すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

「やり直し」の意味に頷く

2014年06月04日 | 読書
 「2014読了」58冊目 ★★

 『プロの授業力で学力が向上する』(大森修・松野孝雄  明治図書)


 教育書読破強調月間と名付けてみたものの、まだあまり買い込んでいない。
 まずは手元にあって読んでいない書籍から手をつけてみた。
 久々のTOSS本、明治図書である。

 大森・松野コンビの著書は『到達度を明確にした国語科の学力保障』のシリーズがなかなか面白かった。
 この本は『授業力アップシリーズ』と名づけられ、より一般的・原則的なことが書かれてある。


 自分では少し身についていると思える事柄も、かなり錆ついてきているので、「ああ、そうだった」と結構新鮮な気持ちで読めた。

 繰り返し学習させる


 この意義を軽んじる教員はいないだろうが、実際場面でどの程度(どのくらいの量を、どのような質で)行えているものだろうか。

 例として挙げられた作文の授業の流し方は見事であった。
「部分積み上げ式作文」と名づけ、ここでは運動会を取り上げているが、十分に汎用性の高い方法だと思った。


 また、これも全員参加授業の肝となる部分だが、子どもの意欲の高低に関わらず、方法によって徹底させていこうとする主張が明快だ。

 せざるを得ない状況に追い込む


 少→多、易→難、全体→個別…こうした筋道が組み立てられて、授業が構成されている。


 さらに、自分のなかですとんと落ちていなかったある点が、この本によって解決された。
 それは、以下のことである。

 やり直しをさせる意味


 授業の中で、また宿題等においても、私たちはよくやり直しをさせるわけだが、何のためか明確だったか。
 言い換えればどのような効果を期待していたのか。
 本著では、三つの効果を掲げている。

 [効果1] 間違いの記録
 [効果2] 緊張感が生じる


 ここまでは、自分でも意識していたと思う。
 しかし、この三つめはどこか自分が甘かった点を指摘された思いがする。

 [効果3]パーフェクトな成功の経験

 学習のつまずきを防ぐために「やり直し」が効果的であるには、最初から最後までという体験が必要なのだ、ということを遅ればせながら気づかされる。

 自分もまた「やり直し」が必要かもしれない。
 最初から始める時間はないと知りつつ、できるところまで、と思う。