すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

何を追い払ったのだろう

2014年03月13日 | 雑記帳
 3月半ばというのに、雪が降りやまない。もっとも気温は上がっているのは確かで、最高気温が氷点下ということはなくなった。時折陽も射すし、降り続くからといって積雪が増えていくことはないが、減る気配もあまり感じられない。一昨日もそんな朝だったが、一瞬雀の鳴き声が聞こえ、ああ春は近いと思った。


 そういえば、雀がずいぶん減っているという話を聞いたことがあった。実際あまり目にしなくなった気がする。雀の鳴き声で目覚める朝なんて、なんとなく作られたイメージのようでもあるが、実際そんな暮らしを過ごした年月は多いはずだ。いつから、それが珍しくなったのだろう。一年に何日あるのだろう。


 そんな懐古めいたことが頭をかすめていたせいもあるのだろう。新聞の文化欄に載った「雀追い」という写真に目を奪われた。データに1943年とあるから戦前ではあるが、私の周囲ではおそらく昭和30年代まで子どもの田んぼ仕事として行われていたはずだ。現に自分にもその記憶がある。遠い昔のその感覚が甦る。


 三つ上の兄と一緒に、たぶん杭が横に積まれ平らになった所に腰をかけてやったと思う。雀が来たら、バケツか何かの金物を棒で叩いて音を出すという単純な作業。どんな話をしていたのか、どんな気持ちでやったのか、皆目思い出すことはできない。しかしずいぶんと緩やかに時間が流れていたことは確かだろう。


 以前は、稲田で号砲のような道具を時々鳴らし、雀対策をしていたはず。それも今はあまり聞かれない。その面倒がないことは喜ぶべきなのか。雀の減少について専門的なことはわからない。ただ追い払わなくてもよくなったと同時に近づいてもこない。こうして人は他の生物を関与させない暮らしを作るのだろうか。