すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

好奇心さえあれば

2014年10月04日 | 雑記帳
 行きつけの書店から,出版社の発行する雑誌というかPR誌を毎月何冊かいただいている。連載が楽しみなものもあるし,各月に面白い記事があったりする。今月号のいくつかを拾ってみたい。まず『ちくま』(筑摩書房)。これは穂村弘の「絶叫委員会」も好きだが,岸本佐和子の「ネにもつタイプ」が抜群にはまる。


 今月号のテーマは「夏」。「また夏が行ってしまった」と始まる文章は,「今年もまた夏を取り逃がし」た後悔の文章が,これでもかと綴られている。それらを目にして,やはり思い出と言えば夏なのだと感じてしまう。「海」「スイカ」という常套句だけでなく,他とは比較できないほど心身に刺激を与える季節の王様だ。


 『本』(講談社)。平田オリザが「下り坂をそろそろ下る」と題して,コミュニケーション教育のことを書いている。2回目の今回,人口減に話題が及んでいる。結局そうなのだ。コミュニケーション教育を取り上げるということは,誰とどんなふうに行うかという未来予測が前提となる。その見通しなしに語られない。


 『波』(新潮社)。池田清彦が自著『世間のカラクリ』を宣伝している。一言で括れば「安倍政権が撒き散らした幻想」への批判らしい。「幻想」という言葉に反応してしまった。先週あたりから,そう言えば身の周りにも「幻想」を語る人がいると気づいた。それは現実を直視していないことの裏返しなんだなと悟る。


 『図書』(岩波書店)。書評家の岡崎武志という人が「本を読む」というダイレクトな題名で綴っている。「一週間に何冊読むか」という問いには答えようがないという(くらいの読書量)。書評家とはそういうレベルだろう。しかし,次の言葉が嬉しい。「好奇心さえあれば,(略)読みたい本にたどり着けるはずなのだ。」