すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

自問したい感覚を知る

2014年06月07日 | 読書
 「2014読了」59冊目 ★★★

 『人は見た目が9割「超」実践編』


 ベストセラーだった『人は見た目が9割』という新書を,80円で読んだ時(笑)は,著者が演劇畑の人だということは何も感じなかったなあ。


 非言語情報,非言語コミュニケーションの重要性は,一般的に知られているところだが,著者自身が書くようにあのベストセラーの影響力も結構大きかったのだろう。題名勝ちという気もするが…。

 今回の内容も前著の流れで,いろいろな引用を交えながら楽しく読めた。
 演劇人らしく,世阿弥の言葉を取り上げた章が特に興味深い。

 “我見の見”と“離見の見”


 自分の目で自分を見る「我見」。

 見所(観客席)から見える自分の姿が「離見」。

 役者として大事なのは「離見」であり,どう見えるかをイメージしながら舞うのだという。
 「見所同見」という,即興的に観客の期待に応えることを表現した言葉も実に味わい深い。
 授業の場と深く通ずる気がする。


 「離見の見」は凡人には到達できない境地なのかもしれない。

 それでもその遠くを想えば,「見た目」を磨くということは内面を磨くことにほかならないと理解できるのである。

 そして,その行動化はごく簡単にできる部分もありながら,本質としては甘いものではない。

 能の「型」を守るということに関しての文章をこんなふうに著者は結んでいる。

 単純に「気持ち」や「心がけ」が大事だと思っているときはダメで,「停滞や惰性を打ち破っている」という感覚があるときが,より合格点に近いといってよい。


 自問したい感覚である。