。2015年10月の「消費税10%時」の「給付付き税額控除」については、「給付付き税額控除はもう少し先の話なので、なかなか難しいかと思います」としながらも、「簡素な給付措置はもう、直ぐやる話、14年の4月からやる話ですから、我々、具体的な規模などは、現時点では言っておりませんが、まさしく与野党協議、賛成していただけるという前提で、与野党協議の重要なテーマであるというふうに認識しています。」と語りました。

 定額給付付き税額控除の実現には、マイナンバー関連2法案(180閣法32・33号)の成立が必要ですが、与野党国対の協議などで、一体改革委員会からは外され、衆院内閣委員会に付託となりました。

【岡田さん官邸入り4ヶ月目で政治人生初(?)の「政界は一寸先は闇」発言 その真意をさぐる】

 ところで、この定例記者会見の中で、岡田さんは「解散の時期は総理が決めるわけですから、私は、総理以外の私が何か言うのは如何かというふうに思います。政治は「一寸先は闇」ですから、何が起こるか分かりません。」と述べました。毎日新聞の野口記者への答え。

 私は岡田さんが「政界(政治)は一寸先は闇」と発言した覚えがなく、ホームページを調べましたが、岡田さんが「政治は一寸先は闇」「政界は一寸先は闇」という言葉を記者会見・ブログなどで述べたのは初めてとみられます。解散をめぐって「政治は一寸先は闇」と発言したのは、官邸で総理を支える僕(しもべ)として、総理を助けるつもりでの発言と思われます。ただ、この日はちょうど野党・民主党代表の小沢一郎さんが辞任を表明した日から3年目。その後、代表選出場、小沢グループの露骨なしめつけ作戦に負けて落選、鳩山由紀夫代表のもと幹事長に就任、政権交代、与党幹事長の座を小沢一郎さんに奪われ、外務省大臣として初の政務三役入り。そして、衆参ねじれの与党幹事長、充電期間を経て、総理に乞われて官邸入り。あっという間のこの3年。歴史に残るこの3年。政治の父・小沢一郎さん、幹事長として仕えた鳩山由紀夫さん、菅直人さんらの今の姿を見て、「政治は一寸先は闇」という言葉を使ったのなら、少し心配です。私は自民党時代と違い、この3年間は「政界は一寸先は闇」なのではなく、「政権交代ある二大政党政治によるダイナミズム」によって、歯車が早く進んでいるんだと考えています。それが小選挙区二大政党制なのだと考えます。

 岡田さんは、「政治は一寸先は闇」だ今国会での解散をちらつかせたうえで、こう付け加えました。

 「やはり民主党政権の実績をしっかり上げて(から衆院選で有権者の政権選択をあおぐ)ということは重要なことだ」。 

 与党で死にものぐるいで頑張らないと、第2次野党期に入ってからの成長もありません。衆議院一体改革特別委員以外の国会議員も、国会にいなくてもいいですが、のんびりエンジョイしている時間など政権担当中は一寸もないと心得るべし。

[お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

みんなの党政調会長のNHK暴言を許すな 「歳入庁の試算をしない政府は英語で言えばチキンだ」

2012年05月13日 16時50分29秒 | 岡田克也、旅の途中

 みんなの党政調会長の浅尾慶一郎さん、2012年5月13日放送のNHK日曜討論画面から。

 2012年5月13日のNHK日曜討論は「社会保障と税の一体改革」について、各党税制調査会長らが出演しました。藤井裕久・民主党税調会長、野田毅・自民党税調会長、斉藤鉄夫・公明党税調会長ら結党から解党までの3年間、新進党に在籍した民自公税調会長トリオらが登場。藤井さんが「前回の消費税引き上げ(を決めたの)は、勘違いされているが、橋本内閣ではなく、社民党の村山内閣だ」と指摘しました。

 この中で、浅尾慶一郎・みんなの党政調会長が歳入庁構想について、看過できない発言がありました。初めに私の考えを述べれば、国税庁と日本年金機構を統合して歳入庁をつくるべきですが、内閣府に置くのは反対です。厚生年金に関しては、零細企業主の負担を軽減し、求人をためらうことがないように、労使折半のあり方を見直したり、加入するかしないかのパート労働者の自由をつくるのがいいでしょう。なお歳入庁の創設は、2009年第45回衆院選鳩山マニフェストには書いてありましたが、2010年第22回参院選菅マニフェストには書いていないと思います。

 浅尾・政調会長は番組最初の発言で、「社会保障と税の一体改革と言っても単なる増税案だと思う」「まず簡単にできるのは民主党自身が選挙の際にマニフェストで言っていた徴収面の改革」「社会保険料と税の徴収は今は別々になっていますけれど、歳入庁をつくるということは、民主党、マニフェストのときに言っていました。で、私たち(みんなの党は)歳入庁をつくると、現在(社会)保険料の徴収漏れで10兆円の徴収漏れがあると(試算をしている)。そもそもマニフェストで言っていたのだから自分のところで試算をすべきなんですね。我々がした試算にいろいろとケチをつけるんじゃなくて、あくまでも試算をしないというのは英語で言うとチキンというか、臆病者というか、私は逃げていると思いますかね」。

 浅尾さんは英語がうまいのですが、NHKで「チキン」なんて言っちゃダメですよ。あの80年代アメリカを代表する映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」3部作があまり地上波テレビで放送されないのも、それが理由なんですよ。私もあの映画で初めてその言葉を覚えましたが、どんなに英語が流ちょうでも、テレビで「チキン」というようでは、TOEICもTOEFLも零点です。

 第180通常国会でのこの議論の経緯を如実に表しているのが、次の動画です。2月22日の衆院予算委員会の議事録を探したらまだ上がっていないので、衆議院インターネット審議中継のビデオライブラリを撮影して、次の動画をつくってみました。ご覧下さい。



 チキンはどっちだ!

 野党議員の質問が「冒頭、大臣にお願いがあります」から始まったのは、記憶がありません。

 浅尾さん、ずいぶんオドオドしていますが、どうしたんですか? なんかあったんですか?(笑)

 で、何があったか。

 浅尾さんは、2月1日の衆院予算委員会(4次補正の審議)で「きょうはちょっと、これはかなり数字が入った話ですから、衆議院の調査室に詳細なものもつくってもらったものがあります、国民年金の未納率も入れて。結果としては、数字としては、十二兆というのは数字は変わりません。変わりませんので、ぜひ、検討するというんだったら、政府の側でも未加入の人を入れたらどうなるかという試算をやってみたらいいじゃないですか」と語っています。

 2月10日の同委(当初予算の審議)でも「前回も申し上げましたが、私の試算は衆議院の調査室にやっていただいております。ですので、政府は政府として、こっちは立法府として、立法府の調査室にお願いした数字で十二兆ぐらいの数字が出てきておりますから、そういうふうにおっしゃるのであれば、政府が前提を置いて数字を出していただきたいと思います。まず、そのことを伺いたいと思います」。

 その後、上の動画のように2月22日の予算委員会で「ご説明したい」ということになりました。

 3月7日の衆院内閣委員会の一般質疑では自民党の竹本直一さんからも質問があり、岡田さんは「今、浅尾委員もおられますが、十兆円というのは、私はかなり過大ではないかというふうには思っております」と答弁。その後、質問に立った浅尾さんは「冒頭、先ほど委員会での質疑の中で岡田副総理が私の名前を出していただいたので、前々からお願いをさせていただいている、お願いをする筋の話でもないんですが、こちらが出した試算について説明に伺うということになっておりまして、残念ながら、その日は、どうも新聞報道によると、自民党の方々との増税案の協議ということで、中止になってしまったということであります。増税をする前に、民主党自身が歳入庁をつくるということも言っておりましたし、数字が違うというなら違うで結構です、しかし、取り漏れがあることは事実ですから、その試算。いわゆる取り漏れがあるというのは不良債権になっているところだと思いますので、その不良債権隠しをするのではなくて、政府自身としても試算をしていただきたいと思いますし、ぜひその時間をとっていただきたいということを申し上げたいと思いますが、何かあれば」と質問。岡田さんは「浅尾委員にお時間をいただきながら、ちょっと都合でお会いできなくなりましたので、改めて時間をというふうに思っております。事務方から事前に説明を受けたんですが、私なりに納得できないところがありまして、再度検討を事務方にお願いしておりますので、私なりに納得をした上でお会いした方がいいかなというふうに思っています」と答弁しています。

 そして、きょう5月13日のNHK日曜討論では「10兆円ぐらい」と数字を出した上で、「試算をしない政府はチキン」発言。みんなの党はいい加減にしてほしい。自民党、公明党のような責任野党がいる一方、もっともらしいことを言って、経済学に疎い方々を騙すペテン師政党に私には思えます。

 さて、衆議院規則第56条は、衆議院調査局長の予備的調査などの国政調査に関して定めています。調査局長の下には「予算調査室」など、常任・特別委員会ごとに調査室が置かれています。スタッフは、ほとんどが衆議院採用の職員ですが、関連する官庁の官僚が1人ほど出向している調査室もあります。ところが、参議院規則にはこの「調査局の予備的調査」の定めはありません。そもそも参議院には「調査局」という組織がありません。委員会ごとの調査室は衆院同様にあります。この辺が参院では2期11年務めながらも、衆議院では1期生である浅尾さんがスタッフの使い方の勘違いにつながっている可能性があると思います。

 みんなの党が第180通常国会で使う数字はどれもこれもいい加減。大変な無責任野党、ペテン師です。浅尾政調会長は衆院本会議でも席を離れる時間が多いように見受けられます。新自由主義を否定する者ではありませんが、楽して儲けようというみんなの党の心根は極めて残念です。

 浅尾さんには、岡田さんが最初に代表選挙に出馬したときに民社協会を代表して推薦人になったころの澄んだ瞳を取り戻して欲しい。当分、民自公3党路線で行くしかないでしょう。

 [国会議事録から引用はじめ]

平成二十四年二月一日(水曜日) 平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)

 平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)

(前略) 

○浅尾委員 実は、この歳入庁というものの最大のメリットは、今パネルに出しましたけれども、国税庁というのは全国に一体どれぐらいの法人があるかという情報を全部持っているんです。なぜ持っているかというと、法務局に登記した情報が全て国税庁に行っているので、その情報を持っている。
 結果として、毎年、これは平成二十一年の数字ですけれども、二百七十三万一千七百六十八法人が赤字であっても申告している。赤字であっても申告しているということは、そこで働いている人の給与の源泉徴収についてはちゃんと納められていますよということなんです。ですから、給与についての所得税はちゃんと入ってきている。
 一方で、法人は全て厚生年金に加入をする義務があるんですが、昔の社会保険庁、今の日本年金機構はまだこの法人データというのは持っていません。持っていない結果、聞くと、大体どれぐらいの法人が加入しているんですかと言うと、答えはわからない。ただ、わかるのは、百七十五万事業所が加入していると。
 この事業所というのは、支店や工場も一事業所でカウントしますから、ですから、百七十五万事業所ということは、多分、八十万法人ぐらいしか厚生年金に加入していない。歳入庁をつくれば、二百七十三万一千七百六十八法人とこの八十万ぐらいの推計の法人数とが一発でわかるじゃないですか。しかも、それは私が言っているわけじゃなくて、民主党自身がマニフェストで約束したことだから、それはさっさと、税と社会保障の一体改革というんだったら、社会保険の保険料徴収の部分の改革の一丁目一番地だと思いますよ。
 なおかつ、どれぐらいの徴収漏れがあるかというのを推計してみました。推計してみると、民間の給与所得者というのが五千三百八十八万四千人、厚生年金の被保険者というのは三千四百二十四万八千人ということなんですが、これは、いろいろな計算式を置いていくと、年金の保険料だけで六兆六百七十五億円。健康保険も一緒ですから、大体十二兆円ぐらい毎年毎年の徴収漏れがあるということなので、まず、歳入庁をつくれば未加入の法人というのはすぐなくなると思いますが、すぐなくならないというんだったら、なぜなくならないのか、それをお答えいただきたいと思います。そのことについて、これは一体改革相に聞いた方がいいかもしれないですね。

○岡田国務大臣 まず、歳入庁につきましては、我々は、社会保障・税一体改革の素案の中で、「歳入庁の創設による、税と社会保険料を徴収する体制の構築について直ちに本格的な作業に着手する。」というふうに整理をしております。したがって、歳入庁に関して検討を早急に開始したいというふうに考えているところであります。
 浅尾さんの御指摘は、渡辺議員が本会議でも述べられたところですが、非常におもしろい話だと思いました。ただ、逆に言いますと、その差額はお示しされた資料によりますと六兆円ぐらいということになるわけですが、六兆円がすぐ入ってくるのならいいんですが、現実にどれだけ中小企業でそれにたえ得る企業があるのだろうか、そういうこともあわせ考えていかないと、机上の計算だけになってしまうのかな、そういうふうに受けとめた次第です。

○浅尾委員 今の岡田大臣の答弁は一つ問題があると私は思います。財政的にたえられるかどうかという話と、じゃ、法律違反を大臣として放置していいかどうかという話は、別の次元の話なんじゃないかなと。
 つまりは、加入する義務もありますし、今でも、日本年金機構は職権で加入を命じられるんですよ。加入を命じられるけれども、基本的にはやっていないことが相当多いので、それは、もしそうだとするならば、中小企業については保険料を減免するというようなことを政策的にやらないと、法治国家としてはおかしいということになりますが、その点はどう思われますか。

○岡田国務大臣 今のお話で私がどこまで理解しているかですが、給与所得者が五千三百八十八万人いる、これは、厚生年金の対象になる正規の社員がこれだけいるということなんでしょうか。

○浅尾委員 実は、会社が税務署に申告するときに、五百万円以上については、いわゆる個人の住民票のデータも含めて税務署に出します。五百万円以下の人については何人という人数を出しますが、それは月額報酬八万八千円以上の人ということになっています。そして、厚生年金の対象というのは九万八千円というのが標準報酬月額なので、じゃ、一万円の間に二千何百万人もいるかというような話もあります。
 もしそういうふうにおっしゃるんであれば、きょうはちょっと、これはかなり数字が入った話ですから、衆議院の調査室に詳細なものもつくってもらったものがあります、国民年金の未納率も入れて。結果としては、数字としては、十二兆というのは数字は変わりません。変わりませんので、ぜひ、検討するというんだったら、政府の側でも未加入の人を入れたらどうなるかという試算をやってみたらいいじゃないですか。(後略)

平成二十四年二月十日(金曜日)

(前略) 

○浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。
 きょうは、きょうもと言った方がいいかもしれません、社会保障の問題について中心的にお話をさせていただきたいというふうに思いますが、たまたまきょう発売の月刊誌の文芸春秋に、私が書きました、年金制度改革あるいは社会保障改革によって、消費税増税と匹敵する、あるいはそれ以上の財源が出てくるという論文をお載せいたしました。ぜひ総理にも、年金とか医療、特に保険の部分というのは非常に複雑になっておりますので、大変お忙しいと思いますが、今そのコピーをお配りさせていただいておりますので、お時間のあるときに、そちらの方もお読みいただけると大変ありがたいというふうに思います。
 そのことを申し上げさせていただきまして、まずは、歳入庁をつくったら、これはいろいろな試算が出てくると思いますが、あらあら十二、三兆のお金ができますよということをこの間、提言させていただきました。それに対して、岡田副総理の答弁、あるいはその後のテレビでのコメントを見ておりますと、答弁ではこういうふうに言っておられます、「現実にどれだけ中小企業でそれにたえ得る企業があるのだろうか、そういうこともあわせ考えていかないと、机上の計算だけになってしまうのかな、」と。
 これは、実は先般の委員会でも申し上げましたけれども、法治国家としてはいかがなものか。つまりは、国民年金についてもさまざま未納の問題がありますが、これは、政府の立場からいえば、払ってください、企業の未加入に対しては加入してくださいということを呼びかけるべき立場でありまして、それが、払えないというのであれば、別途制度をつくるというのがあるべき立場だということだと思います。
 まず総理に、憲法が定めます法のもとの平等と、それから、現在多くの企業が、実際の法人数に対しては恐らく、恐らくというか間違いなく過半数、恐らく三分の二ぐらいが厚生年金に未加入であるという事実に基づいて、法のもとの平等と歳入庁の構想についてどういうふうに考えておられるか、総理に伺いたいと思います。

○岡田国務大臣 前回、委員とはこの問題を議論させていただきました。
 いろいろな前提、仮定に立ってやっておられる話で、その後、私も少し調べさせていただいて、全体で十二兆円、厚生年金保険料、健康保険の保険料合わせて、それが未収だという委員の御指摘ですが、私は、それは相当過剰に計算されている、過大に計算されているというふうに考えております。そこのところを少し議論させていただきたいというふうに思っています。

○浅尾委員 前回も申し上げましたが、私の試算は衆議院の調査室にやっていただいております。ですので、政府は政府として、こっちは立法府として、立法府の調査室にお願いした数字で十二兆ぐらいの数字が出てきておりますから、そういうふうにおっしゃるのであれば、政府が前提を置いて数字を出していただきたいと思います。まず、そのことを伺いたいと思います。(後略)

衆院内閣委員会 第2号 平成24年3月7日(水曜日)

大臣所信聴取に対する一般質疑

(前略)

○竹本委員 実は、これは民主党政権だけのせいではないので、私もこの問題を担当したことがあるんですけれども、やはり、当時から未納率を下げるというのは極めて難しい問題でありました。しかし、完全に一〇〇%徴収というのは、今の制度ではなかなか難しいというふうに思います。

 ですから、仮にきちんと税を徴収できるようになりますと十兆円程度の増収、こうなるわけでありまして、今回、民主党が考えている、政府が考えている消費税値上げで十三兆円ぐらいでしょうから、ほとんど一%分の消費税値上げで済むという話にもなるわけであります。

 だから、やはり徴収をきちんとやるにはどうすればいいか。そうなると、やはり歳入庁をつくってやれという話にもなりますが、歳入庁をつくるかどうかという問題について、副総理の、岡田さんの考えを聞きたいと思います。

○岡田国務大臣 今、浅尾委員もおられますが、十兆円というのは、私はかなり過大ではないかというふうには思っております。その議論はまた改めて、必要があれば御説明したいというふうに考えております。

 つまり、例えば厚生年金の保険料について言えば、厚生年金に加入することが免除されている事業者もございますので、そういったことをきちんとカウントしたときに十兆ということにはならないのではないかというふうに思っております。

 さて、御指摘の歳入庁ですが、先般、私のもとに検討するためのチームをつくりまして、検討作業、これは、大綱の閣議決定を受けて検討作業を開始したところでございます。

 今後、その作業チームにおきまして、一つは、国民年金保険料などの納付率向上にどの程度つながるのか、それから社会保険行政、税務行政全般の効率性確保に資するか、今後導入が見込まれるマイナンバー、給付つき税額控除、新年金制度等にとってふさわしい体制か、そういった視点を踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに思います。

 私の方としては、春ごろ、四月ごろに全体のイメージ的なものだけでもまず中間的に報告してもらいたいというふうに指示を出しているところでございます。

(中略)

○荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

○浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 冒頭、先ほど委員会での質疑の中で岡田副総理が私の名前を出していただいたので、前々からお願いをさせていただいている、お願いをする筋の話でもないんですが、こちらが出した試算について説明に伺うということになっておりまして、残念ながら、その日は、どうも新聞報道によると、自民党の方々との増税案の協議ということで、中止になってしまったということであります。

 増税をする前に、民主党自身が歳入庁をつくるということも言っておりましたし、数字が違うというなら違うで結構です、しかし、取り漏れがあることは事実ですから、その試算。いわゆる取り漏れがあるというのは不良債権になっているところだと思いますので、その不良債権隠しをするのではなくて、政府自身としても試算をしていただきたいと思いますし、ぜひその時間をとっていただきたいということを申し上げたいと思いますが、何かあれば。

○岡田国務大臣 浅尾委員にお時間をいただきながら、ちょっと都合でお会いできなくなりましたので、改めて時間をというふうに思っております。

 事務方から事前に説明を受けたんですが、私なりに納得できないところがありまして、再度検討を事務方にお願いしておりますので、私なりに納得をした上でお会いした方がいいかなというふうに思っています。

(後略)



[引用おわり]

[お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり] 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◎税制抜本改革法案 古本伸一郎さん「自転車操業の赤字国債が最大の無駄づかい」 一体改革本会議終了

2012年05月11日 20時42分59秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]質問演説する古本伸一郎さん、民主党ホームページから。

【衆院本会議 2012年5月11日(金)】

 マスコミで「消費税増税法案」と呼ばれる、社会保障の安定財源を確保するための税制抜本改革2法案(国税と地方税)が審議入りしました。これで、火曜日の「年金」、昨日の「保育」、きょうの「税制」の3領域がすべて趣旨説明と代表質問が終わりました。来週から社会保障と税の一体改革特別委員会(中野寛成委員長)の審議に入ります。

 私も1週間で、3時間×3回の法案趣旨説明と代表質問を聞いたのは初めての経験です。一般傍聴席で、9時間超じっくり聴き、いろいろと勉強になりました。火曜日ときのうは長年の習慣で日本共産党の質問時間にお手洗いに行きましたが、きょうは3時間ぶっ通しで聞き、自信、知識、雰囲気など多くのものを得ました。

 一体改革の「エンジン」はなんといっても、180閣法72号です。

 社会保障の安定財源を確保するための消費税など国の税制抜本改革法案(180閣法72号)は安住淳・財務大臣が趣旨説明しました。安住さんは「よろしくお願いします」と演説をはじめ、「その趣旨をご説明した次第であります」と演説を終えました。通例は、閣法の趣旨説明は大臣が「ご審議のうえ、速やかに可決していただきますようよろしくお願いいたします」と言うのが通例ですが、民主党与党初の衆参ねじれ通常国会の国対委員長を仕上げた「頼れるアニキ」の知恵を感じました。

 社会保障の安定財源を確保するための地方の税制の抜本改革法案(180閣法73号)は川端達夫・総務大臣が趣旨説明しました。ところが驚くことにこの後、3時間、安住、川端両大臣には与野党から一問の質問もなく、ひな壇に座っていただけ。途中で自見庄三郎・国務大臣が国民新党代表として同党マニフェストとの整合性を説明した以外は、すべて総理の野田佳彦さんが答弁しました。野党が総理だけの指名したのは、消費税増税法案に関して、細かい点での異論が少ない可能性があります。

 日本共産党の佐々木憲昭さんは「法案を撤回すべきだ」としましたが、それ以外の党は賛否は明かしませんでした。通例、趣旨説明の代表質問で賛否を明かすことは少なく明かさなくていいわけですが、政府・与党は手応えを感じたのではないでしょうか。やや拍子抜けの感もありました。

 政権交代直後に、野田財務副大臣とともに財務政務官として税制改正を担当し、その年のうちに「自民党はこれまでこんな大変なことをやっていたんだな」とNHKスペシャルで答えた古本伸一郎さんが、民主党税制調査会事務局長として登壇。

 一般会計は45兆円の税収と45兆円の国債による90兆円の収入のうち、20兆円の国債償還に充てています。これを古本さんは「自転車操業を続けるべきではない。国民から預かった税金が借金の返済に消えることが最大の無駄づかいだ」と語りました。これに先立ち、身を切る改革の必要性を指摘しながらも、「国民のみなさんは定数削減による無駄づかい削減を期待しているのではなく、定数削減すらできない人に増税されたくないと思っているのだ」と演説すると、与野党とも静まりかえりました。

 
[写真]副総理・一体改革担当大臣の岡田克也さんと古本伸一郎さん、ソウル景福京前。 

 答弁で野田さんは「自転車操業のような状況」と言い換えたうえで、「続けるべきでない」と断じました。

 続いて、現自民党税調会長の野田毅さんが登壇し、田村憲久さんから「これが本物の野田だ!」との応援の合いの手をうけました。1996年の第41回衆院選で新進党の小沢一郎党首から「消費税据え置きを公約にしたから」とちゃぶ台返しをされ、選挙に負け、1期生の野田佳彦さんらを落選に追い込んでしまった元新進党政調会長。

 「増税無き財政再建」という言葉がふたたび脚光を浴びていますが、野田毅さんは「我が党(自民党)は農業・産業などの画一的な歳出削減による財政再建が限界を迎えて、2007年の参院選に負けました。そして平成21年税制改正法付則104条に消費税増税を盛り込みました」と述べました。野田総理は「初めて政権を担う民主党には見通しの悪さもあった。しかし選挙による政権選択の制度を根付かせなければならない。脱イデオロギーとこれからも続く衆参ねじれのために、歩み寄りたい」という趣旨の答弁をしました。

 自民党からもう一人、武闘派の金子一義さんが登場。「名目3%成長、実質2%成長が法律(の附則第18条に)に盛り込まれると、我々が政権復帰したときに訳の分からない条文に縛られるので困る」としました。

 公明党を代表して野田総理と同じ1993年初当選の新進党仲間である竹内譲さんが質問しました。ひな壇最前列の野田総理とは対称的に、竹内さんは議員席の公明党最前列。演説時間が近づくと稲津久さん(次期衆院選北海道10区予定候補)と席を替わり、出やすくして、さっそうと登壇しました。

 竹内さんは第45回衆院選の大阪16区で野田さんがした「シロアリ演説」を批判。「マニフェストに書いてないことはやらないんです」という発言について、野田さんは「舌足らずで行き過ぎた発言だった」とし、「謝罪いたします」と答弁しました。大阪16区で、公明党幹事長(現副代表)の北側一雄さんを落選に追い込み、初当選した民主党の森山浩行さんは同僚から冷やかされていました。

【公明党が「低所得者対策」を強調 3党協議の対象になるか】

 公明党の竹内さんは「低所得者対策の具体像が見えない。給付付き税額控除。そしてそれまでの暫定措置としての簡素な給付措置だ」と指摘しました。一体改革について、公明党の機関誌「公明新聞」は、「社会保障の全体像を示せ」「最低保障年金を取り下げろ」という見出しを付けることが多かったのですが、最近は「低所得者対策を徹底すべきだ」という見出しが目立つようになっています。これについて、本会議後の記者会見で岡田副総理は「与野党協議で簡素な給付措置で合意すれば後は手続きの話だ」と述べ、簡素な給付措置を含む低所得者対策での「新3党合意」をつくるよう、現場に対する期待感を示しました。

 社民党の中島隆利さんは「還付よりも低減税率。中小の事業者の(転嫁しづらい状況の)対策を求める」とし、消費税増税に真っ向から反対する発言はしませんでした。

 新党きづなは豊田潤多郎さんは堂々と演説。小沢グループから「どうしてそんなに偉そうなんですか?」とヤジが飛びました。しかし、豊田さんは第40回衆院選で新生党公認で当選しており、日本新党の野田さんと同期当選。その後、第41回衆院選では新進党の小沢党首の「消費税据え置き」で落選したのが、野田現総理、公明党の竹内さん、きづなの豊田さん。議場内はまさに小沢一郎さんの怨念に充ち満ちていました。小沢グループは、なぜ「小沢切り」を与野党議員が演説するのか、訳が分からないようすにみえました。いつもに比べると、小沢グループは珍しく、お行儀よく審議を聞いていました。

 自民党の金子さんが「2020年にプライマリーバランスをはかるには、この法案ではまだ6%の不足がある。なぜ、(法案に盛り込むのを)逃げたのか?」とただすと、福岡選出の小沢グループが「誰も賛成できねえよ!」とヤジを飛ばしました。そして、「総理は大平正芳を尊敬しているようだが、大平正芳が一般消費税で総選挙で敗れたのは身内の反乱(清和会による40日抗争)があったからだ」と指摘しました。第1次大平内閣の金子一平蔵相は金子議員の父親です。金子さんはずっと自民党です。父の怨念もありました。まさに国会が先送りしてきたことによる過去の負債に充ち満ちた本会議場でした。

 野田毅さんは「私も消費税反対の1万人集会で藁人形を燃やされたことがある。そのくらい消費税は難しい。我々は政治生命をかけていのちをかけてとりくんでいるんです」「決められない政治の原因は、衆参ねじれではなく与党内のねじれだ」とし、「6月21日までの会期内に党をまとめ採決すべきだ」としました。その一方で、「私からすれば、(内閣)法制局がよくこのような法案を了承したものだと目を疑う」という彼らしい表現で、修正協議にのぞむ考えを示しました。岡田副総理は記者会見で、「喜んだというよりも、気を引き締めた」とふりかえりました。

 ただ、第177回~179回国会での民自公実務者協議のなかで、野田毅さんの反対で法制化されなかった固定資産税の基礎控除の下げ(課税ベースの拡大)と最高税率の引き上げがこの法案に盛り込まれています。野田修正は直近の民意である衆参ねじれによる熟議の国会の果実ですが、同じ第45期衆議院・第21期22期参議院に法案を出してきたということはどういう考えなのか。政府の考えに加えて、野田毅さんも演説で触れなかったので分かりません。しかし、私は、この180閣法72号の第5条はすべて削除すべきだと考えます。

 古本さんは「お互いに国民受けの良いことを言う政治から脱却し、言いづらいことを言うようになったのが政権交代の成果だ」としました。そして、「(野田)総理の好物はカレーライスで、最近まで1000円の散髪屋に通っていました」と語り、次のことばで演説を締めくくりました。

 「そういう庶民宰相が過去の負債を背負っているんです」。

 [お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽


 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サポーター激減、不況直撃「やっと食いつないだ」 政治資金収支報告書 岡田克也さんが公開

2012年05月11日 05時56分17秒 | 岡田克也、旅の途中

[写真]岡田克也さん、2011年6月28日、宮崎信行撮影。

 大震災イヤーとなった平成23年(2011年)の岡田克也さんの政治資金収支報告書 は、政治資金管理団体(岡田かつや後援会)がの収入が1億3199万2283円で前年と比べて33%減少、額にして6451万円の減収と大幅に苦戦したことが分かりました。

 総支部長をつとめる「民主党三重県第3区総支部」は8683万0795円。後援会と総支部の総計、岡田さんの場合は団体間のやりとりがないものと思われるので「純計」と考えられますが、これは2億1882万円で、前年比22%減少となりました。

 岡田克也さんが公式ホームページで公開した「政治資金収支報告書の要旨」の平成23年(1月1日~12月31日)分で分かりました。公開は平成24年5月8日付。

 これについて、金庫番(国会事務所長)は、「支援者の企業様が経費節減。こちらも経費節減をして何とか食いつないだ」と語りました。

 単式簿記なので、前年からの繰越金はすべて収入に計上されます。複式簿記ならば前年の資産の部に計上され、内部留保となります。この点が政治資金収支報告書と企業会計の違いです。ただし、政治家の場合は繰越金が政治的資源なので、単式簿記でいいのかもしれません。

 減収のおおきな要因。前年(2010年の外相時代)は、帝国ホテルに泊まって岡田外相のあいさつを聴き国会見学をするバスツアーを連続して催し、1939人の参加を得ました。自分たちが育てた岡田さんが与党になりいきなり外務大臣で帝国ホテルに夫婦で泊まってという「最高の冥土の土産」(失礼ですかね・・・)ということで、「5635万円の売り上げ」を記録しました。とはいえ、「旅行代理店もだいぶ頑張ってくれて」ナント2・9万円でしたので、旅行代理店への支払いは5281万円で、写真代・飲み物代を含めてトントンでした。この事業がそっくり消えていますので、この分は減収になります。

 しかし、岡田さんの場合は2010年→2011年の繰越金が後援会で5493万円、総支部が4434万円だったのに、2011年→2012年への繰越金は後援会が5284万円、総支部が4580万円となっており、トータルでは微減となりました。いずれにしろ、最大の目的は第46回総選挙への備えですから、不安を残す格好となりました。三重3区(四日市の三滝川より北川、川越町、菰野町など三重郡、桑名市、いなべ市、桑名郡、員弁郡)の方だけでなく、全国のみなさん、岡田克也(岡田かつや)さんの背中を押してください

 総支部での獲得党員は182人(前年は195人)、サポーターは1065人(前年は1258人)にとどまりました。登録月となる5月は、党本部幹事長在任中ですので、率先垂範ができなかったと言わざるを得ません。ただし、当時の党規約では、西暦・平成とも下1ケタ奇数の年は代表選がないので、サポーターが減る傾向がありました。金庫番によると、「震災後の混乱(や党勢の不振)よりも、不況の影響がイチバン強かった」とのことです。


[画像]千葉・幕張の党大会で与党幹事長としてスタートした岡田克也さんの2011年だったが、経費節減圧力の折、献金・パーティー・サポーターとも減収となった、2011年1月13日、民主党ホームページ内動画からキャプチャ。

 総支部への個人献金は23人・824万円(前年は33人・863万円)、企業献金は224社・2085万円(前年は247社・2250万円)、団体献金は1団体2万円(前年は1団体3万円)。かつて与党幹事長になって、献金が減った議員はいるのでしょうか。まさに「仕分けの民主党」。

 自らが差配した政党助成金の支部交付金は1000万円と他の衆院議員と同額と思われます。

 そして稼ぎ頭である後援会主催の政治資金パーティーは7349万円の売り上げ。前年の9004万円から大幅に落ち込み、1億円割れが続きました。金庫番は「毎年回っているから分かるが、景気の影響で、企業の経費節減が相当厳しかった」とふりかえっています。そこで「やはり開催コストがかかるので」(金庫番)、パーティー開催を例年通りの四日市・津・名古屋・東京・大阪の5会場に戻しました。前年は神戸にも進出し8会場に拡大していました。開催会場を絞り、400万円の支出を削減。パーティーの収益率を高めました。

 後援会への個人での最高寄付金額者は50万円でした。前の年の100万円の方はいませんでした。

 なかなか、苦しいですね。政治資金は景気先行指標。私自身も何とか経費節減でやっていかないといけないなあと、私自身も感じました。

 他の政治家の政治資金収支報告書はこれから6ヶ月以上先の、11月末に総務省または都道府県選挙管理委員会の48カ所のいずれかで公開されます。

 首を長くして待って、比較しましょう。

[お知らせ]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◎幼保一元化の「子ども子育てシステム法案」審議入り 一体改革 第2の郵政法案か?

2012年05月10日 20時55分48秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]小宮山洋子・内閣府少子化担当大臣。

【衆院本会議 2012年5月10日(木)】

 一体改革関連法案の審議入り第2弾。きょうは幼保一元化(幼保一体化)を含めて子育て資源を効率的に配分する「子ども子育て新システム関連3法案」が審議入りしました。

 内閣府の法案で、内閣府少子化担当大臣の小宮山洋子さんが趣旨説明し、厚生労働省の小宮山大臣、文部科学省の平野博文大臣、そして野田総理、岡田副総理が答弁。

 民主党で元内閣府政務官の泉健太さん、自民党の野田聖子さん、馳浩シャドウ文部科学副大臣、公明党の池坊保子・元文科副大臣、日本共産党の高橋千鶴子さん、新党きづなの渡辺義彦さん、社民党の重野安正幹事長が質問しました。

 きょう審議入りしたのは、

 子ども子育て支援法案(180閣法75号)
 総合こども園法案(180閣法76号)
 子ども子育て新システムのために関連法56本を整備する法案(180閣法77号)

です。

 私はこの分野に弱いのですが、3時間強の趣旨説明と代表質問を聞く限りではだいたい分かってきました。来週から始まる衆院一体改革特別委員会(中野寛成委員長)の採決は早くても6月になります。それまでに、自治体の担当者、幼稚園経営者、地方議員はもちろん、子育て経験者の声もどんどん国会にぶつけて欲しいと考えます。現在子育て中の人にとっては、消費税率が改善され、システムが施行し、自治体と幼稚園経営者、民間の保育施設経営者らの利害が一致してから、待機児童ゼロと保育の質の改善につながっていきますので、子育て中の人は待機児童問題は自治体へ。子育てOBはシステムをつくる国会へ。どんどん意見を寄せて欲しいと考えます。

 というのは、多くの人は7年前の第162通常国会の郵政民営化法案をめぐる政局と解散総選挙について「あれはいったい何だったんだろう?」と思っているでしょう。当時の有権者の92~93%は今も日本の有権者です。

 幼稚園経営者と特定郵便局長は似たところがあります。

 なぜ、幼稚園はお寺や教会が多く、公立が少ないのか。幼稚園は学校教育法による義務教育をふまえて養護(保育)と教育をする施設です。これは、お寺や教会、大地主は土地があり、管理者もある一定の学識があるので、敷地内に屋根をかけて、幼稚園にしたという経緯があるからです。幼稚園経営者には議員が多く、地方議員に加えて、民主党・自民党の国会議員にも多くいます。一体改革関連法案の審議にあたる政務三役にも複数名の幼稚園経営者がいます。選挙が安定していますから。きょう、衆議院本会議場で思ったのは、480人中、保育所経営者、社会福祉法人理事(親が理事長)なのは、民主党の青木愛さん一人ではないでしょうか。

 待機児童ゼロの県は多くあり、その県の幼稚園経営者はむしろこぞって総合こども園になりたがるかもしれません。逆に一定の園児がいれば、預かり保育や0~2歳児保育には手を出したくないという経営者もいるでしょう。特定郵便局長は国家公務員なので、選挙活動はお父さん(OB)と奥さんがやっていましたが、幼稚園経営者は選挙活動は自由です。とはいえ、郵政民営化と違い、郵便貯金や共済はありませんから、ああいう狂気に満ちた会期末政局はないでしょう。しかし、私たち一等国日本国のリベンジとして、郵政民営化のように分かる人だけに議論を任せ、分からないのに雰囲気で有権者として行動しない。ですから、保育ママOBなどには、きょうの3時間の議事録や来週からの一体改革特での審議(年金、税制と3本立て)に興味を持って頂きたいと感じます。

 いろいろと記述には間違いがあると思いますが、お許しください。衆議院だけで100時間審議ということになっていますから、きょうは粗ごなし。全体像ということで。

 内閣府大臣の小宮山さんは「子どもは社会の希望、未来をつくる力であり、安心して子どもを産み育てることができる社会の実現は、社会全体で取り組まねばならない最重要の課題です」と切り出しました。 副総理・一体改革担当大臣の岡田克也さんの重野さんへの答弁によると、「保育の量の改善(待機児童対策など)に0・4兆円、保育の質の改善に0・3兆円の消費税」を使います。おおよそ消費税0・3%ぐらいに相当する金額です。消費税増税時に、子ども子育て新システムがスタートし、「人生前半の社会保障を強化するため消費税をあて」(少子化相)、「未来への投資」(野田佳彦首相)とします。

 幼稚園は希望すれば総合こども園になります。保育所はすべて総合こども園になります。総合こども園、継続する幼稚園、届け出保育施設を「こども園」と呼びます。現行の児童福祉法第24条の「市町村(基礎自治体)は保育の責任を負う」と改正。保護者に直接お金を給付し、市町村はこども園の配置を計画し、地域の偏在性をなくし、保護者に紹介します。個人立幼稚園や、総合こども園になりたくない幼稚園も「こども園」の括りになり、保護者への給付があります。これがどうやら今回の法案のミソのようです。さらに家庭内保育、小規模保育、居宅訪問型保育、事業所内保育、さらに0~2歳児の地域型保育にも、給付があります。そして児童福祉法24条の「保育の義務」から逃れた市町村ですが、野田総理の泉さんへの答弁では、「市町村は管内の施設や利用状況を選択し、情報を把握し、利用調整ができます。障害児などの条件に応じて受け入れ要請をすることができる」。消費税が財源なら地域の偏りもなくなり、市町村は今まで以上に腰を落ち着けて事務に取り組めます。市町村によっては事務が面倒だったり、首長の支持団体などの関係から、幼稚園経営者からの認定こども園移行の申請書を取り下げてくれるよう、内々にお願いしている自治体もあるそうです。過疎地に多いでしょう。

 幼稚園や保育所で働く者の立場から言えば、「保育教諭」として10年間の暫定措置として、幼稚園教諭と保育士の資格がある人の垣根を無くします。

 馳シャドウ文科副大臣は、幼稚園経営者の支持があついようで、「幼稚園の預かり保育は、保育所に比べると公的な財政的援助がたりない。これを改善すれば待機児童は減らせる。保育を金儲けの対象にしていいのかという声もあり、株式会社の参入は慎重にすべきだ」という趣旨の発言。「株式会社立の保育所は事故の事例が多く、慎重にすべきだ」とすると、文科相も「構造改革特区による株式会社立保育園に事故があったのは承知している」と認めました。馳さんはこのほかにも、「総合こども園は現行の幼稚園設置基準を満たすべきだ」「運動場の必置義務は必要だ」「保育と教育は極めて神聖な公的営みだ」とたたみかけました。平野文科相は「子ども子育て支援法案の第2条に、「子ども・子育て支援は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有する」との規定を盛り込んだ」と述べ、「運動場の必置規制は望ましい」としながらも法成立から法施行の間に省内で検討したいと逃げ道を残しました。

 自民党の第2次与党期最後の内閣となった麻生内閣は、「脱派閥内閣」とされましたが、あれは総理、内閣官房長官、法相、財務相ら主要閣僚を「文教族議員」でまとめた内閣でした。そして政権交代して、民主党の内閣になると、「子育て」を親がなくても子は育つ、「子育ち(こそだち)」と呼び、「子どもは社会が育てる」という気持ち悪いことを言う学歴と経歴だけは立派な乞食連中に支配されかかりました。なかには「女性の元市長の大学教授」という立派な肩書きの人もいました。最近も政権の審議会委員になりましたが、そちらは行政改革ですから、そちらに没頭していただいて、子育て政策から離れていただきましょう。

 元少子化相で、きょうが勤続20年目にして初めての本会議質問だという野田聖子さんは、なぜ小宮山洋子さんが法案審議入りの直前に厚生労働大臣(兼)少子化担当大臣になったのかと問いました。これは、自民党政権ならば、文部科学大臣(兼)少子化担当大臣になることはあっても、小宮山さんの兼務はなかったでしょう。

 初代の少子化担当の内閣府政務官としてこの苦しみに耐えた泉健太さんは質問演説の中で「専門家の中には、全部の保育所に0~2歳児保育を義務づければ、待機児童はなくなる、という人もいました」と打ち明け、「この法案は与野党の英知の結集である。現状認識が同じならば方向性は同じだとして法案の賛成を求めます」としました。

 そして、民主党政権では待機児童は微減しているとし、「総理、(衆議院第2)議員会館にある保育所も東京都の認証保育所なんですよ」と語ると、実際に1歳児を時々預けている初代アニーで未来のサッチャー、山尾志桜里さんが食い入るように最前列から壇上を見て、それから3時間ずっと聴き続けていました。

 おとといの「年金関連法案」と同じく、自公からは、「民主党vs自公案」ではなく、「現行制度の改善案だ」との意見が出ました。公明党の池坊さんは「私が5年前に文科副大臣の時にやった認定こども園を拡充した案に過ぎない」としながら「保護者の就労状況にかかわらず、保育と教育がうけられる。歴史的な経緯が異なる幼稚園と保育所のいいところを組み合わせた」としました。馳さんと池坊さんは小宮山さんが厚労副大臣時代に、各種団体との懇談の際に、「認定こども園は盲腸のようなものだと発言したことを取り消し、謝罪しろ」としました。小宮山さんは答弁で、議事録の残る場ではなく、記憶もないとしながらも、撤回し、謝罪しました。

 日本共産党の高橋さんは、公定価格である子ども園報酬から、株式会社立総合こども園が利益を出そうとすると人件費を削減することになると指摘しました。新党きづなの渡辺義彦さんが「小宮山大臣、あなたはジェンダーフリー(社会的性差をなくす)論者でしょう」と聞くと、野党席からも「違うよ!」とのヤジが飛びました。小宮山さんは東大総長、成城学園長の娘で、NHKアナウンサー時代は結婚により苗字を変えて活動しました。小宮山さんは「それぞれのライフスタイルに合わせた子育てが大事で、専業主婦による子育てを否定するわけではないが、働きながら立派に子育てしている人もいる」と答弁しました。

 自民党席では田村憲久さんら厚労族が「良い質問だ!」とのヤジを飛ばす場面と、文科族が「その通り!」とヤジを飛ばす場面が混在していたように感じました。池坊さんが「私に分かりやすいように答弁してください」とすると、野田総理が池坊さんの方に体をひねり、「池坊さん、分かりやすい答弁になっていますでしょうか」と声をかけ、新進党仲間の心のつながりを感じました。この後、総理が咳き込むと、自民党席から頑張れ!と声をかけられ、総理が「ありがとうございます」と返す場面がありました。

 重野さんと岡田さんは昨年の通常国会の幹事長仲間で、当初は「3分の2」を目指して民国社再連立をめざした仲間。昨年2月17日の小沢グループによる会派分裂騒動でご破算になりましたが、きょうは2時間55分過ぎに、要求大臣として、ひな壇に岡田さんがこの日初めて登りました。ここで、重野さんは演説の冒頭で、「岡田総理いや野田総理」と間違える場面があり、議場内がどよめきました。民主党席はしーんとし、自民党席はどよめくという不思議な状況でした。重野さんは質問の中で、子ども子育て新システムを実現するには1兆円必要としているが、(あす審議入りする)税制抜本改革法案では0・7兆円しか確保できないと指摘しました。「消費税反対」といえば日本社会党(名称を「社民党」に変更)ですが、重野さんは消費税引き上げを前提にしたかのような質問でした。岡田一体改革相は「0・4兆円を保育の量の拡大、0・3兆円を保育の質の改善に充てる」とし、「残りの0・3兆円を確保できれば例えば、幼稚園が0~2歳児保育を受け入れることを推進できるかもしれない」としました。これは福島瑞穂党首率いる参議院社民党からはでない質問演説でしょう。ただし、一体改革関連法案が参院に回るのは来月以降です。文教族、厚労族、政務三役経験者、与野党、自公、新進党仲間。さまざまなつながりが複雑に絡み合いながらも、泉さんの最初の質問演説にあった「この議場に集う人々は、子どもを生み育てたいと願う国民の希望を実現しなければならない」。その当たり前の圧力を感じて、前に進もうとしている。子どもの成長こそ、もっとも安定した「年金」であり、子どもを育てるのは景気に左右しない安定した財源が必要です。消費税増税は何が何でも必要です。消費税を上げる前にやるべきことがあるだろう。それはもっと政治家を仕分けして、既得権益者の中に分け入って、えげつなく自分の意見を反映させ、反対派を締め上げるという有権者としての「未来への責任」を果たすことです。

 かなり、散漫な駄文となりましたが、来週以降、私も審議を聞いて成長していきたいので、このエントリーは習作ということで、直しは入れないと思います。ご了承ください。

[お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

衆議院郵政改革に関する特別委員会を廃止

2012年05月09日 10時55分20秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]民主党選挙対策委員長として第45回衆院選公認候補予定者を発表する赤松広隆さん、2008年10月21日、民主党本部。
  
 「衆議院郵政改革に関する特別委員会」が廃止されました。

 連休明け最初の2012年5月8日(火)の衆議院本会議の冒頭で、横路孝弘議長が「お諮りいたします」と廃止を提案。「異議無し」との声で全会一致で廃止が決まりました。

  第180国会衆法6号「郵政見直し法案」(武正公一さんら提出)は4月27日、参院で可決・成立。この5月8日付で、「平成24年法律30号」正式には「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」となり、天皇陛下が広く全日本国民に公布しました。

 これにより、同委員会は使命を終えました。帝国議会の「法案審議」に加えて、国会は「法案審議」と「国政調査」がクルマの両輪です。その国政調査、すなわちお目付役は、衆院総務委員会、参院総務委員会に引き継がれました。なお、参院には特別委員会は初めから設けられず、総務委員会が法案審議にあたりました。

 これにより、郵便局関係者のみなさんは、2005年郵政国会以来の「政治の季節」が完全に終わりました!お疲れ様でした。

 郵便局のみなさんは政治にはもううんざりでしょう。しばらく本業に邁進してください。趣味を楽しんでください。でも、いずれ落ち着いたら、地域をこまめに歩いて、弁が立つので、外交でも農業でも、また国会に関心を持ってください。

 赤松広隆委員長(民主党、愛知5区)は、昨日付で特別委員長でなくなりました。これにより、赤松議員への議会雑費(委員長としての開会中の手当)の日額6000円支給と、運転手付き公用車の提供は同日をもって打ち切られました。ですから赤松さんの4月分の歳費は議会雑費として委員長手当18万円が上乗せされていたでしょうが、5月分は4・8万円ということになります。13・5万円の税金が浮きました。

 運転手は衆議院事務局職員なので、国家公務員法100条の守秘義務がかかります。なので、車の中では携帯電話で何でも気楽に話せます。これも今日からは乗れなくなります。ただし、会派に割り当てられた公用車があり、時間帯で予約して、ナンバーを控えて、乗ることはできます。閣僚はそれぞれの役所が所有する車をその役所の職員である運転手が運転します。例えば、総理の車も内閣官房職員が運転しています。たいていの人は警視庁護衛官が総理車を運転していると思うでしょうが、それは絶対にありません。民主党国会議員は自民党議員と比べて、東京で自家用車を所有者している人は少ないので、政権交代後は、電車、徒歩、自費でのタクシー使用が激増しています。ちなみに、議員特権に厳しかった河村たかしさんが衆議院の特別委員長時代に公用車に乗りまくっていたと批判する同僚がいました。しかし、これは河村さんが運転手さんの立場を考えて、乗っていたのでしょう。河村さんはそういう人です。早く岡田さんと仲直り欲しいです。

 特別委員会は法案が成立したら、必ず廃止しなければいけない、という決まりはありません。公布日にすばやく廃止したのは隠れたヒットであり、「税金の無駄づかい根絶」になります。

 議会政治とは、小さいことからコツコツと改革していくことだと感じます。憲法改正で一院制という話もありますが、両院制をめぐる諸問題も、小さいことの積み重ねが解決してくれるように感じます。要は、不満があれば声を挙げる。それが大事です。それと、忘れないこと。人間の頭にはどんな人でも容量があります。目先の政局に興味を持つと、大切なことを忘れやすくなります。


[写真]選対委員長として擁立に関わった福田衣里子・衆院議員(左)の結婚を知り声をかける赤松広隆・衆院議員(右)、2012年4月12日、民主党代議士会室、筆者撮影。

 人を想う気持ちで、この国はできています。

 郵便局のみなさん、ユニバーサル・サービス頑張ってください!

 明治4年以来、郵便局員の足腰の強さが必要とされている時代はないでしょう。頑張れ!

 [お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◎「年金受給資格25年→10年」の施行は「消費税8%時」に修正しろ!一体改革100時間審議スタート

2012年05月08日 23時59分59秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]一体改革法案の趣旨説明をする厚労相の小宮山洋子さん、2012年5月8日(火)、衆院本会議、民主党ホームページから。

(手元メモからの傍聴記ですので、発言内容は議事録でご参照ください)

 さあいよいよ、一体改革国会のスタートです。

 昨年は連休前半ぶっ通しで「震災復旧補正(平成23年度1次補正)」を審議し、珍しい「全会一致」で成立しました。ことしは大型連休中は国会は開かれませんでした。

 連休明け最初は大型法案である「一体改革関連法案」で、年金関連、子ども子育て新システム、消費税増税など税制改正の3つに分けて、本会議で趣旨説明と代表質問があります。きのうの本会議も3時間20分にわたり異例の連休明け第1週となります。連休明け第1週から大型法案が審議入りする。これは通常国会会期末が6月中下旬であることを考えると異例なのですが、今後は、「余裕がない」ことだけでなく、「連休中の地元活動による世論吸収に考えが変わったという大義名分」での5月連休明け政局、6月の内閣不信任案政局、6月中旬の延長会期幅攻防の3つの政局を封じて、「熟議の国会」を実現できます。これは衆参与野党とも「弁が立ち修正協議ができる実務派」に有利になってきます。マスコミも同様かもしれません。今後、このパターンは増えていくでしょう。

 きょうの議題は、
「公的年金の最低保証機能強化法案(国民年金法改正案)180閣法74号」
「被用者年金一元化法案(厚生年金法改正案)180閣法78号」でした。

 議員紹介や先着順で一般傍聴できる衆議院本会議場の一般傍聴席は、採決のない議事日程にしては珍しく大入りでした。開議前には「それではここで自由解散になります。3時間の審議なので、お好きな時にお帰りください」というおそらく旅行代理店主催の日帰りツアーの方も多くいました。東京発行の新聞で「国会日帰りツアー数千円」という広告を目にすることが増えてきましたが、参加者は品の良いご高齢のご婦人が目立ち、国会への関心の高まりを感じます。

【小宮山厚労相の趣旨説明で、「25年→10年」は第2段階の消費税10%から!と強調、修正協議で8%時にすべきだ】

 ひな壇には野田佳彦首相、小宮山洋子厚労相、岡田克也副総理・一体改革担当相の順に座りました。

 小宮山さんは2法案まとめて趣旨説明演説に臨みました。ここで、私はアレッ!と思うことがありました。最低機能強化法案では、受給資格を25年→10年に短縮し、遺族年金を母子家庭だけでなく父子家庭にも広げることなどが盛り込まれています。ただ、この法律(案)の施行日を、小宮山さんは高らかに「消費税率の第2弾引き上げの10%への引き上げ時点、すなわち平成27年(2015年)10月1日を施行日といたす内容の法案でございます」としました。ということは、受給資格拡大、父子家庭拡大は、8%時にはなく、10%時ということになる。これでは、切望している人は8%時に年金事務所に行き、対象ではないと言われたら「また騙された」と思いますよ。もうそれは、民主党とか、そのとき第46期の与党というか、すべてひっくるめて政治に騙された。間接民主制なのですから、施行日までいちいち確認していません。これについて、本会議終了後に内閣府別館で開かれた岡田副総理の定例記者会見で聞いたところ、岡田さんも知らなかったとのことで、「確認してみたい」とのことでした。ちなみに小宮山趣旨説明演説のときには岡田さんはずっと原稿を見ながらたまに筆を入れていました。自分の答弁原稿を見ていたのでしょう。このように、岡田さんでも内容を知らない。100時間を超える徹底した議論と柔軟な与野党修正が必要です。でも、これで何とか修正して採決に持ち込んだときに、小沢グループが反対票を投じたら、自民党・公明党の担当者からもひどい目にあうのは確実です。行政や司法と違い、政治はしょせん感情です。

 この件で議案を確認したところ、最低保障機能強化法案の附則第1条は「第一条 この法律は、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第▼▼▼号)附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日から施行する。」とあり、180閣法72号の「社会保障の安定財源を確保するための税制抜本改革(消費税増税)法案」には附則第1条で施行期日を3つに分け、第3項で「平成二十七年十月一日」とあります。ただ、最低保障機能強化法案の附則第1条には、「公布の日から」適用されるものもあります。本会議では、自民党の鴨下一郎さんは「受給資格の短縮は第22回参院選の2010年自民党マニフェストにも明記している」、日本共産党の高橋千鶴子さんは「共産党も長年推進してきました」と賛同しています。だったら、「8%」時、すなわち2014年4月1日に施行すべきではないでしょうか。ぜひ修正協議で、国会の責任として法案を修正して欲しいと考えます。

【私も勘違いしていたが、「100年安心プラン」と「消えた年金」は別問題だとの理解が必要だ】

 トップバッターの質問者は長妻昭さん。元厚労相で民主党厚労部門会議座長です。


[写真]一体改革国会スタートの質問演説に立つ、民主党の長妻昭さん2012年5月8日、衆院本会議、民主党ホームページ

 長妻さんは「スウェーデンでは超党派の年金協議会ができて、7年後に法律ができた。その間に政権交代があったにもかかわらず。年金制度は政権交代のたびに変わってはいけない。日本でも政権交代ある政治が実現した以上、政権交代のたびに年金問題を政争の具にしてはいけない」と演説しました。これには、95%以上が2期生以上である自民党から猛烈な野次が飛びました。そりゃそうだろうという気がします。

 私自身もつい最近まで勘違いしていました。2004年年金改革の「100年安心プラン」と、2004年通常国会で発覚し2007年通常国会まで2度の参院選での自民党敗退の要因となった「消えた年金」の問題。「消えた年金発覚時はどこが100年安心だ、バカヤロー」。私もそう思いました。ところが、今ふりかえると、「基礎年金の半分(2分の1)は保険料ではなく税負担(国庫負担)」「年金と保険料双方への物価スライド(マクロ経済スライド)」による現行制度の継続性は、野田総理も答弁で評価していました。これは、マクロ経済スライドをすることで、100年間にわたって年金が払えることがチェックできている。だから100年安心なんですね。野田総理は褒めるばかりではなく、100年安心プランの「終身雇用」「専業主婦」「納付率100%」の3つの前提が変化してきているので「対応できていない」とも指摘しました。これも自民党の小泉進次郎さん、公明党の竹内譲さんら最前列に座る5人ちょっとの議員以外は「納付率が下がったのは、民主党の消えた年金キャンペーンで不安が広がったからだ」と長妻さんをヤジる。気持ちはよく分かります。この点で、「消えた年金」キャンペーンについて、野党に謝罪する用意があるかと、岡田副総理に記者会見で聞いたところ、「消えた年金は極めて大きな問題だった」「長妻さんは大臣になり消えた年金記録の回復をおおむね実現した」として、岡田さんは長妻さんのことを徹頭徹尾擁護しました。

【「荒波の中で船を乗り換えるような物だ」】

 「自民党政権の官房長官への登竜門」とされる自民党政調会長代理の鴨下一郎さん。野田総理とは日本新党の同期の桜ですが、新進党には参加せず自民党に入党。先祖代々の日本医師会会員で、環境大臣として入閣した後に、志願して厚労副大臣を務めました。

  で、鴨下さんにとっても自公案とは現行制度(2004年年金改革)という考え方があるようです。この点、自民党の伊吹文明・一体改革特別委員会筆頭理事が「対案」を用意していると言われます。またきょうの議論のなかでも、自公から「今回民主党政権が提出した被用者年金一元化法案は2007年に自公が提出したものにそっくりで、民主党が賛成していれば平成22年4月施行が可能だった」(公明党の石井啓一政調会長)との不満が出ています。ですから自公案とは現行制度プラス被用者年金一元化ということになるかもしれません。しかし、国民参加の議論を目指す上で、自民党と公明党は、「自公案とはそっくりそのまま現行制度のことだ」というパラダイムで統一してしまうというのが序盤戦で有用に感じられます。伊吹筆頭理事にはそうしてほしいと感じます。

 鴨下さんは、「現行制度はマクロ経済スライドで十分持続可能だ」として、新しい年金制度への移行は「荒波の中で船を乗り換えるような物だ」。最低保障年金の旗を降ろせと民主党に迫りました。最低保障年金(旧名称「国民基礎年金」)と所得比例年金は2003年の最初のマニフェストから入っています。そして現行制度は2004年の100年安心プランで、公明党主導の自公案。ですから、民主党案と自公案は同列に語るべきものではないかもしれません。この辺が政権交代ある政治での議論のひな型が第180通常国会で生まれてきそうな気配。私としては、「閣法vs現行制度」という対立軸の設定がどの党にとってもベストに感じます。

【中野寛成・特別委員長も積極的に、「談笑」】

 本会議中には、中野寛成・一体改革特別委員長が野党席に出向き、公明党理事の西博義さんらの臨席に座って話し込む姿が見られました。西さんの隣は強面の漆原良夫・公明党国対委員長。寛成、西、漆原の順にすわりました。5期生の漆原さんは顔を引きつらせ、演壇の方をずっと見ていましたが、ときどき、11期生の中野委員長と西さんの談笑に愛想笑いしていました。西理事も中野委員長とはしばらくずっと一緒にいるわけですので、顔をこわばらせながらも談笑しました。漆原さんも西さんも、中野・新進党政調会長、国対委員長としてお世話になった経験があるのでしょう。5分ほどしたら、中野委員長は、自民党の逢沢一郎理事の席に行き、しばらく立って話しましたが、席を譲られ、隣席に座りました。8期生で、昨年の通常国会の国対委員長だった逢沢さんですが、そのお父さんは4期ほど寛成さんと同僚。寛成さんは1期~4期までずっと民社党でしたから、若くして委員会理事の経験は豊富です。こうして見ると、議会政治というのは当選回数が大事だと感じます。そもそも能力がなければ、当選回数が増えませんから、当選回数の大事さを感じます。具体的には談笑という感じで、一体改革委員会としては顔合わせの段階でしょう。開議直前には民主党の武正公一理事が公明党にあいさつにいったり、自民党の逢沢理事が論客の加藤勝信・委員を呼んで話し合う場面もありました。「政治生命を懸けた」野田総理と同期当選の新進党仲間で、衆院財務金融委員会では野田財務相の家庭教師的存在だった竹内譲・委員は、公明党の長期低落傾向による世代交代の遅れのため、議場最前列に座っていて違和感を覚えました。ひな壇最前列の野田さんと議員席最前列の竹内さん。総理も同じことをしていのだな、と第180通常国会の一体改革を一緒に仕上げて歴史に名を残して頂きたいです。ちなみにこういったところ、写真記者さんたちはまったくカメラを向けていなかったですね。「小沢問題」が記者にとってもカメラマンにとってもいかに手抜きかが分かります。国会議員もジャーナリストも、仕分けされている気がします。 お名前存じ上げないけど、日刊スポーツの女性の記者はよく聞いていますね。

 けっきょく、100時間超積み上げて、修正協議して、やっと採決にこぎ着けて、そこで法案の中味がちんぷんかんぷんの小沢グループが反対票を投じたら、誰からも相手にされなくなるでしょう。これも議会政治というのは集団ですから、村社会的要素を完全に排除して否定すべきではありません。国民も建設的な提案をすると同時に、説得ができる人は各地、各団体で、オピニオン・リーダーとして説得役を務めるべし。そうすると、足腰の強い世論が可能になり、郵政選挙のような地滑りもなくなります。

 鴨下さんの演説でハッとしたのは、「年金世代が4000万人で、現役世代が6000万人」。つまり年金受給者と保険料納付者というのは事実上、全有権者ということになります。これは全国民全員の利害関係がある大議論です。もはや小沢一郎ではない。私たちにとっては、震災後国会のあり方をつくっていくうえで、最高の教材ということになります。

 衆議院議員、ジャーナリスト、市井のオピニオン・リーダー。
 実力者が集まれば、とびっきりの夏が来ます。

 「選択と集中」のために、のめり込みましょう。

[お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]

【追記 2016年6月23日朝8時半】

 このエントリー記事の初投稿日時は「2012-05-09 11:37:49」でしたが、本会議があった日である、8日付にバックデートしました。

【追記終わり】 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

社会保障と税の一体改革法案がきょう審議入り 今後の政治日程を更新しました

2012年05月08日 10時24分57秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革


 今後の政治日程by下町の太陽を更新しました。

 きょうから会期末(6月21日)にかけては、社会保障と税の一体改革法案が中心になりますが、主要外交日程(ワシントンでの日中韓サミット、G8サミット)、国内の総理是非出席行事(5月15日火曜日の沖縄本土復帰40周年式典)などが絡み合ってきますので、分かりやすいように配置しました。

 ちなみに、先月分で退会者があり、微減ということで、一層の充実に努めてまいります。厳しい経費縮減の折ですが、内容の充実を図って参りますし、会期末も迫ってきましたので、ぜひともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◎消費増税国会、NHK日曜討論でスタート 国対委員長、賛否明かさず「徹底した審議時間」にこだわる

2012年05月06日 19時00分47秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]連休明け国会の「社会保障と税の一体改革」で論戦する自民党の岸田文雄さん、公明党の漆原良夫さんら各党国対委員長ら、NHK画面から。

 2012年5月6日の「NHK日曜討論」に、8党の国対委員長が集結しました。あさって8日(火)からスタートする「社会保障と税の一体改革」をめぐって議論しました。

 NHK日曜討論は、「討論」とはいえ、この番組の内容自体が日曜朝から新しい政治の流れをつくります。とくに召集直前、後半国会直前(予算成立直後)、会期末週前の各党国対委員長集合は、みんなが本音を隠して思惑含みに観測気球をあげるので、視聴者・聴取者にとっては、何が何だか訳が分からない番組だとは思います。

 なので、ざっくりまとめると、「消費増税準備法案など一体改革関連法案については与野党とも100時間越えなどの徹底した審議時間を積み重ねて、そのうえで法案採決の党議を所属衆参議員・支持者が決められる状態にしたいようだ」ということでしょう。油断大敵ですが、私は一体改革関連法案は、特例公債法案(財金委)、マイナンバー法案(内閣委)も含めて、今国会で成立させられる自信を持ちました。

 公明党の漆原良夫国対委員長は、法案の賛否は述べずに、審議時間にこだわりました。漆原さんは竹下内閣の「衆・税制問題等に関する調査特別委員会」の消費税法の審議時間が88時間だった、として、「(新設でないにしても、5%から8%への引き上げには)そのくらいの時間が必要だし、そのほかに年金、子ども子育て新システムの法案がある。100時間を優に超える時間が必要だ」としました。

 この意見に対して、与党・民主党の城島光力国対委員長は「めどとして80数時間は念頭にある」としました。ちなみに、衆・社会保障と税の一体改革特別委員会(中野寛成委員長)での審議時間が100時間を超えるのは、4週間後の6月4日週以降になると思いますが、そのころに6月21日(木)までの会期を延長するかどうか判断したいとしました。

 これに先立ち、自民党の岸田文雄国対委員長は、11法案付託の予定を、マイナンバー3法案と年金交付国債発行法案(現在既に衆・厚労委員会に付託済み)を外して、7法案にしたことについて、「そもそも11本の法案を一括して特別委員会に付託しようとしていたのを7本に選別しました」と語りました。これは徹底した審議時間の確保のために、自民党岸田国対が「前さばき」で成果を挙げたとアピールしたものと思われます。

 みんなの党の水野賢一さんは「増税の前にやるべきことがあるだろう。しかし、審議拒否せずにむしろ特別委で徹底的に議論する」と述べ、一体改革特での徹底審議を強調しました。日本共産党の穀田恵二・国対委員長は「3領域とも、それぞれ特別委員会を設置してもいいくらいの法案だ」と語り、社民党の照屋寛徳・国対委員長も審議時間の確保を述べました。たちあがれ日本の藤井孝男・参院議員も将来的な消費税引き上げが必要だとした上で足元の経済対策での論戦を求めました。与党・国民新党(自見庄三郎代表)の国対委員長として初めて参加した中島正純さんも徹底審議と同党提出の法案による定数削減・連用制一部導入の「身を切る」選挙制度改革を求めました。

 これにより、全党が「徹底審議」を求めたことになります。また現段階での賛否を明言した党はありませんでした。この漆原さんの「100時間を優に超える時間」を一体改革特別委で確保すると、参院での審議時間はギリギリになります。原子力規制庁設置法案を衆参の本会議で審議・採決した場合は、6月21日(木)に間に合わない可能性が高くなります。しかしことしは通常国会のお尻に参院選もないので、与党は1回のみ衆院単独でも延長議決ができます。ですから、漆原発言は、衆院での採決前に会期末が来て廃案にすることをもくろんでいるのではないでしょう。公明党内議員や支持者に「○○時間に及ぶ徹底審議をしたから」ということで、採決に応じるための材料作りだと考えられます。ですから、「採決前の廃案」というシナリオは心配する必要はなさそうです。とにかく、特別委員は、前線に出て衆院第一委員室で徹底的に審議をしながら、実務者が別室で修正協議をするという陣立てになることは間違いなさそうです。やはり、修正協議のいかんが今国会を占うことになります。ぜひ、実務者の名前は各党が報道発表してほしいと考えます。ないしは、質問者が実務者の名前を出して、議事録に載せることが衆院議員として憲政の名場面に立ち会ったあかしを後世に残すことになります。テレビなんか出ても、すぐに消えてしまいます。

 8日(火)の衆院本会議で、「年金関連法案」、10日(木)の衆本で「子ども子育て新システム関連法案」、11日(金)の衆本で「社会保障の安定した財源を確保する税制抜本改革(消費増税準備、相続増税など国税・地方税とも)法案」の趣旨説明と代表質疑が行われます。連休明け第1週で、衆院本会議でお経読み(趣旨説明)と代表質問が3連続するのは異例だと思いますが、全衆院議員や国会ウォッチャーは「門前の小僧習わぬ経を読む」ということで、とりあえず聞いていると、終盤国会まで議論が分かりやすくなると思います。例えば、「現行の消費税の税率”4%”を」などという「アレ?」と思う”お経”があるかもしれませんよ。現行税率では国税分が4%、地方税分が1%でそれぞれ別の法案が提出されています。また「子ども・子育て新システム法案」が通れば、待機児童がゼロになるわけではありません。実は、民主党にも自民党にも、議員には幼稚園経営者が多いことから、修正協議が整うのにイチバン手間取るのは「子ども・子育て新システム法案」ではないかと私は懸念しています。この辺の予習も兼ねて、今週の国会は衆院本会議の「お経読み」が後々まで大事になってきます。6月の会期末からの逆算になりますので、初月度無料の会員制ブログ「今後の政治日程by下町の太陽」は今週が入会する良い頃合いです。

 一体改革関連法案と原子力規制庁設置法案に専念したい終盤国会ですが、その前段階で問題があります。問責政局です。これについて、野党各党が完全に足並みが乱れていることが分かりました。

 自民党は、問責決議案を提出し、賛成しました。今後も更迭しなければ審議拒否するとしました。
 公明党は、問責決議案提出に加わりませんでしたが、賛成しました。今後は、国土交通大臣と防衛大臣が出席する審議だけ拒否するとしました。
 みんなの党は、問責決議案提出に加わり、賛成しました。今後は、国土交通大臣と防衛大臣が出席する審議だけ拒否するとしました。
 新党改革は、問責決議案を提出し、賛成し、審議拒否していますが、きょうの番組に呼ばれていないので、今後の動向は不明です。

 このように、自民党、公明党、みんなの党の野党3党だけでもかなり違います。水野さんは参院議員ですが、自公の出席者は衆院議員なので、参院執行部と認識が完全に一致しているわけではないでしょう。

 一体改革関連法案の担当大臣は、岡田一体改革担当相、安住財務相、小宮山厚労相兼少子化担当相、川端総務相の4人です。これに野田首相、平野文科相、古川マイナンバー担当相が加わる格好になります。前田国交相と田中防衛相は無縁です。防衛省は今国会に法案を一つしか出していません。「防衛省設置法改正案」で、これは「防衛審議官ポスト1人の新設、防衛医大に看護師課程を新設、防大卒業生の一定期間の自衛隊勤務の努力規定を設ける」という法案で、あまり重要性は高くないです。看護師志望の学生は他にも公立大学はたくさんあります。国交省は逆に10本とずいぶんたくさん出しています。私はちょっと国交省関連は苦手なんですが、一つ一つは力の入った国のグランドデザインをつくろうという意気込みを感じる法案ですが、逆に言うと今国会で絶対に成立させるべき法案でないように感じます。日切れ法案はすべて成立済みです。

 こうなると、「参院問責で必ず辞任」の連鎖を絶とうとしている輿石東民主党幹事長(兼)参院議員会長の考えには一定の根拠があるように思えます。ぜひ、ここは人物本位ではなく、過去に残る良い先例をつくるために、両大臣や総理は強行突破できるのではないでしょうか。与党にしろ、野党にしろ、衆院議員団にしろ、参院議員団にしろ、政党というのは一つにまとまっていないと議席数に見合う力を発揮できません。

[お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり] 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

田中角栄の一級建築士番号は「1号」ではなく「16989号」

2012年05月05日 08時16分38秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]田中角栄さんと石井一さん(石井一さん公式ホームページから)。

 --明治維新によって日本人は初めて近代的な「国家」というものを持った。誰もが「国民」になった。(略)
 社会のどういう階層のどういう家の子でも、ある一定の資格をとるために必要な記憶力と根気さえあれば、博士にも、官吏にも、軍人にも、教師にもなり得た。この時代の明るさはこういう楽天主義から来ている--

 まだ聞き覚えがありますよね。2009年11・12月、2010年12月、そして震災後の2011年12月に放送されたNHKドラマ「坂の上の雲」(司馬遼太郎原作、野沢尚さんら脚本)の冒頭での渡辺謙さんのナレーションの一節です。

 田中角栄さんは日経新聞「私の履歴書」を「一級建築士 田中角栄」と書いたそうです。「衆議院議員」よりも「一級建築士」という国家から与えられた資格に安定性を感じたのでしょうか。

 建築士法(案)は1950年(昭和25年)の通常国会(召集は前年末)に第7回国会衆法第15号議案として提出され、成立後は昭和25年法律第137号として昭和天皇が公布しました。そのため、筆頭発議者にあやかって「一級建築士第1号は田中角栄」という噂があります。実際はどうなんでしょうか。

 国立国会図書館で調べました。国会議事堂に行くようになって20年ですが、はじめて国会図書館に行きました。心の余裕がたりなかったのかな。

 

 官報を調べてみましたが、建築士合格者の名前までは載っていないんですね。代わりに見つけたのは昭和26年8月27日付の官報で、野田卯一建設大臣の建設省告示第801号に、「建築士法の規定により(略)同等以上の知識及び技能を有する者を次の通り定める」となっています。つまり、この時点で試験を受けなくても、すでに専門学校法の建築科や土木科の検定や、実業学校の教員免許を持っていたりして、4年以上の技能を持つなどしていれば、試験を受ける必要がないというものです。

 いろいろ官報を見てみましたが、建築士に合格(認定)された人の番号と名前を告示するということはないようです。

 そこで、日本建築士連合会が初めて出した「一級建築士名簿 昭和29年版」を見てみました。この本は今でも所蔵されているとのことですが、館内でも貸し出さず、パソコンを通じた電子データの提供です。

 
[画像]「一級建築士名簿 昭和29年版」の表紙 

 序文には「いわば建築士名簿の創刊号であって、(略)幾多不測の不備な箇所があると思われるので広く諸賢の御指導により漸次是正してゆく予定である」と会長さんの名前で書いてあります。

 
[画像]左は序文、右は奥付。クリックすると大きい画像になります。 

 名簿なので、調べやすいように五十音順に並べてあり、「た」を見ました。324頁に「田中角栄」の名前があります。建築士番号は「16989」。所属は「衆議院」ではなく、「長岡鉄道(株)」となっています。帰宅後に調べたら、これは建築士法公布後の1950年11月1日に社長として入社した会社。当時赤字続きで電化により起死回生を目指していたようです。「長電」のバス部門を拡充のために、その2、3年前に知り合った国際興業の小佐野賢治さんから大量に車両を分けてもらうなどやり手だったようです。他の2社と合併して1960年「越後交通株式会社」になります。(『田中角栄、ロンググッドバイ』)。その「長岡電鉄」の名前を出して、住所は「東京都新宿区市ヶ谷」と東京の住所を入れておく。戦後復興期の自由主義政治家として、ただ者ではないことを感じます。

 


 一級建築士試験で、日本最大の実績を持つ「日建学院」の学院本部長(株式会社建築資料研究社取締役)を務める馬場圭一さん。私の中学・高校の同級生です。私にとっては多感な10代を一緒に過ごした「馬場っちょ」なんですが、日建学院の創業者の子息であることは卒業後20年経った最近知りました。日建学院は10万人以上の一級建築士を世に送り出しています。

 最近では、博士でも、弁護士でも、歯科医師といった国家資格をとっても、生活が困窮している人がいっぱいいます。悲観主義になっているかもしれない。でも、馬場本部長や私の同じく中学高校の同級生である一級建築士はブータン王国政府で働いています。馬場君によると、最近では中国からの建築士の引き合いもあるそうです。

 一人で大きくなって、世界に飛び出したい気がしても、私たちはしょせんは「国家」の一員になって初めて一人前。帰る家はこの国家。博士だろうが、官吏だろうが、しょせんは「国家の連中」です。

 国立国会図書館も国家があって初めて成り立ちます。聞けば、「一級建築士名簿 昭和29年版」はデジタル情報のサービスですが、貸し出しはしていないものも原本は今でも所蔵してあるそうです。国家を守る。それは何もしないことではなく、攻めることです。攻撃は最大の防御なり。

 さあいよいよ、あすのNHK日曜討論国対委員長対決から「社会保障と税の一体改革」の論戦がスタートします。国家を守るためには、社会保障と税の一体改革関連法を修正したうえで第180通常国会で成立させなければいけません。心して、国家を守りましょう。

 [お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり] 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする